今、区民は、長引く不況の元、日本共産党区議団が昨年末行ったンケートでも、74%が「くらしが大変」と答え、実際、区民の暮らしの実態は、課税所得が200万円以下の方が課税者の48.5%と半数近くを占め、生活保護世帯は2,794世帯3,158人と急増、就学援助も中学生で34.6%にのぼり、昨年1年間の区内企業の倒産件数は161件で、それにより職を失った人は1,137人と深刻になっています。こうした中、昨年からは、安倍自公政権による年金支給額の削減、生活保護基準の引き下げが行われ、さらに4月からは、消費税増税の8兆円の負担増に加え、社会保障改悪・医療、年金介護の負担増と給付の削減と合わせて10兆円もの負担増は、区民の暮らしは困難を極めている中、さらに大打撃を与えるものです。今こそ区民の暮らしを守る自治体の役割発揮が求められています。
ところが桑原区長新年度予算は、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の大幅値上げなど、区民のくらしを支え、ささやかな区民要望を削る一方、大企業の利益優先のための区役所・公会堂の建替え、渋谷駅周辺の巨大開発推進で開発会社化しています。また住民無視で不要不急の保養所取得、幡ヶ谷2丁目の土地購入など、住民の暮らしを守る自治体本来の役割を発揮するどころか、放棄していることです。
反対理由の第一は、住民無視で企業の利益優先の開発の予算になっていることです。
庁舎建て替えを、議会にも、区民にも十分な情報提供もせず、建替えありき、住民不在ですすめていることです。新年度予算には、区庁舎建替えに伴って、一時移転するとして仮庁舎整備費として総額57億709万3千円のうち7億1732万3千円が計上されています。最大の問題は、三井不動産に、区民の財産である区役所の土地面積4,565㎡を定期借地権として70年間貸し付け、その借地料154億円で、庁舎と公会堂を建替える計画を強行しようとしていることです。三井不動産は区庁舎の土地に37階建て121メートル、414戸の超高層マンションを建設し、そのマンションを分譲するなどで莫大な利益を得ることになるのです。
結局は、庁舎建替えは、三井不動産が莫大な利益をあげるために区民の財産を差し出すものであり認められません。
また、大企業のための渋谷駅周辺再開発には、北側自由通路の整備費だけでも15年間で20億円、来年度は1億2400万円投入するとしています。また、渋谷駅周辺整備事業として2億2240万円を計上しています。南側自由通路建設は、東急電鉄が建設するホテルと、東急不動産参加している桜丘地区の再開発のためのものです。本来、その事業者など負担すべきなのに、新年度に設計費だけでも6380万円、さらに今後、工事費として数十億円と区費が投入されることは認められません。
さらに、桜丘地区の再開発は、大企業のための開発を区も一緒になって推進していますが、今なお地域の住民からは、住民追い出しの計画は認められないと怒りと不安の声が出されています。この第一種市街地再開発事業は、区の莫大な税金投入の道を開くもので認められません。
反対理由の第二は、不要不急の税金の浪費の予算だからです。
区長は、昨年暮れに突然、伊豆・河津町にある廃止予定の旅館の購入を打ち出し、予算に第二の保養所として取得費、改修工事費、耐震診断費、運営費として、2億2800万円を計上しています。運営費だけでも年間8,600万円、この旅館は築50年の旧館などが含まれ、今後さらに多額の負担になることは明らかです。区長は取得の経緯について、「関係者から」働きかけがあったとしていますが、その関係者についても一切明らかにせず、その経過ついても不明朗です。
また、今年1月土地と建物は抵当権が抹消されていますが、昨年10月競売開始決定された物件であることが質疑の中で明らかになりました。伊豆・河津町には電車と徒歩で約3時間、交通費も往復1万円以上かかります。区民からは、「交通費も高くいけない」、「お金も暇も無くとても保養所どころではない」「税金の浪費だ」と批判の声が上がっています。
今、23区では、保養施設を閉鎖・売却する自治体が相次いでいます。区民のくらしが一段ときびしくなっている今、多額の税金を使っての不要不急の河津町の旅館取得はやめるべきです。
区長は、幡ヶ谷二丁目に防災公園用地として、5000㎡の土地取得に32億円を計上し、さらに今後2,000㎡もの土地取得を計画しており、単純に坪単価で計算すると、合計約44億8,000万円と莫大な税金を投入することになります
区民からは、32億円の防災公園が「災害時に役に立つのか」と疑問や批判が寄せられています。今早急に求められているのは、切迫した首都直下型地震に備えるための防災対策として、災害時、被害を最小限に食い止めるための建築物の燃えない倒壊しない住宅の耐震化は最優先での予防対策です。
東京都が昨年おこなった地震に関する地域危険度測定調査で、火災発生の延焼危険度ランク4の地域は4丁目、災害時活動困難地域ランク3は15丁目、震災に強い住宅の耐震化を急がれています。ところが、耐震化の予算は、1億4241万7千円も削減し、12億6505万2千円、そのうち木造住宅、分譲マンションの耐震化の予算はわずか1億1,660万円に過ぎません。これでは区民の命は守ることはできません。また、区内の福祉施設や本町・千駄ヶ谷・初台区民会館の耐震化を早急に実施すべきです。
また、渋谷区地域防災計画で、休日・夜間の震災時に対応できるよう、計画的に防災職員住宅を確保するとしていました。しかし,区は恵比寿防災職員住宅を11戸廃止したのに続き、初台防災職員住宅を9戸廃止するため、23戸に激減、災害対策を後退させていることは、認められません。
第三の反対の理由は、区民のくらしをまもる自治体としての区民への負担増と区民福祉の施策を後退させている事です。
きびしいくらしを余儀なくされている区民には、国民健康保険料の値上げなどによる区民負担増は2億7,496万円、後期高齢者医療保険料は2億1184万5千円にのぼります。
学校給食費について消費税増税分として、保護者負担増は小中学校合わせて980万円など一層の負担増を強いていることは認められません。
高齢者の配食サービス事業は、2012年度から自立支援者への補助を止め、さらに補助額を380円からに200円に引き下げ、食事券事業に切り替えてしまいました。新年度予算は6,327万円、2200万円25%も削減しています。利用者は1,187人から309人も減っています。自分で食事を作ることも、外出も困難で介護を必要とする高齢者を支援するための配食サービスは元に戻し、補助額を増額すべきです。
今年8月から、国の法改正に合わせて,特定疾病患者福祉手当を心身障害者福祉手当に統合するため2014年度は6億4,434万円で9,289万円もの大幅削減です。重複障害者の併給は認めない、所得制限や年齢制限、都の医療費助成を受けていない人は対象外とするため、手当の統合にあわせて約1,450人の人たちが手当てを削減されたり、困難を抱えている障害者の支援を後退させるもので認められません。心身障害者福祉手当について、精神障害者を対象とすべきです。
定住対策家賃助成は、わずか一年で廃止した、単身世帯への家賃助成に続き、新年度は一定の役割を果たしたと子育て世帯等への新規の家賃助成の募集を廃止するとしていることは、経済的困難を抱える子育て世帯の実態を無視したもので認められません。
私道整備費は、毎年削減され、新年度予算は1,119万円で、562万円も削減削減しています。今年度は2件しかありません。区の私道の整備に関する条例では、私道の効用を十分発揮することにより、区民福祉の増進に寄与することを目的としていますが、第四条に、区長は、予算の範囲内において私道の整備を行うとしており、予算が削られれば、区民が申請しても私道整備ができないのです。区民要望に応え増額すべきです。
反対する第四の理由は、子どもたち一人一人を大切にする教育、保育を実施する予算になっていないことです。
今年4月の認可保育園入所希望者は、1,278人、そのうち〇歳児だけでも入所希望者475人に対して、ゼロ歳児の定数は303人で172人が入所できない深刻な事態となっています。
公立保育園は、渋谷区の子育ての拠点として、渋谷区の保育水準の向上のために、おおきな役割を果たしてきました。ところが区は、この間、財政削減、効率化の名の元に、区立桜丘・西原・上原・神宮前保育園を次々と廃園し、さらに本町第二保育園を今後廃園にし、安上がりの認定こども園に置き換え、公的責任を後退させようとしています。
保護者からは「保育園に入れないと生活設計がたたない」「預けられなければ暮らしていけない。」「育児休業をとって子どもと過ごしたいが、施設に預けていないと点数が低くなり認可園に入れない」など悲痛な訴えが寄せられています。保護者の願いは、保育の質が守られ、園庭などの施設が充実し、安全で安定した認可保育園です。
2015年度から実施される、子ども子育て支援新制度では、認定こども園は保護者と園の直接契約となり、区は保育の必要度を認定するだけで、保護者が保育施設を探し回ることになり、待機児に区は責任を追わなくなるのです。国の保育制度改悪に反対するとともに、認定こども園への置き換えはやめ、保育の必要なすべての子どもたちに良好な保育を保障するために、国や都有地の活用も求め、認可保育園の増設すべきです。
区議会には幼稚園の保護者をはじめ西原幼稚園の存続を願う保護者から請願が提出されています。区は定員割れをしている区立幼稚園は非効率だと決めつけ区長は、今年4月から区立西原幼稚園の廃園を強行しようとしています。
区立幼稚園は学校教育法に基づき設置され、幼児教育を担う、子どもたち・保護者、区民のかけがえのない施設です。私は先日、臨川幼稚園の修了式に参加させていただきましたが、二年間幼稚園生活で、大きく成長した誇らしい子どもの笑顔、「大きくなったら臨川幼稚園の先生になりたい」と夢を膨らませていた子どもの言葉に、子どもの希望をなくしてはいけないと強くおもいました。子どもたちの希望、故郷となる幼稚園を子ども達から奪い、身近な地域の区立幼稚園で幼児教育を受けさせなくするもので、認めることはできません。
代々木小学校、山谷小学校の統廃合はやめ、それぞれの小学校を継続すべきです。
スポーツ振興では、地区体育会への補助金を昨年度に続いて削減。来年度は地区体育会の保険料を百二十万円も削減しています。スポーツ振興と住民の健康増進のための支援を後退させるので認められません。
地域住民からなるし学校施設開放運営委員会は、大きな役割を担ってきました。学校施設開放は、生涯スポーツや学習の活動拠点として、健康・体力・仲間作りの場として、地域の相互交流コミュニティ作りにもかけがえのない事業となっています。重大なのは、新年度から施設開放の有料化と、夏休みのプール開放の中止をすることを検討しようとしていることです。これは子育てを応援してきた、地域の努力を踏みにじるものです。施設開放は2012年度は17万8592人、夏休みの小学校プールは2012年度5,757人の子どもが利用していました。施設開放の有料化と夏休みのプール開放の中止の検討はただちにやめるべきです。
以上、一般会計に反対の討論といたします。
議案第26号2014年度渋谷区国民健康保険事業会計、議案第27号、同介護保険事業会計、議案第28号、同後期高齢者医療事業会計の各予算に反対の立場から討論を行います。
はじめに国民健康保険事業会計についてです。
国保料は毎年値上げされ、滞納者は三割を超え、区民生活にとって限度をこえています。ところが新年度の保険料は、23区平均で一人当たり10万3103円になり、4638円もの値上げです。
給与所得者で年収200万円の三人家族の場合、現行の13万6562円から16万216円と負担増は、2万3654円にものぼります。さらに、新年度から23区独自の保険料軽減策として高額療養費の半額を一般会計から繰り入れていましたが、今後四年間で繰り入れをやめるとしています。これは国保広域化のため都道府県化を見越して、一般会計からの繰り入れをなくすのが狙いです。「広域国保」の運営主体を都道府県とすることは、住民、被保険者の声など反映されなくなり、市町村単独の事業が廃止されるとともに、さらに保険料の引き上げにもつながるものです。
国保は、すべての国民が貧富の格差なく、安心して医療を受けられることを公的に保障し、国民皆保険制度の根幹を成すものです。国の進める国保の広域化に反対するとともに、国や都に対して財源措置を求め保険料引き下げるべきです。また国に対して、4月からの70歳から74歳までの医療費の窓口負担を一割から二割負担への引き上げを中止をするよう求めるべきです。
介護事業会計
介護保険料は据え置かれるものの一人当たりの平均保険料は6万3633円となります。高齢者の暮らしは年金が削減され、消費税増税による負担増によって一層困難になっています。区の保険料軽減制度の利用者はわずか67人に過ぎません。軽減制度の対象者を拡大するため、預貯金額の撤廃などの改善を早急に実施すべきです。
また、特養ホームの待機者は全国で52万人、区内では650人と深刻です。高い保険料を払い続けてきたのに介護が必要になっても介護が受けられない。制度の根幹にかかわる問題になっています。
こうした中で、安倍内閣は、特養ホームの入所制限や要支援者が必要な介護を受けられなくする大改悪が進められようとしています。高齢者の人間としての尊厳を脅かす介護保険制度の改悪に反対すべきです。
後期高齢者医療事業会計
新年度の保険料は、平均保険料は、9万2980円になり4118円が引き上げられ、制度発足から6年間で13000円もの大幅な負担増となります。
高齢者は頼みの年金が昨年に続き4月からも減らされ、消費税増税で新たな負担を強いられる高齢者の暮らしに追い討ちをかけるものです。制度の導入時,厚生労働省の担当幹部は「医療費が際限なく上がる痛みを、高齢者自ら痛みで感じてもらう」と明言していたように高齢者に耐え難い負担を押し付けています。75歳以上の高齢者を別枠の医療制度に囲い込み、年齢で区別・差別する世界でも異例の高齢者いじめの医療制度です。高い保険料は高齢者の負担能力をこえ、高齢者の健康と命にかかわる問題となっています。国に対して差別的な医療制度はすみやかに廃止するよう求めるべきです。
以上三会計の反対の討論といたします。