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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

 渋谷区議会第4回定例会の最終本会議で、牛尾まさみ議員が、「渋谷区立都市公園条例の一部を改正する条例」について、トマ孝二議員が、「渋谷区立社会教育館条例の一部を改正する条例」について、それぞれ反対討論を行いました。また、田中まさや議員は、「国民健康保険料の引き下げを求める請願」についての賛成討論を行いました。

 渋谷区議会第4回定例会の最終本会議で、牛尾まさみ議員が、「渋谷区立都市公園条例の一部を改正する条例」について、トマ孝二議員が、「渋谷区立社会教育館条例の一部を改正する条例」について、それぞれ反対討論を行いました。また、田中まさや議員は、「国民健康保険料の引き下げを求める請願」についての賛成討論を行いました。


2019年第4回定例会本会議 都市公園条例 討論

2019.12.6 牛尾

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました議案第64号 渋谷区立都市公園条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。

 提案されている条例改正のおもな内容は、公園の夜間閉鎖ができるよう公園の開設時間及び休園日の条項を設けることと、宮下公園運動施設の運用等に係る規定を新設して、これまでの宮下公園運動施設管理条例を廃止するものです。

 都市公園は、休息やレクリエーション活動の場として、また、緑地が確保されることによる都市環境の改善や生物多様性の確保等に大きな効用を発揮するとともに、地震等の災害時には、避難場所としての機能を果たす公共オープンスペースであり、いつでも,誰でも自由に利用できることが原則です。

 反対理由の第一は、宮下公園の指定管理者の都合で、開園日や開園時間を制限し、いつでも使える公園の機能が損なわれるからです。
 新しい宮下公園は3階建ての商業施設の屋上に設置されますが、その管理運営について区は、商業施設から独立した運営ができるといっていました。しかし、実際には今定例会で三井不動産と西武造園による任意団体の「宮下公園パートナーズ」を指定管理者に指定する議案が提案され、管理上の都合で夜間閉鎖をするとして、条例に開園時間の規定が設けられることになったのです。しかも区長が議会の議決も経ずに、開園時間は規則で定めるとし、指定管理者の都合によって、夜間閉鎖や休園日が設けられ、区民はいつでも利用できない公園になるのです。

 第二に、避難をする場所としての機能が確保できない恐れがあるからです。区は、宮下公園の防災機能として地震等の災害時に一時退避場所として利用するとしていますが、いつでも利用できる公園にしておかなければ、いつ起こるかわからない災害に対応できるかは疑問です。災害時には公園を開放するといっていますが、3階建ての建物の屋上に位置しているため、発災時にはまず施設の安全点検を行い、避難誘導体制を確保することが必要となり、非常電源があっても、すぐにエレベータやエスカレーターが使用できるわけではありません。

 第三に、公園の管理運営が区民のためから、企業の利益優先になるからです。宮下公園内に設けられる運動施設の利用料は「近隣の類似施設を参考にして」決めたとして、利用料が約5割も値上げされ、区民以外の団体や個人はさらにその2倍とされています。条例案にもこれまでの宮下公園運動施設管理条例にあった「営利を目的として使用すること」は認めないという規定が削除されています。このことによって、営利企業が公園を使って利益をあげることができるようになるのです。こうした管理運営は区立公園という公共施設内の運動施設として全くふさわしいとはいえません。
 宮下公園の運営方法として、宮下公園パートナーズを指定管理者とする提案がされていますが、事業者の収支計画には、運動公園施設の収入は1100万円しか見込まれていません。これまでのフットサル場などの収入は年間約3000万円ありました。1100万円を超える使用料は宮下公園パートナーズの利益になります。また、イベントひろばを含めた公園使用許可は、指定管理者の権限とされているため、商業施設内の事業者によるイベント使用が優先され、これまで区民や来外者が集会などに利用してきたことが、できなくなったり制限されることが想定されます。指定管理者に施設の優先使用権と利益を与える一方で、区民などの利用を制限することは認められません。

 今回の条例改正は議案書の説明にもあるとおり、区立宮下公園を設置するための改定です。
 区は、宮下公園の建て替えを、三井不動産に公園全体の土地を定期借地させ、3階建ての商業施設の屋上に公園を整備し、ホテルまで建設して利益をあげる手法で整備してきました。そして、宮下公園の都市計画を変更してホテルを建設できるようにし、34年10か月の定期借地料は、日本共産党区議団が鑑定士に依頼した鑑定額よりも190億円も安いまま契約するなど、三井不動産に便宜を図ってきました。これは、一企業の利益のために奉仕するゆがんだ区政の象徴であり、ここには住民福祉の向上を目的とし、公平公正な行政運営を行うという当たり前の区政の姿は見られません。

 区は6月の第2回定例会で、区立公園を指定管理者が管理できるように条例を変え、今定例会で営利企業を指定管理者に選定するとともに、指定管理者の都合で開園時間を制限できる提案をしています。宮下公園の設置を皮切りに、こうした公園の管理手法を、今後区内のどの公園にも広げられるようにする条例改定は、いつでも誰でも自由に利用できる公共スペースとしての公園本来のあり方をゆがめるもので認められません。
 以上、条例に反対する討論とします。


トマ孝二議員「渋谷区立社会教育館条例の一部を改正する条例」について反対討論

 私は、日本共産党谷区議団を代表して議案第65号「渋谷区立社会教育館条例の一部を改正する条例」について、反対の立場から討論いたします。
 反対理由の第1は、「区民の社会教育活動の育成振興を図るため、渋谷区立社会教育館を設置する」と定めている社会教育を振興し、施設の活用促進をはからなければならない教育委員会がそうした努力方向をまったく示さず、社会教育館のあり方を大きく変えようとしているからです。
 本来、社会教育館には社会教育主事を置き社会教育関係団体の活動を育成し、振興するために力を尽くすこと、区民の文化と教養を高めるための講座などを旺盛に開くことなどが求められています。ところが教育委員会は社会教育館に配置していた社会教育主事を廃止したうえ、運営をサービス公社に委託し、社会教育館主催の講座も減らすなど社会教育館に対する教育委員会の役割を放棄してきたことは許されません。
 今回の条例改定について、教育委員会は空き施設の有効利用を図るため、としていますが、なぜ空き施設が出ているのか、利用率を上げるためにどのように改善すればよいのか、など利用している社会教育関係団体から意見や要望を聞き、改善をはかっていくことが役割なのです。たとえば、茶室について利用者から茶道などの利用だけに限定せず、着付け教室などでも利用できるように改善することが求められています。
 教育委員会はそうした対応をいっさいせずに利用方法を一方的に変えるやり方は、本末転倒といわなければなりません。
 第2の反対理由は、目的外利用の導入によって社会教育の拠点施設である社会教育館が営利企業の活動を助長し、支援する場に変わるからです。
 じっさい、今回の条例案では社会教育目的以外の利用を拡大し、定められた利用料を払えば営利企業が自由に利用できる規定が盛り込まれました。その結果、営利企業は社会教育館を販売促進のための会議に使用するなど、さまざまに利用することが出来るようになるのです。
 まさに、本条例案によって、社会教育館は営利企業の活動の場にもなるので許されるものではありません。
 今回の条例案は、「区民の社会教育活動の育成振興を図る」という社会教育館の設置目的に反し、区民の重要な社会教育の場である社会教育館を営利企業に提供するものであり、こうした条例案に反対するものです。


●請願受理番号第24号 国民健康保険料の引き下げを求める請願

 私は、日本共産党渋谷区議団を代表して、請願受理番号第24号 国民健康保険料の引き下げを求める請願に、賛成の立場で討論します。

 本請願は、渋谷区の国民健康保険料は、今年度1人当たり年額5,868円の引き上げで、今年度の保険料通知に対して、多くの苦情問合せが寄せられており、高すぎる国保料の負担軽減は急務だとして、一般会計からの繰り入れを増やし、国民健康保険料を引き下げること。また、子どもや低所得者の保険料の引き下げを求めています。

 賛成の理由の第一は、低所得者が多く加入する国民健康保険制度の下で、負担能力を超える国保料が区民のくらしと健康を脅かしているからです。
 渋谷区の国保料は、今年度で15年連続値上げされ、年収400万円の夫婦と子ども2人の世帯の保険料は年額49万4902円となるなど、1.5カ月分の給料が国保料で消えてなくなるほど高くなっています。区民からは、「今年の保険料が約14万円で、年収の1割になり、分割しても払いきれない」との悲鳴が寄せられており、国保料の滞納世帯は4世帯に1世帯に及びます。わが党区議団のアンケートでも、保険料が「重く感じる」は56%、「やや重く感じる」と合わせると86.5%に達しており、負担の限界を超えています。
 しかも滞納すれば、「短期証」や窓口で全額医療費を払わなければならない「資格証明書」で受診することになり、深刻な受診抑制が起きていると聞いています。
 年金生活者、非正規雇用労働者、零細事業者など、経済的に弱い立場の加入者に、高額な保険料を課すことは到底許されません。

 第二の理由は、高すぎる国保料を引き下げることは、社会保障に責任を負う国と区の責任だからです。
 国民健康保険制度は、国保法第1条で「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」ことを目的にしており、憲法25条の生存権に基く国民皆保険制度の重要な柱です。国保加入者の医療を受ける権利を守る責任は国と自治体にあります。
 国保制度は、サラリーマンの健康保険のように事業主負担がなく、公費負担がなければ維持できない制度です。しかし、国は、国保に対する国庫負担を減らし続け、1980年代に国保会計の4割以上あった国庫負担を2割台にまで減らしたため、サラリーマンなどの健康保険に比べて、収入に対する保険料の負担率は2倍以上も高くなっているのです。
 全国知事会、全国市長会、全国町村会など地方団体は、今の国保制度は、「被保険者の所得水準が低く、保険料の負担率が高い」という構造問題があるとして、抜本的な公費投入増による保険料の引き下げを国に求めています。
 すべての国民に医療を受ける権利、健康な生活を送る権利を保障するために、国は公費投入を拡大すべきです。
 同時に、国が公費投入を減らす中でも、国保に加入する区民のくらしと健康を守ることは、福祉の増進を役割とする区の責務です。
 渋谷区が、国保料の軽減に使えるその他繰入れを減らし、国保料を毎年値上げし続けていることは、区民のいのちと健康に責任を負う自治体としての責任放棄であり許されないことです。このまま一般会計からの繰入れを減らして、保険料を上げ続ければ、区民のいのちと健康、くらしが脅かされるだけでなく、国民健康保険制度そのものの存立さえ脅かすことになります。
 一般会計からの繰入れについて、他の保険加入者の理解が得られないとの意見が一部にありますが、社会保障の制度である以上、区民の生存権を保障するために、税金を使うことは当然です。だからこそ千代田区では、2019年度の国保料は、2018年度のその他繰入れの額をほぼ維持することで、保険料を引き下げているのです。
 本区でも、一般会計からの繰入れを増額して、保険料を引き下げるべきです。

 第三の理由は、国保料の引き下げは可能であり、直ちにとりくむべき課題だからです。
 全国知事会は政府に、国保への1兆円の公費投入で、保険料を協会けんぽ並みに引き下げることを求めています。日本共産党は、公費投入を1兆円増やせば、人頭税である「均等割」をなくし、協会けんぽ並みに保険料を引き下げることができると提案しています。その財源は、安倍政権の下で純利益を19兆円も増やしながら、4兆円も減税されている大企業や、株高で資産を大きく増やしている富裕層に応分の負担を求めるものです。
 本請願で求めている、区の国保料の引き下げは、保険者である渋谷区の判断で実現できます。子どもの均等割では、南相馬市、白河市、宮古市、熊本県芦北町が全額免除するなど、すでに全国26の自治体で負担軽減を実施しています。本区では、約1億5千万円で全額免除できます。
 毎年1億5千万円以上の税金を投入し、区民からは遠くて不便と批判のある河津保養所を廃止するなど、ムダ遣いをやめ、予算の使い方を、くらし、福祉最優先に変え、貯め込んだ1009億円を活用すれば国保料を引き下げることは可能であり、直ちに実施すべきです。
 区として、区民のいのちと健康、くらしを守るために国保料を引き下げるべきです。
 以上、本請願への賛成討論とします。

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