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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2016年 第1回区議会定例会 いがらし千代子議員の代表質問

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して区長、教育長に質問します。

 質問に入る前に日本共産党は、北朝鮮が2月7日、事実上の弾道ミサイルを発射したことは核兵器の開発と結びついた軍事行為であり、国連安保理決議などに違反し、国際平和と安全に深刻な脅威を及ぼす行為であり厳しく非難し抗議するものです。

 また、2月19日、日本共産党をふくむ野党五党は、安保関連法の廃止法案を共同で国会に提出するとともに、戦争法廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し立憲主義を回復し、安倍政権打倒を共通目標として、国会対応や国政選挙での協力を行うことで合意し、その実現に全力を挙げています。

 それでは質問にはいります。

1、区民の命と暮らしにかかわる国政問題

(1) 戦争法(安保関連法)廃止と憲法九条を守ることについて
 昨年九月国民多数の反対を押し切って強行された戦争法は、立憲主義を破壊するもので成立したからと言って許すわけにはいきません。

 南スーダンPKOに派遣されている自衛隊の任務は、「駆けつけ警護」が加わり武器使用が可能となり、自衛隊員が「殺し殺される」ことが危惧されます。また安倍首相は、自衛隊を国軍とするため、憲法九条を変えようとしています。しかし戦争法成立後も国民の半数以上が反対し、区内でも戦争法の廃止、立憲主義の回復を目ざす市民が党派を越えて結集しています。

 区長は、これまで国政の問題は国政で議論するものと自らの見解を述べられませんでしたが、立憲主義をこわし、区民の命を危険にさらす安保法の廃止と憲法九条をまもることについて憲法を遵守しなければならない区長としての所見を伺います。

(2)消費税10%増税中止について
 安倍内閣は、来年4月から消費税を10%に引き上げようとしていますが、区民からは、「8%になり食費をはじめ生活費を切りつめているがこれ以上は無理。」また、消費税廃止渋谷各界連絡会の区内商店街の署名行動では、「10%になったら商売が続けられない」「消費税増税に賛成している商店会はない」等批判の声が出されています。

 消費税を10%に引き上げれば食料品の一部など8%に据え置いても1世帯あたり6万2000円の負担増となり、貧困と格差は拡大するばかりです。しかも庶民と中小企業には増税を求める一方で大もうけをして内部留保を354兆円も蓄えている大企業には、4兆円の減税を行う、さらに、社会保障のためといいながら社会保障費は毎年3000億円から5000億円も削減するなど全く道理のないやり方です。

 大企業や富裕層への減税をやめて応分の負担を求めると共に、5年間で24兆円をつかう軍事費や無駄な公共事業費を削れば20兆円の財源が確保できます。国に対し消費税の10%増税はきっぱり中止するよう求めるべきです。区長の所見を伺います。
 
2、2016年度渋谷区予算編成と区長の基本姿勢について

(1)2016年度渋谷区予算編成について
 区内の昨年の倒産件数は、157件、それによる失業者数は771人、就学援助を受ける中学生も37%と深刻です。 渋谷区の新年度予算は、重度障害者レスパイト事業の実施、情緒障害学級の増設や認知症対策の拡充などの前進がありますが、生活保護世帯の冬の見舞金1153万円や障害者の福祉タクシー券3748万円など福祉予算を削減しようとしています。一方区議会議員のリオデジャネイロパラリンピック視察には2431万円、河津保養所に1億3700万円を投入する予算で、こうしたなど不要不急の事業はやめて福祉予算を復活すべきです。区長の所見を伺います。

 また区民には国民健康保険料や後期高齢者医療保険料を値上げし負担増を求めていますが、東急グループが主体となってすすめる渋谷駅周辺再開発事業には5億7611万円の多額の税金を投入する予算となっています。

 大企業奉仕の税金の使い方をやめるとともに、新たに50億円を積み増して735億円になる、ため込み金を活用して区民の福祉とくらし、営業を守る予算に切り替えるべきです。区長の所見を伺います。

(2)庁舎建て替え問題について
 [1] 2月25日と28日に初めて開かれた三井不動産レジデンシャルが建てる分譲マンション住民説明会について質問します。
参加者からは「住宅棟については全く知らされていない。庁舎、公会堂、三井のマンションは一体のもの。こんな大切な問題を近隣だけの説明で納めるなんてとんでもない。住宅棟と庁舎、公会堂と分離して説明するのはごまかし」とのきびしい意見が有りました。

 渋谷区はこれまでも三井不動産レジデンシャルの建てる高層マンション計画については、事業者がやることで区は係わらないとして、区議会にも全く説明してきませんでした。住民説明会でも区民の質問に区は全く答えず三井不動産レジデンシャルに答えさせるという渋谷区の説明責任を果たさない対応は許されません。

 区長は横浜のマンション杭打ちデーター偽装事件の三井不動産レジデンシャルの責任をどのように考えているのか。またこの事件で責任を問われている三井不動産レジデンシャルとなぜ契約を結んだのか、あらためて区長の所見を伺います。

 [2] 分譲マンションの販売価格、収入について
 また「分譲マンションの販売価格や収入はいくらか」という質問には「まだきまっていない」と三井不動産レジデンシャルは答弁しませんでしたが、区長は総事業費について承知していると前に答弁しているのですから区民に明らかにすべきです。お答えください。

 [3] 渋谷区と三井不動産とむすんだ基本協定では、借地契約が終了後には、マンションを解体し更地にして返還することになっていたのに、区長が結んだ借地契約では、契約終了後には三井不動産等に優先譲渡できる規定が新たに加えられました。昨年の第4回定例会で、区長は「通常の不動産取引における借地契約では一般的な条項」と答弁していますが、弁護士に確認したところ、借地契約はあくまで地上権の利用についての契約、土地の売買契約は別の契約で、借地契約に売買の規定を入れることは全くあり得ないことだと指摘しています。借地契約に将来の売買条件である優先譲渡規定を入れたことは77年後に必ず土地が返ってくるといった区長の発言を自ら覆すものであり区民を欺くものです。

 また三井不動産レジデンシャルは、昨年3月に行われた不動産再生研究会で渋谷区役所と公会堂の建て替え事業について、渋谷区が求めたのは「早く安くつくってください」ということで「基本的には官が細かいことを設定しないですすめた公共事業という点が画期的だ」と絶賛したうえで三井不動産は「建物を建てる代わりに土地をくださいというような形である」とのべています。なぜそこまで三井不動産の利益を優先する契約を結んだのか、改めて区長の見解を伺います。

 [4] 三井不動産レジデンシャルはマンションの高さを37階から39階に変更し507戸の分譲にする予定であると説明しました。高さをふやしたことについて、建設費の高騰もあるが当初の総合設計では容積率220%の割り増しだったがメリットが大きいことから都心居住型に変更することで400%引き上がり900%になった、と説明しています。区民からは「なぜ三井不動産のもうけのために区民の土地がつかわれるのか、住宅棟はなくても結構」「三井不動産レジデンシャルのもうけのために庁舎を建てるやり方はやめるべき」と言う批判が出されました。

 このマンション計画は三井不動産にとっては、区民の土地を使って最大限のもうけを上げる内容になっていますが、区民には環境と景観破壊、風害と電波障害など被害をもたらすだけであることは明らかです。改めて事業者のもうけ優先の庁舎建て替え計画はやめるべきです。区長の所見を伺います。

 [5] 区民への情報公開と区民参加の問題です。
 本来区庁舎は、区民の共有財産であり区のシンボルで、その建て替えは、区民や職員の意見を十分に聞いて造られるべき建物です。どこの自治体でも長い時間をかけて多くの住民と関係者の意見を聞いて計画をつくっています。

 2010年に竣工した立川市の庁舎建設では、基本構想、設計者選定、基本設計のそれぞれの段階で100人委員会が立ち上げられ市民参加が保障されていました。また昨年総務委員会で視察した那覇市では建設用地の選定から市民の意見を聞き、設計業者の選定は公開の場でプレゼンティションが行われ、庁舎の設計にも市民参加が保障されると共に、市民に情報公開されています。

 しかし渋谷区の庁舎と公会堂、マンションの建て替えは、近隣住民に一度説明会を開いただけで三井不動産と区長だけが協議しすすめてきた異常なやりかたです。自治体としてとるべき手法では有りません。庁舎建て替えは区が直接責任を持って行うべきです。

 改めて、区民、専門家が参加する検討会を設置し新庁舎の建て替えについて抜本的に見直すべきです。区長の所見を伺います。

(3)宮下公園整備計画について
 宮下公園は、渋谷駅の至近距離のビル街にあって1万平方メートルの敷地にケヤキの大木が生い茂る貴重な緑の都市公園として、区民と来街者の憩いの場所です。ところが渋谷区は、この宮下公園を取り壊して、用地のすべてを三井不動産に35年間も貸し出し三階建ての一大商業スペースを建設させ、公園はその屋上に移し、また公園用地の10分の一の約1000平方メートルを公園から切り離して三井不動産の17階建てのホテルを建設させようとしています。

 この計画も近隣の一部住民の意見しか聴いておらず、広範な区民が参加できる説明会は一度も開かれていません。

 さらに区長と三井不動産がむすんだ基本協定の中には、35年の借地契約終了後も更新ができること、さらに施設について無償譲渡もできることが盛り込まれています。これでは区民の貴重な共有財産である都市公園を区民の意見を聞かないで三井不動産のもうけのために永久に提供することになるもので認められません。

 宮下公園の整備計画案は白紙撤回して、今後のあり方については、区民と利用者、専門家が参加する検討会を設置して計画を練り直すべきです。区長の所見を伺います。
  
(4)渋谷駅周辺再開発について
渋谷駅周辺再開発は、アジアヘッドクォーター特区、特定都市再生整備地域などの指定をうけ、東急グループが中心となって進める渋谷駅中心地区の再開発を皮切りに、公園通りの西武が進めるパルコパート1からパート3までの再開発、さらに渋谷区役所敷地の三井不動産グループの再開発と大企業の再開発が次々と進められています。

 渋谷ヒカリエをはじめ超高層ビルを建設する渋谷駅南街区、桜丘口地区、道玄坂1丁目駅前地区、渋谷駅街区のすべての事業主体は東急グループです。昨年新たに渋谷区から40億円の補助金をだすことが明らかになった桜丘口と、15年間で20億円を投入する北側自由通路だけで60億円をこえ、さらに渋谷区が全額負担する東横線跡地に東急が建設するホテルと桜丘の再開発ビルをつなぐ南側自由通路も合わせると巨額な税金投入になります。

 今議会には、道玄坂1丁目駅前地区再開発に伴って区道の廃止と付け替え、そして公園通りのパルコの再開発では区民の財産である区道をパルコに提供するための区道廃止の提案もされていますが、大企業の便宜をはかるもので許されません。

 あらためて渋谷駅南側自由通路にはどれだけの費用がかかるのか、また新年度1億1千万円の予算が計上されている道玄坂1丁目駅前地区再開発の補助金は総額いくらになるのか、渋谷駅中心地区4地区の開発それぞれにいくらの税金を投入するのかも明らかにすべきです。区長の答弁を求めます。

 区民の福祉や教育予算を削って負担増を求める一方、大企業のための再開発事業への税金投入と区道の廃止はやめるべきです。区長の所見を伺います。

(5)河津さくらの里しぶや第2保養所について
 河津町の第2保養所は、施設取得費に加え、温泉施設の改修とその後の建て替えや運営費などで、すでに6億円を超える税金が投入されました。しかし、昨年一年間の利用実態はわずか26、6%です。新年度は運営費と施設改修費などで1億3700万円の予算となっています。

 区民アンケートでは「遠くて時間も交通費もかかり二度と利用しない。」「保養所は二箇所もいらない。」「その費用を医療、介護福祉に回して欲しい」等これ以上続けることに反対の声が7割となっています。

 区民の反対の多い河津町の保養所は税金のむだづかいであり廃止すべきです。区長の所見を伺います。

3、国民健康保険料と後期高齢者医療保険料について

(1)16年度の国民健康保険料は13年連続の値上げで、4月から均等割を1500円引き上げ4万6200円に、所得割を0、45%引き上げ1人あたりの平均保険料は11万1189円となり15年度に比べ4644円の値上げとなります。

 国民健康保険制度は、憲法25条の国民の生存権を保障する立場から保険証が有れば誰でも医療が受けられるよう作られた国民皆保険制度ですが、毎年値上げされ高すぎる保険料に加入者の3割が滞納しており、保険証が発行されず窓口で一旦は全額支払わなければならない資格証明書になっている区民が48人、短期保険証は808人と大幅に増加しています。

 国民健康保険料の加入者は年金暮らしの人たちや自営業者、非正規労働者など年金の引き下げや売り上げ減少で暮らしが厳しくなっている人たちがほとんどです。

 区民が安心して必要な医療が受けられるよう国民健康保険料の値上げをやめ引き下げると共に、国に対し国庫負担の引き上げを求めるべきです。区長の所見を伺います。合わせて前年度より所得が減少し生活保護規準の1、15倍以下の区民が区条例の個別減免を活用できるよう納付書の通知送付と合わせて、減免制度の周知を徹底するとともに、減免基準も引き上げるべきと考えますが合わせて伺います。

(2)16、17年度の後期高齢者医療保険料は、均等割額を200円値上げして4万2400円に、所得割を0、09%引き上げて9、07%にそれぞれ引き上げます。今も多くの高齢者から「国民年金では食べて行かれず貯金を取り崩しているがそれも底をつきつつあり不安」「社会保障の予算を増やして負担を減らして欲しい」などの声が上げられています。

 後期高齢者の医療保険料の値上げはやめるべきです。そして国に対しては75才以上の高齢者を差別する制度そのものをやめるよう求めるべきです。また区独自に住民税非課税世帯に対して窓口負担の無料化を実施すべきです。合わせて区長に答弁を求めます。

4、子どもの貧困対策について3点伺います

 「子どもの貧困対策法」は、3年前の国会で、生まれ育った環境で子どもの将来を左右させてはならないとして全会派一致で成立しました。しかし子どもの貧困は、6人に1人の子どもたちが、親の失業や低収入、病気、離婚、死別など家庭の経済状況の悪化で貧困状態となっています。とりわけ1人親家庭の貧困率は54%と過半数を超えて経済開発機構(OECD)諸国の中で最悪水準に位置しており喫緊の課題として、政治の責任が厳しく問われています。

 足立区では2014年度から「子どもの貧困対策本部」を設置し、全庁的な取り組みを開始し、5年間の実施計画を策定し1人親家庭への就労支援や、学習支援などの取り組みをすすめています。また学識経験者を招聘した検討会議も開催しています。

(1)渋谷区でも子どもの貧困対策を全庁的取り組みとすると共に、専門家や区民代表が参加する検討会を設置し、実施計画を策定し、長期的系統的な対策を立てるべきと考えますが区長の所見を伺います。

(2)子どもの貧困対策法では「貧困の状況にある子どもが健やかに育成される」環境整備を実施することをあげています。
子どもの成長を保障する医療費無料化の拡大は不可欠です。現在中学三年生までの対象を高校卒業まで拡大すべきと考えます。区長の所見を伺います。

(3)法律では、「教育の機会均等をはかる」ことも目的にあげ、国と地方自治体の責務も明記しています。我が党は国会で安倍内閣に対して返済不要の「給付制奨学金」の導入を求めましたが実施していません。

 国に「給付制奨学金」の導入を求めると共に渋谷区として奨学金を利用する子どもたちが返還するときに、所得が生活保護基準の1、5倍以下の場合には、その年の返還金を全額免除して借りやすくすることで、進学の機会を保障すべきと考えます。教育長の所見を伺います。

 また、就学援助については現在小学校で4人に一人、中学生で3人に1人となっていますが、多くの子どもたちを救済するため対象世帯の所得基準を生活保護旧基準の1、5倍に拡大すべきです。合わせて教育長にうかがいます。

5、教育について質問します

(1)学校給食の無償化について質問します。
 区内の小中学校に子どもを通わせている保護者負担は、小学校で年間約30万円、中学校で45万円を超えています。このうち学校給食代は小学校で4万8千円、中学校で5万7千円となり、就学援助を受けていない多くの保護者から給食費を無償にしてほしい、との声が出されています。

 義務教育は無償が原則であり、また給食の食育としての役割からも給食費の無償化を実現すべきです。教育長に伺います。

(2)少人数学級の実施について
 少人数学級の実現は、多くの父母、教職員の願いです。都道府県の教育長協議会は「1人1人にきめ細かな指導をするため、教員1人あたりの児童、生徒数を下げなければならず、少人数学級の実現を可能とする大幅な教員定数の改善」を求めてきました。しかし安倍内閣の新年度予算では、少人数学級は拡大されません。秋田県では少人数学級の成果として学力が向上した。小学校の不登校が減ったことが実証され県独自に予算もつけて30人程度学級を全県で実施し、教師の多忙化の解消でも大きな成果を上げています。

 渋谷区として約50人の教師を増員すれば、すべての小中学校で少人数学級が実現します。国に求めると共に区独自に少人数学級を実現すべきと考えますが教育長の所見を伺います。

6、介護と高齢者福祉について

(1)介護予防、日常生活支援総合事業について
 介護離職10万人問題、後を絶たない無理心中事件など、介護を巡る状況は一層深刻さをましています。

 安倍内閣は、介護と医療給付費の削減のため病床の削減、介護報酬の大幅削減、要支援者を保険からはずし総合事業に移すという改悪を行いました。さらに2年後には、介護度2の人まで介護保険から外そうとしています。

 渋谷区は、4月から総合事業を実施し緩和サービスを導入しようとしていますが、、区民からは「先行実施している自治体で起きている介護卒業が強制されるのではないか」などの不安の声と区内の事業所からは、「緩和サービスの実施により減収になる」「有資格者も賃金を下げざるを得ない」「ますます若者の担い手が離れていく」などの不安や怒りの声が寄せられています。

 15年度から総合事業に移行した江戸川、港、荒川、豊島、北区では、訪問、通所とも緩和サービスをやらず現行介護保険相当のサービスのみの実施です。江戸川区は、緩和サービスについて介護事業所と協議した結果、事業所から緩和サービスの提供はできない、との声があがり現行相当のサービスにした、との話でした。

 渋谷区は緩和型をもうけ事業所報酬も現行より 通所で30%訪問で20%の削減で、これでは今でも運営が厳しい小規模事業所の経営を一層圧迫しサービスの質の低下も招くことになります。国に対し上限額の撤廃を求めるとともに江戸川区や港区などのように訪問、通所とも区の独自判断で緩和サービスをやらず現行相当のサービスだけにすべきです。区長の所見を伺います。

(2)地域包括ケアについて
国は財政削減のため病院から在宅へ、介護施設から在宅介護へと誘導する受け皿として地域住民団体やボランティアによる地域包括ケア体制を推進しようとしていますが、このやり方は、医療難民、介護難民を増やすだけです。区民がもとめる地域ケアは、国と自治体の責任で必要な医療、介護を保障するとともに、高齢者が地域で安心して住み続けることができるよう日常的に高齢者の実態を把握し、地域の住民や団体の力を集めて地域に密着した組織作りです。

 その中核となっている地域包括支援センター4カ所で職員が増員されますが、11カ所すべてで増員し、全区的にきめ細かな対応ができる体制にすべきです。また、住民が自主的に行っている健康体操や居場所づくりに対して、場所の提供と財政援助を行うべきです。区長の所見を伺います。

(3)保険料、利用料の軽減について
 2015年度の介護保険料基準額は、6万7560円となり高齢者の生活を圧迫しています。しかし2014年度の区の保険料軽減制度を利用できている人は、わずか82人に止まっています。

 また利用料についても昨年8月から2割に引き上げられた人は、2103人で認定者の24、7%に上る一方、介護認定者の利用率は55%、1ヶ月の利用料金は5000円が限度というのが区民多数の切実な実態です。保険料と利用料の軽減制度については預貯金限度額を撤廃して住民税非課税世帯まで軽減対象とすべきです。区長の所見をうかがいます。

(4)特別養護老人ホームの増設について
 昨年10月現在の特別養護老人ホームの待機者は581人にのぼり、深刻です。待機者のなかには、仕事を辞めて母を介護していた娘さんが病気になったため、有料の施設に入りましたが一月の費用が25万円以上かかるため、このままでは3年もたたずにお金がなくなり、親子ともども生活できなくなってしまう、と深刻な訴えもあります。

 長谷部区長は選挙公約で特養ホームの増設について、「もっともっと推進します。」と述べていますが、現在建設中の本町東小学校跡地以降の増設計画はありません。東京都は新年度予算に特養ホーム整備費補助や地域密着型施設140カ所分の助成額を増額しています。都の補助金も活用してケアコミュニティ原宿の丘や代々木2、3丁目の国有地、幡ヶ谷社会教育館隣接の都有地などに特養ホームを増設する計画をつくるべきです。区長の所見を伺います。
 
(5)介護報酬引き上げと人材確保について
 介護職員による施設入所者の転落死事件は国民に大きな衝撃を与えましたが、介護施設職員による虐待件数も過去最高の300件になっています。虐待の理由は、「教育、知識。介護技術の問題」が6割、「職員のストレスなどの問題」が2割となっており、教育の急務とともに慢性的な人手不足があげられ過酷な労働なのに低賃金という問題が指摘されています。14年の介護職員の平均月収は全産業平均を9万円下回って21万円で離職率は、16%を超えています。ところが政府は、介護事業者に支払われる介護報酬を過去最大に近い2、27%引き下げたため、職員研修費用を削減する施設や人手不足で一部施設を閉鎖する施設まで出ているのです。

 介護が必要な人が施設でも在宅でも安心して介護が受けられるよう職員の数と質を確保できるよう介護報酬の引き上げが求められています。国に職員の処遇改善の加算ではなく、基本の介護報酬の引き上げを求めるとともに、区としても事業所への職員の処遇改善と研修費用や人材確保の為の助成を行うべきです。区長の所見を伺います。 

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