田中まさや区議団長が、11月21日、区議会第4回定例会の本会議で、日本共産党渋谷区議団の代表質問を行いました。
第4回定例会代表質問・田中
2019.11.18
私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長及び教育長に質問します。
1.区民のいのちとくらしにかかわる国政問題について
(1)憲法9条について
安倍首相は「2020年までの改憲」に執念を燃やしています。自民党や日本維新の会は憲法審査会で、自民党改憲案を土台に、憲法9条に自衛隊を明記し、海外での戦闘に無制限に参加させる改憲論議を進め、一気に発議まで持ち込もうとしています。国民の多数は憲法改正を望んでおらず、改憲原案の発議を任務とする憲法審査会を開くべきではありません。
11月3日には、憲法9条守ろうと1万2千人が国会包囲行動を行い、11月17日には、「所属や立場、信条の違いを超え、『憲法9条擁護』の一点で手を携え」ると、武蔵野市長など全国131人の自治体首長らの呼びかけで「全国首長九条の会」が結成されました。
区長は、安倍9条改憲に反対し、全国首長九条の会に参加すべきです。所見を伺います。
アメリカはイラク核合意を破棄し、イランを軍事的に包囲するために有志連合への参加を各国に呼びかけています。いま、安倍政権は、自衛隊の中東への派遣を検討しています。
区長は、政府にたいして、アメリカとイラク双方に、核合意への復帰を働きかけるとともにペルシャ湾への自衛隊派兵を止めるよう求めるべきです。所見を伺います。
(2)消費税の5%への減税について
消費税10%増税に怒りと混乱が広がっています。わが党区議団の「くらし・区政のアンケート」では、消費税増税に反対が78%、くらしや営業への影響が「ある」は、91%に達しています。実際、区民から「年金は減り続けるのに、増税では暮らしてゆけない」、「首相は桜を見る会で後援会員に飲み食いさせて、生活苦にあえぐ国民に増税とは絶対に許せない」など、厳しい批判の声が上がっています。
安倍政権の2回の消費税増税による13兆円もの負担増が、経済の6割を占める家計の購買力を奪い、国民のくらしや中小業者の営業を破壊しています。
消費税導入から31年間で、消費税収は397兆円になる一方、法人税減税で298兆円、所得税の最高税率の引き下げなどで257兆円も税収が減っています。消費税の目的は、社会保障や財政再建のためでなく「大企業や富裕層を潤す」ためであったことは明らかです。
日本共産党は、消費税の廃止を目標に、緊急に5%に戻して、消費を活発にし、経済を好循環させて税収を拡大することを提案しています。その財源は、安倍政権が進めた大企業や大金持ちのための減税を元に戻すなどで実現できます。
区長は、政府にたいして消費税の5%への減税を求めるべきです。所見を伺います。
(3)羽田空港新低空飛行ルートについて
安倍政権は、羽田空港新低空飛行ルートについて、来年3月29日からの運航を決定し、現在、早朝から小型機による試験飛行が行われています。高さ700mから1000mを、1分から2分間隔での超低空飛行する渋谷区上空の二つのルートに対して、落下物や墜落の危険、騒音などに怒りが広がり、渋谷区議会でも、計画の「見直し」を求める決議を全会派一致で採択しています。10月29日、国土交通省が開催した新ルートに伴う公聴会でも、住民からは反対の声ばかりでした。わが党区議団のアンケートでは、76%が反対です。安倍首相は、「地元の理解を得て」と述べていますが、住民合意がないことは明らかであり、運航開始は許されません。
国土交通省は、1月30日から3月11日の間、民間の定期便をテスト飛行させるとともに、今月18日から東京、埼玉、神奈川で住民説明会を60回開催します。本区で開催予定のヒカリエ、千駄ヶ谷社教館、地域交流センター恵比寿のすべてがオープンハウス型です。これでは区民の声を聞く立場とは言えません。
少なくとも6カ所以上、教室型で開催するよう国に強く求めるべきです。区長の所見を伺います。
今でも国内主要7空港だけで、年間447件もの落下物が起きています。
区長は、「国の責任」といいますが、区民の安全を守れると言えるのですか。所見を伺います。国土交通省は、この計画の必要性の第一に「国際競争力の強化」を挙げています。経済最優先で、住民のいのちとくらしを危険にさらすことは許されません。政府に、計画の撤回を求めるべきです。所見を伺います。
2.防災対策の強化
台風19号被害は、13都県で死者92人に及び、今でも2600人が避難生活を余儀なくされています。改めて、犠牲になられた方には心から哀悼の意を表すとともに、被災された方には、お見舞い申し上げます。本区でも、台風19号の教訓を汲み尽くし、区民のいのちを守るために最大限の対策を講ずることが求められます。
(1)第一に予防重視の防災対策の強化について
まず、地域防災計画を、いのちを守る予防重視の計画へと抜本的に見直すことです。
私は、昨年の第3回定例会で、「一時間に100ミリを超える豪雨も発生」していることを踏まえ、「現在の防災計画の想定最大降水量1時間75ミリを引き上げ」るよう求めましたが、改めて想定最大降水量を引上げ、浸水予想区域を再検証し、地下街などの浸水も想定した対策を都に求めるとともに区としても対策を強化すべきです。区長の所見を伺います。
震災対策については、震度7の揺れも想定し、首都直下型地震等に対して、被害を最小限に食い止める計画に改め、木造住宅の耐震補強工事費助成制度の委任払いや補助額の引き上げ、助成要件の緩和など制度を拡充すべきです。区長の所見を伺います。
区内でも急増する中高層マンションの多くが、防災対策は事業者・居住者任せになっており、老朽マンションでは、住民合意が困難で、耐震化や防災対策が進まない実態があります。23区のマンション防災についての東京新聞の報道では、渋谷区は、マンションに特化した防災パンフレットの配布・公開も防災アドバイザーの派遣もマンション自主防災組織などへの防災資機材助成のどれも行っていません。
まず、分譲マンション等の耐震化をすすめるため、相談窓口を設けるとともに、耐震化の助成制度を拡充すべきです。また、マンションの防災パンフレットの配布・公開、防災アドバイザー派遣、自主防災組織などへの防災資機材助成を早急に実施すべきです。区長の所見を伺います。
私は、台風19号の際、避難所を訪問しましたが、避難所設営には自主防災組織とともに区の職員が少人数で奮闘されていました。住民や避難者から「防災無線が聞こえなかった」、「雑魚寝状態で、プライバシーが確保されない」、「床が硬くて寝られない」などの声が寄せられました。
(2)正確で迅速な情報伝達
高齢者などSNSを活用しない方には、防災無線や消防団の必死の呼びかけも届きませんでした。正確な情報を早く提供するために、防災ラジオの無償配布を、長崎県大村市では全戸に、静岡県富士宮市では一人暮らしの高齢者に実施しています。
本区でも、高齢者や要配慮者に、災害時に自動放送する防災ラジオや防災無線個別受信機を無償で配布すべきです。また、区のインターネットへの接続がスムーズにいくように容量を拡大すべきです。区長の所見を伺います。
(3)避難所の改善と帰宅困難者対策について
①大田区などでは避難所の定数を上回る避難者が押し寄せ、指定されていない区の施設も活用することになりました。本区でも、避難所の受入数を現実的なものに見直し、在宅避難・垂直避難ができるように住宅改修の助成を強化すするとともに、区有施設にも一定の備蓄品を用意して応急避難所として利用することも想定すべきです。
②政府は、避難所運営について適温食の提供やプライバシーの確保、段ボールベッドの備蓄やシャワーなど衛生の確保、医療・介護スタッフの派遣などを実施するよう「避難所の生活環境の整備等について」の「通知」を出しています。
本区でも、人命保護の国際基準であるスフィア基準に沿って、この「通知」が実施できるよう備品や体制の確保、必要な訓練を行うべきです。また、どの避難所でも区の職員が、運営に責任が持てるよう各地域に防災職員住宅を確保すべきです。
③高齢者、障がい者などの要配慮者については、区の責任で、一人ひとりの特性や生活に即した避難計画をたて福祉避難所を確保すべきです。福祉施設を福祉避難所に指定する場合には、体制や備蓄品、停電・断水対策の非常用電源の確保などについて国や都に助成を求めるとともに、区として助成すべきです。
また耐震補強の必要な民間福祉施設に対して、区の責任で早急に耐震補強工事を行い、備蓄品の配備や情報伝達手段を確保すべきです。
④帰宅困難者対策については、国や都、事業者と連携を強化して、中小事業者に対する備蓄品への助成など区独自にも実施すべきです。以上、4点について区長の所見を伺います。
3.大企業奉仕から、くらし、福祉、子育て支援優先の区政への転換について
(1)2020年度渋谷区予算編成について
安倍政権は、財界と一体に新自由主義経済政策を進め、大企業には規制緩和や減税、株価のつり上げで大儲けさせる一方、国民には消費税増税、賃金抑制、社会保障改悪を押し付け格差と貧困を拡大させました。渋谷区も、基本構想で「高度な国際競争力」を目標に掲げ、グローバル企業を呼び込むための渋谷駅周辺再開発事業やスタートアップ・エコシステムを推進するなど、大企業の儲けを最優先にする一方、国保料の値上げや障がい者の福祉タクシー券の削減、子どもたちの校外学園の廃止など、くらし・福祉や教育を後退させています。
その結果、区民のくらしは、ますます深刻になっており、わが党区議団の「アンケート」では、くらしが「苦しい」が65%にのぼっています。区民から「これ以上何を削れというのか」との怒りの声が上がっています。
いま日本でも渋谷でも、くらし第一の希望ある政治が必要です。国連は、グローバル競争によって貧富の格差、地球温暖化などが拡大した反省から、「持続可能な開発目標」を掲げ、貧困をなくす、すべての人に健康と福祉を、気候変動対策など、利潤第一主義からの転換を目指しています。くらし・区政アンケートでも、「大企業がもうかれば、くらしや福祉がよくなる」は5%にすぎず、逆に「区民の公園や財産とその運営を、営利企業の儲けのために提供すべきでない」が47%と、区民も区政のあり方の転換を求めているのです。
来年度予算編成に当たっては、大企業奉仕の区政を、自治体本来の役割である区民のくらし、福祉・教育最優先に根本から切り替えるべきです。区長の所見を伺います。
(2)渋谷駅周辺再開発事業について
この事業は、国と区で166億円もの税金を投入し、住民や零細業者を追い出して、100m超級のビルを林立させて進められています。この事業を中心的に進めている東急不動産は、20億円の税金を投入する道玄坂一丁目駅前地区や渋谷駅桜丘口地区の再開発事業について「国際競争力を強化するプロジェクト」と公言しており、区民福祉の増進とは無縁の大企業の儲けのための基盤整備事業そのものです。
区民からは、「渋谷駅周辺に多額の税金を使うより、もっと区民のくらしために使ってほしい」、「巨大再開発は、環境に負荷を与え、東京一極集中に拍車をかける。今は福祉や教育に力を入れる時代」との声が上がっています。
生活に苦しむ区民には負担増を押し付ける一方で、大企業の儲けのための事業に166億円もの税金を投入することに、区民は到底納得しません。渋谷駅周辺再開発事業への税金投入はやめるべきです。区長の所見を伺います。
(3)宮下公園整備事業について
宮下公園は都市公園として、区民の憩いの場として、だれでも24時間365日利用でき、災害時の避難場所としても期待されていました。今の公園を見た区民から、「緑豊かな公園が、巨大な戦艦のようになった」と悲しむ声が寄せられています。
今定例会には、宮下公園を三井不動産などに指定管理させ、開園時間や休日を定めようとする議案が提出されていますが、商業施設やホテルに加えて、公園の管理運営でも三井不動産に儲けさせることになります。一方、公園の利用時間は商業施設の開業時間に合わせて夜間や正月などは閉鎖されるため災害時の避難場所として使えません。区長は、いのちを守る区の責任の重大な後退だと考えないのですか。所見を伺います。
区は、2017年の「都市計画案に対する意見」で、「地上からのアクセスが困難になる」など、住民からの様々な批判を無視してこの計画を進めてきました。また、わが党区議団の依頼した鑑定評価では、この借地料を適正価格より190億円も値引きし、ホテル部分は不動産鑑定士による評価を受けないで、区独自で評価額を決めるなど、三井不動産の最初の提示額に合わせて、三井不動産の儲け最優先で進められてきました。
区長は、宮下公園定期借地料についての再鑑定を求める声を拒否し続けていますが、区民が求めているのは、将来の価格の変動に際しての鑑定評価ではありません。契約額が三井不動産のために不当に値引きされた疑惑の解明にあります。公有財産の処分にあたっては、契約直前に再鑑定をしなければなりません。区民の財産を適正な価格で処分する責任は区長にあります。この借地契約は契約時にさかのぼって再鑑定すべきです。また、この事業は、区民参加で検証し再検討すべきです。区長の所見を伺います。
(4)庁舎建て替え事業について
庁舎・公会堂の建設と引き換えに区民の土地の上に立てられている39階建てのタワーマンションは、現在最上階部分の躯体工事が進められています。この計画の当初から、区は、民間のやることだからと、総事業収支を明らかにしていません。しかも、三井不動産は、区民の土地で大もうけする一方、新庁舎は、上下の移動が多く非効率、手狭で福祉事務所まで庁舎の外に出されました。区民のための庁舎の建替え事業なのに、福祉が後退し大企業の儲けが優先されています。改めてすべての経過と資金の流れを区民に明らかにすべきです。
三井不動産の分譲マンションの総分譲価格と収支の内訳を明らかにするともに、区民が検証できるようにすべきです。区長の所見を伺います。
4.代々木2・3丁目の国有地について
今定例会には、代々木2・3丁目の未利用国有地取得のための見積もり合わせの予算の債務負担行為が提案されています。この土地は、2015年に提出された、特別養護老人ホームや保育園、区営住宅など福祉施設の整備のために取得を求める地域住民からの請願が、全会派一致で採択され、わが党区議団も毎議会で早期取得を求めてきました。
区長は今議会で、「保育園や高齢者施設とともに…区民住宅を整備する」とし、先の議会では、「整備工事や運営における公的負担抑制も課題の一つであり、区の直接整備に限定した交渉を進める考えは」ないと発言し、民間資金の活用手法を検討する考えを示しています。
この事業計画の具体的内容は、区議会にも区民にもまったく知らされていません。国と合意した事業計画の詳細、保育園、特養、区民住宅はどんな手法で整備・管理するのか、残余の土地があれば活用計画についても明らかにすべきです。また、今定例会には、区営住宅、借上げ高齢者住宅など区の管理するすべての住宅を東急コミュニィティに指定管理させるための議案も提案されていますが、整備予定の区民住宅は対象となるのか、合わせて区長にお尋ねします。
民間資金の活用手法は、庁舎建替え事業や宮下公園整備事業のように、総事業費は明らかにされず、区民福祉より大企業の儲けが優先され、住民の声が届かなくなるなど、住民福祉の機関である自治体の採るべき手法ではありません。
区民の声を反映させ、区民福祉の増進を最優先にするために、保育園、特別養護老人ホーム、区営住宅、児童相談所など福祉の複合施設として、区が直接整備・管理運営すべきです。区長の所見を伺います。
5.子育て支援について
(1)子どもの貧困対策について
子どもの権利条約は、国に「すべての子どもに対して社会保障を享受する権利を認め」国内法での権利保障を求めています。ところが日本では、7人に一人の子どもが貧困状態なのに、「子どもの貧困対策法」には、「子どもの貧困の定義」も「子どもの貧困率の削減目標」もなく、必要な措置も講じられていません。
東京都が2017年に実施した「子供の生活実態調査」では、小学校5年生の困窮層の約2割が、野菜を食べる日数が給食以外に「1週間に2~3日」以下など貧困の実態があり、区内で子ども食堂を運営している方は「本当に困っている子どもは、子ども食堂にも来ない」と話しています。貧困を可視化し、必要な対策を講じることは国と自治体の責務です。
沖縄県、大阪府、愛知県、北海道、新潟県などでは実態調査を行い、沖縄県や足立区などでは、子どもの貧困対策部局を設置して、実態に合った施策を横断的に実施しています。
まず、区内の子どもの貧困の実態を可視化するための実態調査を行い、貧困率改善の期限と目標を明確にするとともに、すべての子どもの人権保障としての理念、子どもの貧困の定義と基準を明確にした「子どもの貧困対策条例」を制定すべきです。
また、9000万円あれば実施できる、子ども医療費の無料化を高校生まで拡大すべきです。合わせて区長の所見を伺います。
就学援助は、区独自で生活保護基準の1.5倍に基準額を引き上げるとともに、新入学学用品費の支給は、対象者の基準額を6歳児で算定し、全員就学前に支給するとともに支給額を増額すべきです。区長に所見を伺います。
(2)児童相談所について
子どもの虐待死亡事故が相次いでおり、児童相談所の強化が求められています。児童福祉法改正で23区でも児童相談所の設置が可能となり、世田谷、江戸川、荒川の各区が来年度中に開設する予定です。既に設置している自治体では、住民にとって身近であり、保健、医療、教育などの行政との連携がスムーズで、迅速かつ的確に対応できると評価されています。
渋谷区では、児童相談所を整備することで、身近で、同じ行政機関内での連携強化、様々な地域資源と直接ネットワークを作れるなど、いっそうの子育て支援の充実につながると考えます。
国は昨年、児童相談所の児童福祉司定数を、2022年までに人口3万人に一人へと強化しました。現在、都の児童相談所では児童福祉司は定員不足であり、他区も児童相談所の整備を進める中で、新たな児童相談所の設置に必要な児童福祉司を確保することは容易ではありません。とりわけ児童福祉司を5年以上経験したスーパーバイザーの養成・確保が重要ですが、5年程度の準備期間が必要と考えられます。
本区での児童相談所の整備に関して、体制確保の手立てとスケジュールについて、区長の所見を伺います。
(3)学校給食の無償化について
子どもの食育と子育て支援の強化のために、小中学校給食の無償化は全国に広がっています。23区では、品川、葛飾、世田谷が、すでに所得制限や年齢制限を設けて実施しています。北区は、来年10月から小中学校の学校給食費について、所得制限なしで第2子50%減額、第3子以降を無料にするこが、多くの保護者、区民から歓迎されています。
本区でも3億5千万円あれば実現できる学校給食の無償化を実施すべきです。区長の所見を伺います。
(4)待機児解消と保育水準確保について
2020年4月の保育園利用申込みの受け入れ可能数は1438人で、低年齢児の受入数の拡大は、0歳児33人、1歳児74人、2歳児は17人だけです。今年認可保育園に入れなかった子どもは、0歳児221人、1歳児223人、2歳児102人など合計602人。どこの保育園にも入れない子どもが、0歳児44人、1歳児37人、2歳児9人など92人ですから、昨年並みの申込みがあれば、来年度も待機児が出ることは避けられません。私のところにも、「子どもが保育園に入園できなければ、職場復帰できない。申し込みをしたけど不安で眠れない」との保護者の切実な声が届いており、すべての必要な子どもに保育を保障する渋谷区の責任が問われています。
保護者の願いは、質の確保された認可保育園です。また、早急に待機児を解消するには、保育士の確保が容易な区立認可園の整備が最も迅速です。
早急に認可保育園の待機児を解消するために、区立を中心に認可保育園を整備すべきです。幡ヶ谷2丁目都営住宅跡地など、公有地の活用や民有地の借上げなどで用地を確保すべきです。区長の所見を伺います。
保育士の大量退職が問題になっています。報道では、23区内で回答のあった7区で2019年3月の年度替わり前後に5人以上退職した保育園は17園、半数以上退職した園は4園に上ります。その背景には、正社員でも全産業平均に比べて年間140万円も安く、定期昇給もないなど低い処遇にあります。質の確保された保育を保障するためも、早急に保育士の処遇改善を行い、保育士が長く安心して働ける環境を整備すべきです。世田谷区は、保育園ごとの退職状況を調査、公表しています。
本区でも、民間保育園ごとの退職者を調査・公表すべきです。民間保育園の保育士の処遇を改善するため、保育従事者宿舎借上げ制度は、すべての保育従事者に適用するとともに、区独自に賃金引き上げの助成制度を実施すべきです。区長の所見を伺います。
6.教育について
一人ひとりの子どもに寄り添った教育のために、教員の多忙の解消や少人数学級が求められています。教員は、小学校で3割、中学校で6割が過労死ラインに達するほど異常な長時間労働が強いられています。その原因は、一人当たりの授業時数の増加や過剰な業務量を放置する一方で、必要な教員を増やしてこなかったためです。2020年度文部科学省の概算要求では、教員定数を実質14人減らしていることは、長時間労働の解消に逆行しています。さらに教員給与特別措置法が、労働基準法の割増賃金の規定を教員に適用させてないことが、時間外勤務を規制する手段を奪っています。
国と都に対して、抜本的な教員定数増と不要不急の業務の削減、教員給与特別措置法を改正して残業代を支給できるよう求めるべきです。教育長の所見を伺います。
一方で、安倍政権は、いわゆる「繁忙期」に1日8時間を超えて働かせることを可能にする「1年単位の変形労働時間制」を導入しようとしています。これでは1日平均11時間を超える学期中の労働時間をさらに長くし、過労死を促進することになります。
変形労働時間制は、1年間という長期間にわたり8時間労働制という原則を崩す、教員の労働条件の重大な不利益変更です。にもかかわらず、条例での導入を可能にすることは、教員から労使協定という労働者保護の仕組みを取り上げ、無権利状態に置くものであり、断じて許されません。
これ以上教員を長時間働かせようとする変形労働時間制を導入しないよう、国に求めるべきです。教育長の所見を伺います。
子どもに寄り添った教育を行うためには、少人数学級が有効であり、東京都以外はすべてで少人数教育を実施しています。国と都に対して、小中学校のすべての学年を35人学級にするよう求めるとともに、区としても実施すべきです。合わせて教育長の所見を伺います。
以上