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「4月からの消費税増税の中止を求める意見書を政府に送付していただく請願」の賛成討論(田中まさや議員)

私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、ただ今議題となりました受理番号第26号「4月からの消費税増税の中止を求める意見書を政府に送付していただく請願」について、賛成の立場で討論します。

 

請願の趣旨は、安倍首相が、来年4月から消費税率を8%に引き上げることを決めたことに対して、住民のくらし、地域経済、地方自治体に深刻な打撃となるとして、本区議会として、消費税の増税を中止する意見書を採択して、政府に送付していただくことを求めるものです。

 

賛成の第1の理由は、来年4月からの消費税の8%への増税は、耐え難い苦痛を国民に与え、くらしと営業を破壊し、日本経済や財政にも計り知れない打撃を与えるからです。

消費税を8%に増税すれば、総額8兆円の新たな負担増となり、年収500万円の夫婦と子ども4人世帯では、年間16万7千円もの負担増となります。

本請願でも、「所得の減少や社会保障の削減によって、国民のくらしは消費税率引き上げを容認できる状態ではない」としていますが、実際、勤労者の所得は、1997年446万円をピークに、2012年377万円へと70万円も減少し、年金給付は、2003年から今年までで6回にわたって合計3.2%削減されるなど、国民の所得は減り続けています。これに、毎年の健康保険料の値上げ、介護保険、後期高齢者医療保険料の値上げなどの負担増によって、国民の生活は大変厳しくなっています。

さらに、食料品やガソリンなどの値上げが追い打ちをかけています。最近の世論調査では、「物価上昇を実感する」は78%、ガソリンや食料品、日常生活用品などが主で、91%が「家計に影響する」と回答し、41%が「買い控え」ていると回答しています。

アベノミクスでくらしは良くなるどころか、ますます深刻になっているのです。「景気回復を実感できない」は、81%に上っており、わが党区議団のアンケートでも、73%の方が「生活が苦しい」と答えています。まさに、本請願で指摘しているように、「これ以上、どこを切り詰めて暮らせというのか」との声は、いまや多くの国民、区民の声となっているのです。

中小業者の場合、6割が消費税を価格に転嫁できておらず、生命保険を取り崩したり、家族の給料も支払わないで、身銭を切って消費税を納めています。消費税の増税は、こうした中小業者の営業を破壊することになります。昨年の区内の中小企業倒産は173件、地元の商店街も閉店が相次ぐ中で、商店会の運営も深刻になっているのです。

これだけ、くらしや中小業者の営業が大変な時に、消費税の8%への増税は、国民のくらしや中小業者の営業を破壊することになります。

また、消費税増税は、経済と財政にも深刻な影響を与えます。1997年の消費税増税と医療改悪による9兆円の負担増は、個人消費も設備投資も減少させデフレの大きな要因となりました。しかも、税収は、消費税による税収増にもかかわらず、全体では14兆円も減少しました。

今回の消費税増税は、社会保障の改悪と合わせると、97年を上回る10兆円というまさに史上空前の負担増となります。世論調査では、消費税の増税によって「買い物を減らす」が82.9%に上っています。来年4月の消費税増税が、GDPの6割を占める個人消費を冷え込ませ、日本経済に深刻な打撃を与え、財政危機をいっそう深刻にすることは明らからです。

 

第2の理由は、消費税増税が社会保障のためという政府の言い分がごまかしであることが明らかになっていることです。

政府は、今回の8%への消費税増税による8兆円の税収増の内、2.8兆円を社会保障の充実に回すといっています。しかし、これも数字のごまかしです。社会保障制度改革プログラム法案で示されている社会保障の改悪を進めれば、これをはるかに上回る3.5兆円以上もの負担増や給付の削減となることは政府も認めているのです。

 実際にプログラム法案では、70歳から74歳の医療費窓口負担を2倍にすることで4000億円、入院給食の原則自己負担化で5000億円、一定所得以上の介護保険利用者負担を1割から2割に引き上げることで750億円、介護保険施設の食費・居住費補助の縮小で700億円の負担増、年金では2.5兆円の給付の削減を行うとしており、合計3兆5450億円の負担増と給付の削減となるのです。その上、年金支給開始年齢の先送り、要支援者の介護はずし、特養老人ホームの入所制限などが加わり、さらにプログラム法案とは別に、国保料や介護保険料、後期高齢者医療保険料の値上げなどの負担増が予定されており、まさに社会保障改悪のオンパレードです。社会保障を切り捨てておいて、社会保障の財源のためと国民をだまして、消費税の増税を押し付けることなど絶対に認められません。

 そもそも消費税は社会保障のためといって導入されました。しかし、この間に社会保障は良くなるどころか、改悪され続けてきました。89年に消費税が導入されて以後2010年までに消費税収は累計224兆円に上りますが、この間の法人税の減税分は208兆円に及びそのほとんどが法人税の減税の穴埋めに使われてきました。さらに、ムダな公共事業には50兆円もばらまかれ、国の借金は1000兆円を超えるに至っています。今までも消費税は社会保障のためには使われなかったのです。

 

第3の理由は、消費税の増税に頼らなくても、社会保障を充実させながら財政再建を進める道があるからです。

政府は、国民には消費税増税と社会保障の改悪を押し付けながら、一方では、大企業のためには、「復興特別税」の前倒し廃止や法人税のいっそうの減税、1m造るのに1億円、総額2.4兆円もかかる外環自動車道を始めリニアモーターカー、東京湾口道路などの大型公共事業に200兆円も使うとしています。消費税の増税は、大企業減税やムダな公共事業には大盤振る舞いをするための財源づくりに他なりません。

日本共産党は、ムダな大型公共事業の削減や憲法違反の政党助成金などのムダな浪費の一掃で3.5兆円、証券優遇税制の廃止や所得税などの最高税率の引き上げなど応能負担の原則に立った税制改革で8~11兆円などの財源を確保すること、270兆円の内部留保の1%を活用して、大企業で働く8割の労働者の賃金を毎月1万円引き上げ、中小業者労働者の賃上げのために助成制度を創るなど国民の所得を増やす経済改革で日本経済を健全な成長の軌道に乗せ税収増を図ること、これを同時並行で進めることで社会保障の充実と財政危機の打開の道を開くことを具体的に提案しています。消費税を増税しなくても社会保障の財源を確保しながら財政再建を進める道があるからです。

 

本議会としても、国民と区民のくらしと中小業者の営業を守るために、「来年4月からの消費税増税の中止を求める」本請願にご賛同いただきますようお願いいたしまして、賛成討論とします。

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