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日本共産党渋谷区議会議員団

ご意見・ご相談

議会報告
REPORT

2016年 第3回定例会での、秋元ひでゆき区議会議員の代表質問

 私は、日本共産党渋谷区議会議員団を代表し、区長に質問いたします。

 質問の前に一言申し上げます。8月30日夜に、台風10号の影響で東北地方を中心に大雨に見舞われました。岩手県や北海道など各地で河川の氾濫による浸水の被害が相次ぎました。他にも今夏は全国各地で台風が猛威を振るいました。それにより亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 また、9月9日、北朝鮮は、5回目となる核実験を強行しました。核実験は、連続する弾道ミサイル発射とともに、世界の平和と安定にとっての重大な脅威であり、累次の国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙です。わが党は、この無法な暴挙をきびしく糾弾するという態度を表明しました。

 軍事対軍事の危険な悪循環をさらに深刻にする道ではなく、対話による解決に徹することが何よりも重要です。

 核・ミサイル開発を放棄させるために北朝鮮を6カ国協議という対話のテーブルにつかせる、そのために中国を含む国際社会が一致して制裁の厳格な実施、強化をはかることなど、政治的・外交的努力を抜本的に強めることが重要です。

 それでは、質問に入ります。

1、憲法と平和を守ることについて

 まずは、憲法と平和を守ることについてです。

 昨年9月19日に圧倒的多数の憲法学者が違憲とし、各世論調査でも国民の半数以上が反対する「安保関連法=戦争法」が強行採決されました。1年たった今でも、廃止を求める世論は高まり、9月19日には全国各地で集会やデモが行われ、国会前には2万3千人が雨の中、参加しました。

 安保関連法により、自衛隊の海外での武力行使や、米軍など他国軍の後方支援を世界中で可能とし、日本が、戦後長い年月をかけて維持してきた憲法9条の精神ばかりか、立憲主義、民主主義、平和主義が壊されようとしています。海外での NGO 活動などでも築き上げてきた日本の平和ブランドも損なわれようとしています。

 日本の自衛隊員が誰かを殺し、あるいは殺される、その危険の現実性が高まってきています。11月に派遣予定されている内戦が続く南スーダンでの、 PKO 活動での宿営地防護、駆けつけ警護などで最初の犠牲が出ることが懸念されています。そのため、犠牲が出る前に安保関連法の発動を止めるべきだと考えますが、区長の所見を伺います。

 国際的な紛争や緊張を解決する上で、何より必要なことは粘り強い対話交渉であり、武力を用いた解決手段は決してとってはなりません。その上でも、憲法9条を守ること、憲法遵守の精神は欠かせません。日本共産党は野党共闘をすすめ、市民とともに立憲主義、民主主義を取り戻すために、安保関連法の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を訴え続けます。区長は、憲法違反の安保関連法の廃止を国に求めるべきです。区長の所見を伺います。

 安倍内閣は改憲草案の中で、憲法 9 条第二項を削除し、国防軍を創設する。国民の人権を制限する緊急事態条項を加えるなど、改憲により、憲法を憲法でなくす動きを見せています。区長は、平和と命を守る立場から、憲法9条を遵守することについてはどのようにお考えですか。所見を伺います。

 区長は、平和首長会議に参加していますが、核兵器の廃絶に関して、今後はどのような活動を行うのでしょうか。お答えください。非核平和都市宣言を行うとともに、今年の広島で開かれた原水爆禁止世界大会で宣言された、被爆者が訴える「核兵器廃絶国際署名」を呼びかけたり、広島・長崎に小・中学生を派遣し、平和普及活動を行うなど、渋谷から平和を世界に発信する行動をとるべきと考えますが、所見を伺います。

2、区政の役割と税金の使い方について

 続いて、区政の役割と税金の使い方についてです。

 当区では現在、新しい基本構想の策定に取り組んでいます。そもそも基本構想とは、現在の基本構想の理念に、「日本国憲法のもと、地方自治権確立の観点に立ち、これからの区民生活と渋谷区の将来像を明らかにする、」とあるように、地方自治の本旨に基づくことを明確にし、区民福祉の増進と主人公である住民の参加を保障するものでなければなりません。

 しかし、今回の基本構想の策定にあたっては、これまで基本構想審議会は 9 回の開催、住民説明会は4回の開催で参加70人だけです。パブリックコメントは7月に実施されて34件の意見が寄せられていますが、それを反映する審議会は開催されていません。

 この手順には、区民からもパブリックコメントで「スケジュール急ぎすぎのきらいもある。」との批判が寄せられており、現時点での策定は拙速であると言わざるを得ません。

 たとえば板橋区では、基本構想審議会の召集前に、無作為抽出の公募区民90人からなる区民検討委員会を3回開催しています。審議会は13回開催し、中間答申に対するパブリックコメントを実施した後、それらの意見を反映するための審議会も開催されています。

 基本構想の策定については、じっくりと時間をかけて区民との会話のキャッチボールを行い、パブリックコメントを十分に反映させ、区民福祉の増進と主人公である住民の参加を保障すべきです。所見を伺います。

 次に、税金の使い方についてです。

 区は、現在の区民の生活状況がどうなっているのかを把握し、今後、区政の未来はどこに視点を置き、どの方向に進み行政サービスを行っていくのか、を区民に示す必要があります。

 先日発表された、「平成29年度予算編成方針について」の通達では、その前文の中で、現在の経済状況、および区民の雇用・収入に関する分析がありました。そこには「日本経済が回復基調を維持し、雇用、個人所得は改善し、企業収益は高い水準にある。」という内容がありました。

 しかし、経済は好転したのでしょうか。区民の雇用や収入が上昇したのでしょうか。私たちはそうした判断は、できません。

 それは、確かに、大企業の収益、一部の富裕層だけをみれば、収益が上がり、税収も上回る見込みが立つかもしれません。が、ここで申し上げたいのはまず、区民の暮らしの実態についてです。

 全国的に見た場合、求人が増えたといわれていますが、増えているのは非正規雇用で正規社員が増えたわけではありません。働く人の3人に1人は非正規雇用という状況です。収入も実質賃金は、厚労省の統計をみるとここ5年連続してマイナスが続いています。格差の拡大で年収200万円以下は2人に1人と言われています。これでは経済の6割を支える個人消費も冷え込んだままです。高齢者は、厚労省が行った、生活基礎調査で貯蓄ゼロ世帯が16.8%とおよそ6人に1人、50万円未満を含めると20.7%にのぼり、まとまった備えの無い中、度重なる年金削減、社会保障の負担増で苦しんでいる方が多く存在しています。

 区内では、国民健康保険料を払えない人は昨年度3割を超え、就学援助を受ける中学生も35%前後を推移したままです。さらに、中小企業の倒産件数は、昨年1年間で157件で、771人が職を失いました。生活保護受給者は8月末現在で、2909世帯、3280人と増加しています。

 このような状況から到底、経済が好転し、所得が増えているとは言えません。むしろ、苦しい状態が続いている、というのが私たちのアンケートからの多数の声としても出ています。

 まず、この多くの、苦しい区民の生活の実態を直視するところから区政の方向性を考えるべきではないでしょうか。またこのような状況から抜け出す施策を行うこと、区民の暮らしや福祉を守る防波堤になることが、自治体本来の役割です。ところが、区は障がい者の福祉タクシー券、生活保護の 4 千円の冬季見舞金を削減する、他にも区民負担を増やすなど福祉は後退しています。税金の使い方は今こそ、福祉・くらし最優先へと切り替えるべきではないでしょうか。区長の所見を伺います。

 国民健康保険料についてです。

 国保料は12年連続で値上げが行われており、4人家族で年収4百万円の世帯では1万6485円の大幅な値上げで、年間保険料は39万1704円と一カ月分以上の給料がなくなります。苦情・問い合わせの電話は、今年度は料金通知発送後、1週間で730件ありました。先ほど申し上げましたが、現状3割が滞納しています。払いたくても払えない金額であることがその理由ではないでしょうか。健康第一の自治体を目指す上で、根幹をなすのが医療保険制度です。国保料は、収入に見合った金額に値下げし、基準額を示した減免制度の周知徹底を行うべきです。区長の所見を伺います。

 区民負担についてです。

 区民負担は、国保料に限らず、介護保険料・利用料、後期高齢者医療保険料などが改訂の度に値上げが繰り返され、大きな負担となっています。さらに、区民施設の利用時にも増えています。区民会館が地域交流センターとなったことでの使用料が発生するケースも出ています。松涛美術館やスポーツ施設の料金も軒並み上がっています。自治体のやるべきことは、区民の芸術・スポーツ意識の向上、そこに触れる機会を増やすことです。1人でも多くの区民、高齢者、子どもたちに気軽に芸術・スポーツを親しんでいただくこととは逆行し、参加・機会を遠ざけることになる値上げはやめるべきです。所見を伺います。

 渋谷駅周辺再開発についてです。

 渋谷ヒカリエを初め渋谷駅南街区、渋谷駅桜丘口地区、道玄坂一丁目駅前地区、渋谷駅街区に高さ百メートル以上の林立するオフィス、商業施設等のビル八棟以上の建設が予定されています。その全ての開発事業主体に東急電鉄、東急不動産が名を連ね、東急グループのための超巨大開発とも言えます。この渋谷駅周辺開発に、区は2001年度から15年度までに11億3千万円以上の税金を投入してきました。

 西口広場と東口広場を結ぶ北側自由通路に、15年間で20億円が区負担分として支出されます。また、本来開発事業者が負担すべき南口自由通路の整備には、区が全額負担することになっています。

 これら開発計画には、明らかになった分だけでも総額、約90億円の区民の税金が投入されようとしています。生活に苦しむ区民が多い中で、本来は企業や鉄道事業者が負担するべきものを、自治体が税金を使い大企業の利潤追求を後押しをする必要性はないと考えます。このことについて、区長に所見を伺います。

 開発地域の中で、特に桜丘地区では、広範囲での再開発計画が進められています。事業費は1630億円と発表されており、区は、この事業費に対し計画では40億円負担することが想定されています。

 このエリアの中で、長年飲食業を続けてきて、地域に愛され、多くの常連客をかかえているオーナーは、「開発で休業し、戻ってきても店舗の面積が今より狭くなる上、まだ使える厨房機器をいったん処分しなければならなくなる。」「今から新たな資金などはとてもかけられない」と話しています。

 またある区民は、「桜丘地区の再開発ということで、長年住んでいる借家を出るように迫られているが、高齢なので簡単に引越しなど出来ない。」「立ち退き話を持ってきた人に相談をしたが、都営住宅の申込書を持ってきただけで、入居に関して優先権はない、といわれたまま2年近くも放置されている」と話しています。

 商売、住宅に関する相談は多数、寄せられています。オリンピックがあるから、開発だから、ということだけで追い出しを迫られているという区民の声が開発の裏側の、実態として上がっているのです。

 本来、区のやるべきことは、長年、商売を続けてきたり、住んでいた人たちを追い出すことに協力するのではなく、商売・住居を守ることではないでしょうか。

 住民が、事業者に乱暴に追い出されるようなことなどなく、営業や居住が確保、継続できるように、区として指導すべきです。所見を伺います。

3、保育について

 続きまして、保育について、待機児問題についてです。

 本区では今年度、4月の段階で、認可保育園を希望して入れなかった子どもは920人でした。どこの保育園にも入れなかった子どもは315人と昨年よりさらに増えています。この他に、潜在的な待機児を含めると、待機児問題はたいへん深刻な課題といえます。

 本区は、子育て世代も含め人口が増え、約22万人となりました。新しく区民となった世帯、今年度、保育園に入れず困惑している世帯、今現在、職場に復帰したくてもできないなど、潜在的に保育園を希望しているが入れていない世帯のためにも今、本気でこの問題に取り組まなければなりません。

 待機児をかかえる区民から寄せられた声を、いくつかご紹介します。

 「来年も同じ状況なら、夫婦どちらかが仕事を辞めなければならない。」

 「育児休暇をさらに1年延長なんかしたら、職場にはもう戻れない。」

 「転々と、一時保育などのサービスを利用せざるを得ない状況だ。人格形成の一番大事な時期に、子どもと保育士、保護者と保育士、安心して預けられる信頼関係が作れない。」

 「保育園に入れた子どもと、そうでない子ども、子どもの中でこんな格差が生まれてよいのか。」などです。

 入園を希望する保護者の願いは、悲鳴へと変わっています。ニーズ調査の結果からも、子どもを安心して預けて仕事に通えるように、質の高い保育の確保、認可保育園の増設が求められています。保育は区の責任で行うものです。また、待機児問題は質と量、両面から整備し、子どもを安心して産み育てられる環境を作ることは区の責務です。

 待機児ゼロを達成するためにはまず、潜在的な待機児も含め、全面的に調査を行い、少なくとも定員数を就学前の人口の50%である約5268人分を目標設定し、認可保育園の増設を中心とした整備目標を明確にすることを提案します。区長の所見を伺います。

 そして、今ある当面の計画を最大限前倒しにし、認証保育所や区立保育室などの認可外保育施設について、保育条件の向上のための支援を進めるとともに、認可保育園への移行を促進するための支援の拡充を国や都に求めることが必要だと考えますが、所見を伺います。

 さらに、区が今すすめている保育施設設置計画は民間が中心になっています。区側が保護者の願いに応えるべく、区立保育園設置を中心とした整備を進めるべきと考えます。そして、今年度の待機児は、どう解消するのか、また来年度の入園希望児はどのくらい見込んでいるのか、所見を伺います。

 わが党は、国有地、都有地、民有地の積極的な活用での保育園増設を訴え続けています。たとえば、代々木2,3丁目の国有地、幡ヶ谷2丁目の都営住宅跡地、神宮前3丁目の国有地などは現在どのような状況で計画や交渉が進んでいるのでしょうか。所見を伺います。

 次に保育士の処遇改善についてです。

 民間の保育士は、都内では他業種より月額約15万円低いといわれています。また区内で、民間と区立での賃金格差は、平均月収でおよそ10万円あることが、理事者の答弁から明らかになりました。

 先の区長発言で、家賃補助を実施する旨の内容がありました。処遇改善を進めることに踏み出したことは評価します。しかし、賃金そのものを改善しなければ、本来の処遇改善にはなりません。

 保育は、ベテランの保育士の経験の蓄積が非常に大事といわれています。そのためには、保育現場が安定した雇用先として継続して働けるように処遇改善が必要です。継続して働く人が増えることで、保育の質の確保にもつながります。民間の保育施設で働く人々に当面月5万円の賃金の引き上げができるよう、国に求めるべきです。区としても、独自に人件費引き上げのため、運営費補助の拡充を進めていくべきです。所見を伺います。

4、子育て支援について

 続きまして、子育て支援についてです。

 子どもの貧困につきまして、現在6人に1人が相対的貧困状態にあるといわれています。単に貧困といっても、小中学生だけでなく、高校中退者の就職や、収入の少ない若年で出産した世帯をフォローするなど、未来を担う子どもたちが、生まれた境遇に左右されること無く、将来自立できるよう、この大きな社会問題は多角的に解決しなければなりません。

 そこで区が率先して、子どもの貧困の実態調査、可視化を行うことが必要となります。横浜市などでは、子ども、若者、保護者への無記名アンケートを行っています。都内足立区では、他の自治体に先駆けて貧困対策に取り組み、不登校率、都立高の中退者数、虐待、朝食の摂取率なども含めて細かく情報の取得分析が行われており全庁的にプロジェクトを立ち上げ取り組まれています。当区では、子どものいる生活保護世帯の調査が行われていますが、さらに幅広い調査が必要です。18歳までの子を持つ家庭を対象にした、しっかい調査を行うべきと考えますが、所見を伺います。

 また、当区でも貧困対策の第一歩を踏み出すために、専門家を交えた「子どもの貧困対策プロジェクトチーム」を立ち上げることを提案しますが、所見を伺います。

 さらに具体的な施策として三つ質問します。

 一つ目は、給食費の無償化についてです。義務教育は無償が原則です。給食の時間は、「食育」、教育の一環でもあります。昨年第二回定例会の時に初質問させていただきましたが、その後全国的に実施が増え37自治体となりました。給食費の無償化は、子育て世帯に大いに喜ばれています。引き続き、給食費の無償化を提案いたします。区長の所見を伺います。

 二つ目は、就学援助についてです。小・中学校入学準備のための経済負担は、保護者の重い負担となっています。現在の就学援助の新入学学用品費は、入学後の支給となっており、工面をするのに苦しむ区民がいるのが現状です。

 都内、八王子市では、経済的負担軽減の目的から、来年度より入学準備金の支給を3月からにしています。当区でも、受付と審査判断を早める方向に検討することで、支給の前倒しはできるようになると思います。また、当区の現在の新入学学用品費は、小学生2万3740円、中学生2万6750円ですが、ランドセルの平均価格は、日本ランドセル工業会の発表では4万2千円以上となっており、また中学生では、入学時に標準服や体操着などを揃えるのに7万円以上かかると言われています。このような実情も踏まえ、新入学学用品費の前倒し、就学前の支給を行うべきです。また、実態に合った単価の増額を求めます。さらに、就学援助の基準を生活保護基準の1・5倍に戻すべきです。この3点について、区長の所見を伺います。

 三つ目に、高校生の医療費無料化についてです。高校生は中学生よりも、医療費の負担が高くなります。特に、歯科治療では、昨年度の学校保健統計調査では、中学生の虫歯の割合が未処置も含め、40.49%に対して、高校生は52.49%と12%も高い結果が出ています。治療費を気にして我慢をするようなことがあってはなりませんし、他の病気でも早期発見・早期治療が欠かせません。早期治療は総合的な医療費抑制にもなります。子育て世帯の経済的負担を軽減させるためにも、高校生の医療費無料化を引き続き提案いたします。区長の所見を伺います。

5、防災対策の強化について

 続いて、防災対策の強化についてです。

 4月16日に発生した震度7を本震とする熊本地震から、半年が過ぎようとしています。被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。日本共産党渋谷区議団は、9月3日より被災地支援、視察に行ってきました。大地震からその視察の日まで、丸1日地震が起こらなかった日は2日しかないそうで、今でも住民の不安は続いています。

 今なお残る、倒壊したままの家や、瓦礫の山、熊本市近郊の至る所で眼に入る屋根のビニールシートが惨状を物語っていました。中でも、震源地とされる益城町では、被災後そのままといった状態で、橋や地面が1m以上もずれているといったところもありました。

 現地での聞き取りで、住民の方々が一番困っていることは住宅の問題でした。益城町では、再建どころか、壊れた家の解体をすることに見通しが経たず、30の業者が月に2軒程度解体するペースだそうです。そのため、解体に何年も待つことで、2年の仮設滞在期間が過ぎてしまう可能性が出ていることに住民から不安の声が上がっていました。

 このように住宅再建の見通しが、立ちにくい、というのが被災者の切実な声ですが、

 現在の国の制度では、半壊で40万円、全壊で300万円です。ローンの残った家屋の修繕は自力ではまず困難です。国に最低でも500万円に補助を引き上げるよう求めていくべきと考えます。所見を伺います。

 地震から何よりも命、そして住まいを守るためにも、予防重視の防災対策が必要です。耐震化については現在の国基準では、耐震補強をする上での診断が、震度7クラスが1回の想定で行われていますが、熊本地震は震度7クラスが2回発生しています。それを教訓に当区では、より入念な耐震対策を行うとともに、1棟300万円程度かかると言われている木造住宅の耐震改修工事費の助成上限額を抜本的に引き上げ、低所得者の補助率を引き上げるべきです。区長の所見を伺います。

 さらに、東日本大震災での本震における火災全111件のうち、原因が特定された108件のうち過半数の58件が電気関係の出火によるものでした。電気火災対策を強化するためにも感震ブレーカーの助成を実施するべきと考えますが、所見を伺います。

 益城町以外の町や村にも行ってみると、住宅の見た目は被害は受けていませんが、実は内部的に深刻なダメージを受けているところが多々ありました。甲佐町の造成地に出来たある団地では、液状化現象が発生し家のほとんどが亀裂や、傾きに悩まされていました。「傾いた家を水平に戻すには500万円程度かかる。」とのことでした。区長は、国に対し液状化現象による被害者の救済対策を講じることを求めるべきです。また、当区でも液状化現象は、調査の必要があります。今後は、この液状化対策についてどのように検討していくのか、所見を伺います。

6、羽田空港の新ルート問題について

 最後に、羽田空港の新飛行ルートについてです。国土交通省は、羽田空港の国際線を増便するための新飛行ルートを示しました。その後、他の自治体でも意見書の提出、市民反対運動が起こっています。渋谷区の上空には、南風運用時の午後 3 時から7 時の間に、幡ヶ谷と初台の間の上空約 900m から恵比寿上空約 600m を通過するルートに一時間当たり14便、代々木上空約 900 メートルから神宮前を通過するルートに一時間当たり30便が通過する計画です。

 この計画により、区民の不安が拡がっています。主に、騒音・振動、落下物・飛行機の墜落、大気汚染、その影響による不動産価値の下落などです。

 騒音の影響は、 68 ~ 74 デシベルと想定されています。これは一般的に2m離れたところで人の会話が聞き取りにくくなると言われています。特に保育園、学校、病院なども含め多くの施設で支障が出る可能性が高くなります。

 落下物に関しては、昨年度、成田空港着陸便で5件確認されたことから、千葉県知事が国交省に申し入れを行っています。

 大気汚染に関しては、 PM 2.5も放出すると言われていますが、環境省は大気汚染のシミュレーションをまだ情報提供していませんので影響は未知数です。他にも、都心上空では緊急時の着陸場所が無い、広尾病院や麻布ヘリポートに向かうヘリコプターが飛行ルートに接近した場合は飛行機よりも低い高度を飛ぶため、今よりもさらに大きな飛行音となるなど、国交省の現時点での説明・対策では区民の不安を払拭するにはいたっていません。

 渋谷区議会では全会派一致で、羽田空港の機能拡張計画について区民の声を聞くよう、意見書を提出しています。交通・公有地問題特別委員会では、区側の考えとして、この計画に対して「区民との合意形成はまだできていない」と答弁がありました。区民は、合意も納得もしていません。

 ところが、国交省は7月28日に行われた「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」で、「国および関係自治体は、羽田空港機能強化に係る環境影響等に配慮した方策を評価した」などととりまとめ、この計画を強引に進めようとしています。

 この計画に際し、これまで国交省は当区ではヒカリエで、オープンハウス型の説明会を2回行っただけです。そのため、人伝いにこの計画を知り、怒りの声を上げる人が日に日に増えています。そこで、国交省に、強引に進めることには抗議し、区民の不安を取り除くためにも教室型の説明会を、周到な告知を行った上で開き、そこで、区民の声をしっかり受け止めるよう求めるべきです。所見を伺います。

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