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区長に2018年度予算編成に関する要望書を提出

日本共産党渋谷区議団は、10月31日、長谷部区長に対して、2018年度予算編成に関する要望書を提出しました。

要望書は、「くらし、区政のアンケート」をはじめ、区民のみなさんから託された切実な要求や区民福祉の増進のために党区議団が必要と考える事業です。要望事項は、「重点要求」24項目、「部局要求」781項目、「地域要求」240項目の合計1045項目に及びました。

要望書の全文は次のとおりです。


はじめに

安倍政権は、安保法制・戦争法、共謀罪法など憲法を破壊し、沖縄への米軍新基地建設や原発再稼働などを国民の声を無視し、さらに森友・加計学園疑惑など国政の私物化や社会保障の大改悪を進めるなど悪政を続けています。その上、9条改憲や消費税10%増税などを数の力で強行しようとしています。

またアベノミクスによって格差と貧困は拡大し、一部の富裕層や大企業は史上空前の儲けをあげる一方、働く人たちの実質賃金が下がり続けています。

こうした悪政のもとで、渋谷区では、昨年1年間の中小企業の倒産が121件、その失業者は788人、生活保護は2,919世帯3,248人、国民健康保険料の滞納世帯も約28%に達しており、10月現在の認可保育園の待機児は375人、特別養護老人ホームの待機者は461人で、深刻な事態が続いています。

党渋谷区議団が毎年とりくんでいる「区政とくらしのアンケート2017」では、くらしが「悪くなった」、「悪いままで変わらない」が62%を超えており、「年金がこれ以上減らされたら、どうやって暮らせばよいのか」「預金を取り崩して生活。将来が不安」「子どもの教育費、親の介護、自分の老後、すべてが不安」など、胸の痛くなる訴えが相次いで寄せられています。このように、区民生活が困難な時だからこそ、区民の声に耳を傾け、くらしを応援し、福祉を優先する自治体本来の役割の発揮が求められています。

ところが長谷部区政は、区民不在で、福祉切り捨てと大企業応援の区政を進めています。

国保料は13年連続値上げし、生活保護世帯のくらしを支えていた夏冬の見舞金を廃止し、障がい者の通院や外出に欠かせない福祉タクシー券を削減しました。また、区民福祉を充実するために介護保険に上乗せして実施してきた区独自のホームヘルプサービスは削減し、要支援者に対する緩和サービスAの実施で、利用者にはサービスの切り捨てを押し付け、介護事業者の経営を一層困難にしています。

その一方で、渋谷駅周辺再開発事業には180億円の税金を投入し、民間事業者の利益のために庁舎の土地、宮下公園や神泉児童遊園地などを差し出しています。

さらに、防災フェスに象徴される「官民連携事業」、スポーツセンターの指定管理化や数多くのイベント事業など、大企業に奉仕する事業を、区民も議会も無視して進めることは、自治体の役割を投げ捨てるものであり許されません。

日本共産党区議団は、大企業奉仕の事業や不要不急の事業を見直し、税金の使い方を変え、貯め込んだ802億円の基金を活用して、区民が主人公、くらし・福祉最優先の自治体本来の役割を果たすよう求めて、2018年度予算に対する要望書を提出します。

【重点要求】

1.高すぎる国保料を引き下げるため、国と都に対し負担金の増額を求めるとともに、区として一般会計からの繰入れを行うこと。

介護保険料は、多段階制を拡大し低所得者の保険料を値上げしないこと。

後期高齢者医療保険料を値上げしないよう、東京都後期高齢者医療広域連合に求めること。

2.保育園の待機児対策は、区立保育園の計画的整備を軸にして、認可園の増設による待機児童ゼロを早期に実現するため、国・都有地、民有地の活用を行い、国、都に対しては、用地取得費の取得費などの補助を求めること。

私立保育園の保育を区立認可園並みに改善し、認可外保育室などに、全員有資格の職員を配置するため運営費を増額するとともに、職員の処遇を改善するために助成を拡大すること。

保育料については値上げせず、低所得者の無料制度など軽減対策を継続すること。

3.子どもの貧困が深刻になる中、学校給食を公会計にし、無償化を実施すること。また、渋谷区の奨学資金貸付制度に低所得者向け給付制を導入すること。

就学援助は、区独自で生活保護基準の1.5倍まで基準額を引き上げるとともに、小学校の新入学学用品費は、入学前に支給するとともに、小中学校とも給付額を国が示した基準通りに引き上げること。また、PTA活動費についても給付すること。子ども医療費の無料化を高校生まで拡大すること。

4.早急に小中学校の全学年の35人学級を実現するとともに、30人学級に踏み出すこと。学校間に競争と格差を持ち込む学校選択制はやめること。

教師の多忙化を解消するためにも、教職員の勤務実態調査を区独自に実施すること。

放課後の子どもの生活の場を保障するために、保育を必要とする児童に対して学童保育を実施すること。

5.第7期高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画では、必要な介護サービスが受けられるよう緩和サービスAはやめて、国と同じ介護報酬にすること。

区が上乗せしてきた区型介護サービスの値上げを元に戻し、限度額による制限をやめること。高齢者寝具乾燥サービスなど、切り捨てた高齢者福祉施策を復活させること。

特別養護老人ホーム、グループホームを増設すること。

地域包括ケアの構築については、医療と介護の連携や質の確保された切れ目のないサービスが提供できるよう、区が責任を持って進めること。

75歳以上の住民税非課税世帯の医療費を無料にすること。

国に対して、介護報酬、診療報酬の引き下げを行わないよう求めること。

6.障がい者が人間らしく生活するために必要なサービスは原則無償にするよう国に求めること。

障がいのある人が地域で安心してくらし続けられるよう障がい者施策を拡充し、グループホーム・ケアホームを増設すること。

削減した難病患者福祉手当を復活し、福祉タクシー券助成制度は元に戻すこと。移動支援については、直ちに必要なすべての人が利用できるよう通学・通所へと拡大すること。駅での転落事故防止のために、ホームドアの設置と合わせて駅員を増員するよう、国、都、鉄道事業者に求めること。

7.国に対し、生活保護基準の引き下げと生活保護法の改悪をやめ、高齢者加算の復活、住宅扶助費の削減の撤回を求めること。

区の夏冬の見舞金と特別対策給付金を復活するとともに、住宅扶助の特例基準を適用すること。

福祉事務所は、高齢者ケアセンター跡地複合施設への移設はやめて、本庁舎内に整備すること。

8.「住宅は福祉」との位置づけで区営住宅や高齢者住宅を増設すること。

若者向けの家賃補助については、募集を復活すること。また、福祉型家賃補助の限度額を3万円に戻し、更新料補助を復活すること。都営住宅から移管された住宅については、東京都の家賃減免を引き継ぐ軽減策を実施すること。

9.区の責任で、障がい者などの福祉避難所を地域ごとに整備すること。災害時要援護者対策をさらに進めること。耐震補強の必要な民間福祉施設に対して、区の責任で早急に耐震補強工事を行い、備蓄品の配備や情報伝達手段を確保すること。

10.地域防災計画は首都直下型地震に対して、被害を最小限に食い止めるため予防を重視する計画に改めること。木造住宅の耐震補強工事費助成制度の引き上げや助成要件の緩和など制度を拡充すること。

帰宅困難者対策については、国や都、事業者と連携するとともに、区独自にも強化すること。水害対策の充実をはかること。

11.小規模企業振興基本法に基づいて、地域経済を支える商店街、中小企業への支援を抜本的に強めるため、中小企業振興基本条例を制定すること。

商店街の街路灯電気代は全額補助するとともに、住宅簡易改修支援制度(住宅リフォーム助成制度)の拡充を図ること。

公契約条例の実効性を高めるため、支払った賃金の報告を求め、労働報酬審議会に報告するとともに、対象となる工事契約額を5000万円まで拡大すること。

12.男女平等、多様性を尊重する社会の実現のために、すべての差別をなくす立場で、区民と区内事業者への啓発を行うとともに、参加できる事業を実施すること。また、LGBTと女性差別の相談事業の充実をはかること。

13.渋谷区役所・公会堂の建替えについては、三井不動産レジデンシャルの住宅棟の総事業費など情報公開を徹底するとともに、住民、専門家、職員が参加する検討会を設置すること。

14.東急グループをはじめ、大企業のための渋谷駅周辺再開発への税金投入はやめること。

区立宮下公園を三井不動産の儲けのために差し出す整備計画はやめ、区民、専門家、関係者が参加する検討会を設置すること。

15.伊豆・河津町の第二保養所は、運営・維持費に年間約1億円以上もかかる上、今後の設備の改修や大規模修繕費用などで多額の税金を投入することは必至であり、区民から「遠くて、交通費も高い」「税金の浪費だ」という批判もだされており、廃止すること。

16.渋谷区上空を低空で飛行し、騒音や落下物、墜落など、区民のいのちと健康を危険にさらす羽田空港の新飛行ルート案は、白紙撤回するよう国に求めること。

17、国に対して、9条改憲を中止するよう申し入れるとともに、北朝鮮の核ミサイル開発に対しても、米朝の衝突を避けるため、各国が連携して国連の制裁決議を厳格に実施し、9条を生かした対話による解決を求めること。

立憲主義と民主主義を否定した戦争法(安保法)、特定秘密保護法、共謀罪法の廃止を国に求めること。

18.福島原発事故によりいまだに5万人の人たちが避難生活を余儀なくされている。原発再稼働に多くの国民が反対している。原発ゼロ、再稼働の中止と自然・再生可能エネルギーへの転換を国に求めること。

19.消費税の10%増税を中止すること。庶民増税に頼らない社会保障、教育、子育て予算の確保を国に求めること。8%増税によって家計消費は落ち込み、3年以上経過しても、深刻な消費不況が続いている。大企業優遇税制を改めるとともに大資産家に応分の負担を求めること。

20.税と社会保険料の徴収強化と社会保障給付抑制のためのマイナンバー制度(税・社会保障番号制度)は、国民にとって利益は無く、逆に情報漏えいを防ぐ完全なセキュリティは不可能であり、個人情報の漏えいが拡大している。政府に中止を求めるとともに、区として活用の拡大をしないこと。

21.過労死を拡大し、残業代ゼロ、裁量労働制の拡大などの労働法制の改悪に反対し、ブラック企業規制法やブラックバイト規制法を制定するなど、人間らしく働ける労働法制の確立を国に求めること。

22.沖縄県名護市辺野古への新基地建設を断念し、普天間基地の無条件撤去、沖縄東村高江の米軍オスプレイヘリパットの使用中止を求めること。また、墜落事故を繰り返しているオスプレイは、すでに配備されている沖縄、岩国から直ちに撤去し、横田基地などへの配備もやめるよう国に求めること。

23.今年7月7日、国連は人類史上初めて核兵器を違法化する「核兵器禁止条約」を122カ国の賛成で採択し、2018年度には発効される。唯一の被爆国である日本政府に、一刻も早く核兵器禁止条約を批准し、核兵器廃絶の世界の運動の先頭に立つよう求めること。

24.豊洲新市場で、8月に実施した地下水モニタリング調査では、環境基準の120倍ものベンゼンが検出され、新市場の96店舗でカビが発生するなど、安全とは程遠い状態で、多くの市場関係者も築地での再整備を求めている。築地市場の豊洲移転は中止し、築地での現地再整備を、東京都に求めること。

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