牛尾まさみ区議会議員は共産党渋谷区議団を代表して、3月3日、区議会第1回定例会中間本会議で、2020年度国保料の値上げ条例案と新宮下公園に駐車場を設置するための条例案に反対する討論を行いました。
渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例 反対討論(中間本会議)
2020.3.3 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました議案第6号、渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
反対理由の第1は、今でさえ高い国民健康保険料を16年連続でさらに引き上げ、区民のくらしをいっそう困難にするものだからです。
保険料の改定内容は、均等割保険料の医療分を600円引き上げるとともに、所得割保険料については医療分で0.11%減額するものの、支援金分を0.05%、介護分を0.49%引き上げ、さらに医療分の賦課限度額を61万円から63万円に2万円、介護分を16万円から17万円に1万円引き上げ、最高99万円にするものです。
その結果、加入者全員にかかる医療分と支援金分を合計すると、均等割の引き上げのため、低所得世帯ほど引き上げ率は高く、重い負担となります。また、介護分のかかる、世帯主が40歳から64歳までの世帯では、年収400万円で1万円以上、年収700万円で2万円以上など、中間所得層を中心に大幅引き上げとなります。
この結果、40代の夫婦と子ども2人の世帯では、保険料は50万7321円と1万2419円の値上げで、家族構成や所得が同じ協会けんぽの加入者の2.18倍、27万4121円も高くなり、医療保険制度間の格差はいっそう広がります。区長が就任した2015年以降の5年間の値上げ額は、9万9440円にものぼり、負担の限界を超える保険料は、くらしを壊すものといわざるを得ません。
被保険者には高齢者や失業者、不安定雇用の労働者など、低所得の方が多いにもかかわらず、今でさえ払いきれないと悲鳴が上がっている保険料をさらに引き上げることは、社会保障としての国保制度の否定につながるものであり認めることはできません。
第2に、高すぎる国保料を引き下げるために、区の判断でできる一般会計からの法定外繰入を増やせば、保険料の引き下げは可能であるからです。
2018年度からの国保財政の都道府県単位化以降、安倍政権は保険料軽減のために区市町村が行っている一般会計からの繰り入れを段階的になくすよう求めており、渋谷区では2019年度に1億784万円を減らし、新年度はさらに9751万円も減らそうとしています。、してしまいました。新年度の繰入金削減によって上乗せされる保険料は、一人当たり約2700円にもなり、今後も4年間にわたって引き上げが続きます。
しかし、保険料を決定する権限は、都道府県の示す標準保険料率を参考にするとしつつも、あくまで区市町村が持っており、国も憲法が定める地方自治の原則から、自治体が福祉的施策として行う一般会計からの繰り入れを禁止することはできないということを認めています。また、渋谷区が採用している23区の統一保険料は、区長会の申し合わせ事項にすぎず、千代田、中野、江戸川の3区はすでに独自に保険料を決めています。
千代田区では、政令で定められる賦課限度額以外の保険料率については、自治体独自の判断で、一般会計からの繰入金をほとんど減らさず、2018、19年と連続して保険料を引き下げ、新年度も据え置くとしています。渋谷区でも、区長の判断で保険料を引き下げるべきです。
子どもの均等割については、家族が1人増えるたびに、当区では5万2800円も保険料が上がります。これは子育て支援に逆行する過酷な仕組みだとして、全国知事会や23区長会などが軽減するよう求めています。また区市町村でも、子どもの均等割軽減を実施する自治体が増え、都内では新年度から武蔵野市が新たに実施に踏み出しています。また、岩手県宮古市をはじめ、4市町では、子どもの均等割の全額免除を実施しています。日本共産党区議団の予算修正案では、約1億6865万円でできることを明らかにしています。渋谷区でも子どもの均等割の全額免除を行うべきです。
一般会計からの繰り入れを増やして保険料を軽減することは、区民が安心して医療にかかれるようにするために区がまっさきに行うべきことです。他の自治体でひろがる子どもの均等割保険料の軽減も行わないまま、保険料を引き下げるために行ってきた一般会計からの繰り入れを年々減らして、今でも高い保険料をさらに引き上げる条例案は認められません。
以上、条例案に反対の討論とします。
渋谷区駐車場条例(制定) 反対討論
2020.3.3 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました、議案第13号 渋谷区駐車場条例に反対する討論を行います。
この条例は、宮下公園の整備とあわせて建て替えられる渋谷駐車場の管理運営を、これまで区役所前地下駐車場と一体に都市整備公社が行ってきた方式を改め、渋谷駐車場を独立した駐車場として位置づけ、管理運営するために制定するものです。
条例案の説明と現地視察の質疑の中では、開業後は宮下公園駐車場と呼ぶことや設置位置、利用時間は0時から24時までで、利用方法や手続き、さらに使用料は時間利用が30分ごとに400円、定期利用は1か月10万円を上限として定めるなどの規定を明記するほか、使用料の減免、利用承認の取り消し、駐車日数の制限、禁止行為などを定めるとともに、指定管理による管理ができるようになっており、当面は区が管理するものの、指定管理者に委ねるようになるとの説明がありました。
条例の対象となる施設は、区の設置した公園北側の278台、南側の47台の合計325台ですが、商業施設の付置義務駐車場として三井不動産が設置した南側50台分などがあり、区の駐車場と同じ出入り口を利用するようになることから見ても、民間企業を指定管理者にして、一括して管理・運営することを想定していることは明らかです。
区は新宮下公園の整備にあたって、三井不動産に約1万平米の公園全体を定期借地にして貸し出し、30年間にわたって自由に営利活動をさせるPPP手法を採用してきました。また、ホテルを建設できるようにするために公園の都市計画を変更し、東京都下水道局の用地をまた貸しして便宜を図ってきました。さらに定期借地料は土地の値上がりやホテルの評価を再鑑定せず、接道の悪さや屋上が公園であることから大幅な値引きをすることによって、日本共産党区議団が行った鑑定評価よりも190億円も安く設定しています。
一方で区民は、公園が商業施設と併設で4階に整備されることや開園時間が制限されることになり、利便性は大きく後退します。また、災害時の防災機能もオープンスペースでなくなるため、低下することが明らかです。日本共産党渋谷区議団は、民間資金による新宮下公園整備は、区民の公共財産を三井不動産の利益のための差し出す手法として、一貫して反対してきました。
私たちの指摘を裏付けるかのように、昨年は、公園の管理も、三井不動産を含む事業者の指定管理に委ねられました。さらに今回の条例を制定することによって、駐車場まで民間指定管理者の利益のために運用させることは、区民の財産を民間企業のために差し出すことであり、とうてい認められません。
以上、渋谷区駐車場条例に反対の討論とします。