いがらし千代子幹事長は、9月11日、区議会第3回定例会の2日目の本会議で、日本共産党渋谷区議団として一般質問を行いました。
2020 第三回定例議会一般質問 五十嵐 9-11
私は日本共産党渋谷区議団として、区長に質問します。
1、気候変動についてです。
(1)環境省は、昨年気候変動に関する政府間パネルで提起された産業革命以前からの気温上昇を1.5゜Cに抑える目標が未達成の場合、東京の最高気温は43.3゜Cで日本列島全体が40゜C以上になり、巨大台風が大被害をもたらすことを発表しました。実際今年7月には集中豪雨、8月には最高気温が41゜Cをはじめ連日の猛暑で熱中症で亡くなった方は過去最高となり23区内で193人に上っています。また、巨大台風が命と暮らしを脅かす事態が切迫しており温暖化対策は喫緊の課題です。
日本の温室効果ガスの排出量は世界で5番目に多いにもかかわらず、温暖化対策は、石炭火力発電の温存など排出ゼロの目標年度を2070年ごろとするなど世界51位で、各国から厳しい批判の声が出されています。
地球温暖化対策計画を、国連が掲げた2050年の排出ゼロの実現に向けた目標に早急に見直すよう国に求めるべきです。区長の所見を伺います。
(2)すでに世界では、20ケ国1000自治体で「気候非常事態宣言」が行われています。日本でもノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章東大宇宙線研究所長をはじめ316名の幅広い賛同者が全国の自治体首長にたいし、2050年までの温室効果ガスゼロの目標を定め、包括的な気候変動の緩和策と適応策、さらにエシカル消費、持続可能消費の推進策などを立案し実施することを求める「気候非常事態」を宣言し行動計画の立案実施を求めました。
これを受けて昨年から、長野、神奈川をはじめ多摩市や千代田区議会など29自治体が「気候非常事態宣言」を行い具体的な行動に踏み出しています。
渋谷区も「気候非常事態宣言」を行うべきです。区長の所見を伺います。
また、東京都が昨年計画を見直し、2050年までにCO2排出実質ゼロにむけ、2030年までに都有施設で使用する電力を「再生可能エネルギー100%の電力」にする目標を立て家庭の太陽光余剰電力を買い取り、都立の特別支援学校などに供給すると発表しました。
渋谷区の環境基本計画2018は、東京都が2016年に策定した計画目標をもとに作られたもので早急に見直す必要があります。渋谷区として、「2050年にCO2排出実質ゼロにむけた目標を設定したゼロエミッション渋谷」を区民や専門家、環境団体の知恵を集めて策定し、区民ぐるみで取り組むため太陽光電力への補助制度の復活など、具体的対策を推進すべきです。区長の所見を伺います。
2、防災対策について
1)最初に感染防止と人権保障の視点からの避難所運営の見直しについてです。
新型コロナウイルス感染が拡大している中で地震や豪雨災害が起これば複合災害の危険があり、これまでのように学校の体育館に雑魚寝するという避難所のあり方を早急に改善することが求められています。
(1) 三密を避けるために人と人との間隔を2メートル開ける必要から、足立区や多摩市では国際基準の3.5平方メートルに見直すことなどが検討されています。当区でもすべての避難所の一人当たりの面積を国際基準に見直すべきです。また、避難所の拡大については、区の施設に加えて国や都の施設やホテルや旅館、寺社なども積極的に活用し収容人数も拡大すべきです。区長の所見を伺います。
(2) 次に在宅避難者への支援について、厚生労働省は「避難所において行われる炊き出しその他の食品の給与については、避難所に収容された者に限らず、地域の物流やライフラインが確保されるまでは、家に被害を受けて炊事のできない者も対象として留意願いたい」との通知を出しました。当区の避難所運営基本マニュアル試行案では、取りに来る人は想定していますが、取りに来られない避難者への対策は書かれていません。避難所以外の人たちにも的確な情報提供と食料等の支援をどのように実施するのか、事前に検討が必要です。区長の所見を伺います。
(3) 感染防止の観点から段ボールベッドの活用はかかせません。当区は要配慮者用として段ボールベッドを405台備蓄したと聞いていますが多くの人たちが利用できるようふやすべきです。区長の所見を伺います。
2)次に災害弱者の支援について
(1) 東日本大震災でも災害被害は高齢者と障がいのある人に集中していました。現在国のガイドラインにもとづき95%以上の自治体が「避難行動要支援者名簿」をつくっていますが、「避難支援計画」の策定はほとんど進んでいません。別府市では2016年から、障がい者と地域の支援者を媒介するインクルージョンマネジャーを役所に配置し、地域のケアマネジャーや相談支援専門員が、高齢者と障がい者に対する「災害時ケアプラン」を有償で作成し、地域の防災訓練で検証、改善しています。これによって地域の人たちが、何をすれば高齢者や障がい者の命を救うことができるか理解し、訓練することができます
渋谷区では一人一人の障がい者を守ろうと昨年から「サポートカード」の作成を、ケアマネジャーや福祉事業者に依頼していますが、作成は19年度末で23件にとどまっています。区が責任をもって要支援者全員のプランを作成するため早急に職員体制を強化すべきです。区長の所見を伺います。
また、障がい者団体連合会から、避難所に車いす利用者の居場所の確保や手話通訳者の配置、経管栄養食の備蓄や吸引器などの非常用電源の確保と、新設する障がい者施設にも人工呼吸器等を利用するための電源や酸素等の整備、また、福祉車両を災害時の避難の移動に利用できるようにしてほしい等の要望も出されています。どれも切実な要望であり実現すべきです。あわせて区長の所見を伺います。
3、保育について質問します。
(1) コロナ禍における保育についてです。
緊急事態宣言が解除されてからもコロナ感染者が急増する中でふだんでもギリギリの人員でゆとりのない運営を強いられている保育所では、消毒などあらたな仕事量がふえ、密接が避けられない保育に職員の皆さんは、不安と恐怖を覚えながら日々奮闘されています。
コロナ禍でも保育所は、子どもたちが成長する場であり、子どもの心理や行動に配慮した生活の場としての役割が求められています。しかし保育現場では乳幼児などへの密接を避けることは困難ですが、密集や密閉は可能な限り改善しなければなりません。
日本では、4歳、5歳児のクラスは子ども30人に職員1人という配置基準が、1973年以来改善されていません。しかしドイツやイギリスではすでに4、5歳児は子ども13人に保育士1人、ニューヨークでは4歳児は8人、5歳児は9人に1人の保育士となっています。また、子ども1人あたりの面積も日本の基準は、3歳児から1.98平方メートルですが、欧米では、2.3平方メートルから5.5平方メートル、スウェーデンでは、子どもの権利条約32条の休息、余暇、芸術への参加を保障するため7.5平方メートルとなっています。
コロナ感染から子どもを守り子どもの成長を保障するため、これを機会に区として、欧米並みの保育士の増員と子ども一人当たりの施設面積の拡大を国と都に求めるべきです。また、区内の保育所については新設園から国際基準で設置し、既存施設についても順次施設の増設や定数削減などで国際基準にすべきで。あわせて区長の所見を伺います。
東京都の調査で、保育士の退職理由に「給与が安い」と答えた人が68%にのぼっています。2018年の保育士の平均賃金は23万2600円で、全職種の30万6200円に対して7万3600円も低いにもかかわらず、この2年間に国の改善で引き上げられた額はわずか5400円で格差を埋めるには程遠い実態です。
保育士は子どもの命を預かる仕事で専門性の高い職種です。それにふさわしい賃金を保障しなければ、職員の確保はできません。区長は、処遇改善として国に賃金の抜本的引上げを求めるとともに、渋谷区独自でも世田谷区のように賃金加算を行うべきです。所見を伺います。
また、全国私立保育園連盟の調査では、感染の収束が見えない中、休園や自粛要請で登園を控えている親子に対しても73%の保育園が電話やメールによる状況確認を行っていましたが、国の第二次補正予算に児童福祉施設職員の慰労金は盛り込まれませんでした。しかし山口県、山形県をはじめ、札幌市などでは保育所と放課後クラブ職員に一人5万円、河内長野市では2万5000円の商品券など多くの自治体で慰労金が支給されています。渋谷区でも感染リスクの中で奮闘している保育従事者に対し、慰労金の支給をすべきです。区長の所見を伺います。
(2)認可保育園の増設について
東京都が発表した23区の今年4月の待機児童は、昨年より1048人減、渋谷区の待機児も34人減って58人となっています。しかしこの数は、居宅訪問保育事業などの利用を待機児から除いた数です。とりわけ認可保育園の希望者の多い0歳から2歳児では、申込者数から新規入園者と辞退・取り下げ者数をひいた待機児数は369人で、21年度新設予定の5施設の定数166人が増えても、今年と同規模の認可保育園の希望数があれば待機児は200人以上になります。
また、渋谷区では、コロナ禍で全園休園のもとでも求められた中でも、公的保育園は緊急保育を実施し続けました。こうした公的保育の役割を区長はどのように評価しているのか伺います。あわせて認可保育園を希望するすべての子どもたちが入所できるよう区立の認可保育園を中心に増設を行うべきです。代々木2、3丁目の国有地や本町の警察宿舎跡地、幡ヶ谷都営住宅跡地等に増設すべきです。区長の所見を伺います。