私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました受理番号第12号 「認可保育所を増設し、保育の必要なすべての子どもたちに良質な保育を保障することを求める請願」について賛成の立場から討論をいたします。
本請願は、渋谷区千駄ヶ谷4-3-4-101公的保育・福祉を守る渋谷実行委員会 代表染矢 ゆう子 さん他794人から提出されたものです。
本請願に賛成する理由の第1は、依然として深刻な認可保育園の待機児の解決は区の責任だからです。
今年4月の認可保育園入所希望者は1,278人。新聞報道によれば、第一希望の認可保育園に入れない子どもが423人と報道されているように、渋谷区の待機児の状況は依然として深刻です。
0歳児だけでも入所希望者475人に対して定数は303人で172人が第1希望の認可保育園に入所できません。1歳児の場合、現在0歳児で入所している子どもがそのまま持ちあがると仮定すると、約90人の子どもが入所できない深刻な事態です。
不承諾通知を受け取った保護者からは、「区内の保育園はどこも入れず、月に8万円もかかる他区の無認可施設に預けなければならない」、「上の子は区立保育園に入れたのに、下の子は入れない。このままでは仕事を止めなければならない」など、切実な声が上がっておいます。いま、若者と女性の2人に1人が非正規雇用で働かざるを得ない状況で、保育園に入れないことは、女性の働く権利を奪うだけでなく、生活の悪化に直結します。区議会開会中にも、「保育園に入れないと生活設計が成り立ちません。どうしてくれるんですか」と区に詰め寄るお母さんの悲痛な訴えが届いているのです。
渋谷区は、こうした声に応えて、保育を必要とするすべての子どもを保育所で保育する渋谷区の責任を果たさなければなりません。
ところが、区は、この間、認可保育園を増やすどころか、区立の桜丘、西原保育園、神宮前、上原保育園を廃園にして200人以上定数を削減してきました。
実際、認可保育園に入れない子どもが235人となった昨年は、0歳児の申込者が387人に対して定数は297人で55人が認可保育園に入れませんでした。にもかかわらず、今年は0歳児定数を6人しか増やしていません。これでは昨年を上回る待機児が出ることは明らかです。
渋谷区は、保育に対する公的責任を果たして、待機児をなくしてほしいとの保護者の切実な願いに応えて認可保育園を増やすべきだからです。
第2の理由は、よりよい保育をとの保護者の願いに応えるためには認可保育園の増設と現行保育水準の確保が必要だからです。
子どもたちをより良い保育環境で育てたいとの願いはすべての保護者、区民の切実な願いです。だからこそ、国は保育所の認可基準を設けて、保育水準を維持し、区も、国基準を上回る保育環境を整備してきたのです。保護者の願いは、保育水準が確保された区立認可保育園なのです。
ところが、都は、認可基準を満たさない認証基準を独自に定めて、安上がりの保育所を増やしてきました。認証基準では、積基準は、認可保育園が子ども一人当たり3.3㎡から2.5㎡へと緩和され、保育士の資格も認可園は全員必要なのに対して、認証はその6割へと緩和、保育料も独自に定めることができることになっています。
区も、待機児解決の緊急対策として、区立の認可外保育所を設置したり、民間の認可外保育所の定数枠を確保するなどしています。そのため、「給食室がなくお弁当」「園庭がない」など保育に格差が生じています。
また、区立保育園を廃園にして設置している民間の認定こども園は、平成27年度から実施される子ども・子育て支援新制度のもとでは、区が保育責任を負わなくなり、保護者と園の直接契約となります。認可保育園に入れなければ、保護者が直接保育園探しに走り回ることになり、場合によっては高い保育料を払わなければならなくなるのです。
保育の必要なすべての子どもに良好な保育を保障するために、保育の公的責任を後退させる区立保育園の認定こども園への置き換えは止め、国有地や都有地も活用するなどで、認可保育園を増設して保育水準を確保すべきだからです。
以上、本請願への賛成討論とします。