私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました議案第35号 渋谷区立都市公園条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論します。
この条例は、昨年の都市公園法の改定に盛り込まれた「公募設置管理制度にもとづき、公園内に設置するカフェやレストランなどの収益施設等の建蔽率を、現在の2%から、特例として10%上乗せし、12%に緩和しようとするものです。
公募管理制度は、公園の再生、活性化を推進するとして、民間活力による新たな都市公園の整備手法として創設されました。都市公園において飲食店、売店などの公園施設の設置又は管理を行う民間事業者を公募により選定する手続きで、事業者が設置する施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、都市公園法の特例措置を与えるものです。
民間事業者が公園施設の設置や管理に参入しやすいよう、園路、広場等の公園施設の整備を一体的に行うことを条件に、①設置管理許可期間を最長10年から20年に緩和し、民間事業者の投資回収を容易にする、②公園施設の建蔽率を12%に緩和する、③自転車駐輪場や地域の催しに関する情報を提供するための看板や広告塔を占用物件として設置できる、などの特例措置が適用されます。
この手法は、安倍政権が進める民間企業が最も活躍しやすくするための成長戦略に基づいて、公共施設である公園を、民間事業者の利益を生み出すものに変えようとするものです。
しかし、こうした手法で公園の整備や管理を行えば、誰もが憩えるオープンスペースという公園本来の性格は大きくゆがめられ、商業主義的な利用が横行することになり、認められません。
公園設置管理制度の建蔽率の特例は、自治体が条例で定めなければ適用されません。質疑の中で区は、どの公園を公募管理制度の対象にするかは今後具体的に検討していくとして明らかにしませんでしたが、民間からの提案でこの制度を活用することもあると答弁しています。
渋谷区では昨年、神泉公園の整備が民間からの提案によって行われましたが、公園利用者にはなんら整備計画を示すこともないまま、突然、公園を閉鎖して工事が強行されました。しかも、整備後には、近隣の保育施設の子どもたちも使っていた砂場はなくなり、遊具も減らされ、その一方で隣接するホテル側の部分は、ホテルの前庭のように利用できるよう、コンクリートブロックのテラス風の造りに模様替えされました。地域の住民が求めた公園とホテルの境界の柵も設置されないばかりか、今では、ホテルからの出入り口まで作られ、事業者にとって使いやすい公園に変えられています。また、区立を代表する宮下公園は、三井不動産の営利を最優先にした整備が進められ、新宮下公園は、商業施設の屋上公園とされ、公共施設としての公園機能は失われようとしています。区立公園を事業者の利益のための公園にすることは認められません。
区長はさらに公園を民間の営利のために活用させる手法を広げることを明言しており、ササハタハツフューチャーセッションでは、民間事業者も加わって旧玉川上水緑道公園のあり方についての検討をすすめています。
質疑の中では、区内125か所のすべての公園が、公募設置管理制度の対象となりうると答弁されています。公園はカフェやレストランなどの収益施設の集客力を増やすための施設とされ、都市公園法が定める、誰もがいつでも無料で自由に使える公園ではなくなります。区長が提案している条例改正は、区民の公園を営利企業の利益のために差し出し、公園の性格を営利施設の付属物に変質させるもので認められません。
以上、条例に反対の討論とします。