日本共産党区議団は、区議会第一回定例会最終本会議で、各議員が区長提案の条例や予算などに対する反対討論を、また区民から出された各請願に対する賛成討論を行いました。
2019.3.26
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました、渋谷駅南口北側自由通路整備事業に伴う工事の施工に関する協定の締結について に対し、反対の立場から討論します。
まず、十分な質疑が必要であるにもかかわらず、最終本会議の日にこの議案が提出されたことは、議会の審議を保障することよりも、大企業がすすめるまちづくりの進行を優先するものであることに、強く抗議します。
この協定は、旧東横線跡地の渋谷駅南街区に開設された渋谷ストリームと渋谷駅桜丘口地区の二つの再開発ビルを結ぶ歩行者動線をつくるため、国道246号線の南側のJR線上空に跨線橋を26億5100万円の公費を投入して建設するための協定です。
この協定の締結は、区と東急電鉄が発注者となって、JR東日本との間で結ぶ工事請負契約にあたるとの説明がありました。しかし、工事場所や建設される施設の内容、全体の工事費とされる37億1300万円を誰が負担するのか、建設後の通路の帰属などの重要事項が議案には示されていません。庁舎建設や新宮下公園整備などでも工事協定書の案が示されていたのですから、26億5100万円もの公費を投入する計画でありながら、区と東急電鉄、JR東日本で結ぶ工事協定書の文書案が示されないのは重大であり、認められません。
負担予定金額の26億5100万円は、債務負担行為の限度額とされていますが、費用がかさんだ場合に、区の追加負担が発生する可能性も否定できませんでした。最近、完成した恵比寿駅東口の擁壁工事などでも追加負担が発生しています。8年間の長期の工事となるだけに、追加支出のリスクが発生する危険は高まるといえます。
また、明治通りから桜丘の補助18号線に抜ける通路として東西の分断を解消し、利便性を向上させると説明されています。しかし、JR線上の3階部分に設置される通路の両端は、明治通り側が13人乗りのエレベーターですが桜丘口側は未定とのことでした。東西の公道を行き来することが目的であれば、当初から歩行者動線を確保するための施設を明らかにすべきです。
利用者予測はピーク時で一時間当たり5,500人と説明がありましたが、圧倒的多数はJRの改札と、通路両端の再開発ビルの利用者であることは明らかで、委員会の質疑でも開発に伴って発生する通行だという答弁がありました。
結局、この通路を整備することで最も利益を得るのは、跨線橋の両側の再開発ビルとJR東日本、および改札上階に建設される施設などの利用者であることから、そのための通路整備はこれらの事業者が負担するのが当然です。区が26億5100万円もの巨額の税金を支出することは再開発事業者に便宜を図るものであり、区が負担すべきものではありません。
以上、協定の締結に反対する討論とします。