ただいま議題となりました「特定秘密の保護に関する法律の廃止を求める意見書を国に提出することを求める請願」について、私は日本共産党渋谷区議団を代表して、賛成の討論をおこないます。
本請願は、千代田区霞が関一丁目一番三号 第二東京弁護士会の横山さとる副会長から提出されたものです。紹介議員は私をはじめ、治田学、堀切稔仁、笹本由紀子、田中正也、五十嵐千代子の六議員です。
請願の主旨は、昨年十二月六日強行・可決された「特定秘密の保護に関する法律」・いわゆる秘密保護法について、政府・与党は、十分な国会審議を尽くさず、採決を強行したこと、また、秘密保護法は、秘密自体の是非をチェックする第三者機関を設けることが想定されておらず、恣意的に秘密が指定される危険性があること、また、秘密として指定できる最長期間が定められていないため、永遠に秘密のままとされ、指定が適正であったのかどうかの検証が困難になること、さらに、法が施行されると、内部告発なども処罰の対象となり、国民の知る権利が侵害されることを指摘し、政府に対し、秘密保護法の廃止を求めているものです。そして、住民の代表機関である当区議会に秘密保護法の廃止を求める意見書を国に提出するよう請願しているのです。
秘密保護法に対して、これまでにない広範な人が反対の声を上げたことです。ノーベル賞を受賞した益川敏英さんや白川秀樹さんをはじめ、学者・研究者が「秘密保護法案に反対する学者の会」をつくり、また、映画監督や俳優の人たちも反対の会を結成し、鳥越俊太郎氏をはじめとするマスコミ人も、秘密保護法に反対するアピールを発表しました。多くの人々が知る権利を守り、平和と民主主義を守れと法案廃止に立ち上がりました。
そして、法案が強行・可決された後も、秘密保護法は廃止すべきだと、多くの人々が廃止のための活動をしているのです。このことは秘密保護法が国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の原則を踏みにじり、日本を再び戦争する国に変えようとする安倍政権とその与党に国民が大きな危険性を感じ、これをくい止めていかなければならない、と強く感じているからです。
じっさい情報を十分に知って、国政のあり方を判断することは、国民主権の不可欠の前提です。国民の知る権利は、それを支えるものです。
ところが、秘密保護法は、軍事、外交、治安、テロに関する国の広範な情報を指定・管理・解除のあらゆる段階で国民の目から隠す仕組みとなっています。
秘密指定について政府は、従来の秘密の範囲を拡大するものではない、と説明しています。しかし、あらゆる情報を指定できるようになっています。しかも指定するのは行政機関の長で、チェックするのも官僚でつくる「保全監視委員会」や「情報保全監察室」という身内の組織です。請願者が指摘するように、第三者機関の設定は考えられておらず、情報が国民の目から隠されていく可能性がきわめて高いのです。
情報管理の面でも、秘密にかかわる公務員や民間業者は、情報を漏らした目的にかかわらず最大10年の懲役で処罰されることが定められ、内部告発は事実上不可能になります。 報道機関も公務員などがこの法律にしばられ、萎縮したりすることから取材が困難になります。また、法律には仮に秘密を報道した場合、警察による捜査や処罰を受けない保障が明記されていないことから、報道機関は自由に取材したり、報道することができなくなるのです。ですから、各マスコミはこの法律は認められないとして、いまも、廃止のためのキャンペーン記事が掲載されているのです。
さらに問題なのは、法律は、共謀、教唆、扇動を独立的に処罰することになっており、秘密が漏れる前から、秘密に近づこうとした人が、一般人を含めて罰せられるものになっていることです。
秘密の指定解除でも、知る権利はいっさい担保されていません。解除の権限は行政機関の長だけに与えられ、指定が30年未満のものは、首相の同意で廃棄でき、また、60年を超えた場合の有効期間の上限も定められていないため、情報が永遠に国民の目から隠されてしまうことになります。
まさに、強行可決させられた秘密保護法は、何が秘密かも秘密で、あらゆる情報への検証・接近手段を拒む仕組みとなっており、国民の税金で集められた行政情報については、納税者・主権者のものであり、全情報は公開すべきという原則と正反対のものなのです。
いまなお、多くの国民は秘密保護法について、国民の知る権利を奪い、平和と民主主義の尊重をうたう憲法を真っ向から踏みにじる希代の悪法だとしてその廃止を求めています。本請願は、その国民の思いを代表するものです。
住民の代表機関である本区議会は、本請願を真摯にうけとめ、本請願を採択し、政府に意見書を提出すべきです。そのことを強く指摘して私の討論といたします。