9月28日、区議会第3回定例会開会日の本会議で、田中まさや区議が代表質問を行いました。
私は、日本共産党区議団を代表して、区長、教育長に質問します。
質問に先立ち、一言申し上げます。
安倍政権は、本日、臨時国会冒頭で国会を解散するという、憲法無視、国政を私物化する森友・加計学園疑惑隠しの党略的暴挙に打って出ました。
わが党は、国政私物化、憲法破壊、沖縄の新基地建設や原発再稼働など国民多数の声を無視する安倍政治に審判を下し、北朝鮮の核・ミサイル問題の外交的解決、安保法制廃止と安倍改憲ストップ、消費税10%増税中止、格差と貧困をただす経済改革、核兵器禁止条約にサインする政府の実現をめざし、野党と市民の共闘で、安倍政権を打ち倒し、立憲主義・民主主義にもとづく新しい政治を実現するために全力を尽くします。
北朝鮮による核実験・ミサイル発射は、断じて容認できない暴挙です。米朝の危険な挑発の応酬によって、いま北東アジアは、誤解や誤った判断が軍事衝突に発展しかねない危険な事態にあります。軍事衝突となれば、朝鮮半島だけでなく、国民や区民にも甚大な被害が発生しかねません。わが党は、米朝直接対話による事態の打開を強く求めるものです。
(1)憲法について
今年は、憲法施行70年の年です。憲法9条は、日本の侵略戦争の反省に立って、二度と戦争しないと誓った国際公約です。ところが安倍首相は、9条に自衛隊を書き込む安倍改憲を来年の通常国会で発議し、2020年までに施行しようとしています。
安保法制(戦争法)の下で集団的自衛権や海外での武力行使が可能となった自衛隊を9条に書き込めば、海外での武力行使に歯止めがなくなり、違憲の戦争法を合憲にし、憲法9条を空文化することになります。
これに対して、作家の澤地久枝さんや瀬戸内寂聴さん、ノーベル物理学賞の益川敏英さんらが呼びかけて、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が結成され、3000万人を目標に安倍改憲に反対する署名運動が呼びかけられました。区内でも、「わたしたちの手で戦争法廃止を!このまち行動」が、本町、幡ヶ谷、西原地域を中心に、3年前から毎月宣伝・署名行動にとりくむなど、粘り強い草の根の運動が続けられています。
憲法9条を守り生かすことこそ、平和をつくりだす最大の力です。日本を再び「戦争する国」にする安倍改憲を絶対に許してはなりません。
区長は、「平和は大事」と考えるなら、安倍政権による改憲に反対し、全国市民アクションの改憲反対署名に賛同すべきです。所見を伺います。
(2)核兵器禁止条約について
今年7月7日、国連は人類史上初めて核兵器を違法化する「核兵器禁止条約」を、122カ国の賛成で採択しました。条約は、核兵器の開発やあらゆる実験、配備、使用、「使用の威嚇」である核による抑止や「核の傘」も明確に違法化しました。
私は、同条約が採択されて初めてとなる原水爆禁止世界大会に参加しましたが、被爆者とともに国連や各国政府代表、日本と世界の市民運動がともに核兵器禁止条約の採択を喜び合い、これを力に核兵器廃絶へ踏み出す決意がみなぎる感動の大会となりました。
条約への批准が始まった9月20日には、51カ国の政府がこの条約に署名し、来年の発効が確実となる中で、安倍政権が「条約は有害」と言って批准を拒否していることは、到底許されるものではありません。
世界で7439、国内1683都市が加盟し、区長も参加する平和市長会議は、8月の総会で、核兵器保有国を含むすべての国に対し条約への加盟を要請し、一日も早い発効を求める「特別決議」を採択。「ヒバクシャ国際署名」と連携し、「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名にとりくむことを決めました。同会議副会長の田上長崎市長は、長崎の平和記念式典で、「唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください」と訴えています。
区長は、政府に核兵器禁止条約の批准を求めるべきです。そして、渋谷から核兵器廃絶のメッセージを発信するために、「被爆者国際署名」と「核保有国等に対し、『核兵器禁止条約』の早期締結を求める署名」にサインし、公表すべきです。所見を伺います。
また、区として非核平和都市宣言を行い、小中学生の代表を平和使節団として、毎年広島・長崎に派遣し、区庁舎で原爆展を開催するなど平和市長会議も重視する「核兵器の非人道性に関する啓発活動」を行うべきです。区長の所見を伺います。
(3)築地市場の豊洲移転計画について
小池都知事は、豊洲新市場の土壌も地下水も環境基準以下にするという約束を撤回し、豊洲新市場への早期移転を進めようとしています。しかし、都が8月に実施した地下水モニタリング調査では、環境基準の120倍ものベンゼンが検出され、新市場の96店舗でカビが発生するなど、安全とは程遠い状態です。
地下空間のコンクリート敷設などの追加工事も、専門家から安全対策にならないと指摘されており、築地の業者は、「汚染された豊洲新市場へ誰が行くのか。『築地を守る』と言った小池知事を信頼していたが、今は怒りがふつふつとしている」と声を上げています。
豊洲の無害化という都議会、都民、業者との約束を破り、食の安全が確保できない豊洲への市場移転を強行することは許されません。築地での現地再整備を都に求めるべきです。区長に伺います。
実質賃金は、今年7月度も前年同月比マイナスとなり下がり続けています。また、年金も減らされるなど、消費支出は前年比0.2%減少しています。その上、社会保障の負担増などによって、区民のくらしはますます厳しくなっています。
ところが区長は、この間、障がい者の福祉タクシー券の削減や国保料の値上げなど、区民に負担増と福祉切り捨てを強いてきました。その一方、区の貯め込みは、都市整備基金442億円余、財政調整基金359億円余の合計802億円にも達しています。
また、渋谷駅周辺再開発事業に90億円以上の税金投入を進め、庁舎建替え事業や宮下公園整備事業では、区民の財産を大企業に使わせるなど、大企業のもうけ最優先の逆立ち区政を続けてきました。
党区議団は、「成熟した国際都市」、「都市間競争に打ち勝つ」ことをめざす基本構想は財界戦略だと批判してきました。財界戦略である内閣府の「日本再興戦略2016」では、大企業のために、規制緩和や民間活力の導入で公的サービスや公共財産を活用させて21兆円の市場拡大を狙っていますが、区長の予算編成方針はまさに財界戦略を加速するものです。
渋谷駅周辺再開発事業への税金投入や区道の付け替えはもとより、庁舎の土地や宮下公園を定期借地して大企業のもうけに提供する事業、「渋谷川環境整備」、区立公園整備に「民間活力の導入」、防災フェスに象徴される「官民連携事業」、スポーツセンターの指定管理化や数多くのイベント事業など、すべて財界戦略にもとづいて大企業のもうけを最大限にするものです。これらを区民や議会無視のトップダウンで、区民の福祉、くらしの切り捨てと一体に進めることは、自治体の役割を投げ捨てるものであり許されません。
財界、大企業のもうけに奉仕する逆立ち区政を転換し、くらし、福祉最優先、区民参加を貫く自治体本来の姿を取り戻すべきです。区長の所見を伺います。
この予算編成方針では、保育料の値上げを検討し、「使用料、手数料等の公課」の「検討・見直し」を行うとして、区民負担を増やそうとしていますが、本来、保育料や使用料などの公共サービスは、憲法25条の生存権を保障する立場で、経済力にかかわりなくだれでも享受できるよう保障すべきものです。応益負担の考えは、経済的弱者が公共サービスを利用しにくくし、住民福祉に逆行するもので導入すべきではありません。
また、委託事業は「効率化を指導し、経費節減に努める」としていますが、福祉分野で委託事業者に効率化と経費節減を迫れば、人員削減によるサービスの質の低下、経費負担の大きな事業の削減や利用料の値上げによって、区民の福祉が切り捨てられることになります。
区民への負担増と福祉切り捨ては認められません。税金の使い方を改め、802億円の貯め込みも活用して福祉の向上と区民負担軽減に活用すべきです。区長の所見を伺います。
(1)宮下公園整備事業について
宮下公園を三井不動産に定期借地し、3階建ての巨大商業施設やホテルを建てさせる事業には、区民から、「渋谷区による特定企業への利益供与」などの厳しい批判が上がっているにもかかわらず、区は、区民や区議会にも知らせず、6月22日に、三井不動産との間で定期借地契約を締結しました。
この「事業用定期借地権設定合意書」第2条は、区と三井の合意があれば借地期間の満了日の「3年前までに、その満了日の翌日を始期とする新たな事業用定期借地権設定契約を締結することができる」としており、結局、三井不動産が希望すれば、半永久的にこの土地を使い続けられる契約です。さらに第12条で、区がこの土地の所有権を譲渡する時は、三井不動産が希望すれば、区は「優先的に協議に応じる」とするなど三井不動産の儲け最優先、至れり尽くせりの契約になっています。
区長に伺いますが、区民の大切な公園を三井不動産に34年10カ月もの長期にわたって提供し、前払金を含めて賃料総額が235億円を超える契約を、区民にも議会にも知らせず締結することが許されるのか、所見を伺います。三井不動産は、商業施設のテナント料やホテル建設などで、借地期間中にいくら経常利益を見込んでいるのか、伺います。
私の調査では、品川区内で路線価が1㎡226万円の土地約1万㎡をホテル建設の目的で30年間定期借地する賃料総額は約720億円です。一方、宮下公園の路線価は1㎡557万円と倍以上なのに定期借地の賃料総額が235億円余と、異常な安値です。
本契約は、宮下公園を不当な安値で三井不動産に定期借地して便宜をはかるものであり、到底区民の理解を得られるものではありません。解除すべきです。区長に伺います。
国土交通省の都市公園法運用指針では、「都市公園は、本来、屋外における休息、レクリエーション活動を行う場であり、都市環境の改善、生物多様性の確保等に大きな効用を発揮する緑地を確保するとともに、地震等災害時における避難地帯としての機能を目的とする」と規定しています。区民の公園を大企業のもうけの場に変えることは許されません。
宮下公園整備事業は、区の事業として区民参加で進めるべきです。区長の所見を伺います。
(2)神泉児童遊園地について
区民から、「神泉公園で突然工事が始まった。何のためか」との連絡があり、調査をしたところ、公園の隣地に東急電鉄が所有する土地建物をホテルに改修する工事と一体に、東急電鉄が主要株主となっている開発会社に、神泉公園を改修させていることがわかりました。
計画では、砂場やブランコなどの遊具は撤去し、ホテルとの境界を無くすことで、公園に面したホテルのロビーから直接出入りできるようにするもので、いわば公園を「ホテルの庭」のように自由に使わせる改修であり、区民の公園を使ってホテルの資産価値を上げるものです。この再開発を進めている企業は、「将来的に指定管理の受託を視野に入れる」と本音を語っています。しかも、このことは議会にも近隣住民にもまったく知らせないで進められています。
区長に伺います。どういう経過でこの計画は始まったのか。また昨年12月8日に、区長はホテル事業者、東急電鉄社長、公園の施設設置等許可申請者と4者でこの事業全体について合意したと聞いていますが、一体何を合意したのか。内容を伺います。またこの改修費用は事業者が負担すると聞いていますが、費用はいくらか、伺います。そもそも、区民にも議会にも知らせないで、区長が勝手に区民の公園の在り方を変更することが許されるのか。所見を伺います。
神泉児童遊園地は、児童福祉法第40条にもとづいて、子どもに「健全な遊びを与えて、その健康を増進し、または情操を豊かにする」ための健全育成を目的とする公園です。また近隣住民に良好な住環境を確保する上でもかけがえのない役割を果たしてきました。大企業のもうけのために提供することは断じて認められません。
この公園を児童遊園地として存続するのですか。区長に所見を伺います。
住民からは、「住民には全く知らせず、区長がトップダウンで、区民や子どもの公園を改修させるなど区政の私物化だ」、「公園を大企業のもうけのために使わせて、住民には住環境の悪化を押し付けるなど、区のやることじゃない」など、厳しい批判の声が上がっています。
住民無視で、大企業の儲けのために神泉児童遊園地を使わせる改修工事は直ちに中止すべきです。区長の所見を伺います。
区長が予算編成方針で示した「民間活力の導入」で公園を整備させるやり方は、区民の共有財産である公園を大企業のもうけのために開発させる手法であり、住民参加、福祉の向上という地方自治の本旨に反するもので認められません。撤回すべきです。区長に所見を伺います。
この事業は、「アジアヘッドクォーター特区」などに指定し、容積率の緩和や減税を誘因に100m以上のビルを6棟も林立させる事業で、5街区すべてに東急グループが参加する、まさに東急のための再開発事業です。
区長が来年度予算編成方針で示した渋谷川環境整備計画は、渋谷駅南街区に東急電鉄が建設中の高さ180mの店舗、ホテルなどのビルのそばの渋谷川にフタをして稲荷橋傍につくる広場と金王橋傍の広場と合わせて2カ所のイベント広場をつくらせ、さらに代官山につながる緑道の整備など渋谷川沿線600mを再開発しようとするものです。
この事業を可能にするために、「河川敷地占用許可準則」という規制緩和の手法を活用して、本来区が占有管理する渋谷川河川敷を、「区が主催する渋谷川環境整備協議会による地域の合意」を条件に、東急に再開発させるものです。
区は、桜丘地区街区との間に「新南側自由通路」として陸橋を整備するために20億円もの区民の税金を投入する計画を進めていますが、この事業によって、さらに東急のためのまちづくりに奉仕しようとしています。しかも、議会にも区民にも一切報告していません。
区民の合意もなしに、東急の儲けのために渋谷川を提供する渋谷川環境整備事業は中止すべきです。渋谷駅周辺再開発事業への90億円の税金投入もやめるべきです。区長の所見を伺います。
当初、福祉事務所には多くの区民が訪れることから、新庁舎2階に設置する計画でしたが、突然、建替え後の高齢者ケアセンター2階に移す案に変更されました。
区は、プライバシー保護のためといいますが、生活に困っている区民の窓口を本庁舎から切り離せば、新たな差別と偏見を生み出すことになります。生活保護は、すべての国民に保障された憲法25条の生存権に基づく制度で、だれもが困ったときに気軽に相談でき、受給できるようにするのが行政の責任です。福祉事務所を、庁外に追いやることは住民福祉の機関としての自治体にあるまじき暴挙です。また相談への対応で、国保や介護保険、高齢者福祉、障がい者福祉の窓口などとの連携も必要です。区民からは、「生活困窮者を庁舎から排除することは許せない」などの厳しい批判の声が上がっています。
区民福祉の増進を責務とする区が生活保護の相談・申請窓口を庁外に移すことは止めて、福祉事務所は、当初計画通り本庁舎の2階に設置すべきです。区長の所見を伺います。
現在、新庁舎の建設が進んでいますが、「三井不動産の分譲マンションに比べて、庁舎があまりに小さい。誰のための庁舎建設なのか」との区民の声や「区民の申請書などを保管する場所もない」などの職員の声が上がるなど、区民や職員の声が反映されていません。
これらは、区民サービスの拠点である庁舎の整備なのに民間活力を導入したために、三井不動産レジデンシャルの儲けが優先され、区民、職員の声や福祉が切り捨てられているのです。
庁舎建替え事業に、区民や職員、専門家の声が十分反映されるよう開かれた検討委員会を設置すべきです。区長の所見を伺います。
国民健康保険料は、今年で13年連続の値上げとなり、昨年比一人平均7,231円の値上げです。負担の限界を超える国保料に区民の怒りが広がり、今年度の保険料通知に対して、1週間で600件を超える苦情や問い合わせが殺到しました。
年収300万円の夫婦と子ども1人世帯の国保料は、29万8千円と重い負担です。非正規で働く44歳の女性は、手取りが月9万円、国保料が年5万2952円で正社員の時に貯めた預金を取り崩す生活です。「服を買うのはずっとがまんして、預金を崩すたび不安が募る」と訴えています。
国民健康保険制度は、憲法25条の生存権にもとづいて、だれでも平等に医療にかかれる権利を保障する国民皆保険制度の根幹です。しかし被保険者は、高齢者や失業者、非正規雇用などで保険料負担能力が低いことから、国や自治体の負担がなければ成り立ちません。
ところが政府が国庫負担を減らし続けた結果、国保の総会計に占める国庫支出の割合は、1984年以前は50%あったものが、今では24.1%に半減し、都の区市町村への補助も、90年代に一人当たり8000円以上支出していたのに、15年度には1700円へと8割近くカットされました。まさに国保料の高騰の最大の原因は、国と都が負担を減らしたためです。安倍政権は来年度からの国保の都道府県化によって、いっそうの公費負担の削減を狙っていますが、国保制度の解体につながる国庫負担の削減を許すわけにはいきません。
区長は、これ以上の国保料の値上げを止め、引き下げるために、国、都に対して財政負担を増やすよう求めるべきです。所見を伺います。
国保の都道府県化の下でも、区の責任で保険料を決め、加入世帯から徴収することに変わりありません。しかも、7月に厚生労働省が示した改訂ガイドラインでも、国保財政に対する一般財政の投入を認めているのです。
堺市では、市民のくらしを守るために8年連続で、国民健康保険料を値下げしています。
区として、一般財源を投入して、高すぎる国民健康保険料を引き下げるべきです。区長の所見を伺います。区長判断で行える申請減免の基準を生活保護基準の1.2倍まで拡大して、低所得者の国保料負担を軽減すべきです。区長に所見を伺います。
(1)待機児解消について
今年度中に開設予定の保育園は3園、来年度中の開設予定の保育施設は8施設であり、区として、認可保育園の増設を中心に待機児解消に努力していることは評価します。
一方、今年4月に認可保育園に入れなかった子どもは706人で、その内0歳から2歳が668人と低年齢児に集中しています。100人規模の保育園で0から2歳児までの定数は、おおよそ50人程度なので、待機児解消のためには100人規模の認可保育園を13園以上新設する必要があり、現在の計画では不十分です。
今年待機児となった保護者からは、「保育園に落ちました。第2子は保育のむつかしさから考えにくい」など切実な声が寄せられています。
希望するすべての子どもに健やかな育ちと発達を保障する保育を求めた児童福祉法24条からすれば、区の責任で直ちに追加の認可保育園増設計画を立てなければなりません。
保護者の切実な声に応えて、区として、来年度こそ保育園待機児ゼロを実現するよう早急に認可保育園の増設を進めるべきです。区長の所見を伺います。
(2)区立保育園の増設について
区立保育園は、待機児解消を進める上で、計画から開設まで区が直接整備するため、スピードをもって増やすことが可能です。また、区立保育園の保育士の募集には多くの保育士が集まっており、保育士不足対策にも役立ちます。園庭の確保も区が行うことができます。
さらに保育士の処遇をはじめ障害児の受け入れや調理師の配置など、区立保育園は渋谷区の保育の質を確保する上で重要な役割を担っています。
区が、この間新規増設した保育園は民間だけです。その背景には、国や都が、公立保育園の施設整備費や運営費の補助を出さなくなったことがあります。
北区は、スピード感をもって保育園を整備するために、4月から区立保育園4園を開園、区の正規職員を80人確保し、さらに来年度40人募集する計画です。
待機児対策としての保育園増設は、区立保育園を中心に行うべきです。また、国や都に対して、公立保育園の増設、建て替えや施設整備費、運営費への補助を行うよう求めるべきです。区長の所見を伺います。幡ヶ谷2丁目都営住宅跡地や代々木公園の西側敷地など都有地活用の動向はどうなっているのか、合わせて区長に伺います。
都は保育園など福祉施設の用地確保を積極的に進めるとして、都有地活用推進本部を設置しています。推進本部と連携して、区内の都有地を再調査し、保育園整備用地として確保するよう求めるべきです。また、国有地、民有地の確保についても都有地として買い上げ、無償または低額で貸し出すよう都に求めるべきです。区長の所見を伺います。
(3)保育料について
区長は、来年度予算編成方針で、保育料の値上げを検討することを明らかにしました。現在、区の保育料は年収400万円以下が無料、段階的に1000万円まで減額措置があり、認可外保育所などの子どもも対象です。昨年度は、無料が延べ6,216人、軽減は延べ12,227人と合計延べ18,443人が減免されています。子育て世帯にはかけがえのない制度であり、保護者の強い要望で実現した全国に誇る制度です。
保護者からは、「渋谷で子どもを産み育てられるように、保育料の負担軽減は続けてほしい」との声が上がっています。保育料の値上げはやめるべきです。区長の所見を伺います。
(1)子どもの貧困対策の強化について
[1]貧困対策支援員の配置について
党区議団が視察した那覇市では、子どもの貧困は、「子どもが本来享受されるべき機会や権利が様々な原因により与えられないこと。奪われること」として、市が主体となって「子ども基金」を設立、32人の「貧困対策支援員」を中学校単位で配置しています。子どもを権利の主体ととらえ、就学期から就職後まで切れ目なく、課題を抱えている子ども一人一人に寄り添い、子どもが自らの未来を自らの力で切り拓いていくための支援を行っています。
支援員は社会福祉士や精神保健福祉士で、学校からの情報提供をもとに、気になる児童生徒の家庭等を訪問し、居場所や障がい者自立支援サービス等の公的サービスの手続きに結び付け、児童相談所や子育て支援室と連携して虐待ケースに対応するなど、家庭の状況に応じて、この間332世帯471人を支援しています。
本区でも、貧困の連鎖を断ち切り、すべての子ども達が、自らの未来を自らの力で拓いていく支援をするために、中学校区単位で支援員を配置すべきです。区長の所見を伺います。
[2]小中学校給食の無償化について
都の「子どもの生活実態調査」では、調査対象の小学5年生と中学2年生の約1割の家庭が過去1年間に金銭的な理由で必要な食料を買えなかった経験があると答えており、子どもにバランスの取れた栄養を確保し、食育を進める上で学校給食の無償化は待ったなしです。
私の調査では、公立小中学校給食を無償化している自治体は、昨年度63自治体から83自治体へと20自治体増えています。
本区の学校給食の年間平均負担額は、小学校高学年で5万880円、中学校で5万8,926円となっており重い負担となっています。無償化に踏み出すには、年間3億3千万円余り必要ですが、区の貯め込みのほんの一部で実現できるのです。
子どもの貧困対策や食育の推進のために、学校給食の無償化に踏み出すべきです。区長の所見を伺います。
[3]就学援助について
文部科学省が、就学援助の準要保護児童に対する新入学児童・生徒学用品費について、単価の引き上げと入学年度前の支給を可能にするよう都道府県教育委員会に通知したのを受け、中学校では23区中9区、多摩地域では5市が支給時期を前倒しし、支給額を引き上げました。八王子市、武蔵野市、あきるの市では、小学生も対象にしています。
新宿区では、3500万円の補正予算を提案して、来年度の新小学1年生にも前倒し支給を拡大し、支給額も小学生は2万3890円から4万600円に、中学生は2万6860円から4万7400円に引き上げようとしています。
先ほど教育長の答弁で、新中学1年生から新入学学用品費の前倒し実施と答えられたことは、わが党区議団も毎議会ごとに実現を求めてきたもので評価します。それなら来年度の新小学生についても実施すべきです。また、来年度の小中学1年生から新入学学用品費を引き上げるべきです。また、就学援助の支給対象となる世帯の所得基準を、生活保護基準の1.5倍に引き上げるべきです。教育長の所見を伺います。
(2)すべての子どもに寄り添う教育を
[1]すべての子どもに寄り添う教育環境の整備について
公教育の役割は、すべての子どもの「人格の完成」をめざし、一人ひとりの子どもの学びと発達、成長に寄り添える教育環境を整備することです。
ところが「日本再興戦略2016」は、「初等中等教育でのプログラミング教育の必須化・IT活用による習熟度別学習、トップレベルの情報人材の育成」などによって、企業に役立つ人材づくりを進めています。区長が進めてきた全小中学生へのタブレット端末の貸与やシリコンバレーへの中学生派遣などは、大企業に役立つ人材づくりであり、財界戦略の先取りです。企業社会に役立つかどうかを尺度に、子どもを差別、選別すれば、子ども達に大きなストレスをもたらします。
日本の教育環境について、国連子どもの権利委員会は、「高度に競争的な学校環境が就学年齢層の子どものいじめ、精神障がい、不登校、中途退学および自殺を助長している」と懸念しています。本区の昨年度の不登校児童生徒は、小学校30人、中学校77人ですが、「不登校はどの子どもにも起こりうる」ことで、不登校児童生徒の後ろには、多くの子どもたちの苦しみがあるのです。
登校拒否・不登校問題全国連絡会は、子どもの学習権とともに成長発達する権利を充足する公教育の改革が必要だと指摘し、①全国一斉学力テストのような競争を煽る教育を改める。②教師の増員、少人数学級など、きめ細かな対応ができる教育環境の整備、③OECD諸国で最下位の教育予算を、少なくともOECD平均まで引き上げることを求めています。
企業に役立つ人づくりでなく、すべての子どもの「人格の完成」をめざし、一人一人に寄り添う公教育を実現するために、国に対して、教育予算の抜本的増額と教員の増員、小中学校の全学年を直ちに35人学級にするよう求めるべきです。区としても、少人数学級に踏み出すべきです。教育長の所見を伺います。
[2]放課後クラブについて
いま、放課後クラブでは、保育の必要な子どもの放課後の生活の場が保障されていません。
放課後クラブ室には、保育を必要とする子どもが静養するための一般児と区別した「専用室」がありません。多くの放課後クラブでは、平均参加者が省令で定めた支援単位である40人を超え、年度当初や雨の日など100人以上の子どもが利用するため「窮屈で行きたくない」との声が上がっています。子ども一人あたりのクラブ室の面積も、省令で示された1.65㎡の基準を大きく下回る放課後クラブが増えています。
本町学園放課後クラブでは、保育を必要とするB会員の5月の平均参加者は約117人、一人当たりの面積は1.06㎡と省令基準を大幅に下回っています。保護者や近隣住民からは、「落ち着いて過ごせる場所がない」、「第2グラウンドの体育館1階をクラブ室にしてほしい」など切実な声が上がっています。教育委員会としても緊急対応していると伺っていますが、根本的な解決にはなりません。
保育を必要とする子どもに良好な生活の場を確保するために、すべての放課後クラブ室を、省令で定める一人当たり1.65㎡以上に改善し、静養室を確保すべきです。本町学園放課後クラブのクラブ室については、直ちに改善すべきです。教育長の所見を伺います。