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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

牛尾まさみ議員は、3月20日の区議会予算特別委員会で、日本共産党渋谷区議団を代表して、区長提案の令和5年度渋谷区一般会計予算、同国民健康保険事業会計予算、同介護保険事業会計予算、同後期高齢者医療事業会計予算に反対し、日本共産党渋谷区議団が提案した修正案に賛成する討論を行いました。

予算特別委員会 討論

2023.3.20 牛尾

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、議案第17号 令和5年度渋谷区一般会計予算について、日本共産党渋谷区議団が提出した修正案に賛成し原案に反対の、議案第18号 令和5年度渋谷区国民健康保険事業会計予算、議案第19号 令和5年度渋谷区介護保険事業会計予算及び議案第20号 令和5年度渋谷区後期高齢者医療事業会計予算に反対の討論を行います。
 昨年来の物価高騰で、区民のくらしはいっそう困難に陥っています。物価高騰はおさまらず、民間調査機関の帝国データバンクによると、食品の値上げだけでも4月に4,892品目が予定され、8月にも2万品目を超える可能性があるとしています。
 こうした時に、渋谷区に求められているのは、区でもできる物価高騰対策をはじめ、区民の命と健康、生活と営業を守ることを最優先にして、福祉や教育など、くらしを支える施策を充実させることです。
 しかし、長谷部区長の提出した新年度予算は、渋谷駅周辺再開発などに50億円を投入し、海外からスタートアップ企業を呼び込むことや、河津の保養所など不要不急の事業をすすめる一方で区民の生活や営業を直接支援する区独自の施策はなく、認められません。
 以下、長谷部区政の新年度一般会計予算の問題点を指摘します。

経営企画部
●ケアコミニュティ・原宿の丘跡地複合施設(仮称)実施設計業務委託
 ケアコミニュティ原宿の丘跡地複合施設(仮称)実施設計業務委託として、繰越明許費2億1219万円が計上されてますが、昨年発表された「建て替え基本計画」に対するパブリックコメントでは「原宿の丘建て替え後も、特養ホームや地域包括支援センターの設置を希望する」などの意見が出されていたにもかかわらず、現在の施設がどうなるかや高齢者福祉の充実を明確に示さないで計画を策定し、強行しようとしていることは、高齢者福祉の切り捨てであり認められません。

デジタルサービス部
●スマートシティ推進事業
 スマートシティ推進事業には、昨年比4866万5千円増の1億6592万2千円を計上し、渋谷区の様々な情報を官民で利活用するための新たな任意団体である「スマートシティ推進機構」を設立して区が4500万円を負担するとしています。区は将来的に、スマートシティ推進機構独自で利益を上げられるようにしたいと答弁していますが、行政情報を民間に利活用させて、儲けをあげさせる仕組みであり認められません。
 政府と財界が一体にすすめるスマートシティは、個人情報を官民で利活用して大企業の儲けの場を拡大する戦略にもとづくもので、プライバシー権の侵害や監視社会に道を開くものです。個人情報の提供は、自己コントロール権を保障し、住民合意を前提にすべきです。

総務部
●職員人件費
 区立保育園の用務を18人から14人に減らし、民間委託にしようとしていますが、保育園用務は、保育士の補助的役割を担っており、同じ渋谷区の職員として雇用し、連携して子どもの成長を育めるようにすべきです。
 区立保育園の保育補助の会計年度任用職員が、最低賃金以下で任用していることは問題であり、引き上げのための対策を取るべきです。
 衛生費で2人、環境費で8人、土木費で3人の職員を減らして再任用にし、新規の職員を採用していないことは問題です。行政サービスの質の確保と安定的な提供のためにも、正規職員を確保すべきです。

危機管理対策部
●アロープロジェクト
 帰宅困難者対策として、シブヤ・アロープロジェクトの予算を倍加して4190万円を計上し、海外から1人、国内から2人のアーティストを呼ぶために、1210万円もの税金を支出する計画です。区民からは、「帰宅困難者が一目見ても、避難場所を示しているとはわからない」との声が寄せられています。実行委員会の事務局は危機管理対策部で区が主導しているにもかかわらず、実行委員会を隠れ蓑にして、多額の税金を投入し、帰宅困難者を誘導できるか疑問があるこの事業は、税金のムダ遣いであり、やめるべきです。

区民部
●河津さくらの里しぶや
 河津さくらの里しぶや運営として、運営費に1億2787万円、施設維持管理費に324万円が計上されています。今年度は、コロナによる休館もなく開設されてきましたが、それでも1月までの宿泊利用者は7007人、稼働率は66・6%にしかなっていません。利用者の中には、校外学習の場として小学校2校が利用したとされていますが、宿泊定員は64人のため、3クラス以上の学校は利用できません。このような施設にさらなる税金投入をすることはやめるべきです。
 そもそも廃館寸前の老朽旅館を買い取り、第二保養所としたことが大もとの誤りだったのです。日本共産党区議団は、保養施設に変わる区民の宿泊支援として、一人当たり、大人5000円、子ども3000円の支給を、補正予算で提案しました。河津さくらの里しぶやの年間宿泊可能定員は2万3104人で、全員に5000円を支給しても1億1552万円あれば実施可能です。年間数千人にすぎない保養施設の運営維持に毎年1億数千万円を費やすことは税金の無駄遣いであり、この施設は廃止すべきです。

産業観光文化部
●商工振興費
 商工振興費は全体で19億1千万円余で約4億4千万円増となっていますが、大きく増やしているのが、地域通貨ハチペイとグローバル拠点都市推進事業です。ハチペイの予算は約2億1千万円増の4億8265万円で、内訳は、キャンペーン原資が2億9300万円、1億8900万円が手数料やシステム保守、サポートデスクなどの事務局費となっており、約6割しか利用者に還元されません。しかも、還元を受けられるのはインストールした人だけで、3月6日現在で区民の2割以下にしか使われておらず、利用できる店舗は約2500店舗で区商連加盟の4千店舗以下、事業者のごく一部にすぎません。すべての区民や店舗に行き届く支援にすべきです。また、家電リサイクル助成もハチペイで還元しようとていることは、限られた区民や店舗のみに利用を制限することになるもので、改めるべきです。
 グローバル拠点都市推進事業は、約1億2千万円増の3億1767万円となっています。その内訳は、委託料が約1億6400万円、スタートアップ株式会社への追加出資が1億円、拠点施設使用料が約3500万円などですが、委託料には海外の優れたスタートアップ企業を呼びよせるためのPR費やワンストップサービスの支出が7千万円以上含まれており、自治体が行うべき中小企業支援ではありません。
 原材料の高騰やコロナ禍で苦しんでいる区内中小事業者への直接支援とはほど遠い、地域通貨の発行や、スタートアップ企業支援を優先することは認められません。

まちづくり推進部
●渋谷駅周辺再開発への税金投入
 渋谷駅周辺整備に対し、区は166億円の税金投入を決め、今年度末までに114億6360万円がつぎ込まれる見込みです。
 新年度は、桜丘口地区市街地開発事業への補助金として29億3840万円が計上され、税金投入は累計で80億円になります。再開発の途上で住民や小規模店舗を営む方々の多くは追い出され、東急中心の再開発事業となっているのが実態です。さらに土木の予算で、この事業とつながる補助18号線の拡幅整備にも13億円余が計上されています。
 また、渋谷駅中心五街区整備事業として、駅街区北側自由通路に6億8400万円、南口北側自由通路に1億1900万円もの税金が投入されます。
 旧美竹第二分庁舎と区立美竹公園は旧東京都児童会館跡地と一体の敷地として差し出し、ヒューリックと清水建設の再開発用地として提供されようとしており、ここにも110万円の事業共催負担金が計上されています。渋谷駅周辺の再開発事業は事業者の負担で進めるべきであり、多額の税金投入や公有地の提供は認められません。

土木部
●公園・トイレ整備
 区はこれまで、新宮下公園を定期借地させて商業施設の屋上に整備したことを皮切りに、北谷公園、恵比寿南一公園の整備にパークPFI手法を取り入れ、公園の営利的利用を拡大してきました。新宮下公園は商業施設の付属施設用のような公園となり、駐車場経営も約1億5千万円の経費に対し、収入見込みは5千万円余で1億円近い赤字が見込まれます。また、恵比寿南一公園には、公園PFI事業者の収益事業や指定管理者の自主事業で、犬と一緒に遊べる公園という公園の性格を変える利用が持ち込まれました。公園の営利活用はやめて、誰でもいつでも自由に利用できる公園とすべきです。
 公園トイレは公衆便所と併せて17か所に日本財団が費用を負担し、トイレプロジェクトによるトイレ整備が行われてきました。区の負担はない一方で、有名建築家などのデザイン優先のトイレは、故障が相次ぎ、女性専用トイレが男女共用となったトイレもあり、女性からは安心して使えないなど、区民からの批判が相次いでいます。改修をしたり案内版をつけることも、設計者との協議が必要になり、公共施設でありながら、利用しやすくするための改善すらすぐに行えなくなりました。設計者の著作権は、死後70年間保護されるので、区と利用者は長い間改修も簡単にできず不便を強いられます。まさに「ただほど高いものはない」という事態を招きました。また、今後、区による建て替え計画はありません。
 公共トイレは、何よりも安全で清潔な運営を重視し、利用しやすいものにするため、区が責任をもって計画的に改善、更新すべきです。

環境政策部
●地球温暖化対策
 環境基本計画の中間見直しを行ったものの、区の温室効果ガスの削減目標は、国や都の不十分な目標に合わせたにすぎず、達成したとしても、地球温暖化が不可逆的に進むことになりかねません。具体的な施策も、省エネ家電リサイクル助成やエネファーム購入費助成が始まるものの、住宅太陽光発電助成や総合相談窓口も未実施で、23区の中でも遅れています。区として、2050年ゼロカーボン宣言を直ちに行うとともに、2030年までの温室効果ガス排出量50%以上削減を目標に据え、分野別の削減目標と排出量、対策を明確にし、実現に向けた施策を直ちに実施すべきです。

●ふれあい植物センター
 ふれあい植物センターには、リニューアル工事費の3億3105万円のほか、7月のオープン以降の運営費に9288万円、初度調弁など施設維持管理費に1684万円が計上されています。これまで植物センターを支えてきた住民やボランティアの意見も聞かずにリニューアルを進め、一方的に農と食の地域拠点として野菜の栽培、収穫、販売という機能が持ち込まれています。しかも、指定管理者に委ねて行政の関与を後退させようとしています。
 指定管理者は、NPO法人アーバンファーマーズクラブとされていますが、常勤の従事者が1人しかおらず、事業実績も乏しい団体です。この団体の提案には、好評だったカブトムシやホタルの夕べなどの企画もありません。区民のための植物センターから、300人といわれるNPO法人会員の活動拠点へと、植物センターの性格が変更されかねず、指定管理はやめるべきです。

●家庭ごみの有料化
 今年度行ったごみの組成調査に続き、清掃管理事務費の中に、一般廃棄物処理基本計画策定委託が660万円計上されています。区は、一昨年実施したごみ意識調査で、家庭ごみの有料化には、区民の7割が反対していたのに、昨年の環境基本計画の素案にも、家庭ごみの有料化の検討を盛り込みましたが、区民環境委員会で出された厳しい批判を受けて、パブリックコメントの際には表現を変えて忍び込ませました。しかし、当区では、区民一人当たりのごみ排出量は、平成26年の一日391gから令和3年の354gと、削減目標を達成しており、昨年から開始された廃プラスチックの資源回収は当初の計画を上回る改修が行われています。家庭ごみの有料化はきっぱりと断念し、ごみ減量などの廃棄物対策は区民の理解と協力のもとに推進すべきです。

生涯活躍推進部
●渋谷図書館
 長谷部区長は、年間5万3700人の利用者がいた渋谷図書館を、昨年3月末で一方的に廃止したうえ、図書館の所管を教育委員会から生涯活躍推進部に移しましたが、区民の教育・文化の向上を図る役割を後退させるもので許されません。
 大正4年に渋谷区で初めて設置され、100年以上の歴史を持ち、区民に親しまれてきた渋谷図書館の廃止後も、区民から直ちにリニューアルして、早く利用できるようにしてほしいとの、区長への2743人もの署名が寄せられています。区長は、こうした区民の声に応えるべきです。

子ども家庭部
●認可保育園待機児ゼロ、コロナ対策、処遇改善、保育の質の向上
 新年度には定数36人の認可保育園が開設されますが、認可保育園の入園申込者は、ゼロ歳児は定数内ですが、1歳児は105人、2歳児3人、3歳児24人、4歳児11人、5歳児7人が募集数をオーバーしています。保護者の多くが認可基準を満たし、5歳児まで継続して保育ができる認可保育園を希望しています。新年度予算には認可保育園の増設の予算はなく、待機児ゼロとして認可保育園の待機児解消に背を向けていることは認められません。
 また、安定した保育園の運営に欠かせない保育士の処遇改善については、東京都の補助事業を活用して区内在住保育士の補助を実施しているため、区内在住と区外者との賃金格差が生まれており改善が求められています。また区独自に民間保育園の保育士への賃金引き上げのための助成を実施すべきです。
 さらに、多くの区民や保育園関係者から、安全で健やかな保育環境に改善するために、保育士の配置基準や面積基準を引き上げることが求められているにもかかわらず、検討さえしないことは許されません。

教育委員会
●放課後クラブ
 放課後クラブは、放課後を一人で過ごす子どもも保護者のいる子どもも一緒にした事業です。昨年度から実施された有料プログラムの保護者負担は、ロボット教室月5500円、理科4730円、英語、音楽が4400円などです。これでは経済的にゆとりのある家庭の子どもしか利用できず、子どものなかに格差と分断を持ち込むことは、認められません。

●学校給食無償化
 学校給食費の無償化について、今議会に実施を求める署名が2522人から提出されました。憲法26条の義務教育無償の原則は、教育の機会均等を社会で実現することを求めており、子育て支援の立場からも全国で260の自治体で実施しています。23区のうち8区が新年度から実施します。
長谷部区長は、これまで給食費の無償化について、経済的な支援が必要な世帯へは就学援助で対応している、無償化は国や都のレベルで行う施策であると言ってきました。しかし、23区でも多くの区が実施するという情勢を受けて、社会情勢の変化を見極めつつ、必要な判断を行うとの姿勢を示しました。当区でも早急に実施すべきです。

●未来の学校プロジェクト
 長谷部区長が昨年一方的に発表した小中学校22校の建替え計画には、新年度予算で6億1385万3千円が計上されています。その内容は、松濤、広尾中学校のプレハブ仮設校舎の建設工事費と設計費、代々木中学校の基本計画設計費となっています。
 区内の小中学校を今後20年間で22校を建て替える重大な計画にもかかわらず、少人数学級には背を向け、進め方も、学校をはじめ、児童・生徒や保護者、地域住民の意見を聞くことなく推進していく手法は、子どもの教育環境の充実を最優先にしながら、地域の文化、コミュニティ、防災の拠点としての学校の整備計画のあり方として認められません。
 また、施設一体型小中一貫校についても本町学園の検証も真剣に実施する姿勢もなく、学校統廃合先にありきで進めることは、子どもの教育最優先を踏みにじるやり方です。教育研究と多くの実践、保護者の声は、少人数学級と小規模校の良さを大切にすることです。トップダウンによる学校統廃合と施設一体型小中一貫校計画は撤回すべきです。
 また、学校の公共施設との複合化や民間資金の活用は、教育環境の充実が後回しになることから中止すべきです。

福祉部
●生活保護行政
 生活保護の利用は、憲法に基づく国民の権利であることを広く周知することが必要です。中野区などが実施しているように「生活保護は権利です」のポスターを作成し区民が誰でも利用できるよう改善すべきです。物価高騰のもとで、国に保護基準をふさわしく引き上げるよう求め、住宅扶助は実態に合わせて特別基準を申請し、法外援護の入浴券の枚数を増加するとともに、夏、冬の見舞金の復活を直ちに実施することを強く求めます。

●補聴器購入費助成
 高齢者補聴器購入費助成事業については、現在住民税非課税者のみ3万5000円の助成で、開始以来の実績は97件にとどまっているのに、新年度も50人分の75万円にすぎません。高齢者の難聴を放置することが認知症のリスクを高めるとWHOも指摘しています。
 当区でも助成制度を利用した人の購入価格が10万円から20万円になっていることが明らかとなりました。港区では、すべての高齢者が補聴器を購入できるよう、助成額の上限を13万7000円にし、住民税課税者にはその半額を助成することとし、1年間で750人に助成しています。渋谷区でも助成額を13万7000円に増額し、課税者も対象にすべきです。

●区型介護サービス
 区型介護サービス事業は、新年度も前年より376万4千円削減され令和2年度から4年間で1630万円も削減されています。区型サービスは、国が介護保険制度を改悪した際に、利用者が継続して介護を受けらるように、渋谷区独自に実施してきたものです。しかしこの間利用条件を厳しくしたことは認められません。介護が必要になった高齢者が安心して必要な介護を受けられるよう改善することを強く求めます。

●特養ホームの増設
 特別養護老人ホームの待機者は、344人でそのうち要介護4・5の人が183人、54%と深刻です。住み慣れた地域の特養ホームなどで安心して介護を受けられるよう、代々木の国有地や、幡谷社会教育館に隣接する都有地などに特養ホームや認知症グループホームなどの増設を実現すべきです。

●入居施設のPCR検査
 新型コロナウィルス感染症対策として、介護施設利用者・障がい者施設利用者と従事者等のPCR検査費用が合わせて757万8千円が計上されていますが今年度より209万9千円も削減されています。重症化リスクの高い介護施設と障がい者施設の入所者と職員の感染防止対策は、感染者が出てから検査するのではなく、定期的に検査し、無症状の感染者も含め早期発見できるよう各施設にPCR検査キットを配備すべきです。また、障がい者を在宅で介護している家族に対しては、障がい者と家族が感染して在宅介護が困難になった場合のはあとぴあ原宿での受け入れや緊急的ヘルパー派遣などを、対象となる区民に周知徹底することを求めます。

健康推進部
●保健所体制の強化
 健康推進部の感染症予防事業費として、新型コロナ対応として、非常勤の看護師、事務職員、コールセンター職員の人件費が見込まれていますが、2021年度の地域保健課の残業時間は、1万6231時間で、コロナ感染前に比べ11倍に増加しています。区民の命と健康を守る最前線の保健所職員の過酷な長時間勤務を解決するために、保健師、検査技師等の常勤職員の増員を行うべきです。

 日本共産党渋谷区議団は、長谷部区長提出の一般会計予算に対して、99事業からなる一般会計予算修正案を提出しました。修正案は、住民税均等割世帯への5万円の給付金支給として3億2263万円、義務教育無償の立場に立った学校給食費の無償化として私立を含め半年分で約3億5千万円、中小事業者の営業支援として16億1千万円余など、区民の切実な要求を実現するものです。同時に、渋谷駅周辺再開発事業など大企業のための税金投入や不要不急の事業を削減するものです。修正総額は72億5620万9千円、区長提案の予算の6・4%の修正で多くの区民要望を実現することができます。
 以上、我が党区議団の修正案に賛成し、区長提案の一般会計予算に反対する討論とします。

 次に国民健康保険事業会計予算についてです。
 4月からの保険料は、医療分と支援金分の合計で均等割を4800円、所得割を0・15%も引き上げるもので、国保財政の都道府県単位化以降最大の値上げとなります。介護分は均等割で400円、所得割で0・24%引き下げられますが、40代の夫婦と学齢期の子ども2人の世帯では54万2614円で、1万6303円の値上げとなり、協会けんぽ加入世帯の2・3倍もの負担です。
 保険料の滞納率は19・5%にのぼり、短期保険証は245世帯、資格証は10世帯に発行されて医療を受ける権利が制限されていることからも、これ以上の保険料の値上げはやめ、誰もが無理なく払える保険料にすべきです。
 国保の被保険者には自営業者や非正規雇用の労働者など、低所得の方が多いにもかかわらず、均等割の大幅値上げにより、低所得者でも情け容赦なく重い値上げとなることは、皆保険制度を行政の側から危うくするもので認められません。国保料は基礎自治体が被保険者の実態をふまえて決定するという立場から、都内では、立川市、小平市、府中市などが新年度の保険料を据え置くことを決定しています。
 23区の区長会で合意した統一保険料をそのまま区民に押し付け、区民の生活実態からみればあまりに過酷な19年連続の保険料引き上げは、社会保障としての国民健康保険制度の否定につながるものであり、認めることはできません。

 次に介護保険事業会計についてです。
 介護保険料の普通徴収者のうち保険料滞納者数は、1月末現在1562人で普通徴収者の19%、そのうち住民税非課税世帯が42%の665人に上っています。しかし、区の保険料軽減を受けられたのは、わずか62人金額にして49万1350円しかありません。
 また、利用料の負担軽減についても2017年度の784件472万円余から21年度は633件435万円余と年々削減されています。保険料軽減、利用者負担額助成の対象となる収入基準を引き上げ、預貯金額の制限をなくすべきです。

 最後に後期高齢者医療事業会計についてです。
 新年度の予算は、昨年の10月から岸田政権が強行した年収200万円以上の高齢者の窓口負担の2割への引き上げを通年化する予算となっています。
 区内では、4706人の高齢者が1割から2割へと負担額が倍増しました。年収が200万円以上あるとはいえ、実質年金が減り続ける中で、医療にかかる負担を2倍にすることは、生活不安を広げ、高齢者の医療控えをますます深刻にするもので認められません。
 そもそも、医療にかかる機会の多い75歳以上の高齢者だけで構成する医療保険制度を作れば、高い保険料と窓口負担にならざるを得ないのは明らかです。高齢者いじめのこの保険制度は廃止して、元の老人医療制度に戻すことをはじめ、国の責任ですべての高齢者が安心して医療にかかれる医療制度を構築すべきです。
 以上、討論とします。

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