ただいま議題となりました「憲法9条改定はすべきでない旨の意見書採択を求める請願」について、私は日本共産党渋谷区議団を代表して賛成の討論をいたします。
本請願は、安倍首相が昨年5月3日の憲法記念日に「憲法第9条の1項、2項をそのまま残し、その上で憲法に自衛隊の存在を明記する」との改憲案を提起し、「1項、2項は残るので、自衛隊を明記しても従来と変わらない」と表明しました。これに対し、新たに自衛隊の存在を書き込めば、1項、2項を残しても、後法優先の原則によって、1項、2項は死文化すること、そうなれば災害救助で奮闘し、専守防衛の自衛隊が、海外での戦争に動員され、日本は戦争する国になり、戦闘になれば、自衛隊員に犠牲者が出るだけでなく、現地の人々を殺傷し、日本がテロの対象になる、とその危険性をきびしく指摘しているのです。
加えて、本請願は、日本国憲法が、戦後73年間、日本が戦争に巻き込まれない歯止め、平和と安全の保障となり、国際的にも平和国家日本として高く評価されてきたこと、朝日新聞の世論調査の結果でも9条を変えた方が良い、が32%、変えない方が良い、が63%に上っており、改憲に反対の意見が増えていることを示し、渋谷区で憲法第9条改定はすべきでない旨の意思表示を求めているのです。
私がこの請願に賛成する理由の第一は、憲法第9条が恒久平和を願い、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることの誓いを守り抜こうと訴えているからです。
実際、憲法第9条は、日本が起こした侵略戦争によって、アジア諸国で2千万人、日本で310万人もの死者を出し、渋谷区でも、アメリカ軍の空襲によって、死者946人、重傷者4392人、全焼家屋6万7714戸、罹災者は14万8445人、実に区の面積の76・85%が焦土となりました。このような悲惨な事態は二度と繰り返してはならない、と誓い、定められたのです。
そして、日本国民は、この憲法を守り、戦後、73年間、日本は軍隊によって他国の人々を殺したり、傷つけたりすることは一切なく歩んできたのです。それは、日本人の誇りです。
第二の賛成の理由は、世界の流れも、国民の願いも、平和の方向に大きく向かっているからです。安倍首相が目指す憲法改定によって自衛隊が第9条に書きこまれれば、安保法制・戦争法の制定によって集団的自衛権行使が認められ、海外の戦争に自衛隊が出動することになります。これは世界の流れに逆行し、国民の平和の願いを蹂躙するものです。
さる12日には、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金ジョンウン委員長の会談が行われ、平和体制の構築、朝鮮半島の完全非核化が強く打ち出され、世界が平和の方向に大きく動き出し始めました。
こうした中で、日本に求められているのは、国際社会で憲法第9条をもつ国として、それにもとづいた平和外交を積極的に行い、戦争のない世界の実現のためのリーダーとして活動していくことです。
また、いま「安倍改憲NO!」の署名が渋谷区はもとより全国で取り組まれ、1350万人の署名が国会に提出されています。平和憲法9条を守りたい、という願いが大きく広がっているのです。
私は、渋谷区として安倍首相が目指す改憲は認められないとの意思を示して欲しい、という本請願は区民の強い願いであり、住民の代表機関である渋谷区議会がこの願いを真摯に受け止め、請願を採択し、意見書を議決することを強く求めて、賛成討論といたします。