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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2018年第2回定例会 6月7日の牛尾まさみ議員の代表質問

私は日本共産党渋谷区議団を代表して、区長に質問します。
1、安倍政権の9条改憲と、職員の自衛隊訓練・体験研修について
(1)安倍9条改憲について
はじめに安倍政権がねらう9条改憲についてです。首相は安保法=戦争法の強行に続き、年内にも憲法9条に自衛隊を書き込む改憲発議を狙っています。この間公開された自衛隊の日報には、派遣されたイラクや南スーダンの戦場さながらの実態が報告されています。9条に自衛隊を書き込めば、「戦力は保持しない」と定めた9条2項は空文化され、海外での無制限な武力行使に道が開かれます。
憲法9条は、アジア諸国で2000万人、日本で310万人の尊い犠牲の上に、二度と戦争はしないと世界に誓って制定され、平和な日本を築く大きな力となってきました。
朝鮮半島では南北首脳会談に続いて米朝首脳会談も予定され、朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の終結という歴史的な転換を迎えようとしています。いま、国際社会で日本に求められているのは、憲法9条を生かした外交戦略をもち、平和外交をリードすることです。
5月3日の憲法記念日には、私も有明防災公園の集会に参加しましたが、昨年を上回る6万人が集まり、安倍9条改憲NOの全国統一署名も、1350万人以上から集まったと報告されました。区内でも、安倍改憲NO渋谷アクションが4月16日から20日まで連日とりくんだ宣伝行動には、延べ215人が参加し、317筆の署名が寄せられ、累計で2万人を超えたと聞いています。
区長は、「9条を含め、憲法を十分尊重する」と答弁されています。日本を再び『戦争する国』にしないために、9条改憲反対の署名に賛同し、区内外に区長の平和のメッセージを発信すべきと考えますが、見解をうかがいます。

(2)自衛隊訓練・体験研修について
つぎに自衛隊訓練・体験研修についてです。渋谷区は、防災課及び防災職員住宅に住む職員に突然メールを送りつけ、2泊3日で行う自衛隊訓練・体験研修への参加を募りました。職員労働組合が反対を表明したため、平成30年度管理職自衛隊訓練・体験研修として1泊2日に変更し、4月と5月に各15名の募集に変更されましたが、23区で自衛隊の訓練に職員を参加させるのは渋谷区が始めてです。
日本共産党区議団は、4月20日に区長に対し、研修を中止するよう申し入れました。4月23、24日の研修には8人が参加しましたが、5月は行なわれないことになりました。
識者からは、「自衛隊が持つ知識や能力は本来、防災ではなく戦闘準備のためのもので、訓練に職員を派遣することは消防や山岳レンジャー組織に派遣するのとはわけが違う」とコメントされています。研修計画の内容は、自衛隊の基本動作を訓練する「基本教練」や8キロメートルの歩行訓練、野外走・障害通過運動などとされ、自治体職員に求められる資質向上のためのものではありません。区民からも「なぜそんな研修が必要なのか」「自衛隊の訓練に参加させるなんて信じられない」ときびしい批判が寄せられています。
区職員の自衛隊訓練・体験研修は二度と実施すべきではないと考えますが、区長の見解をうかがいます。

2、福祉優先の区政について
つぎに憲法、地方自治法を指針にした福祉優先の区政についてです。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、大企業に空前の利益をもたらす一方で、労働者の実質賃金は低迷が続き、貧困と格差が大きく広がっています。社会保障費の伸びを毎年5千億円以内に押さえ込み、年金、医療、介護のすべてで給付削減と負担増を押し付け、今後も、消費税の10%への増税、高齢者医療や介護の負担率を引き上げ、生活保護基準の引き下げなどを強行しようとしています。
党区議団のくらしのアンケートには、「年金が生活保護費より低くなり、今後の生活が心配」「家賃負担が重く、公営住宅に入居したいが募集数が少なくて困っている」「今年の国保料は約40万円。23区の値上げは不当といっていいレベル」など、苦しい生活実態が寄せられています。
しかし、今年度予算で区は、国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料を軒並み値上げし、区民にいっそうの痛みを押し付けています。税収が増え続けているのに、生活保護の見舞金や障がい者の福祉タクシー券なども切り捨てたままです。その一方で大企業中心の再開発や官民連携事業には、惜しみなく税金を投入する予算となっています。また、ためこんだ基金も862億円に上るなど、区民のために使える財源は十分あります。
憲法25条は国民の生存権とともに国の社会保障の増進義務を明記し、地方自治法は、住民福祉の増進を自治体の役割としています。
区長は区民の厳しい暮らしの声をどう受けとめているのですか。区の基本姿勢として、憲法25条に反する国の社会保障切り捨てに反対するとともに、地方自治の本旨に基づき、区民の福祉優先の区政をめざすべきと考えますが、区長の所見をうかがいます。

3、国保、後期高齢者医療について
つぎに国保、後期高齢者医療についてです。
(1)国民健康保険料について
今年度は、国保財政の都道府県化が開始されるという制度改定の初年度でしたが、渋谷区では、加入者一人当たりの保険料は、平均で6,141円の値上げとなりました。年収400万円の40代夫婦と子ども二人の世帯の保険料は、49万102円で収入の12.5%にものぼり、負担の限界を超えています。同じ年収と世帯構成でも、協会けんぽならば約23万4千円で半額以下です。区民からは「こんなに高い保険料なんて払えない」と悲鳴が上がっています。
今年度の国保料決定に際して示された、区から都に収める納付金は、国と都の激変緩和措置がとられています。また、23区も保険料の引き下げのために一般会計からの繰り入れを行っています。これらは今後毎年縮小されるため、給付が増えなくても今後の保険料は毎年引き上げられていくことになります。
そもそも、保険料が異常に高くなった原因は、国が1984年以降、国保財政に対する負担を次々と減らしてきたことにあります。区長は国に対し、国保の負担を引き上げるよう求めるべきと考えますが見解をうかがいます。
今年度から、各区の判断で保険料率を設定しやすくなり、3区が独自に保険料を決めました。そのなかで千代田区では、一般会計からの法定外繰り入れを前年度並みに維持することで、保険料を値下げしました。年収400万円の40代夫婦と子ども二人の世帯の保険料は45万9631円で、渋谷区の新年度保険料に比べ3万471円も低く抑えています。
渋谷区では、2017年度予算に比べ、一般会計からの法定外繰り入れを3億7800万円も減らしました。私の試算では、渋谷区の今年度の値上げ総額は、約2億6千万円なので、一般会計の繰り入れを減らさなければ、千代田区のように保険料を引き下げることができたと考えます。渋谷区では、保険料滞納世帯が3割近くに上り、区民の負担の限界を超えています。今からでも高すぎる保険料を値下げすべきです。区長の見解をうかがいます。

子どもの均等割負担は被用者保険にはなく、多子世帯ほど国保料が重くなる原因となっています。子育て世帯の負担を減らすために、23区長会が東京都に子どもの均等割軽減を求めており、昨年7月には全国知事会も国に要望しています。
都内では、東大和市の第3子以降の均等割無料につづき、清瀬市が今年度から、前年の所得が300万円以下の世帯で18歳未満の子が2人以上いる世帯に対し、第2子以降の均等割保険料を最大で5割軽減する措置を開始しました。
党区議団は、第1回定例会で、18歳以下の第3子以降の均等割を無料にする条例提案を行いました。新宿区では400万円あればできると聞いており、渋谷区ではさらに少ない経費でできる施策です。
渋谷区でも、子どもの均等割軽減を都や国まちにせず、率先して実施すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
また、低所得世帯に対する申請減免制度をひろく周知するとともに、対象となる所得基準を、現在の生活保護基準の1.15倍から引き上げるべきです。区長の見解をうかがいます。

(2)後期高齢者医療保険制度について
75歳以上の高齢者を一つの医療保険に囲い込む後期高齢者医療制度は、発足以来10年を迎えました。今年度の平均保険料はわずかに下がりましたが、均等割が引き上げられたために、低所得の人の保険料は上がりました。安倍政権は、2017年度から低所得の人などが対象の特例軽減措置の縮小・廃止に踏み出し、現在1割の窓口負担を2割に引き上げることを狙っています。高齢者からは「年金が下がるのに負担は増えるばかりでは安心して暮らせない」と不安の声が広がっています。
そもそも病気にかかりやすい上に収入が少なく、くらしが不安定な75歳以上の方々を一つの保険に加入させる制度自体に無理があります。後期高齢者医療制度を廃止し、元の老人保険制度に戻すよう国に求めるべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
また、わが党区議団が予算修正で提案した75歳以上の住民税非課税世帯の医療費無料化も年間6億5千万円あればできます。低所得の高齢者でも安心して医療にかかれるようにするために区として実施すべきです。区長の見解をうかがいます。

4、つぎに介護保険についてです。
つぎに介護保険についてです。安倍政権がすすめた介護負担率の引き上げと低所得者対策の縮小で、介護の利用から締め出される人が相次いでいます。私のまわりでも年金が繰り返し減らされたため、介護が必要な状態であっても、お金の心配からサービスを受けようとしない高齢者が増えていることをひしひしと感じ、心が痛む思いです。保険料・利用料の負担を抑えながら、制度の充実や基盤の拡充を図るためには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。
日本共産党は、介護保険の国庫負担割合をただちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%(公費負担75%)に引き上げることを提案しています。区長は誰もが利用できる介護保険制度にするために、国に対し国庫負担の引き上げを求めるべきと考えますが、見解を伺います。

(1)保険料、利用料の負担軽減
保険料、利用料の負担軽減についてです。
渋谷区では今年度から3年間の第7期の第一号被保険者の介護保険料の基準額を前期比で5.86%、年間3,960円引き上げ、71,520円にしました。
区は、保険料の上昇について、被保険者数や要介護認定者数の増によるサービス利用料の増加をあげていますが、要介護・要支援認定者数は、3年間で約7%の伸びに対し、給付費は20%もの増加を見込んでいます。他区で見ると給付の伸びは、渋谷区と条件が近い港区で6.5%、特養を3か所増設する目黒区でも11.5%を見込んでいます。
介護給付費についてなぜ、20%もの伸びを見込んだのか、区長の見解を伺います。
港区は高齢者の全数調査も実施してくらしの実態を把握し低所得者の引き上げをしないですむように高額所得層の段階を増やし、中央区では10%への消費税増税分を給付に算入せず、両区とも介護給費準備基金を活用して保険料を上げていません。ところが渋谷区では、こうした努力はほとんど見られず、段階ごとの基準保険料への掛け率は変えていません。
当区では、非課税世帯であっても区の保険料の軽減を受けられない第三段階の普通徴収の収納率が5割台と著しく低くなっています。保険料軽減の対象を早急に住民税非課税世帯まで拡大し、預貯金限度額を廃止することが急務と考えますが、区長の見解をうかがいます。また利用料についても同様に対象拡大を図るべきです。合わせて見解をうかがいます。
第7期の保険料は普通徴収が6月から、特別徴収は10月の年金から天引きされます。今年の保険料通知を発送する際に区独自の保険料軽減制度の案内チラシを同封するなど、あらゆる機会に軽減制度を周知し、対象となる方が全員軽減を受けられるようにすべきです。区長の見解を伺います。

(2)生活援助の回数制限について
生活援助の回数制限についてです。国は今年10月から訪問介護の1か月の生活援助の回数を要介護1は27回、要介護2は34回などと決め、これを上回るケアプランを作成する場合はケアマネージャーに届出を義務付け、市区町村が点検・検証する給付抑制の仕組みを導入しようとしています。認知症の人と家族の会の代表は、認知症の人が在宅で暮らそうとすれば、1日に2回、3回の利用は十分想定されると反論し、在宅介護の実態を無視した根拠のない施策だとして撤回を主張しました。厚労省は、昨年11月に自治体がおこなった月90回以上利用している事例調査の結果を公表しましたが、96%が「適切またはやむを得ないサービス利用」と判断しています。区内のケアマネージャーからも「要介護高齢者は年齢、心身の状態、認知症のレベル、家族の有無や関係性などによって支援は異なる。サービス回数を制限することは妥当でない」との意見が寄せられています。
区長は根拠のない生活援助の回数制限を撤回するよう国に求め、区としても制限すべきではないと考えますが見解を伺います。

(3)特養ホームの増設計画を
特養ホームの増設についてです。今年4月の入所申込状況が報告されましたが、待機者は434人と依然として深刻です。5月につばめの里本町東が開設されても300人以上が入所できない事態です。今後の増設計画は高齢者ケアセンターの84床のみしかありません。
特養ホーム待機者ゼロを目指し、幡ヶ谷社教館に隣接する都有地や代々木2、3丁目の国有地を取得し、さらなる増設計画をたてるべきです。二つの土地の取得に向けた都や国との話し合いの現状と見通しについて、区長の答弁を求めます。また、施設に多床室を設けることや、横浜市が行っているユニット型個室の居住費を月5千円助成する制度などを参考にして、低所得の方も安心して入所できる施設を増やすべきです。区長の答弁を求めます。

5、生活保護について
(1)生活保護基準の引き下げについて
つぎに生活保護についてです。昨年12月、国は生活保護基準の5年ごとの見直しで、生活扶助を最大で5%引き下げる改定を行い、今年10月から3年連続で減額する予定としています。
今回の生活保護基準の見直しでは、子どもの多い世帯ほど削減額が大きく、区内の夫婦と子ども1人の世帯で年3万6千円、夫婦と子ども2人世帯では年10万8千円もの削減になります。母子加算も平均月2万1千円から1万7千円に引き下げられます。
生活保護を利用しているシングルマザーは「今でもぎりぎりの生活なのに月4千円も削られたら、子どもにも我慢してもらうしかない」と言っています。第1回定例会には、「生活保護基準引き下げの『見直し案』の撤回を求める請願」が364人から提出されました。
国連人権専門家は、5月24日に、政府が狙う生活保護費削減は「貧困層、とくに障がい者、1人親世帯、また高齢者の最低限の社会保障を脅かすものだ」として見直しを求める文書を発表しています。
区内の生活保護世帯は、3月末現在で2,890世帯、3,208人にのぼっています。すべての区民に対する生活保障の水準を引き下げることは、区の責務にも逆行するものです。
区長は国に対し、生活保護基準の引き下げを中止するよう求めるべきと考えますが、見解をうかがいます。
生活保護基準の引き下げは、受給者だけの問題ではありません。厚生労働省は、生活保護費の削減によって、保育料や就学援助、介護保険料や高額介護サービス費等の負担額の減免、難病患者等への医療費助成、障害福祉サービスの利用者負担上限月額など、47の低所得者向けの施策に影響が出るとしています。
当区では、生活保護基準が引き下げられた場合に影響をうける施策は何事業で、何人の区民に影響が及ぶのか伺います。また、各施策の基準を生活保護基準の引き下げと連動させないようにすべきと考えますが、区長の見解を伺います。

(2)夏冬の見舞金の復活について
渋谷区が法外援護として夏、冬に支給してきた各4000円の見舞金は、生活保護基準の一級地のなかでもとりわけ物価の高い渋谷区で、受給者の暮らしを支える大切な施策でした。しかし、区長は冷酷にもこれを廃止してしまいました。
区長には、見舞金の廃止が、区内の受給者の最低生活基準を引き下げたという認識はないのか伺います。そしてただたちに復活すべきと考えますが、見解を伺います。

(3)住宅扶助について
次に、国が引き下げた住宅扶助についてです。
渋谷区では二人世帯の上限額が69,800円から64,000円に、単身者は居住面積が15平方メートル以下の場合は53,700円から48,000円など、面積に応じて大幅な引き下げが行われました。しかし、当区では民間家賃が高いため、住宅扶助の上限額以下で借りられる物件はきわめて少ないのが実態です。
当区の被保護世帯の中で、基準の見直しによって住宅扶助を減らされた世帯は何世帯だったのか伺います。
港区や中央区では、単身世帯であっても住宅扶助額を69,800円の特別基準まで認めています。区内でも恵比寿、広尾、神宮前など、区の南東部では、港区と同様に住宅扶助額以下の物件を見つけるのはほとんど不可能です。また、そのほかの地域でも安いアパートの数は大きく減っています。
区長は国に対して住宅扶助限度額の引き下げをもとに戻すよう働きかけるべきです。また、受給者が住み慣れた地域で住宅を確保できるよう、地域の実情に応じて特別基準を認めるべきです。区長の見解をうかがいます。

6、渋谷駅周辺再開発について
次に渋谷駅周辺再開発についてです。区は東急中心の渋谷駅周辺再開発への国と区の補助金として、今年度も11億円以上を予算化し、総額で160億円もの税金投入を予定しています。今定例会には桜丘口地区の市街地再開発の区域内の区道7路線を廃止し、新たに3路線を認定する議案も提出されています。桜丘口地区では、10月の権利返還期限を前に、住民や小規模事業者の追い出しが進められています。私たちのところにも、わずかな補償で立ち退きを迫られている事業者から、「商売を続けていく見通しが立てられない」と深刻な相談が寄せられています。この相談者の話では、東急をはじめとする再開発組合が「行政のお墨付きはもらっている」と居丈高な姿勢で組合が示した条件を飲むよう迫っているとのことでした。
渋谷駅周辺再開発のために立ち退きを迫られている住民、事業者はそれぞれ何人いるのか伺います。また、弱い立場の区民、事業者を追い出して進める再開発に便宜を図る区道の廃止・認定や、区民の税金投入はやめるべきです。区長の見解をうかがいます。

7、新宮下公園整備事業について
つぎに新宮下公園整備事業についてです。区は、三井不動産に約1万平米の宮下公園を34年10か月にわたって事業用定期借地させ、3階建ての商業施設とホテル建設で莫大な利益を保証し、その一部で公園と駐車場などの施設を整備するとともに、区に年6億円の借地料収入をもたらすという、PPP手法ですすめています。昨年6月22日に事業用定期借地契約を締結しましたが、党区議団は、直後の第3回定例会で借地料が異常に安いことを指摘しました。
区民からも「宮下公園の定期借地料はあまりにも安いのではないか」という疑問も寄せられたことから、党区議団は独自に再鑑定を行いました。その結果は、総額で426億324万円の定期借地料となり、区の契約額の235億2100万円の1.8倍という驚くべき結果になりました。
専門家の意見では、借地料が大幅に安くなった理由として、大幅な地価高騰を考慮していない、ホテルを鑑定評価から外す、評価額を下げる仕掛けの三点を指摘しています。
第一の点では、区が鑑定評価した2015年7月時点と実際に定期借地契約を結んだ2017年6月の約2年間の間に、宮下公園付近の公示地価は24%上昇し、路線価は南街区で23.5%、北街区で25.6%も上昇しているにもかかわらず、値上がり前の鑑定評価額をもとに契約しました。
区長は、鑑定評価時と契約時の2年間に、大幅な地価の高騰があったにもかかわらず、なぜ再鑑定や時点修正を行わずに契約を結んだのかうかがいます。

第二に、18階建てのホテルを鑑定評価していないことです。
区が示した鑑定額は、215億6200万円です。専門家に依頼した不動産鑑定は、ホテルを含めずに、公園と駐車場を設置し、3階建ての商業施設を整備した場合として、185億3200万円という評価になりました。ホテルについては鑑定を行わずに、後から区が30億3千万円を加えたのです。しかし、私たちが依頼した専門家の試算によれば、ホテル建設によって上がる評価額は少なく見積もっても89億円にもなるとのことでした。高い収益性をもつホテルの評価として、30億3千万円はあまりに低いと言わざるを得ません。2015年7月にはすでに三井不動産は17階建200室程度のホテルを建設する計画を示し、区は承知していたのですから、専門家の鑑定評価でホテル建設を加えるべきでした。
なぜ区は、定期借地料の鑑定評価の対象にホテルを加えなかったのかうかがいます。また、区がホテルの評価額とした30億3千万円は見直すべきと考えますが区長の見解を伺います。

第三に、鑑定自体が、評価額を安くしようとしていることです。
鑑定評価では、適正な土地代から算出する方法では、南街区の接道が弱いことを理由にマイナス40%、屋上を公園にするために3階までしか建てられないことで59%を減価し、さらに都市公園だからという理由で35%も差し引いています。また、完成後の建物から得られる利益から算出する方法でも、テナント料を相場より1割以上も引き下げる一方、通常の商業ビルの維持管理費が賃料収入の1割程度であるのに、3割以上に設定し、利益を低く見積もっています。二つの鑑定社が共通して、通常ではありえない都市公園だからという理由での35%の値引き、3割を超える維持管理費を見込んで、年間5億9千万円台の定期借地料の評価額としています。
区が行った鑑定は、2014年に三井不動産が提案書で示した235億2100万円の定期借地料を妥当であるとし、三井不動産の言いなりで契約書を締結するためのものであったからこそ、特別な値引きの方法がとられたのではありませんか。区長の見解を伺います。
地方自治法第237条は、「普通地方公共団体の財産は、条例または議会の議決による場合でなければ、…適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない」と定めています。
あらためて公正な第三者による再鑑定を行うとともに、三井不動産がどれだけの利益を見込んでいるのか収支計画を明らかにさせるべきです。区長の見解を伺います。

区は安い定期借地契約だけでなく、区民の反対の意見を全く無視した都市計画決定、ホームレスの強制的な追い出し、東京都下水道局の土地の又貸しなど、数々の便宜をはかり、三井不動を支援してきました。その一方で、区民への説明会は昨年10月に一回しか開かず、工事説明会には区議会議員さえ排除したまま、整備事業を進めてきました。
宮下公園を34年10カ月もの長期にわたって差し出し、区民を排除して三井不動産に最大限の利益を保証するやり方はやめるべきです。公共事業にふさわしく公平性、透明性を確保するためにも、宮下公園整備事業は区民参加で見直すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。

8、渋谷未来デザインについて
つぎに渋谷未来デザインについてです。4月2日、区が7千万円の税金を投入し、4人の職員を派遣して、区長肝いりの産官学民連携の渋谷未来デザインが設立されました。
渋谷未来デザイン設立に当たってのインタビューで、区長は、「行政や企業のリソース(資源)をお互い持ち出して、シナジー(相乗効果)を生み出していくイメージ」と言い、また、「各地のアーバンデザインセンターと渋谷未来デザインが違うのは、自立しようと自分たちで収益を上げようと考えている点だ」とし、渋谷未来デザインは区が企業と連携して、利益をあげる団体だということを公然と語っています。
こうした組織に区が人も金も出すことはやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
さらに、具体的にどのように稼ぐのかという質問には、「地方のモノを渋谷でPRしたり、現状は禁止されている公道での有料イベント、行政が持っているビッグデータと企業のビックデータを掛け合わせると、マーケティングで非常に有用になる」と答えています。昨年のダイバーシティサミットで区長は、区役所内の膨大な情報を整理整頓していると言い、住民データや生産活動のようなデータを蓄積して企業が持っているデータと重ねることを例示しています。また国は行政機関が持つ個人データを匿名加工を条件に民間解放し、企業からもデータ提供を要請できる法律を成立させました。ビッグデータは複数の情報を重ねあわせることで、個人が特定できるとも言われており、行政の守秘義務が形がい化され、情報漏えいの危険は格段に高まります。
区長が、行政が持っている個人情報を含むビッグデータまで、企業の利益のために差出そうとしていることは、自治体として絶対に許されないことであり、やめるべきです。区長の見解を伺います。

9、広尾病院を都立のまま存続することについて
つぎに広尾病院を都立のまま存続することについてです。東京都は今年3月、「都立病院新改革実行プラン2018」を発表し、都立病院を地方独立行政法人化する検討を進めるとしました。独立行政法人化された病院は、独立採算の運営が求められることによって患者負担が増やされ、職員の労働条件の悪化がもたらされます。そうなれば、救急、小児、周産期、精神、難病、感染症などの不採算とされる医療が担えなくなりかねません。区内にある都立広尾病院は、このほか伊豆七島などの島嶼医療を担うとともに、23区の災害基幹病院としての役割を担っています。こうした医療は都が直接になってこそ安定して提供することができるのです。
石原知事が都立病院改革マスタープランで経営形態の見直しを打ち出したときに、渋谷、港の区民と病院職員で結成された『広尾病院を都立のままで存続充実させる会』は、一貫して都立直営が住民の願いであることを訴えて、活動してきました。以来10年が経過しましたが、広尾病院は青山移転の計画も現在地での建替えに方針を転換させ、都立直営を守らせてきました。
公的医療を担う広尾病院の役割を引き続き安定して提供するとともに、区民の医療要望に応えていっそう充実させるためにも、区として東京都に対し、広尾病院の地方独立行政法人化の検討をやめ、都立のまま存続するよう求めるべきです。区長の見解をうかがいます。

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