2024.3.21 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました議案第10号 渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
提案されている条例改正案は、今年4月からの国民健康保険料の改定と、退職被保険者制度の廃止、国保運営協議会の委員定数の改定などを内容とするものです。渋谷区には退職被保険者はすでにおらず、それに伴う運営協議会委員の変更もないため、問題はありませんが、保険料の改定は、保険料滞納者をいっそう増やして公的医療保険制度の根幹を揺るがしかねない大幅な値上げとなっています。
保険料率は、医療分と後期高齢者支援金分の合計で、所得割を9・59%から11・49%に1・9%、均等割を6万100円から6万5600円に5500円、それぞれ引き上げるものです。また、賦課限度額は支援金分を2万円引き上げて24万円とし、医療分との合計で89万円になります。
40歳から64歳までの介護保険2号被保険者にかかる介護分の保険料率は、所得割が1・99%から2・36%に0・37%、均等割が1万6200円から1万6500円に300円、引き上げられます。
このほか、均等割軽減の対象となる世帯の所得を5割軽減で一人につき5千円、2割軽減で一人につき1万円引き上げますが、軽減されるのはごくわずかな世帯にすぎません。
反対理由の第一は、今でさえ高い保険料をさらに引き上げ、国保加入者のくらしをますます苦しめるからです。
新年度の保険料は、軒並み大幅な値上げとなります。渋谷区では、一人当たりの保険料は、14万8115円から16万5426円に1万7311円、11・7%の引き上げとなり、国保財政の都道府県単位化以降、最大の引き上げだった昨年の9024円の2倍近い値上げとなります。
40代の夫婦と学齢期の子ども2人の世帯では61万8105円で、7万5491円の値上げとなり、協会けんぽ加入世帯の2・7倍、世帯収入の15・5%もの負担になります。保険料の滞納率は昨年の値上げで、今年2月1日現在27・14%となっており、前年の19・72%と比べて急増しています。
国民健康保険料について、日本共産党区議団が行ったアンケートの回答では、区政で最も力を入れてほしい施策として国保などの保険料の負担軽減を求めています。また、全日本民医連は、加盟する約700の病院、診療所、歯科を対象にした調査で、2020年から3年連続で受診控えによる死亡者数が増加しているという23年度の調査報告書を発表しています。
一昨年来の物価高騰が続く中でくらしの困難が増している時に、高い保険料をさらに引き上げることは、医療にますますかかりにくくし、いのちと健康をおびやかすもので認められません。
第2に、今回の保険料改定の主な要因が、国保会計に対する国と都、区の繰入を大幅に減らした結果として、もたらされているからです。
当区では、これまで保険料の値上げの理由は保険給付費の増大だと言ってきました。しかし、新年度の医療給付費の増加見込みは3・7%しか見込んでいないにもかかわらず、改定条例は11・7%の保険料値上げが提案されています。
これは、公費負担を大きく減らしたことが原因です。新年度の国保料軽減のための国の負担は0となり、今年度比6167万円の削減です。同様に、都の負担は4200万円で1億1572万円を削減し、区も1億7232万円を削減し、公費全体で約3億5千万円の保険料軽減の財源が減らされました。そして削減分を保険料に転嫁したため、大幅な保険料値上げが加入者に課せられているのです。
渋谷区も参加している特別区長会の統一保険料を決める際には、新年度、各納付金の2%分と、コロナによる保険料増加分など103億円を一般会計から繰り入れることにしましたが、26年度には0にするとしています。公費負担を減らして保険料を今後も連続して引き上げることは認められません。
第3に、国保料を決める権限は自治体にあり、高すぎる国保料を引き下げることは区の判断で可能であるからです。
都内では、立川市、昭島市、あきる野市が新年度の保険料を据え置くことを決定しています。
名古屋市では、法定外繰入による減免制度を設けて、被保険者全員の均等割を5%減免と、扶養家族や障がい者、ひとり親がいる世帯に対し、保険料算定の基礎となる所得を控除する制度を設けて、保険料が軽減されるよう配慮しています。その結果、23年度の保険料は、給与収入400万円の40代夫婦と小学生2人の4人家族で、45万8060円となり、渋谷区よりも9万2234円も安くしています。
千代田区では、23区の統一保険料から離脱し、区の判断で保険料の引き上げ幅を圧縮しており、新年度も区長会が示した統一保険料に比べ基礎分の均等割で5200円、所得割で1・12%低く保険料率を設定しています。
保険料の決定は区市町村が決定する権限を持っており、国も憲法が定める地方自治の原則から、自治体が福祉的施策として行う一般会計からの繰り入れを禁止することはできないということを認めていまです。
国保の被保険者には自営業者や非正規雇用の労働者など低所得の方が多く、保険料の引き上げは、医療を受ける権利を制限することに直結し、皆保険制度を行政の側から危うくするものです。申し合わせにすぎない23区の区長会で合意した統一保険料をそのまま区民に押し付け、区民の生活実態からみればあまりに過酷な20年連続の保険料引き上げは、社会保障としての国民健康保険制度の否定につながるものであり、認めることはできません。
以上、渋谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対する討論とします。
2024.3.21
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第22号 令和6年度渋谷区一般会計予算について、反対の立場から討論します。
一昨年来の物価高騰で区民生活が困窮しています。また、首都直下をはじめ大地震の不安も増しています。こうしたときに区政が果たす役割は、区民のいのちと安全を守り、くらしと営業を支え、福祉、教育を充実し、区民が安心して暮らせるようにすることにあります。
ところが、区長が示した新年度予算案は、物価高騰対策や中小事業者への営業への支援はわずかで、医療・介護保険料の値上げで負担増を押し付ける一方で、大企業の利益のための開発や、官民連携事業に多額の税金を投入するなど、自治体の役割を投げ捨てるものです。以下、予算に反対する理由を述べます。
第一に、区民のいのちとくらしをまもり、中小事業者を支援する施策が不十分だからです。
実質賃金が22カ月連続で低下し、物価高騰による二人以上の世帯の負担増は3年間で年間28万円にのぼるなど、深刻化する区民のくらしや、燃料をはじめ原材料費の高騰にあえぐ中小業者への支援を行うことは区の一番の役割です。ところが新年度予算には区独自の支援は、無利子の事業資金融資とハチペイ以外にはほとんどなく、自治体の役割を果たそうとするものではありません。わが党が提案している、低所得者への給付金や、中小事業者の直接支援、若者や子育て世帯への家賃助成など、ため込んだ基金も活用して区民のくらしと営業を守る予算にすべきです。
能登半島地震が発生して多くの建物が倒壊しました。劣悪な避難所の環境や、在宅避難者への支援の乏しさが問題となりましたが、新年度の復活予算には防災対策の抜本的強化の予算がつけられていないことは重大です。建物倒壊からいのちを守り、避難所運営の改善にもつながる住宅耐震化や、在宅避難支援、避難所運営基準の改善と段ボールベッドなどの配備の増強、福祉避難所の拡大などの予算を計上すべきです。
区として実現可能な賃金引上げに背を向けていることも重大です。
公契約条例の対象工事を、5000万円以上に拡大し、労働報酬下限額を抜本的に引き上げるとともに、条例の適用対象を、すべての委託契約と指定管理協定に拡大すべきです。
会計年度任用職員の男女比は、男性31%、女性69%で、女性の平均賃金は男性の68%にすぎません。非常勤で3年以上勤務する職員が56%を占めており、正規雇用に変えるべきです。また、最低賃金以下で任用している会計年度任用職員の賃金を早急に改善すべきです。
保育士や介護職員などのエッセンシャルワーカーの処遇は、国の公定価格や介護報酬の低さや処遇改善の不十分さから、全労働者の平均賃金との格差は縮まっていません。区民のいのちと生活を支える業務を支える労働者だけに、区独自の賃金引き上げの予算措置を実施すべきです。
昨年10月の特養ホーム待機者は328人で、そのうち介護度4.5の人が半数以上の193人となっており、依然として深刻です。ところが、新年度から3年間の高齢者保健福祉・介護保険事業計画の特養ホーム増設計画は、神宮前に60人規模1ヶ所だけです。しかもこの施設については、けやきの苑・西原の大規模改修時の入所者の受け入れ施設として利用することになっており、実質は増床にはなりません。特養ホームの待機者ゼロに向けた増設計画を示すべきです。
地球温暖化対策は喫緊の課題となっていますが、区の温室効果ガスの削減目標は、国や都の不十分な目標と同じです。新年度の具体的な施策も、新規事業で再エネ100%電力への切り替えに3万円助成などわずかで、住宅太陽光発電助成や総合相談窓口の開設もなく、23区の中で唯一2050年ゼロカーボン宣言を行っていない自治体となっています。2030年までの温室効果ガス排出量50%以上削減を目標に据え、分野別の削減目標と排出量、対策を明確にし、実現に向けた施策を直ちに実施すべきです。
第2に区民に負担増を押し付け、福祉、教育を切り捨てているからです。
新年度予算では、平均で国保料が1万7311円、介護保険料基準額が2520円、後期高齢者医療保険料が6514円のトリプル値上げが提案されています。物価高騰で区民生活の困難が増す中で、医療や介護保険料を軒並み値上げする予算は認められません。
敬老祝い金は、民生委員の負担の重さや財政を理由に、支給対象者を2万4290人から9172人にして6割以上の高齢者を対象から外し、予算額は2億4408万円から1億1773万円に半分以下に大幅削減しようとしています。高齢者に敬老の意を伝えるとともに見守りを行なってきた区が誇るべき施策を大きく後退させることであり認められません。
奨学資金貸付制度は、貸付の申請者が3年前から減少し、昨年ゼロになったことを理由に廃止しようとしています。しかし、都内の私立高校の新年度入学納付金は、平均で95万円をこえています。区内のある私立高校では初年度納付金が120万円で、国と東京都の支援金の上限額47万5千円を受けても、50万円近い保護者負担が残ります。
教育の負担の重さは社会問題にもなっているだけに、足立区のように貸し付け対象を大学や大学院生までに拡大し、貸付金額の増額、給付制の奨学金を導入するなど経済的理由で進学をあきらめることがないよう、制度を拡充させるべきで廃止は認められません。
第3に、大企業奉仕と不要不急の事業を進める無駄遣いの予算だからです。
渋谷駅中心五街区整備事業では、駅街区北側自由通路に5億1200万円、南口北側自由通路に2850万円の税金が投入されます。大企業のためのまちづくりに多額の税金を使うことはやめるべきです。
駅街区北側自由通路は、事業の遅延と価格高騰のため、新年度の予算を加えると、当初、国と区で40億円としていた補助額を超えることが明らかになりました。区は、これまでの3回の事業変更で、総事業費が750億円に120億円増えたことにより、国と区の負担も約12億円増えて52億円になったと説明しましたが、議会に報告も一切行わず、債務負担行為の議決も求めず、なし崩し的に予算を付けるやり方は、財政民主主義にも反するもので認められません。
官民連携事業として、一般社団法人渋谷未来デザインに区から派遣している職員3人分の共済費に加え、新たに退職した区の幹部職員を雇用するために980万円を増額し、2397万円を計上しています。
一般社団法人渋谷未来デザインは、区が官民共同で設立したもので、区民の公共財産を出資企業に活用させて、新たな収益事業をおこし儲けをあげさせるための団体です。2024年度も、ソーシャルイノベーションウイークにむけて、新たな企画をつくるために1100万円の委託料を計上していますが、区民福祉の向上に寄与するかが明確でなく、各事業の詳細や予決算などは、議会にも報告されず、議会や住民監視の目が届かないことは認められません。民間企業の利益のために区民の税金や職員や財産を差し出す、自治体本来の役割を逸脱した事業への税金投入はやめるべきです。
グローバル拠点都市推進事業には前年度比で約4千万円増の3億5702万円余が計上されており、その狙いは海外の優れたスタートアップの招致にあります。予算にはシブヤスタートアップス株式会社への追加出資1億3千万円が含まれています。すでに今年度の当初予算で1億円、補正予算で7000万円が出資として執行されており、新年度の出資を合わせると3億円にものぼります。区内の中小企業支援とは無縁の施策に多額の税金を使うことはやめるべきです。
スマートシティ推進事業には、1億4318万円を計上し、渋谷区の様々な情報を官民で利活用するために、新たに「一般社団法人スマートシティ推進機構」を設立しています。参加企業からの出資はなく、区が今年度より1800万円増の6300万円を負担します。行政情報の利活用によって、民間企業がもうけをあげる仕組みであるのに、事業内容や収支は区民や議会に明らかにされません。
政府と財界がすすめるスマートシティは、個人情報を官民で利活用して大企業の儲けの場を拡大するもので、プライバシー権の侵害や監視社会に道を開くものです。区は、個人情報の自己コントロール権を区民に保障し、その利用にあたっては各人の承諾を前提にすべきです。
河津さくらの里しぶや運営として、運営費に1億4279万円が計上されています。今年度は、二の平渋谷荘が休館になったことから、稼働率は8割台に上がりましたが、この中には小学校4校の宿泊体験の人数も含まれています。区は、宿泊定員が少ないため、子どもの数が多い学校は利用できないとして、隣接地の購入等の検討経費として660万円を計上しました。しかし、学校の利用は全館を貸切る必要があるため、一般利用の少ない時期しか実施できません。改修中の二の平渋谷荘が定員を大きく増やしリニューアルオープンすれば、利用は減ることが見込まれます。この施設は廃止して区民の宿泊補助クーポン券に変えるべきです。
帰宅困難者対策として、シブヤ・アロープロジェクトに4190万円の予算を計上していますが、帰宅困難者の誘導効果にも疑問がある事業を民間丸投げで実施することは、税金のムダ遣いでやめるべきです。
第4に、区民の声を聞かずトップダウンの政治手法のすすめ方だからです。
新しい学校づくり整備方針は、学校長寿命化計画に基づき、統廃合する学校を住民や関係者との議論もないまま、学校名をあげて発表された計画です。新年度予算には、計画を具体化した学校施設建設費の項が設けられ、小学校費に1億4363万円余、中学校費に15億3772万円が計上されています。
区民の声を聞かず、トップダウンで進めたために、教育環境を後退させる重大な問題が起きています。広尾中学校では、説明会を学区域内の住民全体に知らせず、保護者や学校関係者、近隣住民からは、説明の場も意見・要望を言う場もない、学校は地域、住民のコミュニティと防災拠点だ、もっと意見を聞くべきという意見が出ています。また、特別教室が大幅に減らされれば部活動などが継続できなくなるという声も聞かれます。松濤中学校ではプールをなくすことが突然報告され、関係者から怒りが出ています。専用グラウンドのないスポーツセンター仮設校舎にも、批判が広がっています。
神南小学校は、民間資金を活用し隣接する渋谷ホームズと一体の開発で整備を進めようとしていますが、敷地境界から8mのところに超高層マンションが建つことや、民有地から子どもが学校に入らなければならないなどの環境悪化に批判が寄せられています。この再開発は、区道の廃止や神南小学校の容積率の移転など、区の協力なしには成り立ちません。昨年の都市計画決定に至る経過を見ても、多くの区民の反対の声を押し切って進められていることは明らかです。区民の財産を民間事業者に提供したうえ、区民の利便性も、子どもの教育環境も犠牲にする計画は認められません。
新年度予算で検討が始まる4校の統廃合による小中一貫校整備についても、地域や関係者の声を全く聞いていないことに、まち壊しだと厳しい批判が上がっています。
学校建替えに当たっては何よりも子どもの教育環境を最優先にすべきです。学級規模も現在の国基準の35人や40人学級ではなく欧米並の少人数学級をめざすべきです。拙速に区の計画を進めることはやめて、改めて計画を白紙に戻し、保護者や一部の人だけでなく多くの区民、学校関係者の意見、要望を聞くべきです。
玉川上水旧水路緑道整備事業の予算総額は14億5319万4千円で、工事請負費として笹塚緑道西側に約1億5300万円、大山緑道西側に約1億2300万円、幡ヶ谷緑道に約2億6300万円の3件の工事が盛り込まれています。区はこれによって620m、緑道の24%を整備するとしています。また、工事を早く進めるために、原材料費として舗装材の平板2億2100万円、15台のベンチと車止めに6240万円など6億809万円を計上し、工事契約を待たずに区が直接発注するとしています。
しかし、住民の間では、樹木を残す世論が急速に広がり、区は当初予定していた189本の樹木伐採の方針を変更し、「樹木はできるだけ残す」「農園を作るために樹木は伐採しない」などと言わざるを得なくなっています。多くの住民はこれまでどおりの静かな緑道の存続を望んでおり、農園にも様々な意見が出されています。
そもそも、緑道再整備は区長が描いた区西部のまちづくりの青写真がもとになっているものです。緑道を拠点にコミュニティと賑わいを生み出そうと、ササハタハツのまちづくりとして、多くの区税を投入してすすめてきました。しかし、住民多数の意思とは言えない整備工事は着工を急ぐのではなく計画を白紙に戻すべきです。
第5に、公平、公正さを欠き、弱者置き去りの区政運営だからです。
区内で運用、保存されているマイナンバーカードは、2月19日現在15万3041枚で普及率は66・35%にとどまっています。国は今年12月からの保険証との一体化で普及を進めようとし、区は、ハチペイの区民むけのプレミアムの特典や住民戸籍などの証明手数料の値下げなどで誘導しています。プライバシーの保護に不安を感じて取得しない区民もいる中で、マイナンバーカードの取得を誘導することはやめ、手数料の引き下げなどは区民に平等に行うべきです。
中小企業振興の中で、消費を活性化して中小事業者とともに区民生活を支援する施策として、地域通貨ハチペイに9億7582万6千円の突出した予算が計上されています。しかし、利用者のうち区民認証されているのは4万1千人にすぎず、利用できる店舗も3100店舗で区民や商店の一部にとどまっています。区長は、区民生活支援と言っていますが、多数の区民、とりわけスマホを利用することが困難な高齢者や低所得者を置き去りにするやり方は認められません。困っている高齢者や中小事業者に届く支援を実施すべきです。また、融資に6億953万円を計上しているものの、燃料費や原材料費の高騰に苦しむ中小事業者への支援は極めて不十分です。
商工振興費の24億円のうち、ハチペイとスタートアップ支援で13億3200万円余と半分以上が占められ、中小企業振興予算がゆがめられています。商店街と中小事業者は区民のくらしと雇用を支え、区民の文化をはぐくむ大切な役割を果たしてきました。ここにこそ中小企業振興予算の中心をおくべきです。
ふれあい植物センターには、1億2894万6千円の運営費のほかに、改修工事費として加計塚小学校の区民菜園のあったところに農園ハウスを設置するための予算が盛り込まれました。区は、植物園のレストランで使う野菜を栽培するための施設と説明しています。農園ハウスの運営は、一般競争入札で行うとしていますが、植物センターと離れた運営はありえないだけに、植物センターを指定管理するNPO法人アーバンファーマーズクラブをさらに支援するものにほかなりません。また、近隣住民への説明もないまま、農園ハウスを建設することはやめるべきです。
以上一般会計予算に反対の討論とします。
2023.3.21 牛尾
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第23号 令和6年度渋谷区国民健康保険事業会計予算、議案第24号 同介護保険事業会計予算、議案第25号 同後期高齢者医療事業会計予算の3議案について、反対の立場から討論します。
まず、 国民健康保険事業会計予算についてです。
4月からの保険料は、医療分と支援金分の合計で均等割を5500円、所得割を1・9%も引き上げるもので、国保財政の都道府県単位化以降最大で、10%を超える大幅な値上げとなります。介護分も均等割で300円、所得割で0・37%引き上げ、40代の夫婦と学齢期の子ども2人の世帯では61万8105円、7万5491円の値上げで、協会けんぽ加入世帯の2・7倍もの負担になります。
保険料の滞納率は27・14%に急増し、全額窓口で支払う資格証が7世帯に発行され、医療を受ける権利が制限されています。保険料の値上げはやめ、誰もが無理なく払える保険料にすべきです。
平均保険料が11・7%も上がっているのは、公費負担を大きく減らしたからです。新年度の国保料軽減のための公費負担は、総額で約3億5千万円の保険料軽減の財源が減らされました。その結果、区民には大幅な保険料値上げがもたらされたのです。
均等割の大幅値上げによって、低所得者でも情け容赦なく重い負担となることは、皆保険制度を行政の側から危うくするもので認められません。
協会けんぽの新年度の保険料は、給与収入の0・02%、介護保険料のかかる40歳から64歳では0・24%の引下げで、ますます保険料格差が広がります。加入する医療保険制度によって大きな格差があるのは、明らかに国の制度設計の問題であり、制度間の格差を是正するのは国の責任です。また、東京都は、国保財政の運営を担う保険者として、区市町村が行っているように応分の負担をすべきです。
渋谷区は、基礎的自治体が被保険者の実態を踏まえて国保料を決定する立場に立つべきです。特別区長会で合意した統一保険料をそのまま区民に押しつけ、区民の生活実態から見ればあまりに苛酷な20年連続の保険料引上げは、社会保障としての国民健康保険制度の否定につながるもので認められません。
次に、介護保険事業会計予算についてです。
第8期計画では、全体として保険料の据え置きと低所得段階は値下げが行われ、区民から歓迎されました。しかし、新年度からの第9期保険料は、物価高騰が継続し、年金が実質目減りしているにもかかわらず、全段階の保険料が引き上げとなり、無年金者の人が納める第1段階でも4・9%、本人が住民税非課税の第5段階では7・8%の値上げとなっています。区は、保険料軽減のために23億円ある介護給付費準備基金を8億円取り崩しますが、第7期の期末残高の14億円までは、何ら問題なく取り崩すことができます。15億円残っている介護給付費準備基金から3年間で1億2000万円活用すれば、第5段階までの住民税本人非課税の方の保険料は値上げせずに済みます。
保険料軽減のための十分な努力を行ったとはいえない予算は認められません。
最後に、後期高齢者医療事業会計予算についてです。
2024年、25年度の保険料は、均等割で900円、所得割は0・18%の引上げで、一人当たりの保険料は11万1356円となり、6514円の値上げとなります。旧但し書き所得が58万円以下の方は2024年度だけ、所得割が0・71%軽減され、最大で3200円程度の引き下げになりますが、25年度は大きく跳ね上がります。
また、医療費窓口負担についても一昨年から2割負担の導入で、年金が200万円以上の高齢者の負担は2倍にされました。急速な物価高騰の中で、実質年金額は下がり続けています。こうした中での保険料値上げは、高齢者のくらしと医療控えをますます深刻にするもので、認められません。
そもそも、医療にかかる機会の多い75歳以上の高齢者だけで構成する医療保険制度をつくれば、高い保険料と窓口負担にならざるを得ないのは明らかです。高齢者いじめのこの保険制度は廃止して、国の責任ですべての高齢者が安心して医療にかかれる医療制度を構築すべきです。
以上、3事業会計に反対の討論とします。
五十嵐 3/21
私は日本共産党渋谷区議団を代表してただいま議題となりました「安心・安全な保育の実現を求める請願」に賛成の立場から討論します。
本請願は、すべての子どもは等しく保育を受ける権利を持っており、子どもたちが質の良い保育を受け、豊かに育つために、国と自治体は、2024年度から見直される保育士配置基準の実施、2歳児以上の施設面積の見直し、保育職員の処遇改善等を行い、子どもたちに安心・安全な保育を実現することを求めるものです。
請願に賛成する第1の理由は、保育士配置基準と施設の面積基準は、子どもに安全で豊かな育ちを保障するために早急に改善すべきだからです。
保育園の保育士配置基準は戦後間もない1948年に定められ、1人の保育士が受け持つ子供の人数は0~1歳児が10人、2歳児~5歳児は30人でスタートしました。その後住民と保育職員の要望と運動によって、0歳児は1998年に現在の3人に、1~2歳児は1967年に6人に、3歳児は1969年から20人に改善されました。しかし、4~5歳児は制定時から30人のまま75年間一度も改善されていません。
また保育施設の面積基準もゼロ歳児は一人当たり3.3平方メートル、2歳児以上の子どもは、1.98平方メートルで改善されず国際基準から大きく遅れており、改善すべきです。
請願者が述べているように保育内容は、基準制定時から大きく変わり、11時間保育を基本とする長時間保育、0歳児の5分ごとの睡眠チェック、アレルギーの安全配慮など保育士の仕事量は格段に増えています。同時に能登半島地震の教訓から、保育中に地震が起きたら子どもの命と安全を守れるのか、子どもの安全を守る体制強化は待ったなしです。
こうした中で岸田政権は、昨年閣議決定した「子ども未来戦略」に配置基準の改正を盛り込み4~5歳児の保育士1人の受け持つ人数を30人から25人に、3歳児20人から15人に改める措置として24年度予算に職員配置の改善に対応する加算措置を設けるとともに、「合わせて最低基準の改正を行う」と明記しました。一方で1歳児の基準については、25年度以降に先送りするとともに、4~5歳児の基準変更の実施については、「当分の間は従前の基準により運営することもさまたげない」とする期限のない経過措置をつけました。これに対し、事業者からは、経過措置で実施時期が未定で、財政措置が加算方式であることから、国の加算が実際の保育士の人件費を下回る場合に不足が生じれば「利益追求型の事業者は、今後も最少人数の職員配置しかしない、実施期限を決めて実効性を確保すべき」と述べています。
公立・私立を問わず、全ての子どもに新基準通りの保育士配置による行き届いた保育が保障されるよう、国は全施設が速やかに新基準の保育士配置ができるよう対策を取るべきです。また区内の全施設が実施できるよう区としても支援すべきです。
請願に賛成する第2の理由は、子どもの育ちを保障し、安全を守る体制の抜本強化が求められている中で、全産業平均と比べて低い保育士賃金を引き上げる処遇を改善することは、国と地方自治体の責任だからです。
「子どもたちにもう1人保育士を!全国保護者実行委員会」が公表したアンケート結果では、保護者の96%が「職員の配置をふやしてほしい」保育職員の82%が「人手が足りない」と答えています。実行委員会は、アンケートをもとにすべての子どもの年齢ごとの保育士配置基準を現在の2倍にすることを提言しています。
また、保育現場からは、「人手が足りず子どもに我慢を強いて満足できる保育ができず、やめていく保育士があとを絶たない」「業務が忙しく休憩も取れず、疲弊している」など深刻な声が出されています。保育士資格を持ちながら働いていない保育士は、有資格者の6割を超えています。
この間の国の賃金引き上げは物価高騰にも追い付かず、新年度東京都が上乗せした賃金分の加算では、全労働者と5万円以上ある保育職員の賃金格差を解消することはできません。国が加算措置ではなく、改正する配置基準に基づき保育士分の予算措置を全職員に実施できるようにするとともに、自治体は地域による賃金格差をなくすための上乗せを実施し、保育職員が希望をもって働き続けられる環境をつくり、子どもたちに安全・安心の保育を実現するための責任を果たすことを求めます。。
以上請願の採択に賛成する討論とします。
ただいま議題となりました受理番号第18号 敬老祝い金給付の現行水準での継続を求める請願につきまして、日本共産党区議団を代表して、賛成討論を行います。
本請願は、敬老祝い金給付の現行水準での継続を求めるものです。敬老祝い金は、高齢者の長寿を祝い、敬老を表すための事業で、コロナ禍の対応は別として、現在、75歳以上のすべての高齢者に対して、1人1万円を給付してきた事業です。しかし、渋谷区が高齢者人口の増加や配布者の負担軽減等を理由に、2024年度から支給対象者を約62%、予算額も約1億2千万円以上、52%も削減する案を示したことから、24年度以降も、これまで通り75歳以上のすべての高齢者に敬老祝い金の贈呈を継続するように求めるものです。
本請願に賛成の第1の理由は、敬老祝い金の大幅削減が、敬老の精神を切り捨てるものだからです。
本事業を規定しているシニア・いきいきコミュニティ条例は、第1条で「永年にわたり区の発展に貢献し区の支えとなってきた高齢者に敬意を表するとともに、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられることを目的」とし、この目的を達成する事業として敬老祝い金を位置付けています。今回の大幅削減は、条例の目的に反し、敬老の精神を踏みにじるもので許されません。
区は、削減の理由としている民生委員さんによる配布の負担軽減を理由にしていることは重大問題です。条例上、配布者に関する規定はなく、民生委員さんによる配布が困難であることを理由に削減することは許されません。配布方法については、様々な方法を検討して継続することこそ敬老の精神です。
また安否確認の強化が求められていますが、今回の削減によって認知症リスクの高まる80代、90代とも、見守りは10年間で3回に減ることも重大です。わが党区議団がかねてから提案しているように、地域包括支援センターの体制を強化して、港区や練馬区でも実施している、専門職が介護・高齢者福祉サービスを利用していないすべての高齢者世帯を訪問して、必要な支援につなげる「ふれあい相談員」制度こそ実施すべきです。こうした事業も検討しないで、民生委員さんによる配布の負担軽減を理由に削減することは許されません。
第2の理由は、渋谷区の人口推移や財政状況から、廃止の理由にしている高齢化・持続可能性は成り立たず、根拠がないことです。
渋谷区の75歳以上の高齢者人口の推計では、17年後の2040年でも、現在より増えるのは約4000人と予測しており、現行の1万円給付を継続した場合でも増加額は4000万円です。今後17年間の増加額の累計でも3億4千万円です。
この17年間の増加額の年平均は約2000万円であり、来年度の一般会計予算に占める増加額の割合は0.2%程度に過ぎません。今定例会の補正予算で都市整備基金に積み立てた75億円あれば、30年間もこの事業は継続できます。ましてや住民が反対している玉川上水旧水路緑道整備に100億円も投入する一方で、財政を理由に敬老金1億2千万円を削減することにまったく道理はありません。
第3の理由は、敬老祝い金の継続を求める多数の区民の声を切り捨てることは許されないからです。
本請願では、実質年金の低下、物価高騰、保険料や医療・介護の負担増のなかで、「貴重な生活支援を無くさないで」との声を紹介しており、1296人という多数の方が賛同されています。実際、シニアの会をはじめ多くの高齢者、区民から、「物価高騰などで生活が苦しいのに、なぜいま削減なのか」など、敬老祝い金の継続を求める声が寄せられています。代々木にお住いのある高齢者は、「削減の話しを聞いて、20人で区長に1万円を現金で給付してほしいと手紙を書いたら、区長から『区民のみなさまのご意見を参考に検討してまいります』と返事が来たのに悔しい」と話しておられました。区長は、わが党の代表質問に「ご理解を」と答弁しましたが、とうてい区民は理解しません。
こうした多数の声を切り捨てて、敬老祝い金の大幅削減の強行を、住民代表の機関としての区議会が容認すべきではありません。
敬老祝い金は、介護保険の上乗せ、横出しとともに、渋谷区は日本一の高齢者福祉と党派を超えた先輩議員が胸を張ってきた事業です。区民の切実な願いが込められたこの請願に賛同いただくことを訴えて賛成討論とします。
ただいま議題となりました受理番号第19号 介護保険料の引き上げをしないことを求める請願につきまして、日本共産党区議団を代表して、賛成討論を行います。
本請願は、4月から始まる第9期の介護保険料を引き上げないことを求めるものです。
本請願に賛成する第1の理由は、物価高騰のなかでの介護保険料値上げは、高齢者のくらしや介護サービスの利用を困難にするもので許されないからです。
渋谷区が提案している第9期介護保険料は、基準額で年間保険料は一人平均2,520円、3.5%引き上げて、年間7万4040円に値上げです。無年金者や合計所得金額が80万円以下の第1段階は1,400円増の19,300円、住民税非課税世帯の第3段階は1900円増の35,600円、本人住民税非課税の第5段階は、2,800円増の6万円になります。
この間の高齢者の生活実態は、昨年の物価上昇3.2%の負担増に加え、4月から受け取る年金額はさらに削減され、高齢者の生活は一層困難になります。わが党区議団のアンケートでは77%が「生活が苦しい」と訴えており、介護保険料の改定について63%が「引き下げ」、22%が「据置き」と、85%が値上げに反対の声をあげています。
区は後期高齢者医療保険料も6.2%も大幅値上げしようとしており、介護保険料の値上げは、深刻な生活悪化と必要な医療・介護サービスの抑制を招き、いのちや自立した生活を損ないかねません。住民からは「いまでも生活費を削っているのに、介護サービスを受けたくても利用できない」との声が寄せられています。介護保険料や利用料を値上げすれば、滞納による給付制限や深刻なサービス利用控えが増加し、「保険あって介護なし」の介護崩壊になりかねません。高齢者の尊厳を傷つける介護保険料の値上げは中止すべきです。
第2の理由は、低所得者を中心に介護保険料の値上げを中止することは可能だからです。
第8期の介護保険料は、区民の声と運動によって、値上げを中止し、区民から大変喜ばれました。この据え置きは、介護保険給付費準備基金14億円の一部を活用しました。
区の提案は、保険料の引き上げを抑えるため現在の所得階層を1段階増やすとともに、介護給付費準備基金23億円のうち8億円を活用して保険料の値上げを抑制したとしていますが、これでは不十分です。
わが党区議団の試算では、住民税非課税世帯の第5段階までの保険料据置きに必要な予算は、単年度4000万円、3年間で1億2000万円であり、第1号被保険者のうち、2万269人・全体の46%の保険料を据え置くことができます。さらに、所得500万円以下の第9段階までの据置くには、単年度1億6200万円、3年間で4億8600万円で可能であり、3万6854人、全体の84%を据え置くことができます。
未活用の介護給付費準備基金15億円の一部活用や、高額所得者の保険料をさらに多段階化するなどで、低所得者の保険料を据え置くことは十分可能です。
本請願には、署名を提出した1190人をはじめとした多くの区民の願いが込められています。この願いに応えて、本請願への賛同を訴えまして賛成討論とします。