トマ孝二議員は区議会最終本会議で、日本共産党区議団を代表して「保育園の待機児童解消と保育士の処遇改善を求める請願」に対する賛成討論を行いました。
2020.3.23 苫 孝二 議員
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、受理番号十二号 保育園の待機児童解消と保育士の処遇改善を求める請願について、賛成の討論を行います。
本請願は、昨年、認可保育園に入れなかった子どもが602人もおり、そのうち、ゼロ歳から3歳児までの低年齢児が556人となっていること、区として新年度、低年齢児の定数を増やしたものの待機児解消にならず、深刻な状況が続くことを指摘し、質の確保された認可保育園の増設を求めているものです。
今年4月には新たに認可保育園3園が開設され、301人の定数増がはかられましたが、入園希望児はゼロ歳児634人、1歳児685人、2歳児230人と依然として多く、受入れ可能数からみると、ゼロ歳児170人、1歳児148人、2歳児75人が超過しており、新年度も多くの子どもが認可園を希望しても入れない事態です。こうしたことから請願者はきびしい事態に直面している保護者の声として「職場復帰するため、保育園に入れたいが、入れるかどうかわからないので不安」、「誰もが希望する保育園に入れるようにしてほしい」などの声を示しているのです。
昨年2月に「第2期渋谷区子ども・子育て支援事業計画」策定のためにおこなわれた保育園の利用調査では、定期的に利用したい教育・保育事業について認可保育園の利用が50・9%でいちばん高いことが示され、保護者が認可保育園での保育を求めていることが明確になっています。まさに保護者は、園庭があるなど施設が整い基準通りの保育士がおり、保育の質が確保されて5歳まで預けられる認可保育園への入園を望んでいるのです。そもそも保育を必要とするすべての子どもを保育園で保育することは、渋谷区の責務です。こうした声にこたえて認可園を増設していくべきです。
また、請願者は質の高い安定した保育を保障するため、民間保育士の労働条件がきびしい状況にあり、低賃金、長時間過密労働が改善されていないことを明らかにし、専門職にふさわしい処遇にするため抜本的改善の必要性を訴え、区として国や都に要請するとともに、区独自の処遇改善の充実を求めています。
じっさい、民間保育園で働く保育士の賃金は、厚生労働省の2018年の調査で、公立保育園に比べて年間113万円も低くなっています。このため、私立園では保育士が集まらず、就職しても定着しないことからも安定した保育ができないという悩みを抱えていると言います。
したがって、区は私立園の保育士の賃金を国や都が責任をもって全産業並みに引き上げることを強く要請するとともに、世田谷区が月1万円の賃金補助を行っているように、渋谷区でも独自の処遇改善をおこなうことが求められているのです。
本請願は、認可保育園を増設し、待機児解消を早急にはかること、民間保育士の処遇改善を行い、安心して預けられる保育環境を整備してほしい、という切実な願いから提出されたものです。住民の代表機関である区議会は、こうした住民の願いを真摯に受けとめ、保育、子育て環境の改善のために力を尽くすことが求められています。その立場から本請願を採択し、保育、子育て環境改善の施策がすすむようにすべきです。そのことを強く訴えて賛成討論といたします。