6月4日、区議会第2回定例会本会議で、日本共産党渋谷区議団を代表して、牛尾まさみ副幹事長が代表質問を行いました。
2020.6.3 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、区長、教育長に質問します。
1、新型コロナウイルス感染症対策について
世界中に広がった新型コロナウイルス感染症には、渋谷区民も175人が感染して4人の方が亡くなり、19人が現在も入院中です。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、入院中のみなさんの一日も早い回復を願うものです。
コロナ危機から区民のいのちとくらしを守るために、日本共産党渋谷区議団は3回にわたって区長に要望書を提出し、緊急アンケートを実施して区民の声を聞いてきました。
新型コロナ感染症の不安をなくし、困難に陥ったくらしや営業への支援を求める広範な世論と野党の論戦で、一人10万円の特別定額給付金、持続化給付金が実現しました。第二次補正予算には、医療提供体制の強化や売り上げが半減した事業者への家賃補助、雇用調整助成金の上限額の引き上げ、学校再開や学生支援の予算も盛り込まれました。PCR検査や医療体制の構築に消極的で、自粛と一体の補償を拒んできた政府の姿勢を一定変化させたことは、国民が声を上げれば政治が変わることを示しました。しかし、中小事業者が「経営がもうもたない」と悲鳴を上げているのに、特別定額給付金も持続化給付金の支給も始まったばかりで、政府の支援はあまりに遅く、規模も小さすぎてこのままでは倒産や廃業を防げません。
第一に、渋谷区に求められているのは、住民に最も身近な自治体として、くらしと営業を守る支援を直ちに実施することです。
中小事業者支援についてです。
区内の小規模事業者や個人事業者など収入減となった事業者の営業は深刻です。わが党のアンケートには、「50年近く居酒屋を営業してきたが自粛で2か月も休業している。申請した融資も給付金も届かず、このままでは営業を続けられない」と悲痛な声が寄せられています。
中小事業者はもともとの利益が少ないのに、東京都の感染拡大防止協力金の対象となるのは都が営業自粛を求めた業種に限られ、国の持続化給付金は売り上げが半分以下にならなければ受けられません。
各種の公演やイベントなどの相次ぐ中止で、文化に携わる事業者やフリーランスは深刻な事態に追い込まれています。アンケートには「アーティストや業者は無収入。コロナで死ななくても生活苦で死んでしまう」と切迫した訴えが寄せられました。また、渋谷の文化を支えてきたライブハウスはクラスターの温床となるとして営業自粛が続いています。代々木のライブハウス経営者は、「固定費が毎月150万円ほどかかりますが、融資も面接が100件待ちの状態」と苦境を語っており、支援は一刻を争います。
また、店舗などを借りて営業する事業者への家賃助成が緊急の課題となっています。事業の見通しが立たないからと廃業する店舗も出ており、渋谷の音楽文化の重要拠点だったライブハウス VUENOS(ヴエノス)など三店舗も5月末で閉店し、私の活動地域の広尾でも、焼き肉店が4月いっぱいで店を閉じました。
こうした中で、中小事業者を独自に支援する自治体が続々と増えています。
武蔵野市では、感染拡大防止協力金の対象外の事業者に対し、市独自で30万円、個人事業主は15万円の給付を決めました。23区では、港区が、休業要請されている飲食店などにオーナーが減額した賃料の半額を月15万円を上限に3か月分補助しています。江東区は都の協力金の対象とならず、売り上げが2割以上減少した中小企業に家賃の一部として30万円の給付を実施しています。このほか、新宿区や文京区でも家賃補助を実施しています。
渋谷区議会は5月の臨時議会でテナントへの家賃補助を求める国への意見書を、全会派一致で採択しています。
渋谷区として個人事業者やフリーランスへの所得補償と苦境に立つ中小事業者の家賃への助成を、区独自にただちに行うべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
足立区では雇用調整助成金の申請が困難な事業者に対し、社会保険労務士の委託費用を助成しています。事業や雇用を継続させるために、雇用調整助成金や国の持続化給付金、東京都の新型コロナ感染拡大防止協力金、各種の融資などの手続きに際し、区として社労士、税理士、公認会計士など専門家の支援を受けられるようにすべきです。また、手続きの際に必要となる納税証明書などの交付手数料を無料にするなどのきめ細かな支援を行うべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
コロナによる失業、内定取り消し者の雇用についてです。
新型コロナの影響で失職したり、内定取り消しになった人たちは5月28日時点で1万5800人を超え(30日付朝日)、毎日の生活にも事欠く事態に追い込まれています。私のところにも「母の介護をしながらアルバイトで働いていたが、コロナで真っ先に仕事を奪われた」「会社は雇用調整助成金の手続きをしてまで、従業員のことを考えてはくれない」など、生活のすべを失った相談が寄せられています。港区では、内定取り消しされた人などを対象に会計年度職員として30人を採用し、江東区でも20人を雇用するとしています。
新型コロナによる失業者は、今後さらに増える見込みです。渋谷区でも、職を失ったり、内定取消しとなった人たちを雇用すべきです。区長の見解をうかがいます。
つぎに学生支援について
学生団体の「高等教育無償化プロジェクト」の調査で「2割の学生が退学を検討」という危機的事態が明らかになり、学費を半額にすることを求める運動が広がっています。アルバイトもできなくなっているのが学生の実態です。区長は、すべての学生の勉学を保障するため、学費を半額に減額する予算を組むよう政府に求めるべきです。また、区として区内のアパートなどに住む学生に対する家賃補助を緊急に実施すべきです。あわせて区長の見解をうかがいます。
現在、当区が実施している高校生、高等専門学校生に対する奨学資金貸付金制度については、収入が減少した場合の返済は条例14条を適用し免除すべきです。さらに、給付制の奨学金制度を創設すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
第二に、PCR検査を積極的にすすめることです。新型コロナウイルスは、感染しても発症しない無症状の人や軽症の人が約6割も存在し、感染源となります。検査を抜本的に強化してこそ、感染の実態をより正確につかみ、効果的な対策を進め、感染拡大を収束させることができ、経済活動の再開と両立させることも可能になります。4月の急速な感染拡大の際には、わが党区議団にも、「保健所に電話をかけてもつながらない」「発熱があり心配だが、病院に行っても様子を見るようにと言われ検査は受けられなかった」などの声が寄せられました。アンケートにも「PCR検査を増やすべき」「どの医療機関でも検査を受けられるようにしてほしい」などの声が多く寄せられています。
当区では、4月28日に渋谷区医師会がPCRセンターを開設し、さらに区として渋谷区PCRセンターを開設する予算も可決されています。現在は検査数が減少し、二つの施設は開設されていませんが、新型コロナウイルス感染症対策の拠点施設として、区のPCRセンターを常時開設し、かかりつけ医に検査が必要と判断された人が、速やかに検査を受けられるようにすべきです。区長の見解をうかがいます。
また、区のPCRセンターでは、平時から感染リスクの高い、医療機関や介護施設、福祉施設、再開された学校や保育園などの職員が定期的な検査を公費で受けられるようにすべきです。区長の見解を伺います。
第三に、区内の医療機関に対する支援を行い、区民が安心してかかれる医療体制を確保することです。
日本医師会の横倉会長は、首相への要請の中で、新型コロナウイルス感染症を受け入れていない医療機関でも、風評被害や感染予防対策による稼働率低下で、深刻な減収となっていると指摘し、支援を求めました。また、全国医学部長病院長会議は、大学、診療所、一般病院とも内部留保がほとんどない状態」で「必要経費の補填をしないと医療崩壊を招く」と訴えています。
政府は第二次補正予算で、新型コロナウイルス患者を受け入れる病院への支援を盛り込みましたが、一般病院の減収に対する支援はありません。
区長は区内の医療機関が、新型コロナウイルスの影響で事業の継続を断念したり、縮小することのないよう、医療機関の実態を調査し、新型コロナ感染症の影響による減収分を補填するよう、国と都に求めるとともに、区としても助成すべきです。区長の見解をうかがいます。
アンケートで最も多かった声は、「行政の対応があまりにも遅い」という怒りの声でした。雇用調整助成金や持続化給付金の支給時期も見通せず、国が予算化した医療体制への支援や家賃助成も補正予算が可決成立してからの執行となるため、実際に行われるのは数か月後になるとも指摘されています。区民が大変な時に「渋谷区はいったい何をしているのか」という怒りの声もあちこちで聞いてきました。渋谷区役所には住宅確保給付金の相談に1200人以上がおしよせ、セーフティネット認定や危機関連保証認定には、5月までに6900人もの事業者が来ているのです。
これまでに区長が提案した補正予算には、コロナ対策の施策は、特別定額給付金と子育て支援臨時特別給付金の支給、住居確保給付金、国保加入者の傷病手当など、国や都の施策ばかりです。区独自の施策はPCR検査センターの設置だけで、設置費用の半額を支出するにすぎません。品川区では、財政調整基金135億円を活用し、(仮称)「しながわ活力応援給付金」として、全区民を対象に一人3万円の給付金と、中学生以下にはさらに一人2万円を加算し5万円を支給することを発表しました。
区民のいのちと健康、くらしと生業を守るために1070億円の基金も活用し、ただちに区の独自施策を実施すべきです。そのために必要な予算を、この定例会中に議決できるよう一般会計補正予算(第4号)を準備すべきです。区長の見解をうかがいます。
2、区政のあり方について
コロナ危機は区政のあり方を大きく問うものとなっています。
渋谷区は、1980年代以降、国の行政改革や新自由主義の政策に沿って、区内の各所で大型開発が進められ、渋谷駅周辺では大企業のためのまちづくりが区政の重点施策とされてきました。長谷部区政になってからは、福祉や教育の施設をふくめ、指定管理者制度を次々と導入しています。庁舎や宮下公園の整備では、区民の財産である区の土地を大企業の利益のために差し出して大儲けさせる手法が導入されました。
その一方で、区民向けの事業の廃止縮小、事業の民間委託がすすめられ、職員を年ごとに削減してきました。国の社会保障の切り捨てをそのまま区政に持ち込むだけでなく、区が実施してきた生活保護世帯への夏冬の見舞金を廃止し、介護の上乗せサービスを縮小するなど、区民むけの独自施策を後退させてきました。11の地区ごとに配置された出張所は、住民にとって区の身近な窓口ですが、大向、氷川、恵比寿、新橋地区では駅前や庁舎に再編・統合されたり、窓口業務を民間委託や廃止にしました。区民館、敬老館、社教館には、区の職員は一人もいなくなりました。区立保育園の一部は建て替えや大規模改修を機に廃止されて民間に置き換えられ、増設される認可保育園はすべてが私立保育園とされました。感染症に対する第一線の部署となる保健所では、小規模事業所を対象にした集団健診の廃止、検査の外注化などで職員が削減され、今回のコロナ危機でもPCR検査のできない保健所になってしまいました。このように区民のくらしを守る区政の役割は大きく後退させられてきました。
区は切り捨ててきた福祉を元に戻すべきです。出張所の再編統合や業務縮小を元に戻し、区民館や敬老館、社教館に区の職員を配置するとともに、保健所については、4月の感染拡大の経験を踏まえ、新型コロナウイルスなどの感染症対策の拠点にふさわしく抜本的に職員を増やし、PCR検査ができるよう、万全の体制を作るべきです。区長の見解をうかがいます。
一般会計補正予算(第2号)には、創業支援として2587万3千円のスタートアップ支援事業が計上されています。区内に拠点を持つGMOインターネット、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、ミクシィは、東急グループなどが渋谷駅周辺の大規模再開発で作り出したスペースに、ベンチャー企業を呼び寄せ、BITバレーと呼ばれるIT企業の世界的拠点を作ろうという計画をすすめています。渋谷区に対しても、民泊やライドシェアといった先進的なITサービスの実験場にするよう働きのかけをしており、区長も歓迎し、東急電鉄とともにこの計画への支援を表明しています。補正予算で支援しようとしているのは、こうした事業を渋谷で起こす企業で、巨大IT企業と東急などの利益のための事業です。
また、ステップアッププロジェクトとして、区は美竹第二庁舎と区立美竹公園を、東京都が所有する旧児童会館跡地と一体の敷地として、民間に定期借地させ、営利活動を展開させようとする事業を区民の声も聞かないまま、昨年度と今年度で1900万円の予算をかけてすすめています。ここでも巨額の利益を得るのは大手の開発業者です。
地域住民からは、美竹第二庁舎の敷地を活用して、不足している特養ホームや認可保育園を整備する提案もなされてきましたが、区はこうした要望を無視し続けています。
区長が進めるスタートアップ企業支援とステップアッププロジェクトは、国が進める成長戦略に沿った大企業支援の事業です。地域の雇用を守り、住民のくらしを支える中小企業を支援するのが区の役割です。自治体が進めるべき中小企業支援とは無縁のスタートアップ支援事業とステプアッププロジェクトはやめるべきです。また、区が所有する美竹第二庁舎跡地は、特養ホームや認可保育園、かつて渋谷地域にあった児童会館など、区民要望の実現のために活用すべきです。
さらに、企業の利益優先の区政をきっぱりと改め、区民のくらし、福祉第一の区政へと切り換えるべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
3、医療保険について
今年度の国民健康保険料は、16年連続の引き上げが行われ、年収400万円の40代夫婦と子ども2人の4人家族で50万7321円、1万4129円の値上げで年収の12.7%にも上っています。均等割の引き上げと介護分の大幅な引き上げで、低所得者と40歳から64歳の人の負担増が顕著となっています。協会けんぽなどの他の医療保険と比べても高すぎる保険料の格差は開くばかりです。今年に入ってからは新型コロナ感染症の影響で所得が下がる被保険者の方がふえ、国は前年度に比べて収入が3割以上減った被保険者に対し、2019年度の2月以降と2020年度の保険料の減免を行うとしています。
国の減免に加えて、保険料を引き下げる自治体が生まれています。立川市では、一度は引き上げを可決した今年度の国民健康保険料について、引き上げをやめて据え置くことを決めました。また、調布市では、国の減免制度の対象世帯のうち、一人親や就学前の児童のいる世帯等に対して、さらに市独自の減免を実施するとしています。
渋谷区では、3割以下の減収であっても中・低所得者については、減収率に応じた区独自の軽減措置をとることを提案します。また、子どもの均等割保険料を免除すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
区長提案の補正予算では、コロナ感染やその疑いによる隔離などでの休業に対し、傷病手当の支給が盛り込まれたことは前進です。しかし、対象となるのは、国が予算化した国保加入の被用者のみです。他の被保険者はコロナ感染で仕事を休んでも手当はもらえません。同じ保険制度に加入する勤労者として中小零細の事業者やフリーランスも対象にするよう国に求め、区としても独自に実施すべきです。また、国が予算化したのは賃金の3分の2のため、市川市では全額補償されるよう、3分の1を市単独で支援していますが、当区でも実施すべきです。区長の見解をうかがいます。
4、教育について
新型コロナウイルス感染症による3月2日からの全国一斉休校以来、子どもたちは約3か月にわたって自宅での生活を余儀なくされてきました。
学校再開で最も重視すべきは、学校での感染のリスクを少なくし、子どもたちが安心して学校生活を送れるように、子どもたち一人一人に寄り添い、不安を取り除きながら学習の遅れを無理なく回復できるように援助することです。日本教育学会は、「9月入学よりも、いま本当に必要な取り組みを」という提言を発表し、当面1兆 3,000 億円、次年度から毎年 1 兆円を使って、緊急的な指導・ケア体制を急いで整備するともに、教員や職員を増員して学校に配置し、持続的に手厚い指導・ケア体制の学校を作ることを提案しています。
国の第二次補正予算に盛り込まれた学校再開に伴う教員、学習指導員の追加配置は3100人で、3万校ある全国の小中学校の10校に1人の配置にすぎず、増員のない9割の学校の教員の仕事量は増えるばかりです。日本共産党は、「学校再開にあたっての緊急提言」を発表し、20人程度の事業とするための教員10万人増、養護教諭をはじめとする教職員の増員、学習指導要領の弾力化などを提案しました。区は国に対し、学校再開にあたって教員配置の大幅な拡大を求めるとともに、区独自の教員・学習指導員を各校に複数配置し、子どもたちの学びを支援すべきです。また、子どもの心のケアを充実させるため、スクールカウンセラーや、スクール・ソーシャルワーカーを増やすべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
少人数学級についてです。
東京都教育委員会のガイドラインでは、教育活動再開の重点項目として、「生徒の在室を 20 人程度 にとどめ、生徒同士の間隔をおおむね1~2m 確保する」としており、学校の「新しい日常」として1~2mの身体距離を定着させることを示しています。そのためには少人数学級にすることが不可欠です。OECD平均の1学級の人数は小学校で21.6人、中学校で23.7人です。子ども一人ひとりに寄り添った教育を行うために、いまこそ少人数学級の実施に踏み切ることです。国や東京都に対し、少人数学級に必要な人員と予算をつけるよう求めるとともに、区としても全学年での少人数学級実施へと改善を図るべきと考えますが、教育長の見解をうかがいます。
次に、経済的に困難な家庭への支援についてです。
就学援助を受けている家庭では、休校で子どもが自宅にいることによって、食費の負担が増えているため、支援が必要となっています。就学援助を受ける児童の食事代の支援として、文京区、品川区、江戸川区では一日につき500円を、世田谷区では「給食費相当分」を支給していますが、渋谷区でも支給すべきです。区長の見解をうかがいます。
また、学校給食は食事に対する理解と望ましい食習慣を身に着ける食育の一環であり、義務教育無償の原則に立って無償化すべきです。当区では、3億8千万円で実現できる希望ある施策です。速やかに実施すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
子どもの孤立や虐待などを含む新型コロナ感染症の影響は、経済的に困難な家庭ほど大きく表れています。こうした時だからこそ、就学援助の対象となる収入基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げるとともに、新入学学用品費の支給額を生活保護基準に引き上げ、対象となる全員が3月中に支給されるよう改善を図るべきです。区長の見解をうかがいます。
5、羽田空港都心低空飛行ルートについて
外出自粛要請によって自宅で過ごす区民が増え、今まで都心低空飛行ルートに関心を持っていなかった人からも反対の意見が寄せられています。ところが国土交通省は、3月29日から都心低空飛行ルートの本格運用を開始し、飛行便数が大幅に減少した緊急事態宣言のもとでも、「助走期間」などとして、新飛行ルートの運用をやめようとしませんでした。また、小池都知事も、昨年8月に都心低空飛行ルートの運用開始を了承し、国に「地元の理解を得た」と強行する理由を与えました。
住民のなかでは、「驚くほど低い飛行ルートで圧迫感がすごく、うるさいし怖い」「何で国際便が9割も減っているのに都心上空を飛ばすのか」「数多く発生している落下物がもし密集地で起きれば、大惨事になる」など、飛行ルートはやめてほしいという声が圧倒的です。区長は住民のいのちと安全を守る立場に立って、国に対し、都心低空飛行ルートの撤回を求めるとともに、東京都に対しても国に申し入れるよう求めるべきです。区長の見解をうかがいます。
6、都立広病院について
新型コロナ感染症対策では、都立・公社の4病院で都内の感染症病床の3分の2を占め、真っ先に患者受け入れを行いました。広尾病院でも緊急に発熱外来を開設するとともに、1病棟で患者を受け入れ、さらに病床が逼迫すると3病棟に増やして感染した区民を受け入れるなど、都立病院ならではの役割を果たしてきました。
しかし、小池都知事は3月31日、「コストの見直しをさらに進め」「都の財政負担の軽減にもつながっていく」として、2022年度をめどに都立病院・公社病院を地方独立行政法人化する方針を決め、強行しようとしています。独法化された健康長寿医療センターでは、採算重視の運営によって病床が711床から550床に大幅削減れ、最高2万6千円の差額ベッド代が設けられ、入院時には10万円の保証金が必要になりました。
東京都病院経営本部が昨年12月25日に発表した「新たな病院運営改革ビジョン(素案)」に寄せられた1,511件のパブリックコメントの多数は独法化反対で、都議会には4万8千筆の請願が寄せられました。
自らが新型コロナウイルスに感染したイギリスのジョンソンブレア首相は、懸命の努力で命を助けてもらった医療労働者に感謝の気持ちを述べるとともに、公的医療を壊してきた構造改革路線についても、反省する発言をしています。
都民のいのちと健康を守るために必要な都立・公社病院を、採算優先の運営を強いる地方独立行政法人にしてしまうことは、その使命を否定するものにほかなりません。圧倒的多くの都民の願いに逆らって進める独法化に対し、区民のいのちと健康を守る砦となっている広尾病院のある区の区長として、都立・公社病院を直営病院として運営し、充実させるよう東京都に求めるべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。