平成30年度に、国民健康保険制度の安定を図るためとして、国保財政の都道府県単位化の制度改革が実行された。
しかし、被保険者の高齢化が進み医療費水準が高い状況はさらに進行している。また、被保険者の構成では、「無職」の割合が最も高く、保険料を軽減されている世帯が6割を超える状況であり、加えて、社会保険適用拡大により、収入のある被保険者層が減り、被保険者全体の所得水準が低い状況にも拍車がかかっている。
渋谷区の令和6年度保険料は、年間給与収入200万円の単身者で16万7861円、年収400万円の40代の夫婦と学齢期の子ども2人の4人世帯では、61万8105円であり、1か月の収入を超え、被保険者の負担は限界に達している。保険料滞納率は今年2月1日現在27・14%に増えている。
今後も、国の政策により負担能力のある被保険者が減り、かつ保険料負担が更に増大していく状況下では、多くの無保険者が生まれ、国民健康保険制度が崩壊しかねない。
よって、渋谷区議会は、国民皆保険制度の支えである国民健康保険制度を維持するため、国会及び政府に対し、下記の財政支援を行うよう要望する。
記
1.被保険者の低所得化や1人当たり医療費増による保険料増に対応するため、国民健康保険財政基盤の更なる強化及び国庫負担割合の引上げを実施することにより、制度の維持を図ること。
2.所得水準が低い被保険者が増えていく現状を踏まえ、低所得者層の負担軽減を図ること。
3.子どもに係る均等割額の減額措置については、軽減対象を現行の未就学児までという制限を撤廃するとともに、公費による軽減割合の拡大を実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
令和6年 月 日
渋谷区議会議長
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて
国民健康保険は、被保険者に高齢者などが多く医療費が高い一方、保険料負担能力が弱い方々の加入割合が高いため、保険料の負担率が高いという構造的課題を抱えている。近年の高額医薬品の使用、医療技術の高度化等が医療費を押し上げる一方で、社会保険の適用拡大により、現役世代が被用者保険に移行することで、一人当たり保険料のさらなる増加を所得の少ない方で支える課題は、いっそう深刻化することが見込まれる。
このため、財政運営の責任主体として国保運営の中心的な役割を担う東京都は、安定的な国保運営ができるよう、下記の方策を講じること。
記
1 国民健康保険財政の責任主体として、東京都独自に必要な財政措置を講じること。
2 子育て世帯の負担軽減を図るため、子どもに係る均等割保険料については、18歳まで無料にすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年 月 日
渋谷区議会議長
東京都知事 あて