第2回定例会(6月11日)でトマ孝二議員がおこなった日本共産党の代表質問の要旨
私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、長谷部新区長に、区民の切実な願いとそれにもとづく施策の実施を求め、質問します。
質問に先立ち、今回の区長、区議会議員選挙について、一言述べさせていただきます。
日本共産党区議団は、安倍政権がめざす憲法違反の集団的自衛権行使についてきびしい審判をくだすこと、そして、暮らし、福祉・教育のゆきとどいた区政に変える絶好の機会であることを訴えました。私たちの訴えは、多くの区民の共感を集め、1万616票、過去3番目の得票をいただき、6人全員当選を果たすことができました。ご支援いただいた多くの皆さんに感謝するとともに、公約を実現するため全力で奮闘することを誓うものです。また、長谷部区長は、さきほど「区民の目線に立って、区議会と協力しながら、ともに素晴らしい渋谷区を創っていく」と表明しました。私たち共産党区議団は、長谷部区長が区民の目線で十分に説明をおこない区民本位で進めるよう求めるものです。
それでは、区民の生命を守る立場から「戦争法案」について質問します。
1.戦争法案・成立阻止について質問します。
安倍首相が、5月15日、国会に提出し審議が始まった安全保障関連法案は、憲法第9条をまっこうから踏みにじる法案です。
じっさい、第1に、アメリカが世界のどこであれ戦争に乗り出した際、自衛隊を戦闘地域、すなわち戦地にまでは兵士、武器弾薬や兵員の輸送など後方支援を行えるようにすることです。後方支援は、国際法上戦闘行為です。「自衛隊が殺し、殺される危険が決定的に高まる。」ことは明らかです。
第2は、停戦合意はあるが、なお戦乱が継続しているところにも自衛隊を派兵し、治安維持活動などをさせることです。アフガニスタン報復戦争ではこうした活動でNATO軍に3500人もの戦死者が出ています。
第3は、集団的自衛権を行使し、日本が攻撃されていないのに他国防衛の名目で海外で武力行使することです。しかも、その判断はときの政権まかせです。アメリカは、国際法違反の先制攻撃を軍事方針とし、実際にベトナム戦争やイラク戦争など無法な侵略戦争を繰り返してきました。
共産党の志位委員長はアメリカの戦争に日本が反対したことがあるかとただしたのに対し、安倍首相は「ない」と認め、イラク戦争についても擁護しました。アメリカの言われるままに、参戦し、侵略の共犯者になることは絶対に許されません。
6月4日に、開かれた衆議院憲法審査会で自民党、公明党の与党を含めて合意した3人の参考人の憲法学者全員が安倍政権が提出した法案は憲法違反だと指摘しました。
区長は区民の生命と安全を守る立場からこの法案をどのように受け止めているのか、質問します。
私は、5月30日、笹塚駅前で戦争法案を阻止するため、署名活動に取り組みました。私たちの呼びかけに「日本を戦争する国にしてはいけない。」などとこたえ、72人から署名が寄せられました。
今、区内の自衛隊員の家族は、この法案が通ったら子供が戦場に行かされ、命を奪われるのではないかなど、不安で眠れない日々を過ごしているといいます。
戦争法案について共同通信やテレビ朝日の世論調査の結果でも「今の国会にこだわらず、時間をかけて審議すべきだ。」「廃案にすべきだ。」という意見が82%に達しています。
今、この戦争法案に多くの人々が不安や反対の声をあげ、今国会では成立させるべきではないと訴えています。こうした区民の思いに立って、戦争法案に対し政府に意見を表明すべきです。区長の見解を伺います。
2.オスプレイ配備中止について質問します。
アメリカ国防総省は、5月11日、垂直離着陸輸送機CV22オスプレイを横田基地に10機配備する計画を発表。その1週間後の18日に、アメリカのハワイで海兵隊のオスプレイが墜落し、2人が死亡、20人が負傷する事故が発生しました。横田基地に配備されるオスプレイCV22は、ハワイで墜落したMV22より危険性が3倍以上とされています。
オスプレイが配備される横田基地周辺は、住宅はもとより小学校、高校や病院などが多くあります。アメリカでは住宅の上空をオスプレイが飛行することを禁止しています。オスプレイ横田基地に配備された場合、港区麻布の米軍ヘリポートと往来し、渋谷区の上空を飛行するのではないかといわれています。
区長は、区民の生命と安全を守る立場から、政府と東京都に対し、オスプレイの横田基地配備計画を中止するよう要請すべきです。区長の見解を伺います。
3.核兵器廃絶について質問します。
私は、ニューヨークの国連本部で開かれた第9回核不拡散条約(NPT)再検討会議に対する要請行動のため、5月1日から6日までニューヨークを訪問しました。
今回のNPT再検討会議には、日本から千人を超える代表団が634万人の核兵器禁止条約の締結を求める署名を持って結集し、核兵器のない世界を求める市民社会の声を反映させる役割を果たしました。
わずか5か国の核保有国の抵抗で最終文書の採決に至らなかったものの、核兵器の非人道性を告発し、核兵器禁止・廃絶を求める声は、国連加盟国の8割に達し、圧倒的多数の国が、核兵器禁止条約の締結を求める等、新たな発展が示されました。
今年は、被爆70年の節目の年です。多くの被爆者は、高齢となっており、自分が生きているうちに核兵器をこの地球から失くしてほしいと、痛切に願っています。この思いは日本人共通の思いです。それを実現するには粘り強い世論と運動が必要です。
渋谷区民の核兵器廃絶の願いを全世界に発信するため、渋谷区非核都市宣言を行うとともに、核兵器廃絶を目指す運動の大きな流れをつくり、世界160か国、6707都市が加入している平和市長会議に区長も参加すべきです。区長の見解を伺います。
さらに、次代を担う子どもたちに被爆の実相を知らせ、核兵器廃絶の願いを継承するため、小学生、中学生の代表を広島、長崎に派遣する事業を実施すべきです。
区長の見解を伺います。
4.区政運営の基本姿勢について質問します。
区長は、所信表明で桑原前区政の継承を掲げ、その第一に「手厚い福祉と教育」を挙げました。しかし、桑原区政の実態は、高齢者、障がい者の配食サービスの廃止、特定疾病患者福祉手当の廃止など弱い人々に打撃を与えるものであり、また、本町地域の小中学校や山谷と代々木小学校の統廃合、学童館の全館廃止、中幡、西原幼稚園、区立桜丘、西原、上原、神宮前保育園の廃止など福祉、教育を切り捨ててきたのです。
地方自治法は、第1条の2で「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本」とその責務を定めています。これに基づき、暮らしや福祉、教育を第一とする区政にすべきです。桑原前区政がやってきたことについて、区長の見解を伺います。
また、区長は所信表明で「今後の少子高齢化社会を踏まえれば、行政だけで解決していける課題は、人的にも財政的にも多くありません。」、「民間企業・NPO団体とも協業・連携しながら進めていく」と述べています。このことは、前区長が行ってきた区立保育園を廃園にし、株式会社を含め民間事業者に置き換える手法をすすめていくものなのか、そのやり方をとるべきではないと思います。区長の見解を伺います。
5.渋谷区基本構想について質問します。
区長は、所信表明で「平成20年に始まった我が国の人口減少傾向は今後、加速度的に進み、現在、人口増加の状態にある本区にも近い将来影響を及ぼすものと予想されます。」「5年後の東京オリンピック・パラリイピックというビッグイベントの開催にとどまらず、それ以降の地域社会の課題解決につながる考え方を確立していくことが、大切」と渋谷区基本構想をリニューアルし、新たな長期基本計画を策定すると述べ、審議会の設置を打ち出しました。
基本構想や長期基本計画に当たっての審議会は、多くの住民が参加し、意見をひろく求めること、住民が主人公の運営をつらぬくことが重要です。そして、住民が安心して住み続けられる福祉のゆき届いたまちづくりを中心にすえることです。区長の見解を伺います。
我が党は、憲法が定める個人の尊重及び法の下に平等の理念に基づき、性別、人種、年齢や障がいの有無などによって差別されることなく、誰でもがいきいきと生きられる社会の実現は、区民の共通の願いであると考えます。
そのため、性別、人種、年齢、障がい者への差別解消や女性の社会参画については、基本構想の理念に盛り込むべきです。区長の見解を伺います。
渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例について、区議会や区民に対して、事前の説明もなく一方的に出されたことなどから、我が区議団は条例の理念を徹底するため、区民への説明会を開くことや、厳しい罰則規定の削減などを求めました。
区長は、この条例施行にあたって、男女平等や障がい者差別の解消のためにどう対応していくのか、また、罰則規定は削除すべきと考えますが、見解を伺います。
6.区庁舎の建て替え問題について質問します。
私たち区議団は、桑原前区長が強引に進めてきた三井不動産に、区役所の土地を70年間も貸しつけ、そこに三井不動産は39階建て、約420戸の超高層マンションを建築して大儲けする、その見返りに区役所と公会堂を建ててもらう計画は、自治体としてやるべき手法ではないと厳しく批判し、見直しを求めてきました。
区長は、5月15日の区ニュースで、区民の声に耳を傾けると言いながら、所信表明で「新庁舎建て替えについて、予定通り平成30年度の開設に向け事業を着実に進めてまいります。」と述べました。
2月に予定されていた住民説明会は中止され、区民には借地権を154億円から211億円に引き上げたこと、三井不動産が建てるマンションの階数などの変更について、説明がされていないなど問題はいまだに残っています。
区長は選挙公約で、「耐震補強をして2、30年後に建て替える費用と民間企業とタイアップし建築費を削減し、新庁舎を建て替える費用を勘案したときに、新庁舎を作ったほうが、効率がよいということで建て替えが決まったわけです。」と述べています。区がおこなった5回の住民説明会では出席者のほとんどが、区が一方的に決めた計画をおしつけるのはおかしい、説明会の体をなしていないなどの意見が続出しました。区民はこの計画を納得していないのです。
三井不動産による庁舎の建て替えに関する全情報を住民に公開し、説明会を開くべきです。区長の見解を伺います。
また、区長は区民目線に立ち、これまでの計画については住民参加で見直すべきです。区長の見解を伺います。
7.宮下公園の再開発問題について質問します。
桑原前区長は、先の第1回定例議会の中間本会議に、いきなり宮下公園の土地を三井不動産に貸しつけ、1階を駐車場、2階は商業施設、3階を公園にし、公園の北側に17階建てのホテルを建設する議案を提出しました。この強引な区長のやり方に、地元の町会、商店会の代表は、区議会議長に対し、災害時の一時集合場所の向上や商店会などに対する要望書を提出し、一方的な計画を進めることに反対しました。これを受けて、区議会では区長提出の2議案を全会派一致で審議未了・廃案にしました。
桑原前区長が提出した議案は、区民の財産である宮下公園を三井不動産のもうけのために差し出し、地元商店街に大打撃をあたえるものです。まして都市計画法で公園施設は2階以上にしてはならないという規定があり、それに反して3階建ての公園にし、17階のホテルを作るという計画は、違法行為で認められるものではありません。計画は白紙にもどすべきです。区長の見解を伺います。
また、防災上も重要な宮下公園のあり方については、地元町会や商店会の意見を聞き、住民に開かれた場で、耐震診断の結果や改修方法、費用などすべての情報を公開し、都市公園としての機能を生かした公園にしていくべきです。区長の見解を伺います。
8.幡ヶ谷二丁目の防災公園の取得問題について質問します。
土地の売買契約は、全ての条件が整ってから行われるものであり、まして、幡ヶ谷二丁目の防災公園用地は、土壌汚染が指摘されていることから、慎重に対応することが求められていました。
さきの3月2日の区議会本会議で桑原前区長は「建物の解体、土壌汚染対策は売り主側の責任と費用負担で行う売買契約としており、区は最終的に土壌の入れ替えが行われたのちにその土地を取得する。」と答弁しました。
ところが、区は2月23日に売買契約を結び、3月3日に31億9629万3145円の代金を払い、移転登記をしたのです。土壌の調査も入れ替えもしていないのに、購入したことについて、区長はどう考えるのか、伺います。
昨年の8月15日に区が依頼した2社から不動産鑑定評価書が提出されています。
両社とも北東側に接面する区道について開発後に幅員が6メートルとなるにもかかわらず、6メートル道路が共用されているものとして評価しています。また、土壌汚染については別途考慮する、としての評価を出しました。結果は、29億1000万円と30億円の評価額でした。しかし、区が購入した価格は、31億9628万円です。①なぜ共用されていない道路をもとに鑑定したのか、②なぜ土壌汚染を考慮外として鑑定評価させたのか、③なぜ、鑑定価格より高く購入したのか、区長に伺います。
土壌汚染された土地の上に、区民が生活する住宅や高齢者施設、保育園を建設することはふさわしくなく、購入すべきではありませんでした。桑原前区長は、土壌汚染があることを認めていました。隣地のオリンパスのように土壌を入れ替えても、地下水が汚染されていれば2年間以上汚染が解消されるまで、更地にしておかなければなりません。汚染状況を区民に知らせるべきです。区長の見解を伺います。
私たち区議団は、かねてから高齢者住宅や保育園を増設するため、同じ幡ヶ谷二丁目にある都営住宅跡地を取得し、そこに設置すべきと提案してきました。それを実行に移すべきです。区長の見解を伺います。
9.河津町第2保養所廃止について質問します。
桑原前区長は、伊豆・河津町の築50年の旧館を含む、菊水館を改修し、昨年の10月27日に、オープンしました。ところが、その後、東館と大浴場は震度6強以上の地震がきたら、倒壊する危険が高いという耐震診断の結果を公表したのです。
区は当初、1月3日までの利用について、耐震診断の結果を伝え、利用は申込者の判断にする、1月4日以降は、募集は中止するとしました。
ところが、その方針を変え、河津町立温泉会館を利用し、1月4日以降も営業を続けることにし、危険で温泉につかることができない欠陥の保養所を運営し続けているのです。この「河津さくらの里」についてTBSテレビが報道し、コメンテーターが「自分の家なら買わないでしょう。」などと税金の無駄遣いを厳しく批判しました。
また、このテレビを見た区民から、区のやり方に非難の声が寄せられました。この施設に使われる税金は6億5000万円を超えています。そのうえ、購入する際の不動産鑑定でも、本館のエレベータをはじめ、多くの問題点が指摘されています。現在利用している本館について、鑑定書では18年前に建築とされています。登記簿には建築時期の記載はなく、住民は18年前には建てられていないのではないか、と話しています。本館はいつ建てられたのか、伺います。
また、危険性があるうえ、年間1億5000万円の運営費に加え、今後も多くの改修費がかかる河津町の第2保養所は廃止すべきです。区長の見解を伺います。
10.国民健康保険料の引き下げについて質問します。
医療保険制度改悪法が、5月22日で可決・成立させられました。この法律は、国民健康保険料の財政管理を都道府県に移すことにより、区市町村を保険料の引き上げに駆り立て、取りたて強化につながること、入院・給食費の値上げをはじめ、国民から病院を遠ざけ、国民皆保険制度の破壊に道を開くものとして、多くの国民から反対の声があがりました。また、小泉政権時代を上回る年間3000億円から5000億円もの社会保障費抑制策を消費税増税と同時に行い、国の責任を後退させるとんでもない法律です。
渋谷区の国民健康保険料は、12年間連続して上げられ、今年も均等割世帯の保険料は1500円引き上げられ、1人当たりの平均保険料は年額10万3100円から10万6545円となりました。給料収入が300万円の夫婦と子ども1人の3人家族の場合、年間の保険料は26万8137円で、給料1か月分以上の高い保険料となっています。
2013年度の保険料滞納者は、29.7%にのぼっており負担は限界に達しています。区内でも、保険料が払えず、病院に行けば全額自費負担になることから、病院に行くのをがまんにがまんを重ね、結局末期がんが発見され、手遅れで命を落としてしまう深刻なケースが後を絶ちません。
国民健康保険制度は、商店主や派遣労働者、失業した人など社会的弱者の健康と命を守る社会保障制度です。したがって、政府は、制度を守るための財政支援を行わなくてはなりません。ところが、1984年に49.8%だった区への国庫支出金をどんどん減らし、現在は、その半分の25%にしています。
高い保険料を引き下げるため、区長は政府に対し、国庫支出金の増額を求めるとともに、区として一般財源からの繰り入れを増やすべきです。区長の見解を伺います。
11.高齢者医療費無料化について質問します。
わずかな年金で暮らす高齢者にとって円安による諸物価の値上がりに加え、消費税8%増税は、非常に生活を圧迫するものとなっています。そのため、医療費を抑え、病院や診療所に通うことを止め、病気を悪化させる人が増えています。都内では、日ノ出町が6年前から、75歳以上の高齢者に対する医療費無料化に踏み出しています。その結果、病院や診療所に行くひとが増え、早期発見、早期治療によって一人当たりの年間医療給付額が3年で2万4000円ほど減り、医療費負担が減少したことが明らかになっています。
当区でも75歳以上の住民税非課税世帯に対する医療費無料化制度を創設すべきです。私たちは、先の区議会にその実現のための6億4000万円の予算修正案を提出しました。区長も選挙の際に予防重視のなかで「医療費補助も積極的に取り組みます。」と公約しています。区長の見解を伺います。
12.介護保険制度の改善について質問します。
渋谷区は、高い保険料をこれ以上引き上げないでほしい、という高齢者の願いを無視して月額5150円だった保険料をこの4月から5630円に引き上げました。
保険料の滞納者は増え続け、一昨年度は、1200人の滞納者がおり、そのうち、本人住民税非課税の第1段階から第4段階の低所得のひとは、807人にのぼっています。区は、保険料の軽減策を非課税世帯に拡大する措置を取り、重い負担に悩む人々を救済すべきです。区長の見解を伺います。
政府は、8月からの利用料について年間280万円以上の収入のひとは2割負担にしようとしています。これは、介護保険制度が開始されて以来、1割負担の大原則を大きく掘り崩すものです。こうした引上げを許せば、利用料引上げの改悪がさらに拡大されかねません。今でも、1割負担の利用料が重く、利用限度額の5割程度の利用状況です。2割負担になったら、ますます利用は抑えられていくことになります。区長は、2割負担の実施を止めるよう、政府に求めるべきです。区長の見解を伺います。
また、区が独自に実施している利用者助成制度について対象者を全ての住民税非課税世帯まで拡大するとともに、預貯金限度額を撤廃し、改善すべきです。区長の見解を伺います。
医療介護総合法によって、介護認定の要支援者を介護保険から外し、自治体が行う地域支援事業に移管する、また、特別養護老人ホームの入所対象者を要介護1、2の人を対象外にするという大改悪が強行されました。「訪問介護」、「通所介護」について、渋谷区は、本年度は、介護予防給付事業として継続しましたが、来年度以降の実施は不明確になっています。区として専門家による通所訪問介護事業を来年度以降も継続すべきです。 区長の見解を伺います。
区長は所信表明で「介護保険法の改正に対応した介護予防、日常生活支援総合事業の整備を進め、渋谷区版地域ケアシステムの構築を目指してまいります。」と述べました。政府が進めている地域包括ケアシステムの構築はこれまでの介護保険制度によるサービスをボランティアなどに置き換えて、サービスを低下させるものにほかなりません。本来の地域包括ケアシステムは、国と自治体が責任を持って、すべての高齢者に対して、地域包括センターの機能と体制を強化して、医療、介護、生活支援などの各分野にわたって支援するシステムづくりです。
区長が目指す地域包括ケアシステムとは、どういうものか、見解を伺います。
最後に、特別養護老人ホームの増設について質問します。
医療介護総合法は、特別養護老人ホームの入所対象者を要介護1・2の人を対象外にしました。当区では、683人の入所申請者のうち、283人が要介護1・2となっています。
室内なら伝い歩きができる要介護2の女性は、障がいのある娘さんと支えあって暮らしていましたが、娘さんが体調が悪くなって食事を作られず、そのため食事が摂れない状態が続いていました。共倒れの状態に気づいたケアマネージャーや保健師が母子ともに病院に入院させましたが、お母さんは要介護4となり在宅生活に戻れず、療養型の病院に入院しています。要介護2の段階で早く入所できていれば、こんなにならなくてすんだのではないかと娘さんは話しています。
区は、これまで通り、要介護1.2の人も対象にし、特別養護老人ホームを整備していくべきです。区長の見解を伺います。
2018年5月に、旧本町東小学校跡地に100床規模の特別養護老人ホームが開設されます。しかし、これ一つでは全く足りません。民間研究機関日本創成会議は、今後10年で東京など1都3県の東京圏の介護需要が45%増えて、施設と人材不足が深刻になるとの推計を発表しました。東京都は不足している特別養護老人ホームを増設するため、本年度からの10年間で1万9000人分の施設を作る、そのため、都有地を30ヘクタール活用する。国有地や民有地を区が借りる場合、借地料を補助することを打ち出しています。
区長は選挙公約で「新たに土地を探すことを含め、身近なところに増設していくことを、さらにもっともっと推進します。」と示しています。区長は公約に基づき、中止したケアコミュニティ・原宿の丘の小規模特養ホーム設置計画を復活させること、都有地や民有地を取得するとともに、国に対し、遊休地を払い下げるよう求め、増設をすすめるべきです。区長の見解を伺います。