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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

2018年第2回定例会 「介護保険「生活援助(清掃・洗濯・調理・買い物等)」運営基準見直しに関する請願」に対する、牛尾まさみ議員の賛成討論

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました「介護保険『生活援助(清掃・洗濯・調理・買い物等)』運営基準見直しに関する請願」の採択に賛成する討論を行います。

 国は今年10月から実施する「生活援助運営基準の見直し」にかかわる訪問介護の1か月の生活援助の回数を告示しました。それによると要介護1は27回、要介護2は34回、要介護3は43回、要介護4は38回、要介護5は31回で、これを上回るケアプランを作成する場合はケアマネージャーに区市町村への事前の届出を義務付け、地域ケア会議で点検・検証し、必要に応じてサービス内容の是正を促すとされています。しかし、こんな給付抑制は認めることはできません。

 その理由として、第一に、訪問介護の生活援助が介護認定者の状態の維持や重度化防止にとって大きな役割を果たしているからです。実際、一日に二回以上の生活援助を受けている高齢者は、「認知症で食べこぼしが多く毎食後の掃除が必要「食事形状を調整しないと食べないため、毎食調理している」などの実態があり、複数回の生活援助が日々の生活に欠かせない支援となっているのです。「認知症の人と家族の会」の幹部は、「生活援助は認知症の進行を緩やかにする側面もあり、利用制限はそうした生活の大きな妨げになる。要介護者を住み慣れた地域で支える地域包括ケアシステムの考え方にも反する」として運用方針に反対する意見を主張しています。また、ケアプランを作成するケアマネージャーも、「ケアプランを全国平均の数で管理するのはケアマネジメントの専門性を無視することにつながる」と批判しています。

 第二に、厚生労働省が示した回数は、科学的な根拠もなくサービスを制限するものだからです。国が告示した届け出基準の回数は、「全国平均利用回数プラス2標準偏差という統計上の数字に過ぎません。介護保険サービスは、その人の個別性や必要性に応じて提供されるのが本来の姿です。実際、厚生労働省は昨年11月に41区市町村がおこなった月90回以上利用している48例の調査結果を公表しましたが、利用者の8割が認知症で7割が独居の高齢者でした。区市町村が適切でないとしたのはわずか2件で、そのほかは「適切またはやむを得ないサービス利用」と判断しています。

 国のねらいは、生活援助の回数を示すことによって、ケアマネージャーにそれ以上の回数のケアプラン作成を自制させ、給付抑制を図ろうとするものです。こんなことは認められません。

 請願では、今年10月からの実施を前に、区に対して、①生きるために必要な生活援助を切り捨てないように運営されること、②「自立生活支援の見守り的援助」への誘導は、「利用者の身体状況や生活実態に即し」行うこと、③権利としての介護保険の見地から、判断能力に応じた支援・保護のあり方を具体的に示すことを求めています。権利としての介護保険とは、公的介護制度の中で、高齢者の尊厳を守りながら毎日の生活を支えるサービスが提供されるべきものです。

 また、国が進めようとしている地域包括ケアシステムのなかで、資格を持ったヘルパーに変えてボランティアのご近所や友人に置き換えようとしていることに対し、「介護は継続的教育・訓練で個別状況に向き合える専門性を備えている必要性があります」として、教育・訓練のないご近所や友人と、専門的な介護の担い手とは明確に分けて活用することを求める意見書を提出することを求めています。人間らしく生きるために生活援助を必要とする高齢者が、専門職によるサービスを受けられなくなることのないよう、国に意見書を提出すべきです。

 以上、請願への賛成討論とします。

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