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議会報告
REPORT

いがらし千代子幹事長は区議会最終本会議で、日本共産党区議団を代表して、「高齢者の難聴と補聴器購入への支援強化を求める請願」に対する賛成討論を行いました。

 いがらし千代子幹事長は区議会最終本会議で、日本共産党区議団を代表して、「高齢者の難聴と補聴器購入への支援強化を求める請願」に対する賛成討論を行いました。


高齢者の難聴と補聴器購入への公的支援強化を求める請願

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、只今議題となりました高齢者の難聴と補聴器購入への公的支援強化を求める請願に賛成の立場から討論します。

 本請願は、渋谷社会保障推進協議会会長 福井さん他1036人から提出されたものです。
 請願者は、区内の高齢者から難聴によって「会話が成り立たない」「耳が聞こえにくくなったので外出を控えている」など生活に支障をきたす実態が広がっているとともに、専門学会から「難聴になることで、社会参加の減少やコミュニケーションを困難にすることから認知症のリスクを高める」としていること、日本耳鼻咽喉学会などから加齢による聴力低下があっても、早期に補聴器を使用することで「聞こえ」を取り戻すことが可能になると補聴器の使用が推奨されていると述べています。
 また請願者は「補聴器の値段が高くて買えない」「補聴器を買ったが雑音で役に立たない」など補聴器が高いことや補聴器の調整が必要であることを述べ、23区内ですでに9区で補聴器購入費助成や認定補聴器技能士による調整相談が実施されていることを明らかにし、渋谷区に補聴器購入費の補助制度と認定技能士による「相談窓口」の創設を求めているものです。

 請願に賛成する第1の理由は、高齢化が進行する中で、加齢性難聴が増えていることと、難聴を放置することは認知症のリスクを高めることが明らかになっており誰でも補聴器を利用できるようにすることが求められているからです。
 難聴問題の第一人者である慶応大学医学部耳鼻咽喉科教授の小川郁(かおる)医師は、加齢性難聴は誰にでも起こる可能性があるとし、70歳を過ぎると3人に1人、80歳を過ぎると3人に2人が難聴になり、聞こえなくなるとコミュニケーションが困難になり、社会的に孤立し、さらに言葉を聞いてうれしい、悲しいなどの感情の反応が落ちて脳が委縮するという悪循環により、認知症につながっていくと指摘しています。同時に、2017年のアルツハイマー病協会国際会議が「難聴対策は認知症を予防する一番大きな因子である」との報告をだしたことから研究が進み、認知症を予防するためには、生活習慣病やうつの改善も含まれますが、その中でも難聴は、補聴器をつけることでコミュニケーションがとれ、また感情の反応が日常的に頭の中で起こるようになるため認知症を予防出来る最も効果的対策だと述べています。当区でも認知症予防の強化を掲げているのですから、こうした科学的知見に基づき補聴器購入の助成に踏み出すべきです。

 第2の理由は、認知症予防として補聴器を利用することは、WHOも推奨しています。しかし、補聴器に対する公的助成など日本の難聴者対策は欧州諸国に比べおくれているのが実態で緊急に改善することが求められているからです。
 2018年に日本補聴器工業会が欧州補聴器工業会の協力を得て実施した調査によると、WHOが補聴器使用を推奨している41デシベルから公費助成を実施している欧州諸国は、デンマーク、ノルウェー、イギリスが100%、フランスも21年から100%、ドイツ、スイス、イタリアは約7~10万円の補助が行われています。しかし日本で公的補助の対象となっているのは、身体障がい者手帳所持者で聴力が70デシベル以上の重度難聴者に限られており、補聴器が必要な難聴者の8%の人しか公的補助が受けられていません。
 こうした中で日本でも住民から補助を求める声が広がり東京都医師会や日本補聴器工業会からも公的補助の実現が強く求められています。現在、東京都も補聴器購入費補助を行っている自治体に対して、高齢社会対策区市町村包括補助事業で、費用の半額を助成しています。現在実施しているのは江東区、江戸川区、葛飾区、中央区、墨田区、大田区、豊島区、千代田区、新宿区で、新年度足立区も予算計上し7月から実施することで23区では10区で実施することになります。渋谷区でも早急に実施すべきです。

 第3の理由は、補聴器は一人一人の調整とリハビリが必要でそのために専門の資格を持つ認定補聴器技能士の相談を公的補助とともに位置づけることが求められているからです。「期待したほど聞こえない」と途中で補聴器を使わなくなっている人が多いことが調査でも明らかになっています。欧米やすでに補聴器の現物支給をしている江東区では補聴器購入費の補助と合わせて資格を持つ補聴器技能士と医師が連携して補聴器を調整するシステムが整備されています。江東区では、補聴器業界の協力で週一度区の負担もなく区民は無料で補聴器の調整と相談が行われています。補聴器購入費の補助と合わせて渋谷区でも認定技能士の相談窓口を設置すべきです。区民からも「これまで補聴器は高いので購入できず敬老大会など大勢の人が集まる場所は話が聞こえないので出かけるのをあきらめていたが助成してもらえたら補聴器をつけて参加したい」「前に補聴器を買ったが雑音で使うのをやめてしまったが調整やリハビリを教えてもらえるのはありがたい」など制度創設に対する期待の声がたくさん寄せられています。一日も早い実現ができるよう請願採択をお願いして賛成討論とします。

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