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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2015 第4回区議会定例会 田中まさや議員の一般質問

 私は、日本共産党区議団として、区長、教育長に質問します。

1.子育て支援について

[1] 認可保育園増設による待機児解消について

 共働き世帯やひとり親家庭が増え続け、保育を必要とする子どもも増加しています。

 渋谷区で今年4月に認可保育園に入れない子どもは528人。来年の4月の申込者は、11月16日現在で1,065人と昨年に比べて363人も増えているのに、来年度の認可園の定数増は57人分だけです。これでは待機児問題はますます深刻になります。

 保護者の願いは、保育の質が確保され、0歳から就学前まで、同じ保育所での継続的、安定的な保育が保障される認可保育園です。わが党区議団が今年9月に行った「区政とくらしのアンケート」では、子育て支援策の第1位が、認可保育園の増設で40%を超えています。

 認可保育園に入れなかった保護者からは、「あちこちの一時保育を利用しながら働いているが、もう限界です」など切実な声が寄せられています。

 区も、待機児解消をめざし、低年齢児を中心にした保育施設の増設で定数拡大をすすめてきましたが、3、4歳児の新たな待機児が生まれています。

 緊急に認可保育園を増設すべきです。国有地、都有地の活用のため情報をすべて明らかにするよう国、都に求めるとともに、幡ヶ谷2丁目都営住宅跡地を早急に取得すべきです。区立本町第二保育園は存続すべきです。区長の所見を伺います。

 また、小規模保育は、保育従事者に無資格者を認めるなど、認可保育園と比べても大きな保育の質の格差が生じます。実際、全国で、一昨年の保育所での子どもの死亡事故19件中、15件が認可外保育施設で起きています。

 子どもたちの命と安全を守るためには、保育資格をもった保育士の配置は欠かせません。一人ひとりの子どもの発達や困難を抱える子どもに寄り添った保育を保障することは、区の責任です。本区議会も、昨年の第4回定例会で、新制度のもとでも「保育の質」を確保する請願を全会一致で採択しています。神戸市では、条例とは別に、小規模保育の運営基準で、保育従事者すべてに保育資格を求めています。

 すべての子どもに質の良い保育を保障するために、小規模保育や家庭的保育でも、すべての保育従事者に保育資格を求めるべきです。区長の所見を伺います。

[2] 次に、保育士の処遇改善について

 質の良い保育を保障するためには、資格と経験のある保育士の確保は不可欠です。ところが、いま保育士の確保が困難になっています。

 保育士不足は、保育士の処遇が低いためです。民営保育所で働く保育士の平均年収は、全職種平均より100万円も低いといわれています。区内のある認証保育所では、「正規職員でも、月収20万円、時給換算1000円です。募集しても保育士が見つからない。せめて、区内で自立して生活できる給料を」との声があがっています。また、ある区立保育室では、3年目のパート保育士の時給が980円という事例も聞きます。

 国と都に対して、民間保育園の保育士の処遇改善のための助成拡大を求めるべきです。区としても、区立保育園の保育士並みの給与が保障できるよう民間保育施設への助成を拡大すべきです。区長の所見を伺います。

 国と都は、保育士の処遇改善のために、「保育従事職員宿舎借上げ支援事業」を実施していますが、渋谷区では実施していません。世田谷区や大田区では、これに区も上乗せして一人月額8万2千円を補助しています。

 直ちに、「保育従事職員宿舎借上げ支援事業」を実施し、区として上乗せを行うべきです。区長の所見を伺います。

[3] 次に、値上げとなった世帯の保育料の引き下げについて

 今年4月から保育料が改定され、算定ベースを所得税から住民税に変えたために、年少扶養控除や住宅ローン控除が適用されなくなりました。そのため昨年9月時点の想定では、保育料減免制度を適用したとしても、95世帯が無料から有料に、122世帯が値上げとなりその最高額は5万円と想定していましたが、実際に保育料が値上げとなった世帯数、無料から有料になった世帯数と値上げの最高額はいくらなのか、区長にお尋ねします。

 政府は、年少扶養控除などの「みなし適用は可能」としており、新宿区、港区、葛飾区など多くの自治体で実施しています。

 本区でも、保育料が値上げになった世帯に対して、年少扶養控除などの「みなし適用」を実施し、保育料を引き下げるべきです。区長の所見を伺います。

[4] 次に、「渋谷区児童青少年施設条例」について

 児童福祉センターは、平成23年度で、利用者は年間52,971人、7割が小学生以下ですが、幼児から高校生・青少年まで利用でき、児童福祉の専門指導員が一人ひとりの子どもに寄り添うことで、子どもが安心して遊ぶことのできる児童福祉法に基づく施設でした。

 しかし、区長が提案した(仮称)児童福祉センター複合施設の設置を含む「渋谷区児童青少年施設条例」には、「児童福祉法に基づく施設」との位置づけはありません。

 いま不登校やいじめなどが増加し、安心して遊べる場所がなくなっており、児童福祉法に基づく専任指導員が配置された施設が必要です。「両親共働きのある小学4年生の子どもは、友達がいないので放課後クラブも校庭開放も行きたくない」と、放課後毎日のように近くの障害者施設に来るそうです。児童福祉の施設であれば、こうした一人ぼっちの子どもも安心して遊びに行けます。

 「渋谷区児童青少年施設条例」は、児童福祉法に基づく条例とすべきです。また、常勤の専任指導員を配置すべきです。区長に所見を伺います。 

2.次に、教育について

[1] 少人数学級の実現について

 日本の教員一人あたりの子どもの数は、小中学校ではOECD平均を大きく上回っています。文部科学省の行った「教育関係団体ヒアリング」では、都道府県教育委員長協議会は、「ひとり一人にきめ細かな指導をするために、教員一人あたりの児童生徒数を下げなければならず、少人数学級の実現を可能とする大幅な定数改善が必要」、PTA全国協議会からは、「30人学級の完全実施を」との意見が出され、学習指導面でも、「子に応じたきめ細かな学習指導が行え、学力向上に効果」、「不登校や問題行動の早期対応につながっている」などの効果が指摘されています。

 ところが国の財政制度等審議会は、小中学校の教職員定数を3万7000人もの大幅削減を検討しており、これに対して、教育現場が大変な時に先生の数を減らしてよいのかとの厳しい批判の声が上がっています。

 国に対して、教職員定数の削減をやめ、30人学級の実現を求めるべきです。本区では、8クラスを増やせば区立小中学校のすべてを35人以下にできます。区として、直ちに実現すべきです。教育長に所見を伺います。

[2] 次に、教師の多忙の解消について

 教師の多忙は、教師の命と健康にかかわるだけでなく、子ども一人ひとりに寄り添う教育を困難にしています。教師の平均残業時間は、月80時間という過労死ラインを超えており、精神疾患で休職する小中学校の教員は年間4000人前後といわれています。民間調査機関の調査では、残業の原因は、小学校では事務処理が53%、中学校では部活等の課外活動が52%と最も多くなっています。

 区内の教育現場からは、「9時には学校を出なければならないので、毎日のように持ち帰り残業になっている」、「栄養士のいない学校は、教員が給食事務をしており、忙しさに追い打ちをかけている」などの声が上がっています。世田谷区教育委員会では、給食事務についての実態調査を行い、多くの学校で担当教員一人月60時間から108時間を費やしている実態をつかみ、教員の多忙解消のために給食費の公会計への移行を決めました。

 教師の多忙化を解消するために、国や都に対して、教職員の増員を求めるとともに、区独自でも教員・講師を加配すべきです。また、区独自に残業実態調査を行い、報告事務などの負担を軽減し、栄養士の全校配置と学校給食を公会計にすべきです。教育長に伺います。

[3] 次に、学校給食の無償化について

 子育て家庭の貧困化が進む中で、学校給食は、子どもの成長にとってかけがえのない食育と栄養補給の場となっています。子育てにかかる保護者負担は、公立でも小学生年間30万円以上、中学生は45万円を超えています。渋谷区の学校給食費は、小学校で年間約48000円、中学校では約57000円と、子育て家庭に重くのしかかっています。

 就学援助で給食費は支給されますが、その所得基準額は、渋谷区の場合、2人世帯で278万円、3人世帯では346万円で、それを上回れば保護者負担です。所得の少ない世帯の保護者からは、「食費も削り、塾に行かせることもできない。せめて給食費は無償に」との声が寄せられています。親の格差を、子どもの教育格差にしてはなりません。

 奥多摩町では、「安心で安全な子育て支援を推進する」として、学校給食の無償化を実現しています。

 義務教育は、本来無償が原則であり、貴重な「食育」の機会である学校給食は無償にすべきです。教育長に所見を伺います。

[4] 次に、学童保育の実施と放課後クラブの改善について

 学童保育は、放課後や長期休業時に、家庭の代わりとして放課後留守家庭児の放課後の生活の場を保障するもので、共働きやひとり親家庭の保護者にとっては、学童保育がなければ安心して働くことはできません。区議団の「アンケート」では、充実してほしい子育て支援の3番目が、「学童保育の実施。放課後クラブの充実」で、回答者の3割に上ります。保護者などの声と運動で、今年4月から国はすべての自治体に学童保育の実施を義務付けましたが、渋谷区は実施していません。保育が必要な子どもに学童保育を保障しないことが許されるのですか。

 区として、児童福祉法に基づき学童保育を実施すべきです。区長に所見を伺います。

 学童保育がない中で、当面放課後クラブの改善が必要です。国は学童保育の1児童クラブの規模を、「40人までが望ましい」としていますが、放課後クラブでは、平均参加者40人を超えるクラブが圧倒的で、100人を超えるクラブがいくつもあります。また、省令が求めている児童の「生活の場」に不可欠な専用室も休息のための静養室もありません。子どもたちから「クラブ室がいっぱいで行きたくない」との声があがっているのは、子どもの保育を保障していないからです。

 放課後クラブは、一般児と区別した保育を必要とする児童のための専用室と静養室を確保すべきです。区長に所見を伺います。

3.次に、中小企業支援と公契約条例について

 区内の小規模事業所数は、全事業所の75%を占めており、まさに渋谷の経済と雇用を支える極めて重要な存在です。昨年制定された小規模企業振興基本法の第7条では、自治体の責任として、法の基本原則に則った施策を進めるとしており、小規模企業対策を区政の重要な柱として位置づける立場で質問します。

[1] 第1に、小規模事業者登録制度について

 小規模事業所の受注機会の確保策として、小規模事業者登録制度が注目されています。 

 中野区では、区内の小規模事業者を対象に、区が発注する小規模工事、物品購入、委託等の少額で簡易な契約の受注機会を拡大し、地域経済の活性化を図るとして、一定の条件を満たす小規模事業者を名簿登録し、区は、この名簿から優先調達する制度を実施しています。同区では、平成22年10月から24年9月の間に。60社が登録、110件の受注機会を確保しています。他にも豊島区や文京区、練馬区などが実施しています。

 区として、小規模事業者登録制度を実施すべきです。区長の所見を伺います。

[2] 第2に、住宅リフォーム助成制度の改善について

 住宅リフォーム助成制度の昨年度の実績は、相談件数465件に対して、67件486万円の助成額で、施工額は3665万円余と7.5倍の経済効果を生み出しています。しかし、相談件数の内の15%弱しか助成していないことは問題です。

 助成に結び付かない場合の多くが、既存不適格物件である、取引のある建設業者に工事を頼めない、1世帯1回しか助成が受けられないなどと聞いています。

 北区では、既存不適格物件も助成対象とし、区内全中小事業者に施工を認め、助成率を20%にして223件に助成しており、目黒区でも、区内全中小事業者に施工を認め、アスベスト除去工事も対象にしています。

 住宅リフォーム助成制度は、助成額を大幅に引き上げ、助成限度内であれば、何度でも利用できるようにすべきです。区内中小事業者すべてに施工を認め、既存不適格物件やアスベスト除去も助成対象とすべきです。また、住まいに関する担当部署を設置し、耐震や介護保険の住宅改修まで、幅広く相談を受け付ける窓口を設置すべきです。区長の所見を伺います。

[3] 次に、公契約条例の改善について

 公契約条例は、区発注の契約で働く労働者の生活を守り、事業の質を確保することを目的としています。今年から、対象を委託契約まで拡大したことは評価しますが、公契約条例の適用になった委託契約、指定管理協定それぞれの業種、契約数、契約金額の総額はいくらになるのか、区長に伺います。

 一方、実際の公契約現場で下限報酬額を下回っている実態が明らかになっています。区内の建設労働組合の現場労働者アンケート調査では、ある現場では65%もの労働者が下限額を下回っており、仮庁舎工事現場でも下限額を下回っている事例が報告されています。区がこうした実態を放置していることは重大です。労働報酬下限額に係る重要事項を審査する労働報酬審議会も、年2回開催されるはずなのに2回目は開かれていません。早急に、労働報酬審議会を開くべきです。区長の所見を伺います。

 世田谷区では、対象事業を請負工事予定価格3000万円以上としています。直方市では、賃金台帳の提出を義務付けており、川崎市では、労働組合の公契約現場調査に市の職員が立ち会うなど、実態をつかみ実効性を担保しています。

 本区も、公契約条例の対象を請負工事予定価格を、まずは5000万円以上にすべきです。区として、労働組合の現場調査に立ち会うなど実態調査をするとともに、委託等も含めて支払賃金の報告を義務付けるべきです。区長に伺います。

4.最後に、羽田空港新飛行ルートについて

 国土交通省は、羽田空港の国際線を増やすために、南風時の15時~19時の間、恵比寿上空約600mを約5分に1便通過する西側ルート、代々木上空約900mを約2分に1便飛行する東側ルートの2つのルートを新設しようとしています。

 区民からは、「墜落の危険はゼロではない」、「氷などの落下物の危険や騒音被害」などの不安が広がっています。すでに文京区議会は、上空通過の停止を求める請願を採択し国に意見書を提出し、品川区議会も意見書を提出しています。

 区民のいのちとくらしのかかった重大問題です。政府に対して、羽田空港新飛行ルートの計画を撤回するよう求めるべきです。区長の所見を伺います。

以上

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