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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

日本共産党渋谷区議団は、9月20日の第3回定例会中間本会議で、田中まさや幹事長が、「令和4年度 渋谷区一般会計補正予算(第2号)」に、牛尾まさみ区議団長が、「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業に関する基本協定締結について」、それぞれの議案に対する反対討論をおこないました。

●補正予算(2) 反対討論

2022.9.20本会議

 私は、日本共産党区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第65号 令和4年度渋谷区一般会計補正予算(第2号)に反対の討論を行います。

 本補正予算について、子ども医療費無料制度を自己負担も所得制限もなしに高校生まで拡大するための予算や不妊治療への助成については賛成です。

 わが党区議団が、本補正予算に反対する第1の理由は、多くの区民や中小業者が、物価高とコロナ禍で苦しんでいる時に、くらしや営業などへの支援を求める切実な願いに背を向けていることです。
 補正予算総額102億6274万9千円の約7割に当たる70億円は、都市整備基金への積み増しです。この増額によって、都市整備基金は817億円に、財政調整基金を合わせると、渋谷区のため込みは1263億円にも達します。その一方、物価高騰への対策は、介護・障がい者施設への補助事業に5745万円余を計上していますが、実際の減収額の半額しか補助しません。小中学校給食についても1255万円余を助成しようとしていますが、実際の物価高騰分を補うには不十分で、給食の質の低下が懸念されます。地域通貨については否定するものではありませんが、マイナンバーカードを利用する約2万人の区民とハチペイを利用する当面約2000の中小業者にしかメリットがありません。これでは余りにも不十分です。高齢者も使え、地元商店街でも活用できるプレミアム商品券を実施すべきです。
 多くの自治体が、様々な努力と工夫をして区民や中小業者への支援を行っています。杉並区では、国の住民税非課税世帯への給付金の対象にならない均等割のみの約7000世帯に対して、約4億円で区独自で5万円の給付金を支給します。また区民や商店街支援として8億7千万円でプレミアム商品券を発行します。東京都も、市区町村が低所得のひとり親世帯に5万円を給付する場合、半額を都が助成する予算を発表しました。葛飾区では、約10億円の予算を増額して、小中学校給食費の無償化を来年度から実施しようとしています。葛飾区長は、「子育ては親や関係者に任せるのではなく、社会全体でできることはやっていくべきだ。負担の軽減は重要な課題」と発言しています。
 本区でも、区独自で、低所得世帯やひとり親世帯への給付金支給、物価高騰で困窮している中小業者への支援、介護・障がい者施設の減収分の全額助成、学校給食の無償化を実施すべきです。これらの事業は、地方創生臨時交付金や都の事業を活用できます。基金にため込もうとしている70億円も使って実施すべきです。

 第二の理由は、区内の中小業者支援に背を向けて、スタートアップ企業への支援を優先することは認められないからです。
 政府と財界は、日本経済全体を浮揚させ、国際競争力を取り戻すための最も重要な課題として、高い技術力を力に短期間に成長する企業を育成するスタートアップエコシステムの抜本的強化を求めており、GAFAMのようなグローバル大企業を生み出して日本の経済成長をけん引させるとしています。そのために大量のスタートアップ企業を育成し、国内外から人材と投資を呼び込もうと、税制、教育、規制改革、公共調達などの分野で支援を強めています。渋谷区はその先頭に立とうとしています。
 そもそもスタートアップ戦略は、格差と貧困を拡大した新自由主義経済政策にもとづくもので、経済成長最優先であり、国民のくらしや福祉の向上を目的としたものではありません。実際、今回の補正予算で、グローバル・スタートアップ育成・支援のための新たな法人をつくるために7000万円も投資しようとしていますが、国内外からスタートアップ企業を呼び込んで支援するためであり区内の中小業者支援ではありません。また、「本区の課題解決」、「区民福祉の向上に寄与」と言っても「どんな課題」なのか「どう福祉の向上につながるのか」その内容は不明で、区民のくらしや福祉の向上につながる保証はまったくありません。
いま求められているのは、地域に根をおろし、ものづくりやサービスでの需要にこたえ雇用を生み出している中小企業全体を支援することです。物価高とコロナ禍で苦しむ中小企業への支援に背を向けて、渋谷区と直接関係のない一部企業を支援することは、区民福祉の増進を目的とする自治体として認められない予算です。
 しかも、新しい法人の事業計画も収支計画も明らかにせず、今後のことはこれから準備委員会で決めるというのでは、区民と区議会に白紙委任を迫るものであり、財政民主主義の否定です。
 住民福祉の向上を目的とする自治体の役割に反するとともに、住民自治を否定するこの補正予算は認められません。
 以上、反対討論とします。


第3回定例会 中間本会議 討論

2022.9.20

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました「議案第70号 都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業に関する基本協定締結について」に対する反対討論を行います。

 本議案は、都市再生ステップアップ・プロジェクトの事業予定者に選考されたヒューリック、清水建設に加え、エリアマネジメント活動を担当するグリーニングを事業構成者として、東京都、渋谷区との三者間で、事業を進めるうえでの基本的事項や定期借地権契約の締結に必要な事項を定めようとするものです。

 反対理由の第一は、区民の共有財産である区有地を70年間の長期間にわたって民間事業者に貸し出す、企業の営利優先の事業だからです。
 都市再生ステップアップ・プロジェクトは東京都の事業で、都有地の有効活用を行うことで、周辺開発の誘発を図る事業とされています。渋谷地区として指定された宮下都営住宅跡地、児童会館跡地、青山病院跡地の3か所は、いずれも都民のための施設でした。第一弾として再開発された旧宮下都営住宅は、所得の少ない住民が追い出され、渋谷キャストという商業施設や高級住宅に転用されました。さらに渋谷駅周辺の貴重な公有地を、企業の利益のために利活用させることは、住民福祉の向上を使命とする自治体のやることではありません。
 本基本協定の対象となる渋谷区の土地は、美竹第二分庁舎跡地と区立美竹公園です。区は、民間企業が開発で利益をさらに大きくできるよう、土地の提供にとどまらず、避難所として指定される旧渋谷小学校の体育館を多目的ホールとして、立体化した美竹公園の地下に押し込んで、商業利用できるスペースを最大にし、立体公園にするための都市計画の変更手続きは、区が進めるとして便宜を図っています。
 事業者の提案によれば、地上14階、地下2階、延べ床面積4万6500平米余の建物で、主要な用途は、業務、商業施設です。事業者募集要項で示された創造文化教育に資する施設、多様な都心居住を推進する施設、スポーツを通じた交流を行うことができる多目的ホールなども整備されますが、これらはすべて民間の施設であるため、児童のためのスペースでは有料の教育事業が行われ、多目的ホールも近隣住民の一部の団体が週1回無料となる以外は有料となり、事業者のための収益施設として使用されます。
 また、美竹公園は、建設される建物の前庭のようになり、樹木の数も減らされ、いつでも誰でも自由に憩える公園としての機能は、大きく後退します。
民間事業者の利益を優先させることは、公有地の活用方法として全く不適切であり、やめるべきです。

 第二の反対理由は、公有地の民間への利活用を、住民や議会の意見を聞くこともないまま、既定の路線として進めているからです。
 この区有地の利用にあたって渋谷区は、近隣住民の要望を把握するため、渋谷区仮庁舎跡地利用に関するアンケートを実施しました。区民からは、「子どもたちが遊び、楽しみながら学べる子育て施設」、「楽しみながら運動不足解消ができる機能」など、旧児童会館や旧渋谷小学校の体育館が果たしてきた、子どもや区民が無料で自由に利用できる公共的な役割を求める声が寄せられていました。
 しかし区は、こうした区民要望に背を向け、民間事業者の営利活用を選択しました。美竹第二分庁舎の利用に関するアンケートが実施された時点ですでに、民間による開発が前提とされており、議会にも諮られることなく、公有地の処分を行うことは認められません。
 渋谷区では、特養ホームの用地や今後整備が必要となる児童相談所など、区民のための用地確保が求められています。また、今後定期借地期間とされる70年間には、どのような行政需要が生じるかも見通せません。
区有地をどう活用するかについての区民や議会の議論もないまま、区の独断で民間資金を活用した事業のための用地としたことは認められません。

 以上、「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業に関する基本協定締結について」に反対の討論とします。

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