田中まさや区議会議員は、10月10日、区議会第3回定例会決算特別委員会で、平成30年度渋谷区一般会計決算、同国民健康保険会計、同介護保険事業会計、同後期高齢者医療保険事業会計の4会計決算について、反対討論を行いました。
私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました認定第1号・平成30年度渋谷区一般会計・認定第2号・同国民健康保険事業会計、認定第3号・同介護保険事業会計、認定第4号・同後期高齢者医療事業会計の各歳入歳出決算について、反対の立場から討論いたします。
2018年度、区民のくらしはますます大変になっていました。実質賃金は減り、年金は削減され、社会保保障の負担増が区民を痛めつけ、わが党区議団の区政アンケートでは、73%以上が「生活が苦しい」、「苦しくなった」と、悲痛な声が寄せられました。それだけに、悪政の防波堤となって福祉を増進させる自治体本来の役割の発揮が求められていました。
ところが、長谷部区政は、国保料の14年連続の値上げ、介護保険料・後期高齢者医療保険料の値上げなどの負担増を押し付け、国保料滞納世帯への差し押さえや介護保険料滞納者に対する給付制限などを容赦なく実施しました。
また、区型介護サービスの削減や安い単価で介護事業所の収入を減らす緩和サービスAの大幅な拡大、かけがえのない自然体験の場で子どもたちが楽しみにしてきた山中高原学園廃止のための解体工事を執行するなど、福祉・教育を切り捨ててきました。
学校給食の無償化や子ども医療費の高校生までの拡大、切り捨てた生活保護世帯の夏冬の見舞金や障がい者の福祉クシー券の復活など、切実な区民の声には背を向けてきました。
その結果、繰越額は105億4206万円、民生費だけで40億を超える不用額を出しており、この繰越を財源にして貯め込んだ基金は、現在約1009億円にも達します。区民には負担増と福祉の切り捨てを押し付け、区民の切実な願いには背を向けたこれらの決算は、到底認めることはできません。
その一方で、渋谷駅周辺再開発事業や庁舎建て替え、宮下公園整備事業など、大企業の儲けのためには区民の財産を提供し巨額の税金を投入しています。
自治体本来の役割を投げ出し、区民の願いに背を向け、大企業のもうけを最優先にしている決算は認められません。
以下、各部ごとに指摘していきます。
[経営企画部]
●新庁舎整備に支出した金額は、2013~18年度までで、新庁舎整備費9億7876万円と仮庁舎整備事業費32億3783万円の合計で42億1659万円を支出しており、「渋谷区役所をただで建てる」との前区長の言葉は、区民を欺くものと言わざるを得ません。
現在、庁舎敷地内に三井不動産の39階建、高さ143メートルの高層マンション工事が来年9月の竣工をめざし進められています。すでに最上階の一部屋が17億円で売却されたことが明らかとなり、505戸全てが売却されると、渋谷区に支払った211億円の借地料をはるかに上回る利益が三井不動産にもたらされることは明らかです。
区役所の土地は区民の共有財産です。また、新庁舎、公会堂と三井不動産の分譲マンション建設計画は、渋谷区役所建替プロジェクトとして一体の計画になっているにもかかわらず、総事業費も明らかにしない不透明なやり方は、区民不在で公共事業のやり方として断じて認めることはできません。
また、区民に対しては、生活保議の窓口を新庁舎に移さないばかりか自転車置き場を有料化するなど、負担増を求めたことは許されません。さらに庁舎の15階から3階に漏水が発生し緊急工事を行ったことは、第三者機関の検査時には問題はなかったとしていますが、区が直接建設せず、民間企業任せの建替え事業の弊害と指摘せざるを得ません。
官民連携事業費は昨年設立した一般社団法人渋谷未来デザインの決算額7468万円の内訳は、設立基金7000万円、年1回開催した評議員の報償費8万円、区から派遣した部長級職員を含む4人の職員の共済費等人件費460万円と説明がありました。この執行額の他に4人の職員の給料全額が区の職員人件費から支出されています。
審査の中で、渋谷未来デザインの基金は、民間企業が14社とNPO等15団体の29組織が2億500万円を提供しており、基金提供以外のパートナー企業して、マイクロソフト社からパソコン提供、アオイプロからホームページ作成の無償提供があることが示されました。また、特別会員等の8社が運営費918万円を供出しています。
渋谷未来デザインは基本構想を具体化するシンクタンクの役割と公共空間の新しい活用の推進を目的として設立された組織で、現在進めているササハタハツや西参道の再開発などの事業を行うにあたっては、パートナー企業を優先すると明記しており、これらの企業利益を優先する組織です。こうした組織に7000万円の税金を投入し4人の職員を派遣することは認められません。直ちにやめるべきです。
[総務部]
すべての職場で働く人たちがハラスメントで苦しむことのない対策をとることは喫緊の課題です。今年5月にパワハラ対策等を義務付ける法律が成立し、大企業には来年から防止策をとることが求められています。くり返し研修を行うとともに、第三者委員会に外部の弁護士等を加え、相談者が安心して相談できる体制をつくり、すべての職場からあらゆるハラスメントをなくすことを強く求めます。
また、保育士の中途離職者は15人と報告がありましたが、保育現場からは、欠員が出ているまま補充されない、昼休みが取れない、持ち帰り残業が多いなど、深刻な声が出されています。保育園をはじめ、早急に全職場の要求に応じて正規職員を増員するとともに、障がい者の雇用率も高めるべきです。
[危機管理対策部]
帰宅困難者対策として1646万円余が執行され、そのうち帰宅困難者を避難場所に誘導するサイン制作のアロープロジェクトに1070万円が支出されました。ガイドサインとしてわかりにくいという声も多数出ており、多額の費用をかける現行のやり方は見直すべきです。また、帰宅困難者対策の備蓄品等については民間任せとなっていますが、区としても予算措置をすべきです。
防災訓練費から新任課長を対象とした自衛隊の宿泊研修の参加者を突然募集し、8人が参加し、食費実費代とクリーニング代を支出していますが、職員組合からも厳しい反対の声が上がったように地方公務員としての災害対策として不適切であり、支出を認めることはできません。
[区民部]
区は、2014年度より、自衛隊の隊員募集のために本人の同意もないまま青年の名簿を提供し、区民のプライバシーを侵害してきました。この年度は、1992年4月2日から2001年4月1日生まれの日本人の男女1万6938件の個人情報を提供しました。青年からは無断で自分の情報を提供したことは許せないと怒りの声が上がり、区内の女性団体からは中止を求める申し入れがあったと聞いています。区の個人情報保護条例にも反する自衛隊への名簿提供はやめるべきです。
河津さくらの里しぶやは、総額で1億8674万円余が支出されました。その内訳は、指定管理料を含む運営費として1億2187万円、エレベータ取替工事に2959万円、プール及び屋上防水改修工事費に2983万円など各所改修工事が6189万円余です。
年間の利用者はシニアクラブのバス旅行の645人を含めても、宿泊と休憩の合計9280人で、二の平渋谷荘の宿泊と休憩の合計2万7841人の3分の1以下に過ぎないのに、二の平渋谷荘の決算額1億8439万円余を上回る支出は、明らかに税金のムダ遣いであり認められません。区民からも遠くて不便との声が絶えないこの施設は廃止すべきです。
[都市整備部]
渋谷駅周辺再開発への税金投入は、道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業として、東急プラザの建替えに7億7480万円が補助金として支出され、渋谷駅周辺整備調整事業として、渋谷駅北口自由通路整備事業に繰越明許費も含め3億6700万円が支出されました。また、駅周辺まちづくり調整、桜丘ウエスト地区再開発調査、渋谷駅周辺交通戦略策定、神南・宇田川地区まちづくり支援の4つの業務委託費など、1億1942万円が大企業中心の再開発に使われました。
東急プラザの建替えには総額で20億円、桜丘口地区第一種市街地再開発事業に80億円の補助金が予定されていますが、桜丘口の開発で整備されるのは、外国人向けの医療施設や保育園、住宅などと、大企業の商業、業務施設が中心で、区民のための施設ではありません。また、渋谷駅北口自由通路には、2026年度までに総額で40億円、南口北側自由通路には26億5100万円などを投入して基盤整備が進められます。東急グループをはじめ、大企業のための渋谷駅周辺再開発事業に総額166億円を超える税金投入は中止すべきです。
[土木部]
新宮下公園等整備事業は、宮下公園を34年8か月も定期借地させ、公園と駐車場を整備する事業ですが、借地人の三井不動産は3層の商業ビルと18階建てのホテルで大儲けする計画です。この定期借地料は、わが会派の鑑定評価よりも190億円も安いのに、区は再鑑定もせず、区民の疑問にも答えようとしないことは許されません。
この年度は新宮下公園整備費では総合事業支援業務委託としてURリンケージへの委託料1499万円余、工事施工に伴う東京都下水道局への土地賃借料774万円余など、約2274万円が執行されました。また、昨年の4月10日には公園の実施設計の書類を受領しているのに、その後の議会への報告も区民への説明も全くありませんでした。
公園等整備アドバイザー人件費は、394万5千円の予算に対し78万円余の執行にとどまっていますが、昨年12月からはパークPFIなど、新たな公園の利活用に詳しいアドバイザーを雇用し、いっそうの商業的な利活用を進めようとするものです。
区民の財産を特定の大企業に差し出す手法の弊害は明らかです。区民不在を改め、速やかに定期借地料の再鑑定を行い、区民と議会に説明すべきです。
[子ども家庭部]
2018年度の認可保育園の入園希望児は1856人で、認可保育園に入れなかった子どもは485人、どこの保育施設にも入れなかった子どもは151人にのぼりました。特に深刻なのは、0、1、2歳児が多いことです。保護者の希望の多い区立を中心に認可保育園を増設し待機児を解消すべきです。
都内の私立保育園の40歳の保育士の場合、公立園に比べて月額10万円も賃金が低くなっています。当区では、2017年1月から、区内在住者に限って家賃補助制度を導入しましたが、補助金を負担している国や東京都の制度では、区外在住者でも適用されることになっており、区内在住者だけに限定したことは保育士の間に不公平を持ち込むことになり認められません。区外在住者をはじめすべての保育従事者に拡大すべきです。
また世田谷区の実施している賃金助成制度を本区でも実施すべきです。
中学3年生までの子ども医療費助成事業に8億3361万円が執行されました。高校生はケガをする割合が高く、保護者から子ども医療費を高校生まで拡大してほしい、との要望が出されています。現在、高校生までの医療費を無料にしている自治体は541にのぼっており、千代田区、北区がすでに実施し、品川区でも今年7月から高校生の入院費を無料化しています。当区でも実施すべきです。
[教育振興部]
2018年度の学校給食費は、小学生が年間平均4万9698円、中学生で年間6万1824円であり、子育て世帯にとって大きな負担です。学校給食は、教育の一環であり、義務教育は無償が原則です。無償化を求める声は大きく広がっているのに、この声を無視して、この年度3億4千万円で実現できた無償化を実施しなかったことは許されません。
2018年度、山中高原学園の解体工事費8424万円が執行されました。富士山の裾野の山中湖畔にあり、小学校、中学校の移動教室のための山中高原学園と千葉県南房総市の岩井海岸に設置されていた富山臨海学園が年度末で廃止されました。自然の中で子どもたちが成長できる重要な施設を廃止したことは、言語道断です。富山臨海学園は、復活すべきです。
当区の就学援助の小学校新入学学用品費については、支給対象世帯の年収基準額を5歳の生活保護費を基準にしているため、6歳児のいる世帯の年収基準額より15万円低くなります。この基準を超えたために3月に支給されない世帯が生まれています。早急に6歳児の基準に改め、就学前支給を実施するとともに、支給額を引き上げるべきです。
[生涯学習・スポーツ振興部]
2018年度にスポーツセンターと二子玉川区民運動施設などを営利企業に指定管理にさせました。スポーツを楽しむことは区民の権利であり、それを保障し、施設を運営する区の責務を放棄し、営利企業の儲けのために使わせることは許されません。
実際、今年10月から、スポーツセンターの空調設備の利用料を徴収しようとしていますが、区民に負担を求めて指定管理者の収入を確保するもので、指定管理者の利益が優先されています。
白根郷土博物館・文学館の開館時間が、2011年3月の東日本大震災以来、午前9時から午前11時に変更され、未だに続いています。午前11時前に利用したい人が利用できなくなっています。開館時間は、元に戻すべきです。
【福祉部】
区型介護サービスは、2018年度1510万円もの不用額を出しています。区が2015年度から単価を引き下げ、緩和サービスAへの置き換えや区分限度額以上は利用させないなどで、2014年度決算比7262万円45%もの削減となっています。時間延長サービスは、同じく70%、回数追加は84%、生活援助は47%、高齢者世帯援助は55%と軒並み削減しています。高齢者の尊厳ある生活を支えるための区独自の上乗せ制度の切り捨ては認められません。切り捨てた単価を元に戻し、限度額を超えたサービス利用を認めるべきです。
特別養護老人ホームの待機者は、2018年度新設のつばめの里・本町東特養が開設されましたが、この年度末の待機者は417人と深刻でした。2020年には、高齢者ケアセンター跡地に特養84床が増設予定ですが、これでは待機者は解消できません。待機者ゼロの目標を明確にして、代々木2・3丁目国有地、幡ヶ谷2丁目都営住宅跡地など、国有地・都有地を早急に取得して増設すべきです。
また神宮前3丁目の国有地に予定されていた民間の地域密着型小規模特養29床は、民間事業者が撤退したことで、計画は白紙になりました。民間任せでは待機者は解消できません。当該用地を区として取得して特養を整備すべきです。
2018年度、介護保険利用者負担額助成の利用者は730件にとどまっています。低所得者が安心して介護サービスを利用できるようにするために、地域包括やケアマネージャーを通じて周知するとともに、預貯金制限をなくすべきです。
障がい者の社会参加をはじめ、病院への通院などに活用されてきた福祉タクシー券は、2015年度から月額4600円だった支給額が、1100円引き下げられ、3500円とされ、2014年度比3595万円29%も減額されました。障がい者のくらしを守る大切な制度です。支給額を元に戻すべきです。
精神障害者支援事業運営助成では、この年度から国の工賃加算制度の改悪によって、民間の精神作業所の年間収益は、300万円前後も減っています。精神作業所がこれまで通り運営できるよう助成額を増やすべきです。
政府が、生活保護扶助費を2018年度から3年間で最大5%削減、この年度は最大1.7%の減額していることは許されません。最低限の生活を強いられ、夏冬の電気代も削りながら生活している生活保護世帯のくらしを守るために、2233万円で実現できる夏冬の見舞金4000円を復活すべきです。
【健康推進部】
2018年度は、がんによって死亡した区民は446人と死亡原因の1位であり、がん検診の受診率の向上が求められます。この年の胃がん検査の受診率は18.5%、大腸がんは15.9%、肺がんは14.7%、子宮頸がん17.8%、乳がんは25.5%です。受診機会を増やすため、検査できる医療機関を拡大すべきです。また、乳がん検診については、エコー検査も受診可能にすべきです。
また、早期発見早期治療につなげるためにも、要精密者全員が再検査を受けることが求められています。当区では以前は、要精密検査は無料でしたが、現在は自己負担が求められます。要精密者全員が安心して再検査が受けられるよう再検査を無料にすべきです。
2018年度に、民泊を解禁する住宅宿泊事業法が施行され、認可制から届け出制に変わりました。本区では613件の届け出が受理される一方、207件の違法民泊が存在しています。民泊による住環境の悪化は依然として深刻で、民泊新法の問題が明らかになっています。
民泊の隣に住む区民からは、「夜間に騒がれて眠れない。区に言っても全く改善されない」との声が寄せられています。昨年度から現在まで、ゴミ出しや騒音など543件の苦情が寄せられていますが、指導件数は108件にすぎず、その内84件が未解決で、住民が被害を訴えても埒が明かない実態が明らかになっています。そもそも文教地区や木造密集地域での民泊営業は認めるべきではありません。区の条例を改正して禁止すべきです。
●国民健康保険事業会計
2018年度の国民健康保険料は14年連続の引き上げで、1人当たりの年間平均保険料は16万8601円となり、8943円の負担増で、滞納世帯は26.45%にのぼりました。高すぎて払えないと悲鳴が上がっている国保料をさらに値上げしたことは許されません。値上げの内訳は、医療分が10万4387円、後期高齢者支援金分が3万2374円、介護分が3万1840円でこのため前年度を上回りました。国保料は、自治体が独自に決定することが可能となるなかで、千代田区は国保料の値下げを行いました。渋谷区も、一般会計からの繰入を増額して、保険料を引き下げるべきでした。
国はこの年度から財政運営を都道府県単位化して、区市町村の一般会計からの繰入金を7年後には廃止しようと狙っています。国、都、区が行った保険料の激変緩和策は総額で12億7465万円にのぼり、これが段階的に縮小されれば毎年保険料の引き上げが続くことになります。
また、国民健康保険は、子どもを含め家族全員に均等割保険料が課されるため、子どもがいる世帯では協会けんぽに比較して約2倍の保険料になります。区として一般会計の繰入を増やして、子どもの均等割軽減をはじめ、加入者が無理なく払える保険料に引き下げるべきです。
給付では、昨年8月から高額療養費の限度額が引き上げられ、一カ月当たりの月平均の給付件数は7月以前の48件から8月以降の29件に大幅に減少しました。
国保財政の都道府県化により、東京都の国保運営方針にもとづいて保険料徴収が格段に強化されました。前年度と比較し、差し押さえは150件からさらに急増して376件に達し、これまでは課していなかった滞納者に対する延滞金も50件、39万2100円が徴収されました。他の医療保険制度に比べても、あまりに高い保険料を押し付けながら、強制的に取り立てることは認められません。
●介護保険事業会計
2018年度の介護予防生活援助型訪問介護サービスは、国基準が4553件で、緩和サービスAは10276件です。国基準に比べて2~3割単価の安い緩和サービスAのほとんどを、資格を持った介護士が担っているため、介護事業所には収入減と介護労働者の労働条件悪化をもたらしています。
そもそも高齢者の自立を保つための専門職による生活支援訪問介護を、安い単価で無資格者に担わせる緩和サービスAの制度が破綻しているのです。緩和サービスAは止めて、要支援者の介護サービスの報酬を国基準に戻すべきです。
2018年度から介護保険料が平均3860円、5.86%値上げされ、わが党区議団の区政アンケートでは8割が「保険料が重い」と感じています。この年度の普通徴収の保険料の滞納者は、1,409人に上っています。一方、値上げの根拠となっている保険給付の伸びは、居宅介護サービスで5%を想定していましたが実際には3%にとどまり、4億600万円の不用額が生じました。保険給付費全体の不用額は10億円を超え、同会計の繰越は10億4033万円余となっています。介護保険料の値上げに道理はなく値上げしたことは許されません。
また、保険料を滞納している17人に対して給付制限が行われました。特に、保険料区分1~3の世帯全員が住民税非課税の滞納者が11人で、要介護4以上の重度者も3人含まれていることが明らかになりました。介護の必要な高齢者が保険料が払えないために必要な介護サービスが受けられない事態は、高齢者の尊厳を踏みにじるもので到底認められません。介護保険制度開始以来、本区では、だれでも必要な介護サービスが受けられるよう保険料滞納者への給付制限は行ってきませんでした。給付制限は止めるべきです。
●後期高齢者医療事業会計
2018年度の保険料は、所得割率は8.80%に0.27%引き下げられたものの、均等割額が900円引き上げられ、低所得者に負担が重くなる改定が行われました。また、国の軽減特例として、賦課のもととなる所得金額58万円以下の方を対象に行っていた20%所得割額軽減措置が廃止されました。その結果、一人あたりの年間保険料は、14万5416円となり、前年度に比べ、5657円の引上げとなりました。
また、高額療養費の限度額が8月より引上げられた結果、3~7月の月平均の給付額が4486万円余だったのが、8月から今年2月の平均で2276万円余に半減し、区民負担が増えました。さらに、この年度から入院時の食費や居住費も引き上げられています。
そもそも、医療費が多くかかる75歳以上の高齢者だけを他の医療保険から離脱させて強制的に囲い込み、高い保険料を押し付ける制度自体が社会保障の理念に反するものです。この制度は廃止してもとの老人医療制度に戻すべきです。
以上、4会計決算に反対の討論とします。