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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2017年第2回定例会 牛尾まさみ議員の一般質問(2017/6/9)

私は日本共産党渋谷区議団として、区長、教育長に質問します。

1、最初に保育についてです。

認可保育園の待機児問題が深刻な中、日本共産党区議団が急きょ実施した保育・子育てについてのアンケートには、「4月に入園できませんでしたが、秋口には働きたいので、来年3月までベビーシッターや区外の認可外保育所を利用するしかありません」「認可園は第10希望まで書いたがすべて落ちてしまった。すこし遠くの保育室に入れたが、1歳で認可に入れる可能性は低いので、今から来年の保活に不安を感じている」などの切実な声が寄せられました。

4月1日時点の認可保育園入所状況報告によると、入所希望者は昨年比246人増の1,945人で、そのうち希望どおり入園できたのは1,015人でした。認可園に入れなかった子どもの数は、ゼロ歳児200人、1歳児316人、2歳児152人など、合計706人、どの保育施設にも入れなかった子どもは266人で依然として深刻です。今年4月から認可園の定数を550人増やしたことは評価しますが、認可園に入れない子どもは35人しか減りませんでした。

区長は、どの施設にも入れなかった266人の待機児を年度内に受け入れるよう対応すべきと考えますが、見解を伺います。また、今年認可園に入れなかった子どもに加え、入園希望者の増加も考慮した認可園の増設で、いつまでに認可園の待機児をゼロにしようとしているのか、その計画をどう考えているのか、区長に伺います。 

次に区立保育園の増設についてです。

児童福祉法では、保育の必要な子どもに保育を保障することを自治体の責任として規定しています。区長は、様々な手法を活用して待機児対策に取り組むとしていますが、区立園増設の計画はありません。

保護者の願いは、一人ひとりの子どもに寄り添った質の高い保育です。区立保育園は、保育士の身分が保障されているため、安定した保育の質が受け継がれており、すべての認可園の保育の質を確保するためにも、その比重を増やすことが重要です。また、民設の保育園に比べ、事業者募集や選定の手続きが不要なため、待機児解消に即効性が期待できます。

実際、北区では「子育てするなら北区が一番」をスローガンに待機児対策を区の責務として取り組み、今年4月から4園の区立保育園を開設しました。当区でも、民間まかせの姿勢を転換し、区立保育園の増設に踏み出すとともに、国や都に対して公立保育園整備に対する補助制度の創設を求めるべきです。区長の見解を伺います。

次に民間保育士の処遇改善についてです。

待機児解消が進まない原因の一つとなっている保育士不足の解消に向け、国や都の処遇改善策が今年度から上乗せ実施されました。23区でも世田谷区に続き、大田区、足立区で、私立保育園の常勤保育士に対して月1万円の独自支援を開始しました。当区でも、都内の他の業種よりも15万円も低いと言われる保育士の給与を引き上げ、処遇改善を図るため支援を行うべきです。区長の見解を伺います。

2、つぎに教育について区長、教育長に質問します。

(1)初めに道徳教育についてです。

安倍政権は2006年に教育基本法を全面改訂し、「国を愛する心」を盛り込みました。今年3月31日には、道徳教育で教育勅語を教材として使うことを否定しないという答弁書を閣議決定しました。首相や閣僚は、「教育勅語にはいいことも書いてある」と言います。

しかし、教育勅語は、君主である天皇が、その支配下にある臣民に対し、守るべき徳目を示し、重大事態があれば、命をかけて天皇を守れというもので、これによって多くの若者が戦地に駆り立てられ、尊い命を犠牲にしたのです。だからこそ、侵略戦争の深い反省に立って制定された現行憲法と相容れないものとして、衆議院で排除、参議院で失効の決議があげられたのです。

当区は、来年度以降、教科化される道徳教育には、教育勅語を教材として使用すべきではないと考えますが、教育長の見解を伺います。

(2)つぎにスポーツ施設の指定管理についてです。

今定例会には、スポーツセンターをはじめ4施設に指定管理者制度を導入するための条例改正案が提出されています。指定管理者制度は、市場原理のもとで民間のノウハウを利用して公共施設運営の効率化を図ろうとするものです。施設の利用料は区が決めた金額以下にしなければなりませんが、区長発言で述べている専門指導員によるスポーツ教室などは、指定管理者が自由に設定した料金を区民から徴収することができます。

区立のスポーツ施設は、区民の誰にもスポーツに親しむ機会を公平平等に提供し、負担も少なく気軽に利用できる社会教育の施設であることから、渋谷区はこれまで指定管理者制度を導入してきませんでした。教育施設に民間の営利をもちこんで儲けの対象にし、区の責任を後退させる教育施設への指定管理者制度の導入はやめるべきです。区長の見解をうかがいます。

また、現在の委託事業者となっている渋谷サービス公社で、運営に携わっている22人の固有職員の来年度以降の雇用はどうなるのかうかがいます。

(3)つぎにICT教育についてです。

日本共産党は、ICT教育そのものを否定するものではありませんが、導入にあたっては、何よりも学校現場や研究者、区民の声を聞くべきと考えます。

区長はICT教育推進を目玉として、すべての小中学生と教員にタブレット端末を貸与することなどで7億8200万円を予算化し、今定例会に小中学校の教室に配備する電子黒板機能付プロジェクターを257台購入する契約案件を提出しています。

昨年9月に開かれた教育委員会では、ICT教育推進計画について「ICTを使いこなすことが子どもや教職員の資質向上になるのだろうか。教職員の指導力向上はICTを使う以前の問題だと思う。機械を使いこなすことが優秀であるとしていいのか」「計画を読むといかにも素晴らしい内容となっているが、デメリットも示すべき。例えば、お互いの顔を見て会話ができなくなることがあげられる」「ICTの授業を見てこのままで良いのかと思った。授業の中で子どもの反応がきちんとあり、日常の授業がしっかりと見える形で示されなかった」など、子どもへの影響や学習効果への疑問や意見が出されましたが、こうした疑問や意見はどう解決されたのか、また、教職員や保護者にどのように説明し、意見を集約したのか、教育長に伺います。

区が今年の夏に行うとしている教員の研修は、教員にとっては新たな負担になります。予定している研修は、具体にいつ、だれが、どのくらいの時間、どういう内容の研修をするのか、また、授業がスタートした以降のフォロー体制はどうなっているのか、すでにタブレットを導入した自治体では、トラブルが発生して授業が止まってしまったという例も聞いていますが、そうした場合にどう対応するのか、さらに、さきの定例会では、子どもの心身に影響を及ぼすVDT症候群対策のマニュアルを作成すると答弁がありましたが、その内容はどういうものなのか教育長にうかがいます。

区長発言にあった「『渋谷モデル』を創造する」、「学習面と校務支援が統合された『全国の標準モデル』となるよう取り組む」というのは、具体的にどういうことなのか、区長にうかがいます。

機械の故障やトラブルが絶えない先行事例や、専門家から、手を動かして実験や観察をする時間や、紙と鉛筆で考えながら作図や計算を進める活動の縮減、教員の指導能力が軽視されることへの懸念が表明されているもとで、議会への報告も極めてわずかで、区民には全く知らせず、教育委員会をはじめ、学校関係者や保護者への説明も不十分なまま、多額の予算をかけるタブレットの全児童・生徒への貸与は拙速であり、導入を急ぐべきではないと考えますが、区長の見解をうかがいます。

(4)次に学校給食の無償化についてです。

東京都教育委員会の調査では、平成27年度に保護者が負担した学校教育費は、生徒一人あたり小学校が55,516円、中学校が75,699円で、前年に比べ小学校で2,065円、中学校で1,917円の増となっています。貧困と格差の連鎖を断ち切るためにも、義務教育の完全無償化は待ったなしです。

学校給食費は、教育費のなかで最大の金額を占めています。給食費が払えずに肩身の狭い思いをしたり、生活費を切り詰めて給食費を捻出するなど、子どもたちや家庭に大きな負担となる中で、自治体独自の学校給食の無償化は、2011年度以降急速に広がり、60自治体を超えました。

跡見学園女子大の雁(がん)咲子教授は、「経済的な理由で生じる子どもの食生活の格差は大きく、学校給食はその格差を縮める機能があります。給食は子どもの食のセーフティネットであり、給食に費用を惜しむべきではありません」と給食費無償化の意義を語っています。区長は、自ら発言してきた学校給食費の無償化に、今こそ踏み出すべきと考えますが、見解をうかがいます。

(5)次に就学援助の拡充についてです。

3月31日、文部科学省は、区市町村が実施する就学援助の準要保護児童に対する新入学児童生徒学用品費の支給について、予算単価の見直しを行なうとともに、援助を必要とする時期に速やかな支給ができるように、入学する年度の開始前に支給された場合でも国庫補助の対象とすることを都道府県教育委員会に通知しました。予算単価の見直しは、小学校が2万470円から4万600円に、中学校が2万3550円から4万7400円とほぼ二倍に引き上げ、その2分の1を国庫補助限度単価とするものです。

中学生の支給時期を入学前にしたのは、23区では板橋、世田谷区に続き、千代田、港、新宿、豊島、文京、足立、葛飾で、多摩地域では、あきるの、西東京、狛江、府中、小金井の各市が、前倒し支給とともに、支給額の引き上げを決めるなど、各自治体に広がっています。また、八王子や武蔵野、あきる野市では小学生も対象にしています。

渋谷区では、小学校が2万3740円、中学校が2万6750円と今年度も支給額の改定は行なわれず、支給時期も入学後の7月支給となっており、すみやかな改善が求められます。区は、今年度からの支給額の引き上げをただちにおこなうとともに、来年度の入学生から支給時期を入学前に前倒しすべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

また、就学援助の支給対象となる世帯の所得基準を生活保護基準の1・5倍まで引き上げ拡大すべきと考えますが、教育長の見解をうかがいます。

(6)次に、教師の多忙化についてです。

文部科学省が昨年の10、11月に実施した調査によると、教員の平均勤務時間は、平日一日あたり、小学校が11時間15分、中学校が11時間32分で、所定内労働時間を大きく上回っています。さらに土日については中学校の部活などで3時間22分のほか、持ち帰り時間も平日30分、土日1時間となっています。厚労省の過労死ラインに相当する一週間あたりの勤務時間が60時間以上と答えた人は小学校で33.5%、中学校で57.6%にものぼっています。

この調査は、全国の397小学校8951人、399中学校10,687人からの回答を集計したものですが、この中に区内の小中学校の教員の回答は何人からあったのか、その回答内容について教育長に伺います。

当区でも、「授業準備に満足な時間が取れない」「校長は早く帰れと言うが、仕事が終わらずとてもできない」など、現場の先生は悲鳴をあげています。教師の勤務改善の第一歩は実態の把握です。区として全教職員を対象にした実態調査を行うべきと考えますが、教育長の見解をうかがいます。

その上で、具体的に二つの点での改善策を提案します。

第一に教師が一人ひとりの子どもにしっかりと向き合えるようにするために、教員の人数をふやすことです。文部科学省も、昨年7月に発表した「次世代の学校指導体制の在り方について」の最終まとめで、障害のある児童生徒の指導、外国人児童生徒等教育、貧困等に起因する学力課題の解消、いじめ・不登校の未然防止・早期解消のいずれの課題でも、教員の加配や充実、基礎定数化などが必要としています。

足立区や江戸川区では、学習効果を高めるとともに、教員の負担を軽減するために、補助教員を配置して授業を支援しています。渋谷区として、教員定数の抜本的改善、必要な教職員を正規で配置することを国や都に求めるとともに、区として補助教員を採用し配置すべきです。教育長の見解をうかがいます。

第二に、子どもと接する時間を確保するために事務的な仕事を見直すべきです。世田谷区では、給食費の徴収管理や滞納整理の負担をなくすため、小中学校の学校給食費の公会計化を実施します。当区でも学校給食事務の公会計化を行うべきです。教育長の見解をうかがいます。

(7)次に少人数学級の推進についてです。

子どもの豊かな学びを保障する少人数学級は、保護者、学校関係者の強い要望で、国会では35人学級の全学年実施が全会一致で決議されました。しかし、安倍政権は5年間も完全実施を見送りつづけ、いまだに小学校1,2年、中学校1年のみの実施にとどまっています。

わが党区議団の、少人数学級実施を求める再三の質問に対し、区は、「少人数指導をやっている」「一定の学級規模は必要」として拒否し続けてきました。しかし、2012年に再開された文部科学省の検討会議は、同年9月の報告で、「すべての教科等でより一層きめ細かい指導を充実させるためには、学級規模そのものの縮小が必要」として全学年での35人学級を推進することが不可欠としています。また、2012年の国立教育政策研究所の調査では、少人数指導での学力の違いはないとする一方で、少人数学級を継続的に実施した学校の児童の方がその後の学力が高いとしています。

当区では、35人学級だった小学2年、中学1年生が、今年小学3年や中学2年に進級し40人学級になったため、小学校2校、中学校2校でクラス数が減少し、人数が35人以上になりました。保護者からは、子どもの学習環境を守るため、これまでどおりの学級数を維持してほしいという声を聞きました。区として小中学校のすべての学年で35人学級を実施し、さらに30人学級をめざすべきです。教育長の見解を伺います。

3、次にマイナンバー制度についてです。

国が強引に進めるマイナンバー制度は、全国では、千件単位での番号情報漏れや、二重に付番するなどの事件も発生しており、5月の国会質疑では全国の自治体がマイナンバーカードの発行業務を委託している地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が同カードの申し込みに使う個人情報と顔写真データを警察の求めに応じて提供し、捜査に利用されていることも明らかになりました。国会で審議中の共謀罪法案が成立すれば、警察が目をつけただけで「捜査」と称して、すべての個人情報が捜査機関に提供されます。

渋谷区では、3月3日に渋谷郵便局から区役所に返送された個人番号通知カード9通が行方不明になる事件が発生しました。郵便局から、文書課で一括して受け取ったことは確認されたものの、住民戸籍課に届けられたかどうかは、担当者の記憶にもなく不明のまま、所在がわからなくなったとのことです。区は、書留郵便物を受け取った場合は、記録簿に1通1通の書留番号や差出人を記録していますが、通知番号カードは、大量の返信があった時期から記録簿の作成を省略して通数のみを記載していました。このため、4月27日に区民からカードが届いていないという申し出を受けたものの、所在不明となった9件の該当者が特定できたのは5月9日でした。こうした区の個人情報保護のずさんな扱いが、今回の事態を招いたと言わざるを得ません。

マイナンバーの個人情報保護に対する区長の認識をうかがいます。また、1,000件もの番号情報漏れが発生し、警察への情報提供もされているなど、個人情報の漏えいが防げないマイナンバー制度は、ただちにやめるよう国に求めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。

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