私は日本共産党渋谷区議団として区長に質問します。
1、社会保障の改悪について
安倍政権は、参議院選挙前には、「介護離職ゼロ」や「保育の受け皿づくり」を熱心に訴え、選挙が終わったとたん医療、介護、生活保護などの給付削減を打ち出しました。社会保障の改悪案を今年中に結論を出し、来年の通常国会に法案と予算案を提出しようとしています。介護保険では「要介護1・2」の生活援助を保険給付からはずす、車いすなどの福祉用具と住宅改修を「原則自己負担」にする、利用料を2割にひきあげるなどが示されています。このことが実施されれば、渋谷区では要支援者と要介護1、2合わせて5690人認定者の67%が介護保険からはずされることになります。
また医療では、75才以上の全員の窓口負担の2割負担化や入院患者の食費、居住費の負担増、高額療養費の上限額の引き上げ、年金制度では、支給額の引き下げと支給開始年齢の先延ばしや年金一部支給停止などの改悪、生活保護では医療扶助の引き下げなど、区民生活全般にわたる社会保障の大改悪です。
このままでは、社会保障は、保険料や利用料、税金だけが容赦なく取り立てられ、その一方で際限ない給付削減が行われることになります。区民生活を一層深刻にする社会保障の切り捨てをやめるよう国に求めるべきと考えますが、区長の所見を伺います。
2、介護保険と高齢者福祉について三点質問します
(1)地域支援事業の見直しと補足給付削減への助成について
渋谷区でも今年の4月から要支援の人たちの生活援助の訪問介護と通所介護が総合事業に置き換えられ、緩和サービスがスタートしました。事業所に支払われる緩和サービスの報酬は約7割に削減されました。事業者からは、報酬が削減されてもこれまで通り資格のあるヘルパーで対応せざるを得ないが3割も減収になったら赤字で事業所を維持できるか不安だ。またヘルパー不足の中で、新規の要支援者は断らざるをえない、などの話も聞きました。
渋谷区はこれまで独自のきめ細かな介護サービスを実施し要支援者も利用できたことから重度の割合が少なくなっていましたが、生活援助が受けられなくなれば重度化し、介護費用も増大しかねません。総合事業に切り替えた港区、江戸川区ではサービスを継続しています。当区もこれまで通り専門のヘルパーによる生活援助が受けられるよう緩和サ-ビスを見直すとともに、緩和サービスの報酬を元に戻すべきです。区長の所見を伺います。
また施設を利用する低所得者の食費、居住費を軽減する補足給付に資産要件が導入されたため、区民の4割が対象外とされました。補足給付の削減に対し、千代田区では、区独自に助成を実施しています。渋谷区でも実施すべきです。区長の所見を伺います。
(2)住民主体の地域包括ケアについて
国は2020年を目標に財政健全化を図るとして、介護と医療について「施設から在宅へ、病院から在宅へ」の方針を打ち出しましたが受け皿がありません。さらに自力で解決することを前提に家族の助け合い、町会やNPO等の地域組織、最後に行政の「自助、共助、互助、公助」の考え方は、介護の社会化に逆行し国や区の公的責任を後景におくもので許されません。住民が希望する地域包括ケアは、介護や医療が必要になっても住み慣れた地域で生活を継続できることです。
区は、4カ所の機能強化型の包括支援センターを設置しましたが、それだけでは足りません。区が責任を持って、要となる11箇所すべての地域包括支援センターの強化を図るとともに、医療、介護、住宅、健康づくりの様々な分野の専門職と地域住民がつながる仕組みづくりを地域包括支援センター単位に具体化すべきと考えます。地域包括支援センターの強化と渋谷区の地域包括ケアの現状と今後の方向性について、区長の所見を伺います。
(3)特養ホーム、グループホームの増設について
現在介護離職者が年間10万人となっていることが、社会問題となり、先の参議院選挙でも大きな争点になりました。区内の特養ホームの待機者は原則要介護1、2の人が対象外とされ前年より125人へりましたがそれでも603人で、2年3年待っても入れず亡くなる方も後をたちません。特養ホーム、グループホームの増設は喫緊の課題として取り組まなければなりません。本町東小学校跡地の施設に加えてケアコミュニティ原宿の丘の再整備や、代々木2、3丁目の国有地、幡ヶ谷社会教育館横の都営住宅跡地、本町1丁目の代々木警察職員宿舎跡地などを取得し、増設すべきと考えますが区長の所見を伺います。
3、障がい者福祉について5点質問します
(1)この夏、障がい者が犠牲になる事件、事故があいつぎ、とりわけ相模原市の障がい者施設に入所していた19人の方が犠牲になった事件は日本中に衝撃を与えました。7月27日に「私たち家族は全力でみなさんを守ります」と発信された「全国手をつなぐ育成会連合会」会長の久保厚子さんは、今回の事件をどういう背景があったにせよやってはいけない、有ってはならない事件。国民の心の奥底には障がいのある人達は別の存在という思いがまだ存在するのかと感じた。共生の社会ということを一般の方々にわかっていただきたい。日本国政府として「日本の国は、共生の社会を目指す」という強いメッセージをだしていただきたい、と訴えています。
共生社会を推進する条例を制定した渋谷区は、区民はもとより来街者を含む広範な人達に、障がい者の人権を守り尊重することを強く発信し共生社会実現の施策を実現しなければならないと考えます。こうした深刻な事件が起きたことに対し、区長はどのように考えているのか伺います。
(2)区内の全駅にホームドアを設置することについて
8月に東京メトロ銀座線青山1丁目駅で起きた視覚障がい者転落死事件も、障がい者団体が長年にわたりすべての駅ホームに安全柵を設置して欲しい、と要望をだしていたにも係わらず実施してこなかった責任は重大です。事故後、東京都盲人福祉協会などが行ったアンケートで、ホームがカーブしていたり、ホームの両側に線路があるところが転落の危険があることが明かとなりました。また全日本視覚障害者協議会などが国土交通省に要請行動を行い、「視覚障がい者のホームからの転落、車両接触事故が6年間で428件も起きており、是非改善して欲しい」と訴え、すべての駅ホームに可動柵を設置すること、柵のない駅には、駅員を配置することなどを要望しました。こうした動きを受けて東京メトロは10月からホームドアがないすべての駅に係員を配置するなど事故防止策を採ることを発表しました。
渋谷区内で安全柵があるのは恵比寿駅をはじめわずかしかありません。区内の駅すべてを視覚障がい者の人達が安全に利用できるよう各鉄道事業者にホームに可動柵の設置など安全対策をとるよう求めるべきと考えます。区長の所見を伺います。
(3)精神障がい者の福祉手当支給と福祉タクシー券の復活について
障がい者の共同作業所の全国組織である、きょうされんは、昨年7月から今年の2月まで「障がいのある人の地域生活実態調査」を実施し14,745人の回答結果を発表しました。年収122万円を下回る相対的貧困の人は、全世帯16、1%に対し、障がいのある人は1万223人で81、6%にも及ぶ深刻な実態となっています。さらに障がい年金受給者の75、8%が年収100万円以下で自立した生活が出来ないため、50代でも3人に1人が親と同居している「親依存の生活」の現状も明らかになりました。さらに東京都の調査では、精神障がい者の25、3%が無収入です。
最近グループホームに入所された方の話を聞きましたが、家族と一緒のときは家族という船の一員だったが、グループホームで、自分の部屋をもち自分で食事を作って片づけると船長になった気分でうれしい。年金が5万8000円だから、あと3万円ふえれば自立できる、アルバイトをはじめて月1万5千円から2万円はいるので福祉手当が有れば自立できる、と話してくれました。保護者の方は精神障がい者にも福祉手当が支給され経済的負担が少しでもなくなれば家族はどれだけ助かるか、と話されました。
すでに品川区や杉並区では区独自に精神障がい者の1級の人に福祉手当を支給しています。長年精神障がい者団体から要望がだされている福祉手当の支給を、渋谷区でも早急に実現すべきです。区長の所見を伺います。
福祉タクシー券の削減は低い年金で生活している障がい者にとって大きな影響を及ぼしています。今までも出来るだけ病院に行く回数を少なくする努力をしている、天気のよい日はバスを使ってタクシーに乗る回数を減らしている、等の努力をしてきたと話してくれた方は、本町から通院している広尾病院までは、片道2000円以上かかり3500円では1回分にも足りない、と訴えています。直ちに福祉タクシー券の支給額を元に戻すべきです。区長の所見を伺います。
(4)移動支援の拡充について
昨年から区外の特別支援学級に通学する子どもたちへの移動支援が渋谷区でも実現し保護者のみなさんから歓迎されました。現在利用しているのは二人と聞いていますが、利用している方からは、来年下の子どもがろう学校の幼稚部に通うため保護者の付き添いが必要となり、母親が休職するか退職するしかない。そうなると移動支援の条件となっている両親就業でなくなるので上の子どもの移動支援が利用できなくなってしまう。両親就業の条件を見直して欲しい。また移動支援を利用できる区間が学校から放課後クラブまでと定められているのを学校から学習塾などにも通えるように緩和して欲しい、と改善が求められています。区長の所見を伺います。
さらに障害者団体からは、作業所への通所にも利用できるよう拡大して欲しい、との要望もだされています。区長の所見を伺います。
(5)第2のはあとぴあの設置について
はあとぴあを利用する家族の方たちから、第2の入所施設を作って欲しい、との要望がだされています。とりわけ1人親や高齢になった方たちの不安は、はかりしれません。私が相談に乗った80代の方は、障害がある2人の子どもを年金生活だけで支えており、自分が倒れたらどうなるのか不安でしかたない、と訴えています。また別の保護者の方は「病気になり、障害のある子どもをやむなく都外の施設に入所させたが、会いに行くのに一日かかる、体調のよいときは行事にも欠かさず出ているが、病気が悪くなったらとても会いに行くことが出来ない」と話しています。また、障害者団体からは重度の障害者も入所できる施設を作って欲しい、との声も出ています。今年8月に開設したグループホームの申し込みは7人の定員に26人が応募したことからも切実です。住み慣れた区内で住み続けることができるよう、第2のはあとぴあを設置すべきと考えます。区長の所見を伺います。
4、庁舎等建て替え計画について質問します
(1)今年の1月に敷地の2カ所が基準値の2、4倍の鉛と2、25倍のフッ素に土壌汚染されていることが明らかとなり、5月には想定外のアスベストが検出されたため、解体と新築工事期間を4ヶ月延長し、三井不動産との借地契約も区長が77年11ヶ月に変更しました。しかし土壌汚染についてもアスベストの追加工事についても区民には全く説明されていません。今豊洲市場予定地の土壌汚染対策工事が大問題になっており、庁舎と幡ヶ谷2丁目の複合施設用地の土壌汚染についても、区民から不安の声が出ています。
区は庁舎の土壌対策費用も区議会には、事業者と協議して対応する、との答弁で、金額もどこが負担するかも明らかにしていません。仮に土壌汚染対策費を事業者が負担するとなれば事業者の借地料は当初の211億円で変更していないのですから庁舎と公会堂の建築費が圧縮されることになります。改めて土壌汚染と対策工事費用と追加になったアスベスト除去工事の費用は、金額がいくらでどこが負担したのか、また土壌汚染の調査方法と結果について、対策工事の工法と汚染土の運搬先がどこか、対策後の土壌状況についてもお答えください。そして区民に説明会を開き情報公開すべきです。区長の答弁を求めます。
(2)8月5日に行われた近隣住民に対する庁舎、公会堂の新築工事説明会でも複数の参加者から住宅棟について今後のスケジュールなどの説明を求める質問がだされましたが、年内に説明会を開く予定と答弁しただけでした。
区民の共有財産である庁舎の土地で三井不動産レジデンシャルなどは、容積率も最大限活用し高さ136メートル、507戸ものマンションを建設し、大きな利益を上げようとしています。庁舎建設も民間事業者任せで広く区民の意見を聞くこともなく進められています。民間マンションについては区民に全く情報公開もなく、区民が利用する庁舎についても、安全や建物の質の確保がされるのか確認をすることもできません。住民が主人公の地方自治体のとるべきやり方で認められません。
庁舎の建て替えについては、区民に情報公開し、広く区民の意見を聞くために区民と専門家の参加する庁舎建設の検討会を今からでも開くべきと考えますが区長の所見をうかがいます。
5、宮下公園整備計画について
宮下公園は、渋谷駅に隣接し渋谷区の木であるケヤキの大木がしげり区民はもとよりサラリーマンや来街者にとって緑豊かな憩いの場所として親しまれてきました。ところが渋谷区は、三井不動産株式会社と宮下公園用地の1万592平方メートルに30年間に建設期間と返還のための除却期間を加えた期間に定期借地権を設定する基本協定を締結しました。243台以上の駐車場を地上1階と地下1階に整備し、駐車場部分を除く公園の地上1階から3階までを三井不動産の商業施設とし、その屋上に公園を整備しさらに公園用地の一部分を切り離して三井不動産の200室程度のホテルを建設する計画が予定されていました。
9月9日渋谷区は、都市計画審議会に新宮下公園等整備事業を行うための都市計画の変更を提案しました。
その内容は、基本協定と借地契約で地上1階と地下1階に作られることになっていた駐車場の面積を8400平方mから4500平方mに減らし地上1階部分はすべて三井不動産の商業施設用地に変えるもので企業のもうけの為に今の都市計画まで変更するものです。
区民の財産である宮下公園を、区民の合意もなく三井不動産の利益のために提供し、区民と来街者にとって緑豊かで貴重な憩いの場所であった公園の役割を変更することは認められません。
企業の利益優先の計画は撤回し、区民と専門家の意見を広く聴く計画に練り直すべきと考えますが区長の所見を伺います。