●議案第86号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その2)請負契約
ただいま議題となりました議案第86号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その2)請負契約について、日本共産党区議団を代表して、反対の討論を行います。
本契約は、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その2)について、株式会社木林と2億5,212万円で工事請負契約を締結しようとするものです。玉川上水旧水路緑道再整備計画全体について、工事総額113億円に加え、設計委託等でさらに約10億円、総額123億円もの税金を投入し、農園などを整備し、指定管理者による管理まで検討していますが、この工事請負契約は、笹塚、大山緑道の一部の工事に続く、第2期工事となるものです。
反対の理由の第1は、緑道再整備工事全体について住民の声を無視して、さらに整備工事の強行を続けることは許されないからです。
笹塚・大山緑道整備工事が強行されて以降も、住民から緑道整備全体に対して、舗装材のテラゾやベンチが高額すぎる、巨額の税金投入は許されない、今のままの緑道で樹木の適切な管理を求める、農園は造らないでほしい、区が直接管理運営してほしいなど、多数の要望や反対の声が上がっています。
第3回区議会定例会には、「玉川上水旧水路幡ヶ谷緑道の農園に関し意見交換の場を求める請願」が提出され本会議では半数近い16人の議員が賛成しています。「玉川上水旧水路緑道再整備の園路舗装材について再考を求める請願」は今定例会の区民環境委員会で採択されました。陳情も「玉川上水旧水路緑道再整備における雨水浸透設備工事について専門家の意見を求める陳情」、「樹木の更なる保全等に関する説明会を渋谷区でも開催することを求める陳情」が出され、いずれも委員会の総意で、関係者すなわち区に趣旨を伝えると決定しました。区は、テラゾ舗装材について、浸透性、蓄熱性、樹木への影響などについて専門家の評価を公表しましたが、これに対しても住民からは疑問の声が上がっており、未だに納得は得られていません。
さらに、今回の大山緑道の契約も決まっていないのに、765㎡のテラゾ舗装やベンチ4台などの幡ヶ谷緑道の工事契約についても11月中に公示しています。住民の声に耳を傾けるどころか聞くふりだけで、無視し切り捨てて次々と工事を強行することは、民主主義・住民自治の否定であり断じて認められません。
第2の理由は、物価高騰によって区民のくらしが大変な時に、区民への支援はそっちのけ、区民負担は増やす一方で、総額123億円もの税金を投入し、高額な補装材やベンチを使うことは許されないからです。
物価高騰のなかで区民の苦しみは増す一方です。お米は昨年比60%も値上がりし、食料品を中心とした物価高騰は広く区民の生活を圧迫し、賃金や年金給付の引き上げは物価高騰に及ばず、生活保護費は引き上げられていません。区は、こうした区民に行き届く独自の物価高騰対策を実施しないばかりか、公共施設の使用料まで大幅に値上げしようとしています。
その一方で、今回の契約だけで2億5212万円、総額123億円もの税金を投入することは許されません。
今契約に含まれているテラゾ舗装材は平米単価14万1千円と市販の7倍で4145万円、ベンチは1台244万円で市販されている相当高額なベンチの15倍以上、3台で732万円で、合計4877万円もの価格です。さらにいま公示している幡ヶ谷緑道はテラゾ舗装が765㎡・1億786万円、ベンチは4台で976万円の合計1億1762万円にもなります。
これだけお金があるのなら、区独自の物価高騰対策を実施し、敬老祝い金を復活し、施設使用料の値上げを撤回できます。物価高騰に苦しむ区民のくらしの実態とかけ離れた税金投入は認められません。
第3に、区議会に必要な情報も提供せず、十分な審議も保障せず、舗装材等については議会の審議をさせずに契約し、次々と工事を強行することは議会軽視で許されないからです。
今年の第2回定例会に提案された玉川上水旧水路緑道再整備工事(玉川上水旧水路笹塚緑道ほか)請負契約では、テラゾ舗装材やベンチについては、工事契約に含まれず、区が直接調達しました。その際の討論で私は、「工事契約に含むべきこうした資材を別途契約する異常な契約」だと指摘しました。区は、今定例会の総務委員会で、テラゾ舗装材やベンチを別発注する工事請負契約は異例だと認めました。その理由は、テラゾ材などの価格や安定供給に課題があったと答弁しました。つまり、住民が反対している舗装材やベンチについて、価格や安定供給の確認もできないまま、工事契約を強行し、そのあとで資材の契約をしたことになります。契約の全体像も詳細も明らかにしないで議会に提案し議決を強いる異常なやり方です。
また、この工事のテラゾ舗装材は総額約1億2332万円で本来なら議会の議決が必要です。ところが11月19日現在までの時点で4回の契約に分けて購入していますが、そのうち最高額は約1120万円なので、議会の審議・議決も経ないで購入が進められています。住民から反対されているテラゾ材について、議会の審議をさせないで購入し、工事を強行していることは、地方自治法の脱法行為であり、議会軽視であり到底容認できません。
住民無視、議会軽視で、巨額な税金投入を強行する本契約は認められません。
以上、反対討論とします。
議案第66号 渋谷区地域交流センター条例の一部を改正する条例 反対討論
私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題になりました議案第66号 渋谷区地域交流センター条例の一部を改正する条例に反対する討論を行います。
改正案は、区長が突然持ち出した「施設使用料算定基準」を契機に、集会施設をはじめ、スポーツ施設、学校温水プールなどの体育施設、福祉施設の高齢者在宅サービスセンターのほか、施設使用料算定基準の対象外とされている、渋谷公会堂、文化総合センター大和田のホールとプラネタリウム、重要文化財旧朝倉家住宅まで連動した13条例の値上げ案の一つです。
この改定により、地域交流センター11館で使用料が半額免除されている区分2の登録団体204団体と、区分3及びその他の登録団体394団体の使用料が値上げとなり、会議室の使用料は地域交流センター恵比寿のコミュニティホールの午前が2500円値上げとなるなど最大5割、平均で約2割の引き上げとなり、2023年度と同じ利用があった場合の負担増は約240万円となります。
反対理由の第一は、そもそも公共施設は住民の税金で設置され、住民福祉の増進のために運営されるもので、税金によって運営が賄われるべき施設です。条例案は利用者を受益者として負担を拡大するもので、認められないからです。
地方自治法は、公共施設は区民の福祉を増進するものであり、お金の有無にかかわらず等しくサービスを受けられるようにすることを求めています。施設使用料の値上げは公共施設の在り方を自ら否定し、住民の福祉増進にも反するものと言わざるを得ません。
地域交流センター条例は、第1条の設置目的として、ジュニアからシニアまでの地域の誰もが集い、憩える場を提供し、住民の自主的な地域活動及び文化、学習活動並びに世代間の交流及び親睦を促進し、もって地域コミュニティの活性化を図ることを掲げています。
これまでの地域交流センターの使用料は施設の維持管理費をもとに時間区分とコマ数を見て積算されていました。ところが、施設使用料算定基準では、使用料は原価計算を行うとして、施設の維持管理費のほか、委託料に含まれている人件費や建物等の減価償却費まで原価に含めるとしています。
地域交流センターは新橋を最初に区民館の改築、大規模修繕などを契機に各地域に設置されましたが、区民館は直営で区の職員が配置されていたのに対し、地域交流センターは民間のサービス公社委託となり、区の責任を後退させました。施設使用料算定基準の質疑では区職員人件費は原価に含めないと答弁がありましたが、委託料に含まれる人件費を施設使用料の算定に加えれば、民間委託や指定管理が次々と進められている現状では、利用者負担がますます増加することになります。また、施設の建設費は区民の税金によってまかなわれており、減価償却費を使用料に上乗せすることもふさわしくありません。
施設の設置目的に掲げられた「ジュニアからシニアまでの誰もが集い、地域コミュニティの活性化を図る」を達成するためには、受益者負担という考え方を排することが求められます。委託料の中に含まれている人件費や建物の減価償却まで含めて算定の根拠とすることは、民間の貸し会議室と同じ発想で、公共施設のあり方に真っ向から反するものです。
第二に、物価高騰で厳しさを増す区民のくらしに、更なる負担を押し付けることは、施設利用を狭めることになりかねないからです。
区は、使用料値上げの根拠として、人件費、光熱費の高騰や2度にわたる消費税の改定などをあげていますが、使用料を払う利用者の事情は全く触れられていません。区民の生活実態は、2013年以降をみても、実質賃金が33万円、実質年金が7・3%も減少しているように、いっそう厳しさを増しています。こうした状況を考慮せずに値上げを押し付ければ、利用を控える団体などが生まれかねず、区民の誰もが集い、憩える場を提供し、地域コミュニティの活性化を図るという地域交流センターの役割に反するもので認められません。
第三に、区の財政状況からみて、必要性は全くないのに使用料の値上げを強行しようとしているからです。
区が言っているように、今回の施設使用料の全面的改定は平成9年・1997年以来のものです。当時の区の財政は、区税収入が歳出総額に占める割合が1998年度決算見込みで44.9%まで下がり、経常収支比率は95年度決算で、89.9%にもなる厳しい状況でした。
しかし、現在の区の財政は、前年度決算でみても特別区民税が616億円と年々増え続けており、経常収支比率は65.6%まで下がり、毎年数十億円の基金積み増しを行うなど、平成9年当時とは大きく異なり、値上げの必要は全くなく認められません。
第四に、施設使用料改定の影響を受ける利用者の声を一切聞いていないからです。
本区と同様に施設使用料の値上げを検討してきた杉並区は、今年度から値上げする予定でしたが、昨年2月に区民に使用料見直しについてアンケートを行った結果、「物価高騰が続く状況を鑑み、使用料を据え置く」と値上げをやめました。渋谷区は利用者にさらなる負担を求める使用料改定であるにもかかわらず、杉並区がやったようなアンケートもやらず、一方的に使用料の値上げを行うことは認められません。
公共施設の役割に背き、区民の厳しいくらしを顧みず、税収も増えて区財政が安定しているのに、区民の声も聞かずに、区民施設をいっせいに値上げすることは、区民に冷たい長谷部区政の姿勢を示すものと指摘せざるをえません。
以上、渋谷区地域交流センター条例の一部を改正する条例への反対討論とします。
国民健康保険料を引き上げないことを求める請願 討論五十嵐 24.12.6
只今議題となりました、「国民健康保険料を引き上げないことを求める請願」について日本共産党渋谷区議団を代表して採択に賛成の立場から討論します。
請願者は、今年度の保険料が20年連続の値上げで子ども2人の子育て世帯では、国保料が世帯収入の15.5%を占めていると指摘し、渋谷区に保険料を値上げしないこと、国保料軽減の財政処置を国と都に求めること、子どもの均等割り軽減対象を18歳まで拡大することを求めています。
請願に賛成する第1の理由は、賃金も売り上げも物価高騰に届かない区民や自営業者、年金が削減され続けている高齢者にとって現在の保険料負担は限界に達しており、これ以上の保険料引き上げはくらしの破壊と、命が守れない事態につながりかねないからです。
今年度の一人当たりの保険料は、16万1,752円で昨年より1万8,674円13%の値上げ、とりわけ子育て世帯で年収400万円40代夫婦と学齢期の子ども2人の保険料は、61万8105円、前年度より7万5419円の値上げで、同年収、同家族構成の中小企業のサラリーマンが加入する協会けんぽの2.7倍にもなっています。
今、実質賃金も年金もマイナスになっている中で、10月の米の値段が前年度比56%の値上げをはじめ野菜など生鮮食料品など大幅な値上げが区民を苦しめています。請願者には「物価上昇で家計が苦しく新たな負担増は耐え難い」「値上げ分をどこから捻出したらよいか途方に暮れる」など深刻な声が寄せられています。党区議団の区民アンケートでも86%の人が国保料の負担が重いと答えています。全日本民医連の調査では、昨年保険料滞納などの経済的理由で手遅れになり死亡した件数が48件にのぼっています。
渋谷区の23年度国保会計の決算結果でも5世帯に1世帯が保険料を滞納せざるを得ない実態で、これ以上の保険料値上げは区民のくらしを破壊し、命を脅かすもので値上げはやめるべきです。
11月26日に開かれた東京都の国保運営協議会で来年度の保険料の仮係数が示されました。これに基づく区市町村の納付金きは前年比5.6%減の4361億円となり、渋谷区の保険料も8,907円3.99%の引き下げになる試算がだされました。これは、渋谷区の来年度の保険料も引き下げることや引き上げないことの可能性が示されたものです。
第2の理由は国と東京都、渋谷区には、憲法25条の生存権を保障するための皆保険制度を維持し、国民健康保険を誰でも利用し、支払える保険料にする責任があるからです。
国民健康保険は、憲法25条の国民すべての生存権を保障する皆保険制度の根幹的位置づけになっています。しかし、国民健康保険は失業者や高齢者など低所得者の加入が多いうえに、事業者負担がないという構造的問題を抱えており、公費による支えなしには運営維持できない医療保険制度です。ところが国は1984年の法改正以降は、45%だった国の負担割合をどんどん削減してきました。この4年間だけでも税収は過去最高にもかかわらず大企業や富裕層には、優遇税制を進める一方、2012年から12年間で社会保障に関する予算は自然増を含め5兆円以上も削減してきました。その結果、現在国民の税の負担額と社会保障の負担額の合計負担率は46.8%と、収入の半分近くが消えていく実態になっています。
全国首長会が求めている1兆円の国費投入を直ちに実施すべきです。また、国庫負担割合をひきあげ、低所得者の負担軽減、子どもの均等割りの廃止などを実施すべきです。
東京都に対して、国民健康法は国保事業の健全な運営に中心的役割を果たすことを求めています。国保の財政運営を担う保険者としての責任を果たすため国保財政への支出を大幅に増やすことに責任を持つべきです。
さらに渋谷区は保険料を決定する権限を持つものとして、区民のくらしの実態に鑑み、一般会計からの繰り入れを行い、保険料の引き上げをやめるべきです。子どもの均等割り保険料は直ちに都と区の負担で無料にすべきです。また、渋谷区の場合、子どもの均等割りを無料にするために必要な予算は、1億4千万円です。区独自にも実施すべきです。
以上賛成討論とします。