牛尾まさみ議員は、6月2日の区議会第2回定例会の本会議で、日本共産党区議団として代表質問をおこないました。
2022.6.2最終 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、区長、教育長に質問します。
①憲法9条に基づく平和外交について
プーチン政権によるウクライナ侵略の悲惨な映像が連日報道されています。日本共産党は、主権の尊重と領土の保全、武力行使を禁じた国連憲章に基づいて、各国政府と市民社会が「ロシアは侵略をやめよ」の一点で団結し、一日も早く戦争を終わらせ、平和秩序を回復するために全力をあげます。
自民党の安全保障調査会が敵基地攻撃能力の保有に踏み込み、日本維新の会はアメリカとの核共有を提言しました。岸田首相も、防衛費の増額や核抑止力の強化などを対米誓約しました。これらは、日本を軍事対軍事の道に引き込む危険な対応です。
日本共産党は、くらしを押しつぶす大軍拡をやめ、核兵器禁止条約に参加するとともに、東アジアを平和の地域とするために、アセアン諸国と日米中ロが参加する東アジアサミットを活用し、憲法9条を生かした平和外交を提案しています。
区長は、紛争を戦争にさせないことが政治の役割ととらえているのか、そのために、政府に対し、憲法9条を守り、核兵器禁止条約の批准を求めるべきです。見解をうかがいます。
区の昨年度の平和事業は東京大空襲を体験した噺家の講演で、参加者の感想も好評でした。今年度は、国連憲章や、日本国憲法についての講演会を提案します。区長の見解をうかがいます。
②物価高騰対策について
最近の物価高騰は、アベノミクスの「異次元の金融緩和」による「円安」などが原因で、くらしを脅かしています。区民は「年金は下がり、物価は軒並み値上げではくらしていけない」など、悲鳴をあげています。政府の補正予算の物価対策は、実質、ガソリン元売り価格の抑制しかありません。
日本共産党は、新自由主義をやめ、消費税減税、賃金の引き上げ、社会保障と教育の充実、気候危機打開、ジェンダー平等の5つの大改革を提案しています。
コロナ禍からくらしを守るため、世界で85の国と地域が日本の消費税に相当する付加価値税の減税を実施しています。区長は政府に対し、物価対策として最も効果の高い消費税の5%への引き下げと、これまで非課税だったシルバー人材センターを含め、中小業者を苦しめるインボイスの中止を求めるべきです。見解をうかがいます。
政府は、地方創生臨時交付金のうち今年度の1兆円と繰り越された8千億円の活用例として、住民税非課税世帯等への臨時特別給付金の横出し事業などを示しています。
当区でも、この財源やため込んだ基金を活用して、足立区が実施した世帯所得200万円以下の課税世帯への10万円支給をただちに実施すべきです。渋谷区では17億円でできます。区長の見解をうかがいます。
労働者の実質賃金は、2012年度から20年度に22万円も減少する一方で、大企業の内部留保は133兆円も増えました。東京の最低賃金は、時給1041円で、一日8時間、月22日働いても18万円余にしかなりません。日本共産党は、最低賃金を時給1500円に引き上げるため、アベノミクスで増えた大企業の内部留保に5年間に限定して2%課税し、中小企業の賃上げの財源とすることを提案しています。
区長は、最低賃金を時給1500円に引き上げ、8時間働けば普通の暮らしができるよう、政府に求めるべきです。
また、渋谷区として、委託事業者に賃金引き上げのための支援を行うべきです。
男女の賃金格差解消のために、わが党が繰り返した国会論戦が実を結び、今年7月から、各企業に対して男女の平均賃金の公開が義務付けられました。区が取引する契約業者の選定の際の評価項目に男女の賃金格差の解消を加えるべきです。以上3点について区長の見解をうかがいます。
①大企業奉仕の区政の転換
長谷部区政は、区民に対して、国保料や後期高齢者医療保険料の値上げや、区型介護サービスなどの福祉を切り捨てる一方で、渋谷駅周辺再開発への税金投入、パークPFI、グローバル拠点都市推進事業など、大企業の利益のための区政を進めています。こんな逆立ちした区政は認められません。
都市再生ステップアップ・プロジェクトは、旧第二美竹分庁舎跡地と美竹公園を東京都の旧児童会館跡地と一体に、70年間、企業に貸し出す事業です。事業予定者はヒューリックと清水建設に決定しました。
提案では、地上14階、地下2階、延べ床面積4万6500平米余の建物で、多目的ホールや住宅のほか、5階以上に設ける2万2千平米の業務施設と1階の商業施設などです。
事業者は、業務施設と商業施設の賃借料に加え、住宅の家賃で利益を上げます。美竹公園だけは、区立公園として残りますが、建物の価値を高める前庭のような公園となるほか、立体公園として地下に多目的ホールが設けられ、近隣住民以外は利用料が徴収され事業者の収入となります。
事業者が区に提出した計画書では、この事業で得られる年間の利益をいくらと見込んでいるのか、また、多目的ホールの使用料や、住宅の家賃はいくらになっているのかうかがいます。
結局、この事業は、区の土地を使ってオフィスや商業施設などで事業者を儲けさせるものです。区民のために特養ホームや区営住宅などの用地が必要なのに、大企業の利益のために区有地を差し出すことは、自治体としてやるべきことではありません。都市再生ステップアップ事業は中止し、区民の土地は区民のために使うべきです。区長の見解をうかがいます。
②トップダウンの手法はやめよ
渋谷図書館は地域住民が長年にわたり親しんできた大切な施設ですが、区長は、利用者や地域住民への説明会も開かず、住民の声を聞くこともなく、昨年度末で廃止を強行しました。住民の間では、「大切な図書館を残して」「文化の軽視は許せない」など図書館の存続を求める運動がひろがり、廃止見直しの請願が5764人もの方々から提出されました。多数の反対の声を無視した渋谷図書館の廃止は断じて許されません。
区長は、図書館の空白期間を最小限にするとして、広尾中学校に複合化する計画を打ち出しました。しかし、4月23日に「渋谷の図書館を考える会」が開いた報告会では、「なぜ、改修や現在地での建て替えをしないのか」「複合化には5年もかかり、大切な幼少期に図書館を使えない」など、これまでの場所での再開を求める住民の声が次々と出されました。
文教委員会の質疑では渋谷図書館の建物は耐震性もあり、4億円の改修費で引き続き使えることが明らかになりました。これが最も早く図書館を再開させる方法です。廃止条例の賛成討論でも、建物をリノベーションして他の目的に利活用する発言がありました。区長は、なぜ、改修して渋谷図書館を今までの場所で継続しようとしないのか、また、廃止後の建物や土地をどうしようとしているのか、うかがいます。
長谷部区長は、これまで富山臨海学園、山中高原学園、新島青少年センターなどを次々と廃止してきました。区民のための大切な施設を意見も聞かずに廃止することは認められません。区長はトップダウンの姿勢を改め、区民サービスに係る施策を決定する際には、区民にきちんと説明し、理解を得るべきです。見解をうかがいます。
①新型コロナ対策について
1月以降の新型コロナ第6波では、日々の感染者数も死亡者数も最高を更新しました。次の感染拡大に備えた準備が強く求められています。
まず、感染情報について、区はこれまで、日々の感染者数と療養状況に加え、区職員や関係者の感染の発生について、公表してきました。ところが、区内の小中学校や保育園での発生は4月4日を最後に、一件も公表されていません。区民からは、児童生徒の感染は皆無になったのか、なぜ非公開になったのか、など疑問の声が出されています。
4月4日以降の区内の小中学生や保育園児の感染はどうなっているのか、また、保護者が子どものワクチン接種や検査を受ける判断にも影響を与える情報であるだけに、公表すべきです。あわせて区長の見解をうかがいます。
3回目のワクチン接種率が若い世代で低迷しています。コロナ感染症の危険とともに、ワクチン接種で重症化を予防できることや、若い方が接種を受けることの意義などを、広く周知すべきです。区の接種促進の対策をうかがいます。
検査の拡大について
第6波では、高齢者施設や学校、保育園などで多くの陽性者が発生しました。今後、必要な検査がいつでも受けられるよう体制を整備するとともに、高齢者、障がい者、学校や保育施設などで、定期的な検査と感染状況に応じた頻回検査を実施すべきです。区長の見解をうかがいます。
保健所体制について、区は、感染拡大時には応援職員と都の職員、人材派遣会社の活用など、臨時体制で対応してきましたが、感染症対策を抜本的に強化するために、保健師の定員増と区独自の検査ができるようにすべきです。
また、医師会との連携について、墨田区では、第6波後に高齢者施設の要請に応じて、原則24時間以内に区が医療チームを施設へ派遣して迅速に治療を開始するとともに、認定看護師が施設の感染対策を指導する体制を整えました。また、昨年11月から区内の20の医療機関で後遺症相談センターを開設しています。
渋谷区でも墨田区のように医師会との連携を強化すべです。あわせて区長の見解をうかがいます。
医療体制の確保について
東京都は7月から、都内のコロナ病床の3割、2000床を確保してきた都立・公社病院の独立行政法人化を都民の強い反対の声を無視して強行しようとしています。大阪府では、独法化した5病院のコロナ病床は192床で、東京都の10分の1しか確保できず、老人施設の感染者は9割が入院できませんでした。こうしたことから国は公立病院の統廃合を見直しました。
区長は、「独立行政法人化されても、行政的医療や地域医療の充実への貢献などの役割を安定的に果たし続けていくと考えている」と答弁しましたが、その根拠はどこにあるのかうかがいます。
都議会では、独法化後の統廃合さえ否定しませんでした。採算性に劣れば、区民にとってかけがえのない広尾病院も統廃合される危険があるのです。区長は、区民の医療環境を後退させる都立・公社病院の独立行政法人化をやめるよう求めるべきです。見解をうかがいます。
②生活保護について
生活活保護制度は、憲法が保障するセーフティネットであり、最後の命綱です。しかし、対象となる人のうち、実際に制度を利用しているのは、欧米の約5割に対し日本は約2割にすぎません。
中野区では、「生活保護の申請は国民の権利です」と書いたポスターを区の施設や掲示板300か所に貼り出し、周知しています。当区でも、くらしに困窮する区民が生活保護申請に結び付くよう、ポスターを掲示するとともに、「生活保護のしおり」を、出張所、地域包括支援センター、図書館などの窓口に配備すべきです。区長の所見を伺います。
熊本地裁は、5月25日、国が2013年から強行した保護費削減を違法と断じ、引き下げ処分の取り消しを命じる判決を下しました。国は判決に従うべきです。
当区では、住宅扶助額の引き上げが急務です。恵比寿の高齢夫婦から生活不安の相談を受け、生活保護基準の6万9800円の家賃の住宅に移りました。今年に入ってご主人が亡くなり、生活保護を申請しました。
区は保護決定しましたが、住宅扶助は単身者の5万3700円しか支給せず、毎月約1万6千円を生活扶助額から削って生活しています。これは、厚生労働省が保護費から天引きする返還金上限額の5000円を大きく上回っています。こうした実態はほかにもあると聞いています。
区内には、単身者の基準以下の物件はほとんどないだけに、住宅扶助を見直すべきです。区長は、少なくない被保護者の人たちが、低い住宅扶助基準のために最低生活費さえ保障されていない事態をどう考えているのか伺います。23区のうち、千代田、中央、港区の3区では、特別基準として単身世帯で6万9800円、2人世帯は7万5千円まで認めています。区として住宅扶助以上を住宅費として払っている実態を調査し、厚労省に基準引き上げの申請を行って、住宅扶助額の特別基準を適用すべきです。区長の見解をうかがいます。
夏冬の見舞金について
電気代は昨年に比べ一世帯当たり、月1800円の値上げと報道されています。区は受給者が、夏の猛暑でもクーラーもつけずに我慢し、熱中症で健康を害することのないよう、廃止した夏冬の見舞金を復活して、区民の命を守るべきです。区長の見解をうかがいます。
③国保料の引き下げについて
今年度の国保料は、医療分均等割の3300円引き上げが大きく影響し、年収400万円の40代夫婦と学齢期の子ども2人の世帯の場合、52万6311円で収入の13%を占め、協会けんぽ加入世帯と比べて2・3倍になり、格差はますます広がりました。自営業者の方からは、「コロナで大変な時なのに保険料はまた値上げ、少しも我々への配慮がない」と怒りの声を寄せています。国保の保険者が区市町村になっているのは、地域住民の実態に合わせて保険料を決められるようにするためです。実際、都内では立川市の3年連続、西東京市の2年連続など、9市4村が22年度の保険料を据え置きました。
当区でも保険料の値上げをやめ、くらしの現状に合わせて引き下げるべきです。また、国は世論に押されて、今年度から未就学児の子どもの均等割保険料を半額にしました。区独自に18歳までの均等割保険料を無料にするために必要な予算は1億1200万円です。区長は、ただちに実施すべきです。見解をうかがいます。
④気候危機対策について
2030年までの温暖化ガスの排出量の半減が、地球環境を維持する上で不可欠のものとなっているなか、昨年11月に若者たちが結成したアナクション(a(n)action)という団体が、地球の平均気温上昇を「1・5度以下」に抑えるためのタイムリミットを示す日本初の気候時計をハチ公前広場に設置しました。日本共産党は「気候危機打開2030戦略」を発表し、省エネと再エネを組み合わせて2030年までにCO2排出量を最大で50~60%削減する政策を打ち出しました。電力消費を2~3割減らし、5割を再エネで賄うことで原発や石炭火力に頼らずに電力を確保できるなど、内外の科学的知見を集めた実現可能な政策です。
そこで区長に質問します。
日本は原発や石炭火力に固執し、2030年までのCO2削減目標は、国際基準の2010年比では42%で、45%減をめざす世界と比較しても遅れているのに、区長は「国の削減目標は綿密な積算をもとに、達成の可能性も考慮して設定している」と擁護しました。世界では2030年までに石炭火力をやめようというときに大規模石炭火力を9件も増設して、42%の削減にとどめる目標のどこが「綿密」なのか、お答えください。
改めて政府に対し、石炭火力ゼロ、原発ゼロ、大規模な省エネ・再生エネ普及を決断し、国際的に低いCO2削減目標を50%以上に引き上げるよう求めるべきです。
当区でも今年度からようやく環境基本計画の見直しが始まりましたが、すでに都内の20区14市1村に広がったゼロカーボン宣言を当区でも直ちに行うとともに、区の削減目標も50%に引き上げ、区民や区内企業への協力を呼びかけるべきです。
区長は30代以下の若者で構成する(仮称)「シブヤ若者気候変動会議」を開催するといいましたが、計画策定のメンバーに公募の区民代表を加えるべきです。
庁舎で使用する再生可能エネルギーの比率は、現在2%ですが、他の区有施設を含め100%にするとともに、省エネ住宅や住宅太陽光発電設備への助成や、区民や事業者の相談窓口の設置などを打ち出すべきです。
区内では、桜丘地区や渋谷二丁目西地区をはじめ、渋谷駅周辺での大規模な民間開発が次々と予定され、公有地でも都市再生ステップアップ・プロジェクトや、今後、青山通り沿いの都有地でも大規模再開発が見込まれます。
区長は、こうした開発の連鎖によるまちづくりはCO2の排出量を加速度的に増やし、持続可能な社会に逆行するという認識はないのか、うかがいます。そして東京一極集中を加速し、温暖化対策にも逆行する大企業のための再開発はやめて、地球環境にやさしい持続可能なまちづくりに転換すべきです。
以上6点についての見解をうかがいます。
①少人数学級と教職員の増員について
国は、小人数学級について、学力の向上、不登校の減少などの効果があると認め、小学校の35人学級の段階的実施を進めています。渋谷区は、今年度7人の教員を増員すれば小中学校全学年での35人学級が実現できるのに、実施に背をむけています。渋谷区は少人数学級の効果についてどう考えているのか、教育長にうかがいます。
区としてただちに小中学校全学年での35人学級を実現し、さらに30人学級へと進むべきです。教育長の見解をうかがいます。
少人数学級の推進とともに、教員がゆとりをもって子どもに接する時間をとれるようにすることが質の高い教育を実施する何よりの保証です。区は、教員を増やして一人ひとりの教員が子どもに接する時間を増やすことを強力に推進すべきです。
東京都に対し、教職員の配置基準を増やすよう求めるとともに、区としても学校の要望にこたえて必要な増員を行うべきです。教育長の見解をうかがいます。
②学校施設長寿命化計画
区が発表した「渋谷区『新しい学校づくり』整備方針」では、今後20年間で22校の小中学校を建替えるとしています。しかし、この計画は、議会でも、区民の間でも議論もないまま決定され、子どもの教育環境を改善する視点はありません。しかも、小中各3校の学校統廃合と小中一貫教育校化や、区民施設との複合化などを一方的にすすめるものとなっています。
第一に、学校施設の建替えにあたっては、何よりも子どもの教育環境の充実を優先すべきです。ところが計画では、80年後まで使用する学校施設でありながら、小学校で35人、中学校で40人学級のままで、クラス数を予想しています。
世界では20人程度の小人数学級が標準となりつつあり、文科省も少人数学級を進めているのに、小人数化を推進して子どもの教育環境の向上を図る考えがないことは認められません。さらなる少人数学級に対応できる計画にすべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
第二に、学校統廃合を進める問題です。計画では、笹塚小学校と笹塚中学校、千駄ケ谷小学校と原宿外苑中学校、猿楽小学校と鉢山中学校をそれぞれ統廃合する方針が示されています。
統廃合された本町学園小学校や、代々木山谷小学校では、教室が足りなくなって、校舎の増築をしなければならないという失敗をしました。また、小学生の通学路が遠くなったり、放課後クラブもすし詰めになりました。今回の計画は学校名まで一方的に名指しして、統廃合を進めるもので、到底認められません。統廃合は撤回すべきです。
学校が小規模校化しても、小規模校ならではの良さを生かした教育を行なって、子どもの学びを豊かにすべきです。区長の見解をうかがいます。
第三に、施設一体型小中一貫教育校についてです。
計画では、施設一体型小中一貫教育校を3校も作る計画であるにもかかわらず、その導入の動機は、小中学校とも12クラス未満の小規模校を作らないことが最優先されています。小中一貫教育について、保護者や関係者を含めて検証すべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
渋谷本町学園ができて10年が経過しました。中一ギャップの解消がうたい文句でしたが、実際には中学に進む子は6割程度で検証もなされていません。子どもたちは小中学生が一緒の施設となって大規模化したため、体育館から教室まで、離れたところでは地下2階から4階まで移動しなければならず、本町学園第二グランドとしてきた旧本町小学校の敷地も教育財産から外されました。
昨日の答弁で、教育長は一貫校の効果は述べましたが、今述べたデメリットについても検証しないまま、施設一体型小中一貫教育校を進めることはやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
第四に、学校は地域コミュニティや文化の拠点としての役割も担っています。渋谷区でも地域住民が学校ごとに子どもを地域で見守りながら様々な行事などに取り組み、地域コミュニティを育んできました。また、区立のすべての小中学校は、災害時の避難所として指定されており、地域住民のコミュニティの中での避難生活を支えるという防災機能を持っています。
計画には、防災機能の強化がうたわれているものの、廃止された学校施設についての記述はありません。地域コミュニティの創出や防災機能の強化などがうたわれていますが、地域の関係者も含めた議論もないまま、統廃合を含む計画を進めることはやめるべきです。区長の見解をうかがいます。
第五に、学校施設と区民施設の複合化も問題です。
日本共産党区議団は、学校施設と他の施設との複合化について、校庭面積が狭くなる、施建設費が高くなる、工事期間が長くなるなどの問題点を指摘しました。区長は問題と考えていないとだけ答え、具体的な答弁はしませんでした。
計画では、複合化についてはその効果だけが強調され、問題点や課題については、十分に検討された形跡がありません。先の定例会で区長は、広尾中学校の建て替えの際に図書館を複合化すると打ち出しました。しかし、学校内に他の区民施設を複合化させれば、様々な制約が学校にも区民施設にも生じます。区長は、学校の複合化の問題点についてどうとらえているのかうかがいます。
渋谷区の学校施設の子ども一人当たりの運動場面積は、現時点で文科省の学校設置基準を満たしていない学校が15校もあります。学校施設整備にあたって区民施設との複合化は行うべきではないと考えますが区長の見解をうかがいます。
③学校給食の無償化について
学校給食は、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣が身につくよう教育の一環として実施されており、憲法第26条の義務教育無償の原則にたって、本来無償にすべきです。
保護者や住民の願いにこたえ、全国では、全額無償が80自治体、一部実施が138自治体にまで広がっています。当区でも約2億1千万円で実施できます。ただちに無償化すべきです。区長の見解をうかがいます。
文部科学省は、学校給食を実施する各自治体に対し、地方創生臨時交付金の拡充により創設される「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用し、これまでどおり、栄養バランスや量を保った学校給食を提供するとともに、保護者負担の軽減に向けた取組を進めるよう求めています。23区では文京区、世田谷区、墨田区、江東区が助成を表明しています。
急速な物価高騰がすすむ中でも、区は、給食費は値上げしないと聞いていますが、当面する食材費購入のために区の負担を増やさなければ、量や質の低下につながります。区長は、どう対応しようとしているのか、見解をうかがいます。
①保育について
区長は、昨年、国基準による待機児がゼロになったことから、認可保育園の新設をやめ、今年度も1か所のみの開設にとどめています。しかし、昨年も認可園に入れない子どもは、67人もいました。
今年4月に入園を希望したのに認可園に入れなかった子どもは、年齢ごとに何人いるのかうかがいます。
すべての希望する子どもに認可基準の保育を保障するのは、児童福祉法に定められた区の責務です。引き続き認可保育園の増設と一体に、低年齢児以外の子ども一人当たりの面積基準や保育士配置基準を引き上げて保育の質を向上させるべきです。区長の見解をうかがいます。
②保育従事者の処遇改善について
保育の質を向上させるためには、保育士が安心して働き続けられる職場環境が必要です。保育従事者の処遇改善は行政の重要な役割です。
政府は今年2月から9月までの保育士等の収入を3%程度、月額9000円引き上げるとして、全額国負担の保育士等処遇改善臨時特例事業を実施しています。しかし、多くの保育所では国の配置基準より多く保育士を配置しているため、実際の一人当たりの賃上げ額は9000円より低くなります。区内の私立保育園のうち、何園がこの交付金を申請したのか、各保育園ではいくらの賃上げが行われたのか、区長にうかがいます。
区内の待機児対策に大きな役割を果たしてきた従来の未認可保育所は、質の良い家庭的な保育を行ってきましたが、半ば強制的に小規模認証保育所のB型へと移行されました。待機児の解消が進むなかで、年度当初には定員に満たない施設も生まれています。
区は認可外施設の定員未充足に対し、4月から9月の0~2歳児分について支援を行っています。しかし、認証保育所は東京都の制度であることから、区は支援していません。中野区では、認証保育所の未充足にも、最大で6カ月間、運営費補助の基本単価の8割まで助成しています。区は認可外も含めすべての子どもの保育に責任を負っているのです。
区内のB型施設では、支援がなければ保育士の確保も困難となり、いつ施設を閉鎖してもおかしくない深刻な事態と聞いています。区長は東京都に対し、認証保育所で生じた年度当初の未充足に対する支援を行うことを求めるとともに、区としても支援すべきです。昨日の区長答弁では、やらないと切り捨てましたが、その理由もあわせて伺います。
⑤子ども医療費無料化の拡大
高校生までの医療費無料化について、東京都が来年度からの開始を表明し、当初の3年間は補助額の全額助成を決めました。長年にわたる運動の成果で全国的にも高校生までの無料化が主流になりつつあります。
今年3月に区長会が23区に対して行ったアンケートでは、東京都の助成制度について、所得制限を設けず、自己負担なしを求める区は19区で、13区が来年4月実施と回答したと報道されています。また、都の発表をうけて、墨田区は18歳までの子ども医療費を無料にすると表明しました。
区長は、子育て世代の強い要望である18歳までの子ども医療費無料化を来年度から実施するよう決断すべきと考えますが、見解をうかがいます。
3月13日、午後3時半ごろ、本町1丁目のテニスコートに航空機からのものとみられる氷塊が落下する事件が発生し、住民からは、いのちにもかかわる重大問題として不安と怒りの声が上がりました。
日本共産党区議団は、3月29日に国土交通省に対し、氷塊落下の原因を徹底的に究明し住民に説明するとともに、調査結果が明らかになるまで新飛行ルートの運用は中止することを求める申し入れを行いました。
渋谷区として氷塊落下の通報を受けて、国交省に対しどのような対応を行ったのか区長に伺います。
都心低空飛行経路をとる限り、氷塊や部品落下の危険を回避する手立てはありません。また、現在の羽田空港の発着便数は、従来の洋上ルートでも十分対応できることは明らかです。氷塊落下は新飛行ルートの危険をしめすものです。区長は、住民の命にかかわる重大事故が発生する前に、国交省に対し原因の徹底究明と新飛行ルートの運用中止を求めるべきです。区長の見解をうかがいます。