2021年第2回定例会 代表質問
2021.6.3 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、区長、教育長に質問します。
1、国政、都政問題
①憲法改悪の中止についてです。
菅政権は今国会で国民投票法改正案を成立させ、自衛隊を明記する9条改定、緊急事態宣言条項の創設などの議論に進もうとしています。しかし、世論調査で、改憲を優先的な政策課題だと答えたのは8%に過ぎず、国民が望んでもいないのに改憲を議論することは許されません。
4月の日米首脳会談では、米中対立が深まる中、台湾有事に自衛隊が参加する方向が合意されました。安保法制下で自衛隊を憲法に明記すれば、自衛隊の海外での武力行使を広く可能にし、国民を戦争に巻き込むことになるのです。区長は、安保法制を廃止し、憲法9条を守るよう国に求めるべきです。見解をうかがいます。
また、首相は新型コロナウイルス感染拡大に乗じて、「緊急時に国民の命と安全を守るため、国家や国民の役割を憲法に位置付ける」と述べ、緊急事態条項の必要性を強調しました。しかし、感染拡大を招いたのは政府が徹底した検査と補償をしてこなかったためで、憲法に緊急事態条項がないからでありません。
国会の権限を制限して時の政府に全権を与え、基本的人権を停止できる「独裁国家」づくりは許されません。区長は国会に対し、コロナ危機に便乗した改憲の議論を行わないこと、政府に社会保障と公衆衛生の向上と増進の責任を果たすよう求めるべきと考えますが、見解をうかがいます。
②東京オリンピック・パラリンピック大会の中止についてです。
IOCのバッハ会長の「誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」、コーツ副会長の「緊急事態宣言下でも開催可能」という、国民の命やくらしよりもオリンピックを優先する発言に、内外の厳しい批判が広がっています。国民の世論も6~8割が中止・延期すべきとしています。菅首相と小池都知事が、東京オリンピック・パラリンピックに固執して開催を強行すれば、感染爆発を起こしかねず、命を危険にさらすものです。
区長は、政府と東京都、IOCに対し、感染を世界に広げることになりかねない東京大会の中止を求めるとともに、区内での聖火リレーや宮下公園でのパブリックビューイングなどの関連イベントは中止し、そのための予算は、コロナ対策に使うべきです。見解をうかがいます。
③都立・公社病院の独法化についてです。
都立広尾病院は、伝染病病院として設立されてから120年余の間、感染症をはじめ、災害、島しょ、難病、周産期、小児医療など、住民が必要でも民間が提供困難な医療を提供するかけがえのない役割を果たしてきました。コロナ病床として240床を提供し、都立・公社病院全体で東京のコロナ病床の約4割を担っています。
ところが小池都知事は、広尾病院をはじめ14の都立・公社病院を独立行政法人化して、東京都の予算を削ることをねらっています。さらに、「稼ぐ医療」として、海外の富裕層のための「医療ツーリズム」に対応する病院にすることを検討しています。
独立行政法人になれば採算のとりにくい感染症などの医療は大きく後退し、住民が必要とする医療も受けにくくなってしまいます。だからこそ、地域住民は10年以上にわたって都立病院を守れと運動しているのです。
区長は、住民の医療を守るために、東京都に対し広尾病院をはじめとする都立・公社病院の独法化中止を求めるべきです。見解をうかがいます。
④渋谷の空の安全確保についてです。
羽田空港に着陸する航空機が毎日のように渋谷の上空を飛び、住民からの騒音の苦情が増えています。区民は「アメリカのコロラド州の事故で落下物がますます心配になった」「減便で必要ないのになぜ都心上空を飛ぶのか」などと批判しています。
そもそも、「五輪のための羽田増便」「外国人観光客呼び込み」という口実はコロナで完全に破綻しています。渋谷、品川区などの住民は飛行中止を求める裁判を起こしています。
区民の安全と住環境を守る責任を果たすためには、羽田空港の運用は海から入って海に出ていくという住民との約束に立ち戻る以外にはありません。区民の命を危険にさらす都心低空飛行ルートの中止を国に求めるべきです。区長の見解をうかがいます。
毎日新聞の調査で、都心上空での米軍による無法な低空飛行が常態化していることが明らかになりました。半年間の間に新宿駅周辺で12回確認し、東京都庁の展望台から撮影した動画には約200メートルの低空で飛行する米軍ヘリが記録されています。また、「12月14日には、神奈川方面からきた米海軍ヘリが明治神宮の上空を通り、原宿竹下通りの神宮前タワービルディングのすぐ横を通過」など、渋谷、浜松町周辺のオフィス街での危険な低空飛行を5回目撃したと報じています。日本の航空法では、住宅密集地では300メートル以上を飛行することが義務付けられていますが、日米地位協定で米軍は航空法の適用除外とされています。
国会審議で米軍が、赤坂プレスセンターから横田、厚木、横須賀基地など、都心から神奈川県東部の広い範囲を、勝手に訓練空域に設定していることが明らかになりました。
区は、こうした米軍ヘリの低空飛行の実態を把握しているのか、また、危険極まりない訓練の中止と日米地位協定の見直しの交渉を国に求めるべきです。区長の見解をうかがいます。
2、コロナ対策について
感染第4波は、感染力の強い変異株が主流となり、大阪や兵庫の介護施設などではクラスターが発生して、入院もできないまま数十人が亡くなるなど深刻な事態となっています。今日の事態は、感染拡大防止の検査戦略をもたず、自粛への補償は全く不十分、医療が逼迫しても減収補填しないなど、政府の無為無策の結果です。ワクチン接種が世界128位と立ち遅れているのも、ワクチンと接種体制の確保がないまま、接種期日を自治体に迫り、混乱を招いた政府の責任です。
区長は政府に対し、安全で速やかなワクチン接種とともに、国の責任で社会的検査とモニタリング検査を大規模に実施すること、医療機関への減収補填、自粛と一体の十分な補償を求めるべきです。見解をうかがいます。
①ワクチン接種について
当区でも、高齢者を対象に接種予約が開始され、週ごとに順次拡大されています。「電話が通じない」「並んでも予約できない」などの混乱は徐々に解消されてきました。しかし、インターネットが使えず、電話で予約しようとした人は、何度かけてもつながらず、不安は増すばかりという状態に置かれており、引き続き改善が必要です。
ワクチン予約については、出張所などに職員を配置し身近な予約窓口を設けて、毎日相談と予約ができるようにすべきです。また、集団接種会場や医療機関ごとに何人の接種が可能かも事前に周知すべきです。区長の見解をうかがいます。
また、どうすれば予約できるのかわからない人もいます。中野区では、地域包括支援センターが、介護を受けている高齢者1人ひとりに予約の支援を行っています。6月1日の渋谷区ニュースには60~64歳の方などにクーポン券を7月中旬に発送し、下旬から接種する予定が発表されました。しかし、接種したいのに予約できない高齢者を置き去りにすることは許されません。
地域包括支援センターに職員を配置し未予約の高齢者への支援を行うべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
接種については、地域ごとの高齢者数に見合った接種体制を確保すべきです。区の北西部では、高齢者数に対して接種できる回数が少ないために、遠くの医療機関などに行かなければならなかったり、いまだに一回目の予約さえ取れない方も少なくありません。
北西部の集団接種会場での接種回数を増やして身近な場所で接種しやすくするとともに、個別接種できる医療機関を増やすべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
医療機関の中には自主的に人を雇って接種回数を増やすところもあると聞いています。川口市では接種回数に応じて一人当たり1000円から2000円の上乗せ手当を支給して医療機関を支援します。
医療機関が接種回数を増やす支援として、医療スタッフをはじめ、事務職などの人件費の支援や接種回数に応じた上乗せ支給を行うべきです。
また、外出困難者へのタクシー代支援、訪問接種などを準備し、早期に周知すべきです。
当区では7月末までの接種可能回数は合計で何回になるのか、また、高齢者へのワクチン接種はいつごろまでに完了する見込みなのか、それぞれ区長にうかがいます。
②PCR等検査体制の抜本的強化について
新型コロナウイルス感染症の特徴は、発症前の感染者が無症状のうちに感染を拡大することにあります。感染を防止するためには、ワクチン接種と同時並行で、市中にいる無症状者を発見し保護する検査の抜本的拡充が必要です。
渋谷区でも連日のように高齢者施設や学校での新規感染者が発生しています。6月1日までの感染者数は4874人ですが、そのうち高齢者施設、障がい者施設、学校、保育園、区職員の感染者数は、それぞれ何人になるのかうかがいます。
こうした感染リスクの高い施設では、クラスターを発生させないために、定期的、頻回の検査を行うべきと考えますが区長の見解を伺います。また、介護や障がい者事業所がすすんで検査を受けられるようにするため、職員に陽性者や濃厚接触者が出た場合の相互応援体制を区の責任で構築すべきです。区長の見解をうかがいます。
国が社会的検査への責任を果たしていないなかで、首長の判断で、積極的な検査に踏み出す自治体も広がっています。広島県では、「あなたの検査で大切な人の命を守ろう」と啓発し、4月1日から全県民と県内で働くすべての人を対象に、5か所のPCR検査センターでの検査と200か所の薬局で検査キットを配布する二つの方法で、無料でPCR検査を受けられる体制をスタートさせ、約5万2千人を検査し150人以上の無症状感染者を発見し保護しました。5月に入ってからは変異種の感染が深刻な、広島市と福山市の全事業所56万人のPCR検査を行い封じ込めようと取り組んでいます。
当区は、ターミナルや繁華街があって人の流れが多いため、23区中で人口比の感染者数が新宿、港に次ぎ3番目に多くなっています。東京都と連携して、「いつでも、だれでも、何度でも」受けられる大規模なモニタリング検査を実施すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。また、陽性となった全員に変異型ウイルスの検査を行うよう東京都に求めるべきと考えますが、あわせて区長の見解をうかがいます。
③医療機関への支援と保健所体制の拡充についてです。
区民のいのちと健康を守るため、医療連携しながらコロナ対応や、ワクチン接種を担う区内の医療機関に対して、コロナ受け入れにかかわらず、区として財政的支援を行うべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
また、保健所の保健師等の専門職は、配置予定数の50名に対して実人員は49名で、欠員状態が続いています。月20~50時間の超過勤務が続いているだけに、今後の感染拡大にも対応できるよう、ただちに保健師をはじめとした職員を補充し、保健所機能を十分に果たせるようにすべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
3、区政のあり方について
コロナ禍のもとで、区政が区民の命とくらしを守ることを最優先にし、憲法と地方自治法が示す「住民福祉の増進」を図ることがいつにもまして重要になっています。「パート収入がなくなり生活が苦しくなった」、「収入が減少し、食費を切り詰めざるを得ない」、飲食店からは「事業を続けられるかどうかの瀬戸際だ」など、区民生活は困難を極めています。
コロナ禍での所得格差がいっそう拡大しているだけに、区がため込んだ1179億円の基金を活用して、住民税非課税者への給付金支給を実施すべきです。区長の見解をうかがいます。
①大企業の利益奉仕の施策の見直しについて
区は、渋谷駅周辺の再開発事業は公共性が高いとして、旧東急プラザの建替えで、リムジンバスの発着場などに約10億円を投入しました。
渋谷駅桜丘口の再開発では、総額40億円を通路やデッキ、海外企業を呼び込むための外国人向け医療施設や保育所、住宅などに補助し、今年度から3年間で32億4020万円の税金投入が見込まれています。
しかし、第一種市街地再開発には、必ず公金を投入しなければならないわけではありません。区民は生業が脅かされ、認可園にも入れず、公営住宅も入居希望者が殺到しているというのに、海外企業を呼び込む、大企業のための大型開発への税金投入はやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
区は、グローパル拠点都市推進事業として、今年度予算に1億450万円余を計上し、海外からを含むスタートアップ事業者支援を開始しました。
区長はこの事業を通じて、渋谷区の将来像として、巨大なハイテク企業と何千というスタートアップ企業が集まるシリコンバレーや、多くの海外企業を集めて急成長した中国の深センのような都市を目指しています。昨年10月には支援する12の企業プロジェクトを採択し、4月には11名の副業人材を採用し、海外企業の招へいなどをすすめると発表しています。また、全体像について議会への報告もしないで、どんどん事業が進められていることも問題です。
コロナ禍で苦しむ中小事業者支援には背を向け、海外企業を呼び込むために多額の税金を投入することはやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
ステップアッププロジェクトは、東京都の旧児童会館跡地と一体に、区の第二美竹庁舎、美竹公園を民間事業者の開発用地として差し出し、営利活用させる計画です。今年夏の募集に向けて準備が進められ、3月に示された事業実施方針では、事業者が大儲けできるように美竹公園も含めて一つの敷地とし、容積率を最大にして建物が建てられるようにする一方で、地元住民への配慮は「ケアコミュニティ美竹の丘のA団体は、整備される施設を週一度無料で使えるようにする」など、ごくわずかにすぎません。
この土地については、地域の住民から特養ホームや保育施設の整備が提案がされた経緯があります。住民の提案を全く無視し、区民のための土地利用を放棄して大企業の利益のために公有地を差し出す事業はやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
②区民のくらしを守る施策について
・国保料の軽減
国民健康保険料は今年度、均等割は下がったものの所得割が引き上げられました。また、介護分の引き上げで、40歳から64歳までの加入者のいる世帯では大幅な負担増となりました。40代の夫婦と子ども2人の世帯の保険料は51万9270円で、1万1949円の値上げとなります。
国保加入世帯は、自営業者や高齢者、非正規雇用の労働者など、他の医療保険に入ることのできない低所得者が多いため、公費による負担を増やして引き下げることが、区民生活を守るために必須です。
今年度の東京の協会けんぽ保険料は引き下げで、子ども2人の4人家族で23万2800円です。国保世帯の保険料は協会けんぽの世帯に比べ2.2倍となり、保険料の格差はさらに広がりました。加入する医療保険制度によってこんなに格差があるのは、国保だけにある応益負担の均等割保険料など、制度設計に問題があるからで、国に格差を是正する責任があることは明白です。
区長は医療保険制度間の格差はあまりに不公平だと思いませんか、見解をうかがいます。
また、国に対し、格差の大きな要因となっている均等割保険料の廃止を求めるとともに、国庫負担割合の引き上げを求めるべきです。また、現状の格差をただすために区として一般会計からの繰り入れを増やして保険料を引き下げるべきです。
子どもの均等割保険料については、国が未就学の子どもの半減を打ち出しましたが、実施は来年度からです。コロナ禍の子育てを支援するために、区として1億3600万円を国保会計に繰り入れ、一人5万2千円の子どもの均等割保険料をゼロにすべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
・生活保護の運用改善
コロナの影響による生活困窮が深刻化するなかで、憲法25条の「健康で文化的な最低生活の保障」の実現が求められています。
2月22日に大阪地裁は、国が2013年に行った生活保護の基準引き下げは、違法という判決を下しました。原油や穀物などが高騰した2008年を基準にした3年間で最大10%の生活扶助費の引き下げは、消費者物価指数の下落幅の2倍にもなるとして断罪されたのです。
この裁判は、「いのちのとりで裁判」と呼ばれ、約900人の原告によって、29都道府県で争われています。
区長は、被保護者の訴えと判決の重みを受け止め、政府に対し生活保護基準の引き上げを求めるべきと考えますが、見解をうかがいます。
受給者が引き下げは違法だと裁判に訴えているさなかの2016年と17年に、区長は独自に上乗せ支給していた夏冬の見舞金を、当事者の反対の声を無視して廃止してしまいました。夏の猛暑でもクーラーもつけず、冬の暖房も我慢し、日が落ちて電気もつけずに生活を切り詰めている方の生活実態を、区長は健康で文化的と考えているのかうかがいます。コロナ禍のもとでは、誰でも収入の道を絶たれる可能性があるのです。区長の判断でできる生活保護世帯への支援として、夏冬の見舞金を復活すべきと考えますが、見解をうかがいます。
住宅扶助の基準額は単身者で5万3700円ですが、恵比寿、広尾をはじめ、区の南部や東部などでは、基準以下の物件ほとんどなく、私に相談のあった方は、保護決定で転居が必要になっても見つかる見通しがありません。また、アパートが取り壊される方は、住み慣れた地域を離れなければならなくなっています。23区のうち、千代田、中央、港区の3区では、特別基準として単身世帯で6万9800円、2人世帯は7万5千円まで認められています。
区内では住宅扶助基準以下の安いアパートが著しく減少しています。実態に合わなくなっている生活保護の住宅扶助額を特別基準に引き上げるべきです。区長の見解をうかがいます。また、区内の住宅家賃に地域的格差がある実態を踏まえ、当面の対応として地域の住宅物件の相場を考慮に入れて特別基準を認めるべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
・保育について
区長は、今年の第1回定例会で「待機児解消のめどが立った」と発言し、今年度から認可保育園の増設を止めてしまいました。
今年4月に入園を希望したのに認可園に入れなかった子どもは、年齢ごとに何人いるのかうかがいます。
杉並区では、今年3年連続で「待機児ゼロ」ですが、区長は、①希望者の15.9%が認可保育所に入れなかった、②保育の需要増は今後も続くと見込まれる、③希望する全ての子どもが認可保育所に入所できる環境を整えるとして、今後も認可保育所の整備を進めていく考えを表明しています。また、保育の質の確保策の一つとして、認可保育所が新たに園庭を確保する場合、その所要経費の一部を区独自に補助する制度を創設すると表明しています。
児童福祉法に定められた区の責任として、認可保育園を増設して待機児をなくすべきです。また、杉並区のように園庭確保のための補助制度を作るとともに、保育の質の向上の要である保育従事者の賃金引き上げのための支援を国に求めるとともに区として行うべきです。区長の見解をうかがいます。
子育て世帯と女性支援について
コロナ禍は、大人だけでなく学校に通う子どもにも大きなストレスとなり、家計収入の減少とも重なり、子育て世帯の困難が増しています。
すべての子どもの教育を受ける権利を守り、義務教育無償の原則に立って学校給食費の無償化に踏み切るべきです。
また、子育てにかかる負担を軽減し、子どもの成長を支えるために、子ども医療費の高校生までの無料化をこの時期に実施すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
20代の若者で作る「みんなの生理」が公表したオンラインアンケートの結果で、5人に1の若者が「金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した」と答えています。3月8日の国際女性デー以降100を超える自治体が生理用品の無料提供を公表しています。当区でも東京都から贈られた180セットの防災備蓄用の生理用品を活用して、社会福祉協議会と教育員会を通じて配布していますが不十分です。中野区では、生理用品を独自に確保し、永続的に支給する取り組みを始めました。
国の交付金を活用し、区独自に生理用品を確保して、区ニュース等で周知するとともに、小中学校のトイレに配備して、困難を訴えにくい子どもが利用できるようにすべきです。また、公共施設に配備してすべての困窮女性を支援すべきです。区長の見解をうかがいます。
家庭ごみ有料化の検討について
区がまとめた廃プラスチックの資源化と、家庭ごみの有料化の基礎調査報告では、アンケートで家庭ごみの有料化に7割の区民が反対しているにもかかわらず、有料化はごみの減量など大きな効果があるとして推進しようとしています。そして今後の家庭ごみ有料化の方向性として23区による共同実施を積極的に働きかけるが、共同実施が困難な場合は渋谷区単独での導入について検討するとしています。しかし、ごみの減量は持続可能な社会にむけての住民の議論と理解によって進めるべきものです。家庭ごみの有料化はくらしを圧迫し、不法投棄を増やすことにもつながります。区は区民生活にかかわる重要な政策変更を、区議会にも区民にも説明しないまま、有料化のレールを敷いています。
家庭ごみの有料化ありきの議論は認められません。区民の多数が反対し、不法投棄を増やすことにつながる家庭ごみの有料化は、きっぱりと撤回すべきと考えますが区長の見解をうかがいます。
4、教育
①オリパラ東京大会「学校連携観戦」について
東京都は、オリパラ「学校連携観戦」として81万人の子どもを競技観戦させようとしています。児童生徒の移動には電車やバスなどの公共交通機関を使うように指示され、国立競技場と東京スタジアムだけで46万人の子どもを動員する計画が明らかになりました。一部のマスコミ報道では、無観客での開催となった場合でもこの事業は実施されるとしています。
当区は、8月25日から9月5日の間に観戦を予定しています。
この事業に参加を予定している学校数と児童生徒数は何人なのか、自由参加なのか授業なのか、参加するか否かの判断は誰が行うのか、観戦によってコロナに感染した場合の責任は誰にあるのか、教育長に伺います。
感染第4波が深刻さを増し、子どもも感染しやすいとされる変異株が東京でも急増している中で、このような計画を強行することは、ワクチン接種の対象でない子どもを無防備で感染の危険にさらすもので絶対に認められません。渋谷の子どもの参加をやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
①ICT教育について
当区では、いち早く全児童生徒へのタブレット端末を貸与してのICT教育が進められてきました。文科省も「GIGAスクール構想」を前倒しし、4月から一人一台の端末配備を開始しました。
ICTなどの教材の導入は、時間と空間の制限を取り払うことができ、子どもたちの学びを豊かにする可能性を持っていますが、それを生かすには、教員がICTの使い方を自分たちでコントロールできることが決定的に重要です。そのためには、教育現場の自主性を尊重するとともに、教員にICTの活用法を研究する時間を保障すべきです。この大原則を踏み外すような「活用」は教育を台無しにすることにつながります。
教育のICT化は、子どもの成長・発達のためにどのような課題があり、その有効な活用はどうあるべきかについて、学校や保護者など関係者の間で十分な議論と検討が行われることが大切です。
ICT教育は、インターネットやSNS利用の促進につながり、子どもの生活や健康に重大な影響を与えます。スマホやICT端末の過度な利用による依存症や、脳や視覚神経の発達の遅れなどが指摘されています。また、デジタル利用の格差をなくすことや、電磁波被害から子どもを守ることも教育委員会の大事な役割です。
教育長のICTの活用についての基本的な考え方と、教員の研究時間の保障、子どもの過度なインターネット依存や、電磁波による健康被害を防ぐ対策について、どのように考慮しているのかうかがいます。
公教育へのICT活用は、「Society5.0」に向けた人材育成として首相官邸、経済産業省・財界が先導して進めてきました。経済産業省は「未来の学校」事業として、教育分野への企業参入をすすめています。教員の自主性が尊重されずにICT活用が進めば、子どもたちの教育が、教育産業主導で行われることになってしまい、人格の完成を目指して行われる教員と子どもの営みとは異質のものになってしまいます。企業の利益のために、子どもの教育をゆがめることは認められません。
GIGAスクール構想では、子どもたちの膨大な学習履歴を蓄積し、人工知能によって「個別最適」な教育を推進するとしています。子どもたちのプライバシーを守るとともに、企業による教育支配を許さないためにも、教育ビックデータを民間教育産業やIT企業に利活用させることはやめるべきと考えますが、教育長の見解をうかがいます。
②少人数学級の実施
義務教育標準法が40年ぶりに改正され、今年度から小学校の35人学級が5年間かけて実現し、教員や保護者などの関係者から歓迎の声が上がっています。コロナ禍のもとで広がった少人数学級を求める世論にこたえて、15道県では今年4月から独自に少人数学級の拡充に踏みきり、国の基準を上回る少人数学級は26道県に広がりました。しかし、東京都も区も、これまで小学校2年生まで35人学級としてきたことを変えていません。
当区では、保護者などからくりかえし少人数学級の実施を求める声があがり、昨年もネット署名が行われました。小中学校の全学年で35人学級を早急に実施し、さらに30人学級をめざすべきです。教育長の見解をうかがいます。
④学校施設長寿命化計画について
公共施設の老朽化対策が課題となる中で、当区でも今後30年間を計画期間とした学校施設長寿命化計画が策定されました。
区が作成した計画の中には、「将来更新コストはこれまでの修繕・改修費用の水準を大幅に超過するため、他施設との複合化・共用化や適正規模・適正配置の方策と連動することが必要」など、財政的な視点から導き出された結論が優先され、教育環境がどうあるべきかという議論は二の次になっています。しかし、教育は未来の世代を担う子どもを育成するものだけに、子どもの教育環境向上のための財政を惜しむべきではありません。
学校施設整備の基本的な方針には、学級数の少ない学校を問題視し、長谷戸小、常磐松小、鳩森小、鉢山中、広尾中、笹塚中と名指しで学区変更や統廃合などの学校再編の検討の必要性があるとしていることはとんでもないことです。学校は、子どもたちの学びの場であるだけでなく、地域コミュニティの要の役割をはたしており、災害時の防災拠点でもあります。人口が密集する都心区で、いったん学校を廃校にしてしまえば、児童・生徒数の増加があっても学校の新設は容易ではありません。渋谷本町学園では建設計画時の想定に反し、小学校のクラス数を増やす改修工事も計画しなければならなくなっています。
また、計画では,公共施設との複合化やプールや図書館などの共用・集約化等が課題とされています。葛飾区では、区民プールや民間プールを活用して小学校などのプールは設置しない方針を決めたことに対し、住民の反対運動が起きています。
次世代を担う子どもをはぐくむ最も大切な教育財産であり、地域コミュニティの拠点である学校の統廃合は行わず、教育条件の充実を図るべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
また、小学校の図書館と地域の図書館を共用している臨川小学校では、児童数の増加により、臨川みんなの図書館の一部を改修し、小学校の教室確保に当てなければならなくなっています。こうした事態を起こさないためにも、学校施設と公共施設との複合化や共用・集約化は行うべきでないと考えますが、区長の見解をうかがいます。