私は、日本共産党渋谷区議団として、区長、教育長に質問します。
1、子育て支援について伺います
(1)まず子どもの貧困対策についてです。
2014年から施行された「子どもの貧困対策推進法」は、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、教育、生活、就労、経済的支援等の施策を国と地方公共団体の連携の下に、総合的な取り組みとして行ない、地方公共団体は地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとしています。
那覇市では、子どもの貧困対策の要として中学校単位に支援員を配置し、生活保護世帯だけでなく課題を抱える子どもを常に把握し、一人ひとりに必要な支援を行っています。また足立区では「子どもの貧困対策実施計画」を策定し、子どもの健康と生活実態を正確に把握し、貧困対策につなげるための調査を毎年実施しています。
渋谷区としても区内の子どもの実態調査を実施するとともに子ども自立支援員を中学校単位に配置し、切れ目のない総合的な貧困対策を実施すべきと考えますが、区長の所見を伺います。
(2)就学援助の入学前支給と支給単価の引き上げについて
渋谷区の就学援助は、小学生の5人に1人、中学生の3人に一人が受給し子育て世帯の負担軽減に大きな役割を果たしています。我党区議団は2016年の第2回定例会から毎回就学援助の入学前支給と支給単価の引き上げを求めてきました。文部科学省も、入学前支給と支給額増額を求める通達を出し、23区では中学生の入学前支給は全区で実施、小学校も17区で実施していますが渋谷区は検討中です
また、渋谷区の準要保護世帯の支給額は、小学生が2万3890円、中学生が2万4千円ですが、増額した豊島区や品川区など11区は小学生4万600円、中学生4万7400円です。港区と目黒区は、補正予算を計上し今年度中に増額します。
渋谷区の当初予算の見込みでは、必要な額は813万9000円です。
来年の小学校入学生から入学前に支給するとともに、小中学校の支給額も増額すべきです。あわせて、就学援助の所得基準を生活保護の1、5倍まで拡大すべきと考えますが教育長の所見を伺います。
(3)学校給食の無償化について
我が党区議団は、毎年学校給食の無償化を実現することを求め、今年度は条例制定と無償化の予算修正を提案し、年間3億4000万円で実現できます。当区の学校給食費は、小学生が平均年額4万9千円、中学生が6万2千円で、子育て世帯の教育費の中でも大きな負担となっています。現在小中学校の給食費の無償化は88自治体、一部無償化は114自治体に広がっています。
東京都の「子どもの生活実態調査」によれば小学5年生と中学2年生の約1割の家庭で過去1年間に金銭的理由で食事ができなかったことが明らかになりました。食育専門家の名古屋芸術大学の新村洋史教授は、「食育基本法では、給食、食育が知育、徳育、体育の基礎をなすとされていて、給食は教育無償化の範疇に入る」と指摘しています。
渋谷区も学校給食の無償化を早急に実施すべきと考えますが区長の所見を伺います。
(4)高校生の医療費無料化の実施について
渋谷区が中学生まで医療費を無料化していることに、多くの保護者が歓迎していますが、高校生まで無料にしてほしいとの声も広がっています。全国で高校生まで無料化している自治体は、福島県、鳥取県を含む378自治体、都内では千代田区が実施し静岡県も10月から実施します。
2016年に都が保護者に行った実態調査で、受診抑制の理由として、自己負担を払うことができないと回答した割合は、小中学生の保護者が約1%に対し、高校生の一般世帯は2、7%、困窮世帯では18、8%に上っています。その背景は保護者負担の教育費が公立高校で,年間38万円、私立高校で96万円となっていることです。
全国知事会も国に対し、すべての子どもを対象とした医療費助成制度の創設を求めています。渋谷区でも年間8000万円でできる高校生の医療費無料化を実施すべきと考えますが区長の所見を伺います。
(5)給付型奨学金の実施について
大学卒業と同時に400万円から1000万円もの奨学金返済に追われ、自己破産する若者が増加し社会問題となっています。
当区の中学卒業生に対する奨学資金貸付制度では、返済困難者への対応は返済猶予だけです。足立区では給付型奨学金と、教育ローンの返済支援も実施しています。区内の子どもたちが経済的理由で進学をあきらめることのないよう、渋谷区の奨学金も返済免除と給付型に改善すべきです。教育長の所見を伺います。
2 教育環境等の改善について質問します。
(1)体育館の全校冷房化について
今年は、7月から猛暑が続き都内の小中学校でも授業中に熱中症で生徒が緊急搬送されるなど問題となり、我党区議団は8月3日に、熱中症対策として、体育館へのクーラー設置を区長に申し入れました。台東区ではすでに26校中24校の体育館に設置され来年度で全校が完了します。しかし当区ではクーラーが体育館に設置されている学校は上原中、本町学園小中学校、神宮前小の4校だけです。小中学校は災害時には地域住民の避難所ともなる施設です。未設置の22校にも直ちにクーラーを設置すべきと考えますが区長の所見を伺います。
(2)通学路等の安全点検について
①6月18日に発生した大阪北部地震によって小学校のブロック塀が倒壊し、登校中の児童が犠牲になる痛ましい事故が起きました。渋谷区が行った区立小中学校等のブロック塀の緊急安全点検では、神南、広尾、笹塚、千駄谷、代々木山谷小学校と代々木中学校、渋谷保育園の7箇所の安全対策工事が必要とされ、すでに3校と保育園が完了したとの報告がありました。しかし代々木中学校のブロック塀には「注意、近日工事予定、地震の際、倒れる危険がありますのでご注意ください」の張り紙が、約2ヶ月間も張り出されたままで、近隣の方たちから、近くの保育園児の散歩道なので早急に工事をしてほしいとの声が上がっています。代々木中学校と千駄谷小学校の工事はいつ完了するのか、また他に工事の必要な学校教育施設はどこでその工事完了はいつになるのか合わせて区長に伺います。
② また、横浜市や江戸川、文京、新宿区などでは、個人が所有するブロック塀の除去工事とフェンスや生垣などの設置工事に対する補助制度を実施しています。横浜市は、30万円を上限に補助し300件分1億円の補正予算を計上しました。
当区でもかつて個人所有のブロック塀の除去費用と生垣設置の補助制度がありましたが現在はありません。子どもたちの通学路や、区民の避難路の安全を確保するための補助制度を復活すべきと考えますが区長の所見を伺います。
(3)35人学級の実施について
2011年度から小中学校の1年生と小学2年生は、35人学級となりましたがそれ以外の学年は、40人学級のままです。35人を超えるクラスは、小学校7、中学校4クラスで11人の教員を増やすことで全クラスが35人学級になります。文部科学省も来年度の予算要求で教師の多忙化を防止するために2861人の増員を要求していますが、区内の小中学校の教師からも早急に35人学級を実現してほしい、と要望が出されています。国と東京都に対して教員の増員を求めるとともに、区独自にも実施すべきと考えますが教育長の所見を伺います。
3 保育施策の充実について質問します。
(1)認可保育園の待機児解消について
認可保育園を希望する保護者は渋谷区の子育てアンケートでも56、6%にのぼっています。今年の4月、認可保育園に入れなかった子どもは485人、どこの保育施設にも入れなかった子どもは151人と依然深刻です。この間渋谷区が認可保育園を中心に保育施設を増設し、待機児解消に努力してきたことは評価します。今年10月に定数108人の保育施設を開設し、19年度以降3年間で小規模施設2ヶ所、認可保育施設の新設5か所と建て替え1カ所で499人の定数を拡大する予定ですが、この間待機児の9割をしめる0歳から2歳児の定数増と比べるとこれだけでは足りません。希望するすべての子どもたちの健やかな成長を保障し待機児0を実現するため、区立保育園を中心に認可保育園の増設をすべきと考えますが区長の所見を伺います。
(2)区立保育園の存続と保育の質の確保について
① 渋谷区はこの間、待機児がふえ保護者の存続を求める声も聞かず区立桜丘保育園をはじめ本町第二保育園など5ヶ所の区立保育園を廃止しました。渋谷区立保育園は長年区民の保育要望とそれに答えようと職員の人たちが努力してきた結果、保護者が安心して子どもを通わせることができる保育園として職員配置や施設整備だけでなく一人ひとりの子どもの成長に合わせたきめ細かな保育の質の面で区内の保育全体の牽引車の役割を担ってきました。建て替え中の区立笹塚第2保育園を含むすべての区立園の民間委託はやめて区立園として存続すべきと考えますが区長の所見を伺います。
② 世田谷区では「保育の質のガイドライン」を策定し、子どもの権利、職員に求められる資質、保育環境、保育内容、保護者支援など多岐にわたって具体的項目を示し、区の認可保育所整備運営事業者審査や巡回指導、保育士の研修などに活用しています。また世田谷区が2016年に待機児となった保護者に実施したアンケートでは「保育園の数を増やしていただきありがたいが、質をおとしてほしくない」等、量とともに保育の質の確保を求める声が多数出されていました。
渋谷区内でも保育の質を確保するために「保育の質のガイドライン」を策定すべきと考えますが、区長の所見を伺います。
③ 今年区内の低年齢児の保育施設から、新設された認可保育園に移った保護者から「朝の登園時に挨拶をしても職員は忙しそうで挨拶が返ってこない、他の子どもが泣いていても声をかけてみてもらえない、子どもの相談ができる状態ではない」との話しを聞きました。9月13日付け東京新聞は、児童福祉法施行令で東京都が年一回以上管内全保育施設に立ち入り、施設の安全面や保育士の数、子どもへの接し方など適切かを検査することが義務づけられている、実地検査の結果を報道しました。23区では、新宿区と江東区がそれぞれ39園と98園の全園検査を完了しています。これは都の検査待ちでなく、「子ども、子育て支援法」でできるようになった区独自の検査体制をとった結果です。しかし渋谷区は31園中2園だけの検査で他の2区と同様に23区最低となっています。年1回義務付けられている実地検査を全園で実施できるよう区独自の検査体制もつくるべきと考えますが区長の所見を伺います。
(3)職員の処遇改善について、
民間保育園の保育士不足は、依然として深刻です。原因は他の職種に比べ低すぎる賃金です。東京都と国による宿舎借り上げ補助制度、キャリアアップ補助、副主任保育士補助などが実施されています。キャリアアップ補助を受給するためには、研修が必要ですが、保育現場では研修に行く保育士の代替職員がいないために研修に参加出来ない実態があります。また宿舎借り上げ補助も区内に住んでいる人に制限されているため全職員の処遇改善にはつながっていません。渋谷区独自の賃金引き上げと借り上げ宿舎補助の対象拡大をすべきと考えますが区長の所見を伺います。
4 障がい者施策について質問します
(1)障がい者の雇用について
① 国の8割もの機関で、障がい者の雇用約6900人の半数が水増し偽装され実際の雇用は、40年前の水準だったことが発表されました。障がい者と関係者からは「裏切られた」「障がい者の雇用が奪われた」など大きな怒りの声が上がっています。各省庁は障がい者手帳などの確認を行わず長年にわたって弱視の人などを雇用率に含めていたことが明らかとなりました。障がい者雇用促進法では、4月以降46人以上雇用の民間事業所の法定雇用率は2、2%、国や地方自治体は、2、5%と定めています。障がい者雇用促進法を厳守しなければならない国が、雇用率に達していない民間事業所にペナルティとして納付金まで納めさせながら、自らは違法行為を行っていたことは、絶対に許されません。国には、社会の障壁を取り除き、障がい者に働く機会を保障する責任があります。佐藤聡障がい者インターナショナル日本会議事務局長は「さかのぼれば何万人という人の働く場が奪われ、人生を大きく変えられたことを真摯に受け止めてほしい」と訴えています。国は各自治体に対し実態調査を求めましたが、渋谷区に義務付けられている障がい者雇用の実態はどうなっているのか伺います。
② また渋谷区の障がい者の雇用拡大については、区長発言で臨時職員の採用と超短時間採用を試行的に実施するとのべていますが、それぞれ何人程度の採用を予定しているのか。
③ さらに、新庁舎の中に障がい者の製品を販売する場所の要望が長年出され実現すべきと考えますが区長の所見を伺います。
(2)報酬改定に伴う減収補助について
18年度から実施された報酬改定によって精神障がい者4事業所の訓練給付費収入が減収となることが明らかとなりました。一番減収が大きなみどり工房で約280万円、すみれ工房184万円など軒並み減収が見込まれ、このままでは事業継続にも影響が及びかねません。精神障がいの特性として病状が不安定で一定した通所を維持することが難しく、安定した訓練給付を得ることが困難となっています。事業所が通所者を増やす努力も始めていますが、事業所努力で解決できる問題ではありません。渋谷区として国に改善を求めるとともに、区内の精神障がい者の人たちが安心して通所できるよう事業所に対する運営費補助を行うべきと考えますが区長の所見を伺います。
(3)グループホーム等の増設について
現在利用されている区内の障がい者の入所施設は、「はぁとぴあ原宿」を始め9施設約90人で、来年は幡ヶ谷にグループホームと2020年には恵比寿西2丁目複合施設にも6室の建設が計画されていますが、足りません。
保護者の皆さんからは、障がいの重度化や親亡き後も住み慣れた渋谷で暮らしたいという切実な願いが出されています。グループホームやケア付き住宅を、本町1丁目の警察宿舎跡地や幡ヶ谷社教館横の都有地、代々木2、3丁目の国有地などに計画的に増設すべきと考えますが区長の所見を伺います。
(4)精神障がい者への福祉手当等の支給について
障がい者差別解消法が施行されましたが精神障がい者に対してはいまだに心身障がい者福祉手当や理美容券などが支給されていません。心身障がい者福祉手当は、すでに杉並区や品川区で1級の人たちに対して支給しています。精神障がい者の方たちは、病状が不安定なため他の障がい者より平均年収が大幅に低く家族の負担も大きくなっています。渋谷区として心身障がい者福祉手当や理美容券の支給を直ちに実施し障がい者間の差別をなくすべきと考えますが区長の所見を伺います。
5 羽田空港増便に伴う新飛行ルート計画について
国土交通省は、渋谷区を含む都心を低空飛行する計画を進めようとしています。計画によれば、南風運用時の年間約140日間の午後3時から7時の実質3時間に、A滑走路とC滑走路を利用する場合渋谷区の上空900mから600mを通過することになっています。A滑走路の場合は本町から、初台、代々木、富ヶ谷、松濤、道玄坂、桜丘、鶯谷、猿楽、代官山、恵比寿西の上空を42便、4分30秒ごとに通過します。又、C滑走路の場合は、代々木、千駄ヶ谷、神宮前を通過し、広尾では600m上空を90便、2分ごとに通過する予定で、計画が実施されれば、絶え間ない騒音、航空機からの落下物、事故の危険など区民生活の安心安全が脅かされることになります。実際半年間で羽田、成田空港等で219件の落下物が発生していますが、国土交通省はゼロにすることを確約していません。さらに機体から車輪を出すときに氷塊落下の危険が指摘されていますが車輪を出すエリアに渋谷上空も含まれる可能性があることも明らかとなりました。23区議長会も国土交通省に対して「国の方策が示されたが住民の懸念は解消されていない」と要望書を提出しています。
我党区議団が実施した区政アンケートでは、新ルート飛行に80%の区民がやめてほしい、騒音や落下物の危険は耐えられないと答えています。国土交通省は、区長会の代表が2年前の協議会で「国の取り組みにできうる協力をさせていただきたい」との発言をもって、「関係自治体は新ルートに基本合意している」と繰り返し述べています。長谷部区長はこうした国土交通省のやり方を認めるのか、区民の生活環境破壊と命の危険を伴う新ルート計画は撤回するよう求めるべきと考えますが区長の所見を伺います。