トマ孝二議員は、6月3日の第2回定例会本会議で、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長に対する一般質問をおこないました。
私は日本共産党渋谷区議団として、区長に質問します。
(1)高齢者の住宅確保について
最初に、高齢者住宅の増設についてです。
笹塚2丁目に住む80代の独り暮らしの女性は、年金は月額8万円ほどですが家賃は7万円。預金を取り崩しながら生活しています。都営住宅や区営住宅の空き家募集に何年も応募していますが、当選せず、預金がなくなったらどうしよう、と不安を訴えています。住宅は、住民福祉の基本です。ところが先の区議会で区長は、高齢者住宅の増設を求めるわが党の質問に対し、「考えはありません」と答弁しました。
昨年度発表した「渋谷区住宅マスタープラン」では、住生活を取り巻く環境と課題として、①高齢者や障がい者に適した民間賃貸住宅の供給が少ない、②高齢単身や保証人の有無などにより、民間賃貸住宅への入居が難しいことをあげています。区長の答弁は、こうした実態を無視したものです。
区長は、住宅に困窮している高齢者を見捨ててよいと考えているのか伺います。高齢者の切実な願いにこたえ、高齢者住宅増設や民間空き家の借り上げなど高齢者の住宅を確保すべきです。所見を伺います。
(2)コロナ給付金の区営住宅の収入算定について
国や都の新型コロナ関連の給付金や協力金などは、営業継続に欠かせません。しかし、この給付金や協力金などが収入と見なされ、区営住宅や都営住宅の家賃が引き上げられる不当な事態が起きています。
国土交通省はわが党の山添拓参議院議員の質問主意書に、持続化給付金等は一時的な収入であり、公営住宅の収入認定から除くことは可能と回答しました。つまり、区の判断で収入認定しなくてよいのです。そもそもコロナで事業の継続が困難な事業者を救うための給付金を収入認定し家賃を引き上げること自体が理不尽です。
区として給付金や協力金などの収入認定はやめるべきです。所見を伺います。
(3)特養老人ホームの増設について
特別養護老人ホームの待機者は深刻で、最長5年も入所待ちという事態です。認知症が進行し、自立した生活ができない一人暮らしの高齢者は「特養に申し込んだが、いつ入れるかわからない」、支援している近所の方は「在宅での生活は限界。一刻も早く入所させてほしい」と訴えています。こうした待機者が430人もいるのです。
先の定例会でわが党が特養ホームの増設を求めたところ、区長は「国や都の公有地の活用や、区有施設の建替え、民間事業者の様々な整備手法を視野に入れて検討してまいります」と答弁しました。そこで具体的に質問します。
①代々木2・3丁目の国有地については、住民から福祉の複合施設として取得するよう陳情が出され、区議会は全会派一致で議決し区長も賛成しました。区は地価が高額なため取得を断念しましたが、その後、財務省は地方自治体が特別養護老人ホームなどに活用する場合、借地料を半額にするという方針を打ち出しました。半額免除は住民の願いを実現する絶好のチャンスです。ただちに財務省と借地の交渉をすべきです。
②次に幡ケ谷2丁目の都営住宅跡地についてです。東京都住宅政策本部は、この土地は都営住宅として整備していく方針だが、区の施設併設について要請があれば検討すると表明しています。ただちに特養ホーム増設のため東京都と交渉すべきです。
③さらに、ケアコミニュティ原宿の丘についてです。区は、今年度建て替え計画の検討を始めるとしています。神宮前地域の小規模の特養を整備する民間の計画は、頓挫しました。整備計画に特養ホームを盛り込むべきです。
④これらの公有地の活用を早急に具体化し、民有地の活用も含めて特養ホームを増設して、一刻も早く待機者を解消するとともに、次期高齢者保健福祉計画にも、特養ホームの増設を盛り込むべきです。それぞれ所見を伺います。
(4)補聴器購入費助成制度の改善について
次に、高齢者の補聴器購入費助成についてです。
渋谷区は、住民の声にこたえて、昨年7月から65歳以上の住民税非課税世帯で、医師が必要性を認めた人が補聴器を購入した場合、3万5千円を上限に補助していますが10カ月間で50件しか補助されていません。私が区民に聞いたところ、制度を利用しない理由は、そもそも制度を知らないこと、自分に合う補聴器の購入には3万5千円では買えないこと、補聴器を使用しても効果がないと思っているなどでした。
①制度の内容と効果を知らせるポスターを高齢者施設や町会掲示板に貼り出すとともに、地域包括支援センターやはつらつセンターなどで聴力検査や補聴器の試聴ができる「きこえの相談会」を開いて利用促進を図るべきです。
②また、港区のように、対象を全高齢者世帯に広げるとともに補助額の上限を平均的購入価格の13万7千円に引き上げるなど改善を図るべきです。所見を伺います。
(1)小規模企業振興条例と固定費支援について
次に、中小業者支援についてです。
小規模企業振興基本法は、小規模企業について「地域経済の活性化並びに地域住民の生活向上及び交流を促進し、地域社会に貢献している」とその役割を評価し、振興することの重要性を指摘しており、東京都も中小企業・小規模企業振興条例を制定しています。
渋谷区の従業員20人以下の小規模企業は全事業所数の84%を占めており、雇用を創出し、区内経済を支えています。さらに、様々なイベントやお祭りをはじめ地域の文化を担い、子どもたちの見守りや街路灯の維持など防犯や防災の担い手でもあり、まさに地域社会の土台です。
いま、区内の中小企業は、コロナ禍に加え、アベノミクスの失政による物価高などで厳しい経営が続いています。2021年の区内の中小企業の倒産件数は103件で負債総額187億4千万円、失業した人は421人となっています。こうした中小企業の倒産を防ぎ地域経済を活性化していくのが区の責務です。
①区長は区内の中小企業のおかれている現状について、また中小業者の支援に対する区の責任をどう認識しているのか伺います。
②中小企業・小規模企業を支援することを区政の中心課題に据え、推進していくために当区も振興条例を制定すべきです。所見を伺います。
③渋谷区議会は昨年5月の臨時区議会で、政府に対して中小業者に対する家賃補助などを求める意見書を提出しました。新宿区では、売り上げが減少している事業者を支援するため、店舗等の家賃を減額した場合、家主に減額分の4分の3(上限7万5千円)を補助する制度を実施しています。令和2年度の実績は約1110件、3億3900万円となっています。渋谷区でも実施すべきです。所見を伺います。
(2)商店街支援について
次に、商店街支援についてです。
①私の地元の十号坂商店街振興組合では、共同施設維持管理補助によって、「街路灯装飾昇降機」を設置することができ、これまで脚立をかけてやっていた危険な作業をしなくてすむようになったと喜んでいます。しかし、この補助金は、制度化されたものではなく、希望した商店街だけが対象です。商店街の人々の安全を守るために各商店街に「街路灯装飾昇降機」を設置すべきです。所見を伺います。
②また、区は商店街の街路灯について、一基当たり月額9千円の補助金を出し、これは電気代の半額程度となっています。十号坂商店街の会費はこの街路灯の電気代の負担が基本となっており、一会員当たり月額4千円程度となっています。今、コロナ禍の中で振興組合の会費も支払いが苦しいという会員が増えています。商店街の街路灯は、防犯灯の役割も果たしています。商店街支援策として、電気代が値上がりしているいまこそ、街路灯の電気代は全額区の負担とすべきです。区長の所見を伺います。