ただいま議題となりました、議案第65号渋谷区青少年施設条例につきまして、日本共産党渋谷区議団を代表し、反対の立場から討論いたします。
本条例は、渋谷区児童福祉センターの建て替えにともない、これまでの渋谷区児童福祉センター条例および渋谷区代官山ティーンズクリエイティブ条例を廃止し、新たに、児童及び青少年の情操を豊かにはぐくみ、健全な育成を図るため渋谷区児童青少年施設として渋谷区児童青少年センターと代官山ティーンズクリエイティブを一元化し、条例を制定するものです。
反対の理由の一点目は、新たにできる渋谷区児童青少年センターは「児童福祉法に基づく施設である」と条例上規定されていないことです。これまでの児童福祉センターは、渋谷区児童福祉センター条例第一条で、児童福祉法第35条第三項に基づく施設、と明記されていました。年間のべ18万人もの利用があり、幼児室、中高生ルーム、バドミントン・サッカー・バレーボールなどの球技もできるうえ、温水プールもあり、幼児から、青少年まで利用できる施設でした。指導員は、プールがなくなる前には14人の区の正規職員が、なくなったあとも9人中7人が有資格者として配置され、それぞれの部屋で児童福祉の専門指導員が一人ひとりの子どもに寄り添うことで子どもたちが安心して遊ぶことのできる施設でした。
児童青少年センターには、ダンススタジオやクライミングウォールなど新たな施設が整備されることは大変すばらしいことだと思います。しかし、児童厚生施設としての役割を後退させることは認められません。これまで、渋谷区児童福祉センターは、不登校やいじめにあったり、学校や放課後クラブ、集団の中になじめないなど困難をかかえた子どもたちも指導員の援助で過ごせる施設でもありました。
不登校で、児童福祉センターに通っていたある子どもは、専門の指導員と卓球を通して相談できるような関係になったそうで。その後、学校へ行くようになり、部活動へも入りました。指導員には大変感謝している、という話を聞きました。それは、資格を持つ指導員が、子どもたちの成長を見ながら、表情を見守りながら、悩みを理解し、相談相手になり、指導するとても大きな存在だったからです。
児童福祉法に基づく施設であるという規定を外すということは、専門指導員の配置は義務付けなくても良いことになります。しかし、資格のない、日替わりのスタッフでは、継続して同じ子供を見守ることができません。困難を抱える子ども達によりそうことは難しくなります。規定を外すということは、これまでの児童福祉センターとしての役割を後退させることになります。施設を利用できる対象が当面、18歳未満というであれば、児童福祉法に基づく施設である、という規定を外す必要はありません
二点目は、運営についてです。
文教委員会の質疑でスタッフ配置について質問したところ、これまでの9人から16人という答弁でした。しかし、それは補充質疑で、地域交流センターと合わせたスタッフの数が16人だということが分かりました。
児童青少年センターには、これまでの児童福祉センターにはなかった事業、部屋が増えますが、指導員配置が徹底されていなければ、目が行き届かなくなり、各世代が混在した部屋では特に子ども同士の関係をつくりにくく、集団形成が難しくなります。また、トラブルへのきめ細かな対応も困難になります。
これまで児童福祉センターは規定に基づいて、集団形成のパイプ役にもなる職員を配置して運営してきました。それを地域交流センターと兼ねて、巡回するだけのスタッフ配置では、一人ひとりの子どもに寄り添うなど到底できません。運営に無理がある地域交流センターと重複したスタッフ配置は避け、児童福祉法に基づき、多くの常勤専門指導員を配置するべきです。
最後に、この間渋谷区では区立の学童館、都立の児童館、子どもの城など、児童福祉施設が次々と廃止されています。未来を担う子どもたちの健全な育成を育むために、だれもが安心して、一人でも行きたくなるような施設運営が今、求められています。児童厚生施設としての役割を後退させることではなく、児童福祉法に基づく施設で、その基準に基づく人員配置をするべきです。以上、反対の討論とさせていただきます。