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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

田中まさや幹事長は、区議会第3回定例会の本会議3日目の9月19日、日本共産党区議団として、区長に一般質問をおこないました。

第3回定例会 一般質問・当日用 田中

2024.9.19

私は、日本共産党渋谷区議団として、区長に質問します。

1.子育て支援について

(1)子育て負担ゼロの渋谷について

 渋谷区の2022年の合計特殊出生率は0.98で昨年の東京の0.99も下回っていました。子どもを産み育てることは自己責任ではなく、社会の責任という認識が重要です。

 いま区民は、高い家賃やローンの負担に追われ、しかも若者の半数が非正規雇用です。そのうえ、出産費用、子どもが生まれてからも、おむつ代や保育料の負担は、子どもを産むという選択肢を狭めています。経済的な理由で、子どもを産み、育てることをあきらめる現状を変えるには、区としての支援が不可欠です。港区では、50万円の出産育児一時金に、独自に31万円を上限に助成しています。

 港区のように出産費用の本人負担をゼロにするとともに、保育料も完全無料化すべきです。

 渋谷区では、「子育て応援ギフト」として、生まれた子ども一人に国と都で10万円の給付をしていますが、子育て世帯の負担軽減のために、0歳から2歳までの子どものおむつ代の助成を実施すべきです。合わせて、区長に伺います。

(2)保育について
①区立保育園について
 子どもの発達にとって、保育士の役割は極めて重要です。一人ひとりの個性や発達段階の違う子どもに合わせた保育と安全安心な環境を整備することは、子どもの権利条約や児童福祉法にもとづく、国と自治体の重要な責務です。
 区の「公共施設再配置の基本的考え方」では、保育園、保育室などは、「私立も含めた公民で需要に対応」するとしていますが、区立保育園はどうしようとしているのか、区長に伺います。
 区立保育園は、コロナ感染拡大時でも保育を継続してきました。さらに渋谷区の保育の水準の向上をけん引する役割が求められます。
 18の区立保育園を存続すべきです。区長の所見を伺います。
②保育基準の引き上げについて
 「もっと子どもに寄り添った保育がしたい」など、保護者や保育士の運動で、79年ぶりに保育士配置基準が改定され、保育士1人が担当する子どもの数は3歳児で20人から15人へ、4.5歳児は30人から25人に改善されましたが、いっそうの引き上げが求められます。いま区内の保育園では、4、5歳児を中心に定数に空きのある園もあり、保育の質を改善する絶好のチャンスです。
 世界では、1歳児で日本が6人に対してイングランドは3人、スウェーデン4.6人、4、5歳児では、日本が25人に対して、イングランド13人、スウェーデン6人で、なお世界的には遅れています。
 欧米並みに保育士の配置基準を引き上げるよう、国に求めるべきです。国内でも自治体独自に基準を引き上げています。埼玉県富士見市では、保育士一人当たりの子どもの数は、1歳児で国が6人に対して4人に、4歳児では、国は25人ですが18人です。板橋区では、1歳児は5人、3歳児は15人です。本区でも、4、5歳児から順次基準を引き上げるべきです。合わせて、区長の所見を伺います。
 保育現場における子ども1人当たりの施設面積基準は、戦後直後の基準のままで、2歳以上は1.98㎡で畳1畳分しかなく、「遊ぶ・食べる・寝る」の生活の営みを全て同じ保育室で行なう貧しいものです。世界では、アメリカ、イングランド、フランス、ドイツなど軒並み3㎡以上です。国内でも、さいたま市では、0歳児5㎡、1歳児3.3㎡など政令市では9市が独自に引き上げています。
 本区も、独自に保育所の面積基準を引き上げるべきです。区長に、所見を伺います。

③保育士の処遇改善について
 保育士の賃金は、今年2月から月6千円引き上げられましたが、依然として全産業平均より7万円も低く、「これでは格差が埋まらない」との怒りの声が広がっています。
 一刻も早く保育の公定価格を引き上げて、すべての保育士の賃金を全産業平均に引き上げるよう、国に求めるべきです。区長の所見を伺います。
 区立保育園の保育士不足も深刻です。区立園の職員数は556人ですが、非正規職員の会計年度任用職員は182人と33%、さらに派遣職員が25人です。今年度募集は、40人程度に対して、入職者は31人で欠員を会計年度任用職員と派遣職員でカバーしているのが実態です。保育園での新規採用の努力にもかかわらず採用は進んでいません。職員から、これでは「安定した保育ができない」、「保育経験が蓄積されない」との声が上がっています。特別区の保育士の給与は、正規の初任給で地域手当も含めて20万8920円ですが、区内の民間の保育園の給与はほぼ22万円以上で、月1万円以上低くなっています。
 ただちに給与を1万円以上引き上げ、時給換算で1500円、月24万円以上を目指すよう、特別区長会に求めるべきです。区長の所見を伺います。
 会計年度任用職員は、正規の代替の役割を担っているのに、再度の任用は4回までの不安定雇用で、短時間の場合時給は1,309円です。時給を1500円以上に引き上げるとともに、正規職員への勧奨を行い、希望者全員に更新を認めるべきです。区長の所見を伺います。

④区立保育園の用務について
 区立保育園の用務は、退職不補充で、欠員分を民間委託にしてきました。ところが、今年度の新たな委託事業者との契約では、散歩などの園外活動や運動会の補助などを契約から外したために、保育士が用務の仕事もせざるを得ず、過重労働になっています。なぜ、園外活動などを契約から外したのか、区長に伺います。
 区立保育園の用務は、区の職員に戻すべきです。当面、委託契約に、園外活動や運動会の補助も含めるべきです。区長の所見を伺います。

2.生活保護について

(1)生活保護費の削減の撤回求めよ
 国が2013年以降、生活扶助費を最大10%も引き下げたことは、憲法第25条や生活保護法で保障された生存権を侵害しており違憲・違法だとして、保護受給者が国を訴えた「いのちのとりで裁判」では、今年6月の東京地裁判決を含めて17の裁判で原告が勝訴しています。
 保護利用者は、「食事や風呂の回数を減らす」など、厳しい生活を余儀なくされており、この間の物価高騰でますます深刻になっています。
 区長は、国に対して切り下げた生活扶助費を復活し、利用者の権利を回復するよう求めるべきです。所見を伺います。

(2)住宅扶助費の引き上げを
 本区の住宅扶助費は、単身で53,700円、夫婦世帯で69,800円ですが、これ以下の家賃の物件を探すのは至難の業です。
 幡ヶ谷で家賃12万円のアパートで暮らしているご夫婦は、高齢で仕事ができなくなり生活保護を利用しましたが、住宅扶助費の枠内の物件がなく引っ越しできないために、生活扶助費から補填せざるを得ず、このままでは生活できないと訴えています。区長は、これで最低限度の生活が保障されていると考えているのか、所見を伺います。
 港区や千代田区などのように特例基準を採用して単身6万9800円、複数世帯83,700円まで認めるべきです。区長の所見を伺います。

(3)生活保護利用者にも難聴高齢者補聴器助成制度の利用を可能に
 難聴高齢者補聴器購入費助成制度は、高齢者の社会参加を促進し認知症予防に役立つとして、住民の運動とわが党区議団の提案などで3年前に実現し、現在は助成額が45000円に増額され、世帯所得も135万円以下まで拡大しています。
 ところが、現在の制度は、一度自費で補聴器を購入し、その後申請して助成される制度のために、生活保護利用者は使えません。私は生活保護を利用する高齢者の手続きを手伝いましたが、生活扶助費から支出すれば生活が成り立たず、制度創設当初、利用できるといっていた社会福祉協議会の貸付制度も対象品目でないと断られ、生活保護で認められる日常生活用具でもないため購入できないのです。区長は、生活保護利用者がこの助成制度を利用できない事態を知っているのか、伺います。
 港区では、販売店で見積もりを取ってもらい、その店舗で購入すれば助成額を引いた価格で購入でき、しかも助成上限は13万7千円です。新宿区などは、補聴器を貸与制にしており、どちらも生活保護者でも利用可能です。
 渋谷区も助成上限を港区なみに引き上げ、助成額を引いた金額で購入できる制度を導入するなど、生活保護利用者も助成制度を利用できるようにすべきです。また、日常生活用具として一時扶助の対象とするよう国に求めるべきです。区長の所見を伺います。

3.ジェンダー平等について

①女性差別撤廃条約選択議定書について
 日本のジェンダーギャップ指数は、世界146か国中118位であり、106カ国が批准している女性差別撤廃条約選択議定書もいまだに批准してしません。同議定書を批准すれば、女性差別撤廃委員会に権利侵害を個人通報できるようになります。
 日本もジェンダー不平等を解消し、女性の権利を国際水準に引き上げるために、女性差別撤廃条約選択議定書を批准するよう国に求めるべきです。区長の所見を伺います。

②選択的夫婦別姓制度について
 日本経団連が、選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書を政府に出しました。要望書は、女性の人権の問題とともに、企業にとってビジネス上のリスクがあると指摘しています。
 日本の夫婦の場合、名字を変えている95%が女性であり、アイデンティティの喪失、キャリアの断絶、名前の変更の手続き、海外では通称が使えないなどの不利益を圧倒的に女性が引き受けているのが実態です。
 選択的夫婦別姓は、同一姓の選択を否定するものでなく、別姓を選べるようにするものです。すべての個人に法の下の平等を保障するために、区長は、国に対して選択的夫婦別姓制度の導入を求めるべきです。所見を伺います。

③同性パートナーの権利保障について
 本区は「渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例」を制定しており、あらゆる人の人権を保障する条例の目的をさらに前進させることが求められます。
 パートナーシップ証明については、パートナーの権利を広く保障することが求められます。東京都のパートナーシップ宣誓制度は、二人が「宣誓したこと」で広くパートナーとしての権利を保障しています。
 渋谷区でも区営住宅への入居の際や区の職員のパートナー証明などにも都のパートナーシップ宣誓制度を活用できるようにすべきです。合わせて、足立区などで実施しているファミリーシップ証明も認めるべきです。区長の所見を伺います。
 同性カップルの住民票の続柄欄の記載について、長崎県大村市は「夫(未届)」との記載を認め、同様の対応をめざす自治体が広がっています。国が同性婚を認めないもとで、自治体が公的書類で、男女のカップルと同様の記載を認めた意義は大きく、性的マイノリティーの権利保障の前進です。渋谷区は区のパートナーシップ証明を受けた場合だけ「(縁故者)」との記載を認めていますが、関係者は、「夫(未届)」の方がパートナーとして認められていることが実感できると話しています。
 本区も、同性パートナーの住民票の続柄欄への「夫(未届)」「妻(未届)」の表記も認めるべきです。また、都のパートナーシップ宣誓も利用できるようにすべきです。
 最高裁は3月、犯罪被害者遺族への国の給付金を、同性パートナーにも認める判断を示しました。事実婚に認めている公的保険や年金などの権利を同性カップルにも認めるとともに同性婚の合法化を国に求めるべきです。合わせて、区長の所見を伺います。
④男女賃金格差の是正について
 賃金の平等はジェンダー平等社会の土台です。しかし日本では、正社員でも、女性の賃金は男性の7割で、生涯賃金では1億円近い格差となることから、国連の女性差別撤廃委員会なども、再三、性別賃金格差の是正を求めています。
 本区の職員の男女賃金格差は79.8%で、保育など会計年度任用職員に女性が多いことが大きな要因です。男女賃金格差を是正し、男性の育児休暇の長期取得を促進するためにも、正規の代替として会計年度任用職員に頼るのでなく、正規雇用を抜本的に拡大すべきです。区長の所見を伺います。

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