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日本共産党渋谷区議会議員団

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議会報告
REPORT

日本共産党区議団は、3月21日の区議会本会議で、牛尾まさみ区議団長が、渋谷区令和7年度渋谷区一般会計予算、同介護保険事業会計予算、同後期高齢者医療事業会計予算に、田中まさや幹事長が「玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)請負契約」に、それぞれ反対の討論をおこないました。また、いがらし千代子議員が、「安心・安全な質の高い保育の実現を求める請願」に賛成する討論をおこないました。

2025年1定本会議 予算討論

2025.3.21

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第21号 令和7年度渋谷区一般会計予算について、反対の立場から討論します。
 物価高騰が続き、賃金も年金も実質低下する中で、区民のくらしと中小業者の営業は厳しさを増しています。とりわけ、主食のコメは昨年の約2倍に高騰し、低所得の方からは「食事の回数を減らすしかない」などの深刻な声が聞かれます。
 渋谷区は、住民に最も身近な自治体として、区民と滞在者の安全を守り、住民福祉の向上を図ることがかつてなく求められています。
 ところが、区長が示した新年度予算案は、区税収入だけでも50億円も増え、過去最大の予算規模でありながら、区民生活を支える施策はわずかで、自治体の役割を投げ捨てるものと言わざるを得ません。
 以下、予算に反対する理由を述べます。

 第1に、区民のくらしをまもり、中小事業者を支援する施策と温暖化対策が不十分だからです。
 物価高騰で、区民のくらしも中小業者の営業も厳しさを増す中で、区民生活への経済的支援が強く求められています。
 しかし、予算には物価高騰で困難となっている区民への独自の支援は全くありません。区長が唯一の物価高騰対策と言って一昨年から開始されたハチペイの50%ポイントキャンペーンも、利用できる区民は2月末時点でも約5万3千人、店舗は約4300店舗に過ぎず、物価高騰で困っている区民や区内中小業者の一部にしか届きません。しかも、新年度は抽選でハワイ旅行が当たるキャンペーンまで実施する予定です。物価高騰対策として実施する施策というならば、区民の誰もが利用でき、商店街の多くの店舗も利用できるよう紙の商品券やクーポン券の発行などを合わせて行うべきです。また、私たちが予算修正案で提案した、低所得者への給付金や、中小業者への直接支援、高齢者と若者への家賃助成、出産一時金の増額、子育て世帯の教育費の負担軽減などを、増えた税収を活用して実施し、区民のくらしと営業を守るべきです。

 区として実施できる賃金引上げに背を向けていることも重大です。
 2024年度の渋谷区の委託契約の労働報酬下限額は1260円ですが、25年度から新宿区は1438円、世田谷区は1460円に引き上げます。このままでは、渋谷区の公契約を受ける事業者はいなくなります。労働報酬下限額を抜本的に引き上げるべきです。また、小規模事業者への区独自の賃上げ支援を行うべきです。さらに、公契約条例の対象については、5000万円以上の請負契約と2000万円以上の委託契約、すべての指定管理協定に拡大すべきです。

 保育職員の賃金が低いため、必要な職員が確保できません。今年は40人の募集に対して10人も不足する事態となっており、給与の引き上げは急務です。また、区立保育園の保育補助の会計年度任用職員の時給は、労働報酬下限額よりも低いだけに、抜本的に引き上げるべきです。

 区民が安心してくらすために不可欠な、気候危機を打開する取り組みが弱いことも問題です。
 2015年のパリ協定の合意は、世界の平均気温を産業革命前との比較で1.5度以内に抑える目標でしたが、世界気象機関は一昨日、24年の気温上昇幅が1.55度になったと発表しました。気候危機打開は人類の生存に関わる喫緊の課題となっています。
 ところが、区の温室効果ガスの削減目標は、国や都の不十分な目標に合わせたにすぎず、2023年の環境基本計画の見直しでも引き上げられませんでした。新年度は、庁舎のゼロカーボン化が示されたのみで、住宅太陽光発電助成や総合相談窓口も未実施で、23区の中でも遅れを取っているのが実態です。ただちに2050年ゼロカーボン宣言を行うとともに、2030年までの温室効果ガス排出量50%以上削減を目標に据え、分野別の削減目標と排出量、対策を明確にし、実現に向けた施策を実施すべきです。

 第2に、区民に負担増を押し付け、福祉や教育を切り捨てる予算となっているからです。
 公共施設使用料が7月からいっせいに値上げされ、区民への負担増になります。予算には、使用料の歳入として、地域交流センターが523万8千円、代々木八幡区民施設が316万6千円、インクルーシブセンターが、6万6千円などの増額が見込まれています。公共施設は、区民の誰もが必要な時に利用できなければならず、物価高騰に追い打ちをかけ、住民が利用しにくくなる施設使用料の値上げは認められません。

 区民が利用する施設の廃止が進められようとしています。
 社会教育館は区内に5か所設置されていますが、単なる貸館ではなく、社会教育法に基づく機能として、地域の学習拠点、地域の家庭教育支援拠点、体験活動の推進、学校・家庭・地域社会との連携などが求められ、住民が無料で利用できる教育施設です。区は、昨年3月にまとめた「公共施設の再配置の基本的考え方」で、社会教育館について、貸館として機能が類似しているためとして、今後、建て替えを機に、コミュニティセンターへの転換を進めるとしていますが、社会教育の拠点としての役割を否定するもので認められません。最初に建て替えが予定されている幡ヶ谷社会教育館は、23年度の決算時点で228団体が登録しており、多くの利用団体が求めているように、工事中の代替施設をふくめ、社会教育館として存続させるべきです。

 本町子育て支援センターは、1月までに電話・面接相談924件、子育て広場13,409人、短期緊急保育150人、子育て教室144人と多くの利用実績があります。今後は本町リサイクルセンター・レインボーほんまちを改修して、その3階に移転する予定ですが、これまでの3分の1程度の広さになるため、相談事業と子育てひろばは継続されますが、保護者が緊急に保育できないときに予約なし無料で子どもを預けられる短期緊急保育等は実施できません。子育て世代にとってかけがえのない施設となっている本町子育て支援センターを廃止することは認められません。

 借上げ高齢者住宅は、住宅確保が困難な高齢者に低家賃の公営住宅を提供する区独自の施策として大きな役割を果たしてきました。しかし、区は笹塚2丁目のウインベル平野を4月末に、本町2丁目のやまぎしクオリティを9月末に廃止し、借上げ高齢者住宅を全廃します。
 今年度の区営住宅募集では、世帯用は募集がなく、単身用は応募倍率が19倍となっており、高齢者の住宅確保は引き続き区政の重要課題となっています。それにもかかわらず、区営住宅の増設計画も立てずに、借上げ高齢者住宅を廃止することは、区の責任を投げ捨てるもので認められません。2か所の借上げ高齢者住宅の契約を更新して入居者を募集するとともに、区営住宅の増設を行うべきです。

 第3に、大企業奉仕と不要不急の事業を進める無駄遣いの予算だからです。
 渋谷駅周辺整備の中心五街区整備事業では、駅街区北側自由通路に2億7600万円、南口北側自由通路に3億2880万円の税金が投入されます。また、80億円の公費を投入して開設された桜丘口開発のさくらステージにつながる補助18号線の整備にも、16億9600万円が計上され、合計で23億円の公費投入が行われます。
 さらに、駅街区北側自由通路は、年度内に事業計画の再見直しが提出され、区の負担も現在の52億円から上乗せされる見通しになっています。
再開発をすすめる大企業の利益のための事業に、自治体が多額の税金を投入することはやめるべきです。

 官民連携事業として一般社団法人渋谷未来デザインの2500万円の予算のうち1390万円は、区から派遣している職員3人分の共済費と退職した区の幹部職員の報酬です。
 一般社団法人渋谷未来デザインは、区が官民共同で設立したもので、区民の公共財産を出資企業に活用させて、新たな収益事業をおこし儲けをあげさせるための組織であり、24年度の活動方針でも「100社・団体を超えるパートナーの方々が・・・自身の事業や活動に生かされるような機会を作り続ける」としています。民間企業の利益のために区民の税金や職員、財産を差し出すことは自治体の役割ではありません。

 グローバル拠点都市推進事業には1億7394万円が計上されていますが、その中心的な狙いは、海外の優れたスタートアップの招致などにあてられます。一方で従来から行われている創業支援は、セミナーの開催と空き店舗プロジェクトに2700万円が計上されているだけです。スタートアップ戦略は投資を呼び込んで急成長する企業を作り出すことを狙うものです。こうした事業に多額の税金を使うことは、基礎的自治体の中小企業支援とは言えず認められません。また、新年度は、渋谷スタートアップデックと「一般社団法人スマートシティ推進機構」を統合して一般社団法人渋谷国際都市共創機構を設立します。この組織は、スタートアップ企業支援を一本化して進めるための組織となります。区民福祉の増進とは無関係であり、区から職員2名を派遣することはやめるべきです。

河津さくらの里しぶやには総額で3億1554万円が予算化されています。策定した活用計画に沿って、定員を2倍の施設にするため、隣接する土地2か所の取得に1944万円、増改築の設計費として1億4248万円を計上しました。区民からは交通の利便性の悪さが指摘され、令和5年度の決算では、宿泊者一人当たり1万3千円近くを区が負担しています。新年度は7月から二の平渋谷荘がリニューアルオープンし、定員も37人増えるので、区民の利用者数も減少が見込まれます。こうした中では、施設の大規模化にふみ出すのではなく、施設を廃止して、より効果の高い区民の宿泊支援事業に転換すべきです。

第4に、区民の声を聞かずトップダウンの政治手法で進める事業に、多額の税金を投入していることは認められないからです。
 玉川上水旧水路緑道再整備事業の予算は総額33億2158万円で、そのうち4か所の工事費として28億3378万円を計上し、大山緑道から初台緑道までの全ての区間で工事に着工することを予定しています。また、事業を加速するために4人の職員を増員します。25年度までに予算化される緑道の工事費は40億1509万円に上り、さらに、2026、27年度にかけて35億9576万円の債務負担行為も設定されます。総額で113億円もの工事費と10億円の設計費はあまりに高額だという、区民の批判を押し切って工事を強行することは認められません。
地域の住民は、2月に3027人の計画の見直しを求める署名を区長に提出しているのに、新年度に大半の区域で工事着手する予算は、住民の理解を得て進めるという区の言明にも反する住民無視の工事強行と言わざるをえません。
しかも、区民環境分科会の質疑の中では、令和7年度予算に計上されたテラゾ材は、原料費だけで、舗装材として7200㎡分を単価16万3千円で11億7360万円、ベンチ50基として1億8500万円で1基あたり370万円と異常に高額なのに、区と委託事業者で決めたというだけで、区民が納得できる説明はできませんでした。農園についても、やめてほしいという住民の方々と、農園をやりたい方々とが話し合い、農園の設置場所は緑道内でなくてもよいという方向で一致が見られているのに、幡ヶ谷緑道の消防学校近くに整備を強行し、それ以外については引き続き話し合いを進めると言いながら、農園にすることに固執しています。
多くの住民は、区がすすめる緑道再整備に納得しておらず、住環境を優先にした静かな緑道の存続を望んでいます。整備工事の強行はやめて計画を白紙に戻し、住民の意見を聞くべきです。

 新しい学校づくり整備方針に係る予算は学校建設費として、小学校に1億2834万円、中学校に137億8079万円が計上されています。
 このなかで、学校統廃合による小中一貫校建設に向けた基本計画業務委託費は、猿楽小学校と鉢山中学校が2億8176万円、千駄谷小学校と原宿外苑中学校が1億6469万円となっています。学校関係者や住民に説明もせず、意見も聞かずに区長のトップダウンで決めた学校統廃合計画を進めることは認められません。統廃合を知った区民からは、小学校を廃校にして小中一貫校にする計画はいつ誰が決めたのか、などと計画に疑問の声が上がっており、鉢山中学校の準備委員の中からも、決定事項なのかと質問が出されたと聞いています。住民の合意が全くない計画は白紙にもどし、準備委員だけでなく広く学校関係者、住民の意見・要望を聞くべきです。
 小学校費の神南小学校建設工事総合事業支援委託経費3400万円は、民間再開発事業者による学校建て替えを進めるための経費で、子どもたちの教育環境は、隣地に138メートルの超高層マンションが建設されることによって悪化します。民間事業者に委ねる神南小学校建て替えはやめ、教育環境を最優先にして区独自に建て替えるべきです。
 広尾中学校と松濤中学校の建設工事費が計上され、夏以降に工事着手となりますが、保護者や近隣住民からは、学校の直近の住民にしか説明会を知らせないのはおかしい、学校は地域住民のコミュニティの場であり災害時の避難所になる大事な施設なので、もっと意見を聞いてほしいという声や、松濤中学校のプールをなくすことや、広尾中学校の特別教室を大幅に減らすことについても、子どもたちの学習や部活などに影響が出るのではと、不安の声が出されています。
 予算に盛り込まれた幡代小学校については、地域住民、保護者、今後子どもを通わせる予定の保護者も含め、計画策定段階から十分な説明と意見を聞き、住民の納得を得てから計画を進めることを強く求めます。

 以上一般会計予算に反対の討論とします。

2025年度予算反対討論 2事業会計

2025.3.21 牛尾

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して、ただいま議題となりました議案第23号 令和7年度渋谷区介護保険事業会計予算、議案第24号 同後期高齢者医療事業会計予算の2議案について、反対の立場から討論します。

 最初に、介護保険事業会計予算について。
 国は2003年度から21年度までに、介護報酬が実質5.74%も削減されているのに、24年度の報酬改定では訪問介護報酬をさらに引き下げました。その結果、昨年1年間の介護事業所の倒産は172件、休廃業・解散も612件と2010年以降最多となりました。そのうち訪問介護事業所の倒産が81件、休廃業・解散が448件と最も多く、前年を2割以上上回っています。その結果、訪問介護事業所ゼロの自治体が107町村となり、保険料・利用料を払ってもサービスが受けられないという危機的状況が広がっています。
 昨年夏に我が党区議団が区内43カ所の訪問介護事業所を調査しましたが、9割の事業所が「経営がますます厳しくなった」と答えており、廃業を検討している事業所もありました。訪問介護事業所の閉鎖は都市部でも起こっており、区民が必要な介護サービスを受けられない事態は、絶対に避けなければなりません。
 介護崩壊を防ぐため、全産業平均7万円以上低い介護職員の大幅賃上げと、労働条件の抜本的な改善、事業所の経営立て直しに向けて、国の介護報酬の引き上げとともに、何よりも公費負担を大幅に増やすことを強く求めます。
 2024年度の保険料改定で区は、介護給付費準備基金を8億円取り崩し保険料軽減にあてましたが、わが党はさらに3年間で1億2000万円を活用すれば、第5段階までの住民税本人非課税の方の保険料は値上げせずに済むと提案しました。
 新年度の予算では、高齢化がすすみ、介護事業会計予算の総額は増えていますが、介護給付費は減額となっています。このことは、保険料算定で見込んだ介護給付費の伸びが過大だったことを示しています。区独自の低所得者の保険料や利用料の軽減制度を拡充すべきです。

 次に、後期高齢者医療事業会計予算について。
 2025年度の保険料は、昨年改定した保険料の所得割率や賦課限度額の激変緩和措置がなくなることなどにより、平均保険料は17万9855円、前年度に比べ6630円の負担増となります。
 また、3年前に医療費窓口負担が2割になった被保険者の激変緩和措置もなくなり、医療費も増額になります。
 物価高騰が続く中で、実質年金額も下がりつつけている中で、75歳以上の高齢者に高い保険料と窓口負担を強いることは認められません。
 医療にかかる機会の多い75歳以上の高齢者だけで構成する医療保険制度をつくれば、高い保険料と窓口負担にならざるを得ないのは明らかです。高齢者いじめのこの保険制度は廃止して、老人医療制度に戻すことをはじめ、国の責任ですべての高齢者が安心して医療にかかれる医療制度を構築すべきです。

 以上、2事業会計に反対の討論とします。


●議案第25号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)請負契約

 ただいま議題となりました議案第25号 玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)請負契約について、日本共産党区議団を代表して、反対の討論を行います。

 本契約は、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その3)について、東光園緑化株式会社と4億7300万円で工事請負契約を締結しようとするもので、常盤橋から相生橋に至る幡ヶ谷緑道3300㎡を対象にしています。玉川上水旧水路緑道再整備計画全体は、工事総額113億円に設計委託などを含めると総額123億円もの税金を投入し、農園などを整備、指定管理者による管理まで検討しています。

反対の理由の第1は、住民の声を無視して、次々と工事を進めることは、民主主義と住民自治を否定するもので許されないからです。
 笹塚・大山緑道整備工事が強行されて以降も、住民から緑道整備全体に対して、舗装材のテラゾやベンチが高額すぎる、巨額の税金投入は許されない、今のままの緑道で樹木の適切な管理を求める、農園は造らないでほしい、区が直接管理運営してほしいなど、多数の要望や反対の声が上がっています。
 昨年は、第3回定例会に提出された「玉川上水旧水路幡ヶ谷緑道の農園に関し意見交換の場を求める請願」は本会議で16人の議員が賛成し、「玉川上水旧水路緑道再整備の園路舗装材について再考を求める請願」は第4回定例会の区民環境委員会で採択されています。第4回定例会で、玉川上水旧水路緑道再整備工事(その2)の契約が強行されましたが、その後も今年2月には、計画の見直しを求める3027人の署名が区長に提出され、その9割以上が区民だと聞いています。
 農園整備についても、沿道住民から「獣害」や「管理責任」など多数の不安や反対の声が出されているのに、今回の契約では、区が管理する森林公園300㎡には、ヤマモモ、レモン、キンカン、ビルベリーを植え、そのほかに利用者が管理し、何を植えるかを利用者が決める農園が300㎡と合計600㎡の農園を整備しようとしています。区長は「賛成する人もいる」などと言いますが、住民同士の話し合いで、農園をやりたいという人も緑道内でなくてもよいとの方向で一致しました。こうした経過も無視し、農園に反対する近隣住民の声を切り捨てて、農園を整備することは許されません。
沿道住民をはじめ多くの区民が計画に反対し、今年2月の2回の説明会でも住民は納得していませんでした。それなのに、この契約で幡ヶ谷緑道の工事を強行し、来年度予算には、大山の一部から初台緑道に至る緑道整備費33億円余を計上しています。区長は、「丁寧に説明する」と言いますが、説明だけして声を聞こうとしないのでは、説明はアリバイづくりで行政への信頼性を損ないます。住民が反対しても無視して計画を進めることは、民主主義・住民自治の否定であり断じて認められません。まずは住民の声を真摯に聞くために、この契約議案は撤回すべきです。

第2の理由は、物価高騰によって区民のくらしが大変な時に、区民への支援はそっちのけ、区民負担は増やす一方で、総額123億円もの税金を投入し、高額な補装材やベンチを使うことは許されないからです。
 物価高騰のなかで区民の苦しみは増す一方です。お米の値段は昨年の2倍で、食料品を中心とした物価高騰は広く区民の生活を圧迫し、賃金や年金給付の引き上げは物価高騰に及ばず、生活保護費は引き上げられていません。区は、こうした区民に行き届く独自の物価高騰対策を実施しないばかりか、公共施設の使用料まで大幅に値上げしようとしています。
 その一方で、今回の契約だけで4億7300万円、総額123億円もの税金を投入することは許されません。区長は50年後、100年後を見据えて整備するといいますが、今困っている区民を見捨てて1世紀も先のことを優先することは、住民福祉の機関である自治体の役割の否定です。
 本契約のテラゾ舗装は765㎡で工事面積の23%を占め、舗装材の費用は1億786万円です。㎡単価は14万1千円、木や土を使った環境負荷の少ない舗装材に比べても14倍です。さらに施工費用は、インターロッキングが1㎡4000円に対してテラゾ材1万2000円と3倍で、918万円で612万円も高くなります。テラゾ材の導入について、区民環境委員会で選定過程について答弁不能になったと聞いていますが、価格だけでなく、選定過程についても不透明であることが明らかになっています。
 ベンチは1基291万2580円を2基、244万円を2基設置しようとしていますが、市販の高額なベンチより15~18倍も高額です。本契約の舗装材とベンチの合計額は1億2000万円です。物価高騰で苦しむ区民のくらしの実態とかけ離れた価格です。
 これだけお金があるのなら、区独自の物価高騰対策を実施し、敬老祝い金を復活し、施設使用料の値上げを撤回できます。物価高騰に苦しむ区民のくらしの願いに背を向けて巨額な税金を投入する契約は認められません。

 住民無視で、巨額な税金投入を強行する本契約は認められません。
 以上、反対討論とします。


2025年度第一回定例会 保育請願賛成討論

五十嵐 3/21

 私は日本共産党渋谷区議団を代表して ただいま議題となりました「安心・安全な質の高い保育の実現を求める請願」に賛成の立場から討論します。

 本請願は、保育施設は誰もが安心して子どもを産み育てながら働ける社会実現に必要な社会資源であり、保育士は発達段階が違う個性ある子どもたちの乳幼児期の発達を保障する大事な仕事をしている。しかし、現在保育士の離職率が高く、保育士不足は深刻だとし、保育士の賃金引き上げと、2歳児以上の面積基準と全年齢児の保育士配置基準の改善を国、都、区に求め、子どもの安全を確保し、発達を保障する質の高い保育を実現することを求めています。

 請願に賛成する第1の理由は、一人一人の発達段階の違う子どもの発達を保障し、安全を守る保育士の賃金が全産業の平均賃金と比べてあまりにも低い実態が続き国と地方自治体は早急に改善が求められているからです。
 東京都福祉局の調査では、退職意向がある正規保育士の72.7%が「給料が安い」ことを理由にあげています。
 厚生労働省が発表した24年12月現在の保育士の平均賃金は、27万5700円で全産業の33万400円より5万4000円以上低くなっているのが実態です。また、新年度予算では、渋谷区が上乗せ実施している宿舎借り上げ制度を利用する民間保育士は区内で働く保育士全体の45%です。
 また、渋谷区が新年度募集した保育士40人に対し、内定者が30に人とどまっているのも実態で、専門職にふさわしい大幅な賃金の引き上げが、国と自治体に早急に求められているのです。

 賛成理由の第2は、全年齢児の保育士配置基準の引き上げと、2歳以上児の面積基準を引き上げることは、子どもの安全を確保し、子どもたちにきめ細かなケアを可能にするからです。保育士配置基準の引き上げは、保育士不足の原因となっている加重労働を緩和し、子ども一人一人に寄り添うことのできる保育の質を向上させることができます。また、4.5歳児を中心として定数割れで経営が悪化している民間保育施設の支援にもつながります。
 2歳児以上児の施設面積基準は1948年の1.98平方メートルが改善されておらず国際基準から大きく遅れています。発達段階の違う子どもたちの成長に合わせたきめ細かな保育をするには面積基準の引き上げが必要です。
 以上請願の採択に賛成する討論とします。

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