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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2016年 第3回定例会最終本会議での いがらし千代子幹事長の 議案「渋谷区基本構想について」の反対討論

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第60号 渋谷区基本構想について、に反対の立場から討論します。 

 反対の第1の理由は、基本構想策定にあたり区民の意見が十分に反映されていないからです。 

 私は、審議会の全議事録を読ませていただきましたが、新たに作成される基本構想は、「今後の20年を見据え、渋谷区がどのようなまちになるのかのビジョンを示すもの」としてつくると述べています。当然これまでの基本構想で掲げた目標がどこまで到達し、新たな渋谷区の課題が何か、と言うことについて広く区民の意見を聴くことが前提になければならないと考えます。昨年区長が、新たな基本構想をつくるための審議会設置を打ち出した定例会で苫議員が、審議会設置に当たっては、多くの区民の参加と意見を求めること、住民が主人公の運営を貫くこと、そして基本構想には、住民が安心して住み続けられる福祉の行き届いたまちづくりを知勇心に据えることを求めました。 

 しかし審議委員の募集段階で区は、審議期間を昨年の11月から今年の8月でと定め短期間での審議を求めました。 実際、第一回の審議会で、会長から「このスケジュールは基本構想的には相当タイトなスケジュールで、通常一年くらいかけるが半分くらいの時間でやろうとしている」という発言があり、一回の審議時間も2時間と極めて限られた中での審議となっています。

 何よりも広く住民の意見を聞くことについては、審議委員からも「当事者参加について、例えば、高齢の方が介護保険の議論をするとか、障がいのある方がバリアフリーの議論をするとか、子どもが自分なりに意見を持つとかそういう意味では、当事者がどう施策に関与するか、やはり当事者が参加して初めて計画が生きてくると思う」と発言されています。しかし実際住民説明会は、4会場で開かれただけで参加者は70人、パブリックコメントも13人から34件の意見が寄せられただけとなっているのです。またパブリックコメントを受けての審議会は開かれませんでした。これでは、区民の声が反映されたとはとても言えません。 

 第2に憲法と地方自治法に基づく渋谷区の責務と役割が明記されていないことです。 

 これまでの基本構想の理念には、「誰もが個性ある人間として平等に尊重され、平和な社会のなかで、安全かつ自由で、健康な生活ができるよう、基本的人権が保障される社会を形成する」と憲法の平和原則と基本的人権の保障を明記しています。また、これまでの基本構想は、「21世紀を展望した渋谷区の課題をふまえ、日本国憲法のもと、地方自治の観点にたって、これからの区民生活と渋谷区の将来像をあきらかにする」として、地方自治の本旨に基づくことも明らかにしています。 

 しかし、新たな基本構想では、憲法の平和原則も地方自治法に定められた、地方公共団体の住民福祉の増進を図ることを基本とする役割も明確にしめされていません。そのために新たな基本構想の福祉の分野では、「すべての人々が支え合い、どんな人でも自分らしく生きていける共生の街をつくる。そのために生活支援サービスをこれまで以上に整えつつ、渋谷区は福祉の新たな仕組みをつくっていきます。」また、「福祉という概念に対する人々のイメージを変えること。「こころのバリアフリー」にとどまらず、社会を進化させる福祉とは何か、未来を明るくする福祉とは何か、産業や文化をつくるヒントになる福祉とは何か。それらを渋谷区が率先して追求、実践していきます。」とのべています。これでは、憲法に定められている「健康で文化的的な最低限の生活」を保障する福祉が求められる区の責任をはたすことにはなりません。 

 第3に「基本構想をつくりなおす背景」と「基本構想のもとになる価値観」で述べている「成熟した都市」をみとめることはできないからです。

 基本構想をつくりなおす背景として、「東京オリンピック・パラリンピックを4年後に控えた2016年現在、渋谷区は、成熟した国際都市になるために急激に進化・成長する必要があります。」また、基本構想のもとになる価値観として「渋谷区が目指すのは、規模こそ異なるものの、ロンドン、パリ、ニューヨークなとど並び称されるような「成熟した国際都市」です。ここでいう成熟とは、高度な国際競争力と強烈な地域性とを兼ね備えてゆくこと」とのべています。このことは、日本経団連が「グローバル化への対応」として「大都市は、魅力と活力にあふれたグローバルシティへと進化し、世界中の先端企業、人材、投資や観光客を集め国全体の経済を牽引する役割を担わなければならない」として競争力を高めることを求める提言にそったものと言わざるを得ません。現在の渋谷駅周辺開発などに区民の税金を多額に投入する遣り方をさらに加速することにつながりかねず、区民のための区政ではなく、大企業優先にするもので、福祉の増進を基本とする渋谷区の基本構想が目指すべきことではありません。 

 また、真の共生社会ダイバーシティとインクルージョンの実現を目指すためには、国連の障害者権利条約や子どもの権利条約の理念をしっかりと基本構想の柱に据えるべきです。区民の声を十分に聴かず区の役割と責任を明確にしない基本構想は認められないことを発言し、反対討論とします。 

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